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323 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 20:53:13.39 ID:oYgMyUC20
【STUDY♪BEAT】
この夏、私はK塾で夏期講習を取っていた。
律も誘ったんだけど、あいつ面倒くさいって言って行かなかった。
1人だと寂しんだよな…何で来ないんだよ、律ぅ。
唯は律よりも塾なんて行かなそうだし、ムギはムギで予定がありそうだったから…
結局私は1人で夏期講習を受けることに。最初は不安で一杯だった。
だって塾なんて行ったこと無かったんだ。ホントだぞ。
324 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 20:57:28.09 ID:oYgMyUC20
今日も部活が終わった。
「お疲れ、澪、一緒に帰ろうぜ」
いつものように元気な笑顔で律が私を誘ってきた。
「ゴメン、今日塾なんだ」
「あっ、そういえば夏期講習取ってるんだったよな」
すまなそうな顔をして、私はベースをしょった。
「じゃぁな、律」
私は律たちとは正反対の方向に向かう。
326 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:01:41.11 ID:oYgMyUC20
学校から歩いて5分程。繁華街の近くに塾はある。
塾というよりは予備校で、生徒もたくさんいる。
私はまだ2年生だから、授業は1つか2つしかない。
「こんにちは~」
「あ、こんにちは~」
いつものように塾のスタッフさんが挨拶をしてきてくれる。
嬉しいんだけど、恥ずかしいんだよな。でも、スタッフさんカッコいいかも。
塾の中は生徒でごった返していた。もちろん高3とか浪人生もいる。
でも、あんまり直視したくはなかった。来年自分がこうなるかと思うと、ちょっと辛いからだ。
327 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:02:49.71 ID:oYgMyUC20
この場所来て、一番嫌なのが勉強に追い立てられている人たちを見ること。
部活のほんわかした雰囲気から、突然現実に戻される感じ。
今一番楽しい部活が無くなるなんて想像できないし、したくない。
でもいつかはこうなっちゃうんだと心の片隅では思っていた。
「今日の教室は…ここか」
なんか暗いことばっかり考えていたら、いつの間にか教室の前に来ていた。
何やってんだ澪。と自分を振る立たせて教室の中に入る。
330 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:10:00.80 ID:oYgMyUC20
教室に入った私は、目を疑った。
「唯…夏期講習取ってたのか?」
「あ、澪ちゃんっ!」
唯は前方から私に気付いて手を振った。
「さすがに勉強しなきゃって思ったんだ♪」
「ははっ、唯らしくもないな」
私は唯の隣の席に座った。
「むぅ~私だって勉強ぐらいしますぅ~」
「でも、嬉しいよ。1人ぼっちかと思ってた」
テキストを取り出しながら、私はほっと一息つく。
「澪ちゃん、予習してきた?」
両手を頭の上で合わせて唯が頭を下げる。
…全く、そこは変わらんのかい。
「ほれ、ノート」
「有りがたき幸せ~」
「早く写せよ」
授業開始まであと7分。私は疲れていたので、ちょっと突っ伏した。
332 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:12:14.84 ID:oYgMyUC20
「澪ちゃん、ありがとっ」
トントンとノートで叩かれて、私は顔を上げた。
「早いな…もう終わったのか?」
「うんっ!ありがとっ」
ちょうど講士の先生が入ってきた。
今日は英語の授業である。
私はいつものように授業を聞き始めた。
333 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:15:10.46 ID:oYgMyUC20
久しぶりに集中したので、あっという間に時間が過ぎてしまった。
気がつくと、もう授業終了まで5分前。
ふと隣を見ると…唯、寝るな。
「おい唯」
私は軽く唯の背中を叩いた。
「ふぁ…おはよう澪ちゃん」
私は唯の耳元でささやく。
「おはようじゃないぞ。もうすぐ授業終了だ。いつから寝てた?」
「えっと…わかんない」
ニッコリする唯の手元のノートは白紙。
…やっぱりかと思ってたけど、やっぱりか。
334 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:22:01.27 ID:oYgMyUC20
授業終了後、唯がまた私の前で頭を下げる。
「ノート貸して下さいっ」
「まったく…いいけど、写すだけじゃだめだぞ」
「わかっておりますっ」
半信半疑だったけど、私はノートを渡した。
「じゃ、行くか」
私達は塾を出た。
335 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/27(木) 21:25:10.76 ID:oYgMyUC20
帰り道、私は唯に提案してみた。
「今度また一緒に勉強しよう。ほら、塾のロビーとかで」
「そうだね!よろしく澪ちゃん!」
ここまで快活な返事をくれると私の方まで気分がよくなってくる。
なんだろう、唯といっしょにいると、教室に入るまでの気持ちがウソみたいに吹き飛んでいた。
「唯、今日はありがとな」
「ほぇ?こちらこそ!」
部活も一緒に頑張ろうな、唯。
Fin