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819 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 01:43:47.68 ID:6Y4y7c0O0 じゅけん! この物語は目次をオリジナルキャラとしてけいおん!の世界に組み込み『 受 験 に は 全 く 役 に 立 た な い 』SSです。 高校時代の実生活を元にしたフィクションであり、実在する団体、組織、個人とは一切関係ありません。 また、このSSを読んで実践した結果、例え『落選』しようが、『滑ろう』が、『内定取り消し』されようが一切の責任は負いません。 では、お楽しみください。  -じゅけん!- 4月  春。儂は惰性半分に高校3年になっていた。けいおん部に入り浸るものの、何もせず基本的には『バックアップ』として高校3年までやるつもりだ。そしてある日、パソコン部からゲーム製作の手伝いをして欲しいと申し出があり、 けいおん部に加え、パソコン部の手伝いもするようになっていた。  そんなある日。 「目次君って、大学何処にするの?」  話をかけてきたのは平沢唯。けいおん部のリードギター兼ボーカルで独特の感性を持った女の子だった。 「いや、決めてない。儂自身も大学なんてそもそも行く気自体が今もないしな」 「ふーん。でも大学行かないと就職とかって厳しいって聞くよ?」 「就職ねぇ……大学行くのはネームバリューとしてそのブランド欲しさに行くんだろ? だったら儂は資格とか免許とかそういうものを取って『何でも屋』にでもなった方がマシだな」 「そっか……」  後輩たちにも自分は大学に行くつもりは更々ないと言い、それを担任や顧問にも明言してきた。勿論まだ春の時点では『何処の大学に行こうか』なんてものも考えておらず、進路調査票にも『未定』としか書かなかった。 が、そんなものも長続きはせず、ある日のこと担任から呼び出された。 「目次。お前いい加減に進路を考えたらどうだ?」 「だから言ってるじゃないですか『大学に行くつもりはない』と。儂は資格や免許を取るのに1年費やして、それで就職します」 「それなんだよ。今の時代、大学卒業しないと厳しいって言ってるんだよ」 「大学卒業しても就職難の今に? 大学卒業よりも資格重視の現代社会だと言うのにですか?」  学校の本音がどういうものかは知っている。元より県内でも有名な公立進学校である以上、『難関大学に受からず、浪人』でもない限り無理にでも進学させたいのだ。それが見えていたからこそ儂は頑なにソレを拒んだ。 「話がそれだけなら、進路は未定じゃなくて『国公立大学希望』とでも書いておいてください。東大か埼大あたりでも」  儂は言い終えるとそのまま踵を返し職員室を後にする。 「せめて、本音を言えば納得をするというに」  職員室からけいおん部の部室に戻ると皆が練習していた。 「目次君どうだった?」 826 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 02:06:19.96 ID:6Y4y7c0O0  心配そうに声をかけてくる唯。そんな心配を払拭できるように薄ら笑いを浮かべる。 「どうだったも何も。何時も通りの事だよ。何を言おうと儂は考えを変えるつもりはないっての」 「とはいえ目次、本気で1年フリーターでやるつもりなの?」  今、声をかけてきたのは田井中律。元気に溢れた性格でこのけいおん部の部長だ。 「そうだよ。幾ら目次が良いって言ってもそこまで頑なに拒む必要もないだろ?」 「そうよ?」  律の質問に重ねて来たのが秋山澪そして、琴吹紬だ。彼女たちも同じくけいおん部でベース、キーボードを担当している。 「正直な話、追加で4年間も勉強することに何の意味があるんだって話。高校まで朝から夕まで勉強漬けにされた挙句に更に4年間も。しかも穴だらけのカリキュラムだぞ? なんの意味があるよ?」 「わ、私思うんですけど。その空いた時間に好きなことすれば……良いと思うんです。そうすれば大学で仲間も新しく出来たり、それに先輩にも彼女だって……」 「彼女? 要らん」  けいおん部の後輩で2ndギターの中野梓の意見を正面から否定する。 