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181 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/20(木) 22:19:15.72 ID:OurInImK0
【けいおん×春合宿】
第5話「ムギの秘密」
「ぴ、ぴ、ぴっと」
唯は軽やかにダイヤルを始めた
「あ、もしもし~唯だよ」
『あら唯ちゃん、昨日はよく寝れた?』
「もちろんっ」
唯は憂に軽くウィンクした
憂もそれに答える
「それでムギちゃん、お願いがあるんだけど…」
『お願いって?』
「憂にも合宿来てもらうんだ」
『あら、楽しくなりそうね♪』
ムギは相変わらずのご機嫌な口調で答える
「それで、ギターとか貸してもらえたりする?」
『いいわよ。いくつかあるから、憂ちゃんの好きなの選んでもらえるといいかも』
「さ、さすがムギちゃんだね…ホントにありがとう」
『唯ちゃんの家にお邪魔した時とか、いつも憂ちゃんのお世話になってるもの、気にすることなんてないわ』
「じゃ、駅で会おうね!」
唯は電話を切った
あそこの角を曲がれば駅が見える。みんな待っているだろうか
182 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/20(木) 22:21:30.12 ID:OurInImK0
「みんなーっ!」
案の定、みんな揃っていた。唯と憂はみんなに手を大きく振った
「あれっ、憂ちゃんも来るのか?」
律は物珍しそうに憂の顔を覗き込む
ちょっと照れくさそうに憂が答える
「はいっ」
「来てくれて大助かりだよ。憂ちゃんはギターうまいもんね」
「そんなっ、みなさんの足を引っ張らないように頑張りますっ」
「憂が来てくれると、何かほっとする」
そう言って、梓は憂の手を握りしめた
「梓と憂ちゃんは同学年だもんね」
ムギがニコニコしながら二人の顔を見比べる
そこに、澪が尋ねた
「ところで、ムギ。今回は山の別荘なんだよな?」
「えぇ。でも、一応プライベートビーチも付いてますわ」
「今の時期って、寒いんじゃないんですか?」
「ふふふ、大丈夫よ。今回は南にある別荘だから」
5人は唖然とした
183 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/20(木) 22:23:23.54 ID:OurInImK0
「まさか…ハワイ?」
「ちょっとハワイは遠かったから、ここから近めの無人島にしてみたわ」
「む…無人島!?」
律が驚きから段々と歓喜の表情へと変わっていく
「やった!むじんとうだぞ、唯!」
「やったね!りっちゃん隊員!」
2人は手を取り合って喜んだ
「一応、私の家が所有している土地だから、正確には無人島とは言えないけどね」
「いや、もうとにかく感謝感激雨あられだぞっ!ムギ!」
「照れちゃうわ」
ムギは眉をハの字にして微笑んでいた
澪が再び尋ねる
「だけど、ムギ。そんな島までどうやって行くんだ?」
「あそこの公園にチャーターヘリが停まってるわ」
「ちゃーたーへり…」
「あ、安心して。旅客用だからゆったりと座れるわ」
「ムギ、やっぱりすごいんだな…」
澪は目が点になっていた
184 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/20(木) 22:25:20.24 ID:OurInImK0
6人はすぐ近くの公園に向かった。すでにヘリが到着していた
ヘリの入口には年頃の紳士が立っていた
「斉藤でございます。日ごろからお嬢様がお世話になっております」
斉藤が頭を下げたのにつられて、5人もそそくさと頭を下げる
「と、とんでもない。こ、こちらこそ」
律は早口で答えた
「では、こちらからお乗りください」
斉藤は入口の横に立ち、手招きをした。6人が乗り込み、斉藤が最後に周囲を確認をしてから乗り込んだ
「それでは、出発いたします」
バババババとプロペラ音を立てながら、ヘリは飛び立った
「すげ~!結構広いんだな」
律が驚きの声を上げる。ヘリの中はゆったりとしたバス座席のようになっていた
「ふかふかだ~」
唯はばふんと席に腰を降ろした
「ここから別荘のある島まで一直線でございます。1時間ほどかかりますので、それまで空の旅をお楽しみください」
そう言って、斉藤は前の方の席に戻って行った
185 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/20(木) 22:27:54.73 ID:OurInImK0
「それにしても…ムギの家って一体何をしてるんだ?」
澪は純粋な疑問をムギにぶつけた
「私のお父様はコトブキグループを総括している人、それだけですわ」
ムギは澪に笑いかけた
「そっかぁ、すごいんだなぁ…」
澪はムギを見つめながら、つぶやいた
「そうそう、みなさん酔わないように、これを渡しておきますわ」
ムギは小さな缶を取りだした
「これは…たくあん?」
缶から自分が取りだしたものをまじまじと見つめながら、律はムギに問いかけた
「えぇ。でもただのたくあんではないんです。食べるだけで、絶対に酔わなくなりますわ」
「へぇ~」
他の5人が次々とたくあんを口にしているのを見ながら、澪は考えていた
(ムギ…ほんとにオマエは何者なんだ…)
第6話「1hourの空の旅」 へ続く