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645 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 20:42:03.82 ID:HZ6IYHLM0 【こたつでごろごろ】 ある朝、雪が積もった。 唯は窓を開けて外を覗く。 一面銀世界、とはこのことを言うのだろう。 そこにはとてもとても現実世界とは思えない、絵本の中のような光景が広がっていた。 ここではとても言葉にし得ない、その風景を見て… 唯は第一声を発した。 「今日は一日ごろごろしよっ!」 649 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 20:47:55.94 ID:HZ6IYHLM0 下から憂の声が聞こえた。 「おねーちゃん、ご飯出来てるよ~!」 「うい!今行く~」 唯はパジャマ姿のままバタバタと階段を駆け下りていった。 「わあっ!こたつだっ!」 リビングにはこたつが置いてあった。 「今日とっても寒いから出したんだ。おねえちゃんこたつ大好きでしょ?」 「うんっ!ありがとうい!」 唯は野球選手がスライディングを決めるように、こたつの中に飛び込んだ。 651 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 20:52:48.85 ID:HZ6IYHLM0 「あったか~い」 唯はこたつの中に体の8割を突っ込み、その温かさを楽しんでいた。 ふと気がつくと、憂の気遣いだろう、みかんが置いてあった。 「あ、みかんだっ」 「おねーちゃん、ご飯ここに置いとくね」 唯がみかんの存在に気付いたと同時に、憂がこたつの上に朝食の乗っかったお盆を載せた。 652 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 20:56:54.28 ID:HZ6IYHLM0 「それじゃ、ちょっと私、洗濯物たたんでくるね」 憂はエプロンをつけたまま乾燥機のところまでパタパタと歩いて行った。 唯はごそごそとこたつから身を出すと、おぼんを手に取った。 「うぅっ、寒いっ」 そして、またこたつの中へ体を戻す。ちょうど目の前には食事が来るように。 「私って、頭いいかもっ」 唯はそのまま体8割をこたつの中にうずめたまま、遅い朝食を食べ始めた。 656 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 21:05:48.16 ID:HZ6IYHLM0 「ふぅ…食べた食べた」 すっかり朝食を平らげた唯は、みかんへと手を伸ばす。 「かわいいかわいいみかんちゃんっ♪」 ご機嫌になりながら唯がみかんの皮をむき始めた時、こたつの中に誰か入ってきた。 「お邪魔します♪」 憂だった。気持ち良さそうにこたつに入っている。 「うい~お仕事終わったの?」 「うんっ。おねーちゃん、いっしょにみかん食べよ」 657 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 21:09:29.10 ID:HZ6IYHLM0 憂もまた、みかんを持っていた。 「うい、こっち来てっ」 「あはは、おねーちゃんまたこたつに体うずめてるっ」 笑いながらも、憂は唯の隣までやってきた。 2人で顔をそろえてごろごろする。 そして、みかんをむく。 「あ~ん、おねーちゃんっ」 「はむっ、おいひいっ!」 またごろごろし始める。 今度は唯がみかんを取って 「うい、あ~んして」 「うん、おいしいねっ♪」 2人は至福の時を過ごしていた。 658 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/28(金) 21:14:28.62 ID:HZ6IYHLM0 程なくして、2人とも寝始める。 すやすやと寝息を立てて。 「すーすー」 「うい~みかん~」 唯は寝言でみかんを求める。そして、夢の中でみかんを食べ始める。 「おいひぃ……むにゃむにゃ」 さてさて、冬に見られる平沢家の風物詩、それが 『こたつでごろごろ』 なのである。 お分かり頂けただろうか。 Fin

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