「なんでですか? 私が初めて目次先輩と会って告白したときだって断って……」 「「「「えぇ!?」」」」  部室内が戦慄する。 「え? 梓、目次に告白したの? え、一目惚れ?」 「どういうことなの目次君! あずにゃんみたいな可愛い子フるなんて! しかもこんなに今も気楽に話してるなんて頭おかしいんじゃない?」  梓が過去の事を言ってしまったがばかりに質問攻めを喰う羽目になってしまった。 「いや、儂の話も少しは聞いてく……」 「話を聞くも何もフっておきながら気安く話かけてるお前の頭が不思議でしかたないんだよ!?」 「だからだな……」 「先輩達! 落ち着いてください」  梓の一言で静まり返る。 「だからな、今の儂には彼女なんて身分不相応なんだよ。だから梓には悪いがフらせて貰ったってだけの話だよ」 「……身分不相応ねぇ……」 832 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 02:20:59.18 ID:6Y4y7c0O0 「そ、身分不相応。大体、儂がどういう生活してるか知ってるだろう?」 「どういう生活って……」 「オタク」  答えたのは律。 「万年徹夜」  答えたのは澪。 「努力をしないことを努力する生活」  答えたのは紬。 「能はあって爪を隠しても爪を磨かない」  答えたのは梓。 「何より、色々と勿体ない生活」  答えたのは唯。  容赦のない回答に全くその通りとしか言い様ががない。 「……まぁ間違っちゃいないし、否定するつもりも更々ないんで構わないが、もう少しポジティブな捉え方は出来ないのかお前らは」 「だって、目次君普段から何もしないじゃん。音楽聞いたり、漫画読んだり、ゲームしたりで。もう少しクラスの為に動くとかすれば良いのに」 「そんなことしたら儂が全部取り仕切らなきゃいかんだろ。面倒事は全部お偉いさんに任せて、儂は自由に生活するんだよ」  そんなことをいう儂だったが、高校1年の時にクラスの連中が前もって話を合わせていた様に男子から一同から推薦されてHR委員長にされたことがある。その時は半分仕方ないと思った反面で推薦したことを後悔させようとした。 まず基本的に委員長であるという事で君主政治のように基本的な方針や決め事は儂が決め、それに対して反論は基本させなかったり、またクラスの出し物についても女子と男子全員にメイドの格好をさせメイド喫茶を強行しようとしたが、 流石に担任が止めた為、学校初となるメイド喫茶は泡沫となった。 「流石にこればかりはどうしようもないって事かな」 「そゆこと」  ソファに倒れ込み、リュックサックの中から持ってきた解説本を読む。 「さて、練習始めようか。目次、聞いて貰える……って、何その緑色の本は……」 「 毒 草 大 百 科 」 「……突っ込まないでおく。まぁ何時も通りお願いね」 「あいよ」  ソファに寝転がりながらページを捲る儂を横に彼女達の演奏が始まる。 ………… 928 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 09:22:01.01 ID:6Y4y7c0O0  ジャーン……  彼女達の演奏が終わり、唯が感想を求める。 「どうだった?」 「『どうだった?』と聞かれば『良かった』と返せるかな」 「そっか。なら悪かった?」 「悪くはない。が、強いて言うなら律が相変わらず。で、澪と梓も音がほんの少しズレてる。唯は自由すぎる」 「え? 音ズレてた?」 「あぁ、本当にほんの少しな。チューナーでもっかい計ってみ」  儂からの助言に彼女達はチューナーを取り付けて調音する。 「あ、3弦の音が若干高い……」 「こっちも6弦の音が若干低いです」 「な? 言った通りだろ?」  そんな感じで1年の新入りが入ることはなく5月を迎えるのだった。 5月へ続く。 269 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/08/30(日) 04:58:27.96 ID:u48bDgRnO 5月  中間試験を中旬に構え、新入生の真新しい制服の糊も幾らか取れて、体に馴染み始める頃。とうとうというべきだろうか。親が呼び出された。 「……ねぇ、目次。貴方、何で進路書かないの?」 担任を待つ生徒指導室の中で母親が話し掛けて来る。 「書かないも何も書けないんだよ」 「その歳にもなってまだなりたい職業もないの?」 「言ったって反対しかしないんだから、言うだけ無駄でしょ? だから書きたくても書けない」  そんな問答をしていると担任がやってくる。 「本日はお忙しい中、学校にお越しいただき有難うございます。今回は目次君の進路相談についてというこで、よろしくお願いします」 518 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/30(日) 23:57:21.84 ID:SK74RcuR0  在り来たりな社交辞令。どうせ心にも思ってないことを言ってるのだろう。寧ろ本音は『コイツがまともに書かないからこんなこと言わなきゃならないんだ』とでもだろうか。 「もう3年生になって1ヶ月以上経つのに『未定』のままなので、考えてないことはないと思うのですが、流石にこの場で少し考えてもらって方向性を決めてもらおうかと思いまして」 「それならば親を呼ぶ理由にはならないでしょう? 他にも理由があるんじゃないんですか?」 「……目次君。少し外で考えててくれる?」  担任に外に出すように促され、部屋の外に出る。と、そこには紬が来ていた 「練習は如何したよ? 紬」 「うーん、練習も練習でなんだけど流石に部員の一大事とあると困るから、少し様子見にね?」 「そうけ。まぁ今まで『未定』で出してただけの話なんだけどな。それを今更になってここまでやるとは思わなかったよ」 「まぁ、それだけこの学校で浮いてるからじゃないのかしら?」 「そりゃないよ。これだけの人数いるのにその中のたった一人にこんなにやるなんて正気の沙汰とは思えない行動」 「そう? ……ま、頑張って。部室で皆待ってるからね」 「出来るだけ早く終わらせるよ」  そして紬に別れを告げてから5分後。 「目次、入れ」  母親の眼前とでは全く違った態度の担任が儂を呼んだ。 「はいはい。先生様」  部屋に戻ると、こちらを睨む母親と机の上には紙が置いてあった。無論、進路調査票だ。それを見た儂は咄嗟に言った。 「進路なんですが、国立行きます」  そんなことを言ったものだから二人は驚いた。 521 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/31(月) 00:33:20.10 ID:LuFvtack0 「国立って、今から勉強してどうにかなるレベルじゃないこと位分かってるだろう?」  言われるまでもない。こんな時期から勉強したって合格出来るようならば予備校も塾も何も要らない。 「えぇ、普通に国立を目指せば今から勉強したって無理ですし、当然推薦取れるような成績でも僕はありませんしね」 「なら分かっててそんな世迷い事を?」 「ならもしも五教科七科目から三教科三科目まで国立のセンターが減らせるとしたら?」 「そんな事出来るわけないだろう」 「いや、有るんですよ実は。国立で一校だけですけどね。しかもこの埼玉県に」  ニヤリと笑いながら担任を見据える。 「埼玉大学? いやいや、そんな情報知らないぞ?」 「ちゃんと調べてみると良いですよ」 「センターだけで入る方法としてソレがありますから」 「それで、合格の見込みは?」 「努力次第でしょうね」  進路希望調査票に『国立埼玉大学』に書き込み、母親と共に部屋を後にする。 「母さん、何を言われた?」 「貴方の学校生活」 「そうけ。まぁ問題はないから大丈夫さね」  教室で分かれ、部室へと向かう。 「あー終わった」  ドアを開けるとそこには何もしない彼女達がいた。 51 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 01:36:09.35 ID:iNlcN09z0 「あれ? 練習してるんじゃなかったのか?」  てっきり練習をして休憩でもしているのかと思ってみれば、楽器のセットもせず、ただ椅子に座るだけの彼女達。 「練習するも何も仮にも部員が教師に親諸共呼び出されてるのよ? 心配で練習が手に付く筈もないでしょ?」  口を尖らせて言う澪。 「心配することでもないだろう? 高が教師に呼び出された程度の事じゃないか?」 「何処がだ。全く心配する身にもなってよ」  溜息を吐き、席を立つ澪。 「さぁ、練習練習。問題なく戻ってきたみたいだし、私たちの最後のライブも近い。此処で頑張らないと去年の二の舞よ!」  鶴の一声とまではいかないが、けいおん部の面々は自分たちの楽器をセットし始める。勿論、儂自身は何時も通り本を読んだりするだけなのだが。  そして、進路を決めた5月から早くも4か月が過ぎたる頃。 9月  夢。朦朧とした意識の中、携帯の着信音が聞こえる。起きなければ…… 「……今何時だか知ってる?」  部長の律だ。 「さぁ~何時でしょう?」 「時計はある?」 「……おはようクーヤ。今何時だい?」  …………あぁ、可愛いなクーヤは。 「で、目次君。何時だった?」 「……さぁ?」  既に10時が過ぎていた。因みに開祭式は8時30分から。 「『さぁ?』じゃないでしょ!? 文化祭だってのに遅刻!? しかも今まで寝てたなんて聞いたことない!」 「そりゃ儂ですから」 「これ以上神経逆撫でするような事を言って私に学校で殴られる前にさっさと準備して学校に来なさい」 「嫌です」 「殴るよ? グーで。しかも角手かメリケン用意しておくよ?」 53 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 02:20:34.28 ID:iNlcN09z0  流石に冗談が過ぎた。電話越しからでも怒りが伝わってくる程に声は低くなっていた。 「分かった分かった。今から行くからあと2時間ほど掛かる」 「確か自転車で45分だったよね最速記録」  何という地獄耳だろうか、そんな下らないことまで覚えているとは。 「そんなこと言ったっけか?」 「イッタヨ? ブシツデ」 「そうけ。まぁそれがどうしたって?」 「今からソレの新記録挑戦して貰える?」  嫌だと言えば確実に殺られる。 「OKOK。最高速でどれくらい出せるか分からないが頑張ろうじゃないか」 「分かったら速攻で来なさい」  電話を終えると、衣紋掛けにかけた制服を持ち、風呂場へと向かう。 「あー寝癖酷いな……使いたくはないがヘアアイロン使うか……」  所謂爆発パーマで、かなり凄惨な状態になっていた。取り敢えず霧吹きで髪の毛を濡らして櫛を入れる。 「あーもー引っかかるなぁ……」  櫛入れが終わったところで、ヘアアイロンで髪の毛をストレートにしていく。そして後ろで髪を束ねる。 「さて、行きますか……」 96 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 09:17:44.37 ID:iNlcN09z0  制服を鞄に詰め込み、ヘルメットを付ける。つまり服装は『私服』だったりする。時間的に誰も居ない家に鍵を掛け、弟が乗っている原付のエンジンを付ける。免許? そんなものは無い。無い状態で警察に厄介になると免許が暫く取れなくなったりするがー。まぁ大丈夫だろう。 「行くのは良いとして、何処に停めようか……」  まぁ公園の裏手にでも停めておけば何も問題はない。はず。多分。きっと。大丈夫だろう。うん……大丈夫だよな? 「Zoom-Zoom-Zoom 走る喜びぃ~♪」  普段自転車で通う道を原付で通るのは何処か新鮮だった。普段は感じない風、普段はしないエンジン音、普段は嗅ぐことのない排ガスの臭い、それらが普段の単調な道に彩りを添えて呉れる。 そして秋らしい風景もまた一層と美しい垂れる稲穂はとても明るく輝いていて、街路樹は恋い焦がれたかの様に色を染めつつあった。学校に居る間に無免許で運転するのはこれが最初で最後。 そしてまた来年、大学に合格して余裕があれば部活に顔を出そう。その時はまた駄目な先輩として笑って今日の話をしよう。皆が楽しく過ごせると信じる今日の話を。    ……  学校近くにある公園に原付を停め、公衆トイレの個室で制服に着替える。運の良いことにこの公園は衛生的で臭わず、特に苦労はしなかった。ジーンズからスラックスに履き替え、上のポロシャツはワイシャツに。 『君とGo Tight! 正体不明の Show Time♪』  着替えが丁度済んだ頃に目覚めから2度目の着信音が鳴る。今度は梓だった。 「もしもし? どうした?」 「あ、先輩。今何処ですか?」 「ト・イ・レ」 「……あ、すみません! また後でかけ直します!」 「あー大丈夫大丈夫。着替えてただけだから。もう終わったし」 「そうですか。それはそうと先輩、早く来てください」 「何かトラブル?」 「何でもアンプにトラブルがあったそうで、分からないって……」 「んー、了解。も少しで付くから待ってなー」  私服を鞄に仕舞い込み、軽く伸びをする。 「……ふう。それでは赴こうか。我が戦場へ」 99 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:23:06.15 ID:iNlcN09z0  学校に到着してみれば既に12時近く。けいおん部のライブは確か14時だったはずだ。取り敢えずはトラブルを解消するために部室へと向かう。 「どうもー。ニコニコ借金払い、粗雑なAfter Service、手抜き工事の目次工業でーす」  軽いジョークを混ぜながらドアを開けると、そこにはムスっとした律と澪、苦笑いを浮かべる紬と梓。唯は見当たらない。 「遅い」 「遅いのもSpecial Serviceとなっておりまーす」 「グーで殴るよ?」 「OKOK落ち着こうか。それに女の子が角手なんてモノを装備しちゃいけないな。マジで危ないから。いや、ホントソレ痛いから」 「直せ。もう時間ないから火急的且つ速やかに修理しろ」 「……人にモノ頼む態度じゃないが、仕方ない。で、何が悪いんだ?」  状況把握の為に問題点を聞く。トラブルを解消する第一歩だ。 「音が出ないんだ。確かにこっちに持ってくるまでは平気だったハズなんだけどさ」 「音が出ないのな。ボリュームは確かめたか?」 「確かめた」 「接続は?」 「問題ない」 「コード断線してなかったか?」 「予備のコード使ったけど変化なし」 「唯のギターとかで音が出るか試したか?」 「それでも駄目」  問答法から得た情報を整理して問題点を割り出していく。澪のベースやコードに問題はなく、アンプそのものに問題がある。となれば内部の接触不良か。 「10分ほど掛かるが問題ないな?」 「ライブに間に合って、最後のリハーサル出来れば問題ないな」 「了解」  鞄に仕舞ってあるツールボックスからプラスドライバー、半田鏝と半田を出す。恐らく何かの拍子で中の銅線が外れただけのはずだ。応急処置としては問題ない筈だ。 101 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:37:01.51 ID:iNlcN09z0  アンプのカバーしているビスを取り外し、中身を取り出す。原因は予想通り銅線が一本外れていた。 「あー、ほらコレ。外れてるだろう?」  指で差して問題の部分を見せる。 「コレが外れてたのか……でもなんで?」 「付け方が甘かったか、長く使ってたかのどっちかじゃないかね?」 「ふーん」  修理が終わり、文化祭メインイベントとも言うべき我らがけいおん部のライブが数分後に迫った講堂の舞台袖。 「さて、儂から言う必要もないだろう? さわちゃんが付いてたんだ、問題もないさ」  最後のライブということもあって、緊張の色が中々取れない4人。とそれを感じ取ってオドオドとする小さな1人。流石に仕方ないと言えば仕方ない。 「泣いても笑っても最後のライブだ。思いっきり楽しんでこいよ。今までそのためにやってきたんだろ?」 「そうよ。目次君の言うように皆頑張ってね! もしも去年みたいなことになったら後日コスプレ大会するからね!」 「さわちゃん。そりゃ逆にプレッシャーになるだけ」 「あらら」  そんな小さなやり取りに『プッ』と吹き上げる唯。 「あははは! そうだよね、私たちこれで最後なんだもんね。女子高生として胸張って最後頑張ろう!」 「……だな」 「そうだよな」 「そうね」 「です!」  唯の一言でさっきまでの雰囲気は何処へやら。今はやる気に満ち満ちていた。 『次はけいおん部、放課後ティータイムによるバンド演奏です』 「さぁ行ってこい! お前らの思い出を歌ってこい!」 「「「「「行ってきます!!!!!」」」」」 …… ………… ……………… 文化祭が終わり、体育祭も何事もなく過ぎ、かといって儂は勉強することなく2学期の学期末を迎えていた。 102 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:45:38.16 ID:iNlcN09z0 12月 「えー、君たちの中にはこの冬休みが終わるとセンター試験が待っている人も居るでしょう。その人達はセンター試験に向けて是非とも頑張って下さい。また推薦等で内定した人達も勉強を怠らないように」  テンプレートにあるような言葉を受験生に渡し、解散となった教室。放課後行く宛もない自分はまたけいおん部へと足を向ける。  部室では既に挨拶をほぼ済ませていたようで、センターを受ける面々は参考書を片手にしていた。 「じゃ、また来年。良いお年を」 「ん、じゃあな」  受験勉強に忙しく、もう他人の事を構っている余裕が出てこないのだろうか。それとも……  それとも……  もう部活に興味はないのだろうか……? そして勉強することなく儂は新年を一人酒で迎えるのだった。 554 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/09/11(金) 21:01:08.37 ID:rDsSY67cO  年が明けてから三が日が過ぎた。嗚呼、数日も経てばセンター試験が待っている。儂は何をしただろうか? 否、何もしてはいない。何も努力していないことをしていたのだ。勉強、運動、部活、趣味、特技、生活、何もかもが中途半端……これでは単なる厨二病だ。  さて、そんな自分の事はどうでもいいとしよう。しかし気になるのはけいおん部の面々だ。雰囲気が鋭く、露骨になったのは去年別れてからだった。 澪は兎も角として、唯や律からさえもその雰囲気が滲み出ていた。 「……ふぅ」  机に投げ置かれていたスケッチブックを開く。  はらり……はらり……  紙が擦れる音と共に彼女達の姿が歪んだ構図で描かれていた。笑顔、泣き顔、寝顔……茶をする一コマ、演奏する一コマ。 それらが様々な画材や写真によってスケッチブックに切り取られていた。 「…………梓に電話しておくか……」 556 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/09/11(金) 21:25:08.98 ID:rDsSY67cO  さて、携帯電話は何処にうあっただろうか? 確か枕の脇にあったはずなのだが……あれ……?  落ち着け。KOOLになれ。まずすべき事は携帯電話に電話しよう。えー…… 「良い頃はよおはようさんっと」 『こちらはMUUダケドです。おかけになった電話は電波が届かねぇとこにあるか、携帯の充電すっかり忘れて電池切れになってる馬鹿だから後でかけ直せ』 「馬鹿でさーせん」  さて困ったことになった。携帯が見つからない以上は部屋を掃除しよう。勉強なんてする気は皆無なのだから、せめて掃除でもして、携帯を見つけて電話をしよう。  そして2時間程経った頃。携帯はベッドと壁の間から救出されたのだった。 「中野……中野……っと」  この電話があのようなことの引き金になるとはこの時は知る由も無かった。 55 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 00:21:19.16 ID:N0L7EALk0 『Trrr...Trrr... ガチャ。もしもし?』 「もしもし。梓、今大丈夫か?」 『えぇ、構わないです。どうかしました?』 「いや、そこまで真剣な事じゃないんだが、明日暇か?」 『明日っていうと5日です?』 「っと、カレンダーカレンダー……っと、そうだな。アレだ暇なら初詣にでも行かないか?」 『ふ、二人っきりですか!?』 「んー、梓次第だな。儂個人の意見無視して梓の我儘で良い」 『……そしたら、二人っきりで』 「あいよ。そしたら明日駅前に10時にな」 『はい。では明日』  ……こっちから初めて誘ったデート。になってしまった。いや、決して自分が嫌というわけではない。寧ろある意味じゃ先輩特権で無理矢理初詣に連れ出すと言っても過言ではないだろう。 「目次! 飯!」  親父様の呼ぶ声が聞こえる。この調子だと今日は店屋物だろう。 「あいよー。今行く」  衣紋掛けにかけてあるYシャツを羽織り、パソコンの前に置いてあるiPodをポケットに入れる。ヘッドホンを頭に着け、音楽を流す。懐かしい曲が流れる。 "急に泣き出した空に声を上げはしゃぐ無垢な子供達……"  さて、今日は何料理かな……  翌日、待ち合わせの時間5分前に行ってみれば、梓は既に待っていた。やはり女の子ということだろうか。何時になくその姿は艶かしく見えた。 「おはようさん。待たせて悪かった」 「いえ、こっちも来たばかりですから。問題ないです」 「んじゃ行くか」  駅から20分ほど歩けば武蔵国一宮氷川神社はそこにある。神池にかかる朱色の神橋、それを渡れば外界とは一線を画す橋と同じ朱色の楼門が目に入る。 「そういえば、氷川さんは初めてだっけか?」 「です。にしても凄く人が多いですね……」 70 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 01:34:55.29 ID:N0L7EALk0 「ま、この地域じゃ有名な神社だしな。元旦なんかこんなのよりもっと凄いぞ? 入場規制に座り込む人、最悪な時は喧嘩もあった位だ」 「今日はマシな方なんですね」 「夏休みとかだと閑古鳥鳴くほどだな」  苦笑い気味に笑う。にしても平年に比べると今日は多い。が、流石にこの時期に受験生が混ざっているはずもないので、同級生と会うことは少ないはずだ。はずだった。 「……あれ、目次君……それに梓ちゃん?」  居ないと思って来たのが失敗だったのだろうか。そこには推薦で入学が決まっていた紬がいたのだ。 「よー。そっちも初詣かー」 「うん。そっちは……お邪魔だったかしら?」 「どうだろうな?」 「……デートです」 「ん?」 「私は目次先輩と初詣デートに来たです!」 「あらあら、それじゃお邪魔ね。それじゃ私はお参り済ませたから新学期にまたね」 「あぁ、それじゃ」  紬と別れを告げ、楼門の中へと入る。その中は人が多く、とても凛とした静けさとまでは言えないものの、神気と表現すべきかは分らないが楼門の外と中とでは何かがやはり違っていることだけは分かった 「目次先輩、意地悪です……」  ふと、梓が呟く。顔を見れば唇が尖っていた。 「そんなに意地悪かねぇ?」 「意地悪ですよ。ワザとあんなこと言わせたに決まってるです」 「全く可愛い後輩だなぁ?」  意地悪に更に意地悪を重ねて言う。すると見る見ると顔が紅潮していくのが分かる。 「そんなこと言わないでくださいです!」 「フォッフォッフォ。そんなこたぁありゃせんよ」 「喋りが怪し過ぎるです!」 「フォッフォッフォ……」  きっと傍から見れば恋人同士に見えるだろう。梓自身もデートと意識しているからこその言葉だと思う。だからこそ、その表情が仕草が、笑っている表情を見せている自分さえも梓に対して申し訳ない気持ちだった。 「ごめんよ」 「全く、そういうところを直さないからクラスの人から煙たがられるんです!」 「ハハハ、すまんな。こればかりは直す気は全くないさ」 「……ま、それが先輩のいいところでもあるです」 77 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 02:09:36.29 ID:N0L7EALk0 「そうかい、そうかい。さて、賽銭済まして御神籤でも引こうじゃないか」  やり取りをしている間に賽銭ポイントにまで来ていた。賽銭する場所は祭事仕様として通常の賽銭箱ではなく、大きく枠が取られ、そこに白い布が敷かれている。また両端には酒樽や金一封と書かれたものもある。 「そういえば、梓。賽銭って何にしてる?」 「それは五円玉に決まってるです。【御縁(五円)があるように』っていうことでおばあちゃんから教えて貰ったです」  流石はおばあちゃんの知恵袋。ちょっとしたところで役立つ知識が満載だ。 「だな。確かに五円玉も良い。そしてもう一つお賽銭に向く金額ってのがあるんだよ」 「五円以外に?」 「そ。二十円のお賽銭は聞いた事はあるか?」 「知らないです」  その言葉を後押しするように横に首を振る梓。 「そかそか。なら、ちょっとした豆知識として覚えておくと良いさ。二十円には『二重(二十)に縁を』って意味が籠ってるのさ」 「へぇ……」  そう言って財布から出した十円玉二枚を握りしめる。 「先輩? 何やってるですか?」 「あー、ちょっと前どいてくれー」  軽く助走を付け握りしめた十円玉を一番奥の神棚目掛けて投げる。くすんだ赤銅色の物体二つは放物線を描く事無く、直線的に神棚へと飛翔。そして 『ガコン!』 「っしゃぁ! ガハッ」  二つの内の一枚が命中する。それと同時に肘打ちが脇に刺さる。 「何が『っしゃあ!』ですか! 罰当りすぎるです!」 「年に一度の運試しだ。これくらい良いじゃないか」  意気揚揚と梓の説教に答える。 「なーにーがー運試しですか! そんなの御神籤で良いじゃないですか」 「まぁまぁ、そう怒らずに賽銭しなって。そっちが入れなきゃこっちは頼み事出来ないじゃないか」 「……! それなら分かったです」 88 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 02:38:43.34 ID:N0L7EALk0 『チャリン』  下手投げで入れた五円玉は小気味良い音を立てた。続いて頼み事をするときは二礼二拍手一礼。これもまたおばあちゃんの知恵袋の一つだ。 『ス……ス……パンパン……スッ』  また、この面々が笑って集まる日が来ますように。そして皆が、何より儂自身に幸せであって、ついでに金は困らないほどに手に入って、裕福な暮らしが出来て、社会的権力も持てますように。自己中心的思考ここに極めり。 「さて、と。願い事は済んだか?」 「はい!」  願い事が何かは聞かない。聞くのは野暮というものだ。 「さて、御神籤引いて帰るとしよう」  賽銭ポイントから離れ、出口側にある御神籤箱へと行く。もちろんそこも黒山の人集りだ。が、少し待ては人は少なくなる。  御神籤といえば平均的に一回百円。勿論ここも同じだ。 「御神籤二つ」 「二百円になります」  自分と梓の分で計二百円。アルバイトだと思われる赤い袴の巫女が営業スマイルをこちらに向けている。が、その背後には何か黒く禍々しいものが垣間見えた。  箱に手を突っ込み、一本引く。まだこのままでは分からない。梓も隣の箱から一本引く。 「さて、ここだと邪魔だから外に出よう」 「ですね。あ、御神籤ありがとうございます」 「良いって、これくらいは先輩としてやらせておくれよ」  入口の楼門とは別の楼門から外に出る。神気とはこれでお別れだ。 「さて、今年の運勢は……っと」  糊付けを大雑把に剥がし、中を見る。『第三十七番 経津魂兆(ふつのみたまのうらかた)』、運勢は吉だ。 「ま、ボチボチかな。梓は?」 「えっと、ですね……」  糊付けを丁寧に剥がす梓。中には『第十六番 三貴子事似兆(みはしらのうづみこことよさすのうらかた)』、大吉だ。 「お、良かったじゃないか。年初めから幸先良いな」 「ありがとうございます。これは、何事も思うままに叶う……やった」 「これならけいおん部は安泰だな。いやー良かった良かった。さて結ぶか」  出口に設置されている結び場に御神籤を結び付ける。良いことは末永く、悪いことは消えるように。 「 108 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 03:22:58.88 ID:N0L7EALk0 「これで良し。さて帰ろうか」  結び付け終わり、行きと同じ道へと歩を向けた。その時だった。 「あ……あの!」  ……呼び止められた。 「先輩……あの!」  嗚呼そうか。やっぱりか…… 「……梓」 「……」  どうかそれ以上は言わないでくれないか。 「……」  周りには何故か人はいない。流れる時間はまるで止まっているかのように長い。 「先輩……」  染まる頬、潤んだ眼、震えた腕、脚。子猫を髣髴させるその姿。彼女の中に一体どれだけの希望と恐怖があるのだろうか。 「やっぱり……諦めきれません」  頼むから言わないでくれ。 「……!!」  梓に対して苦虫を噛み潰した様な歪んだ表情を見せてしまったのだろう。梓の表情には絶望の色が浮かんでいた。  静寂。それがこれ程までに静かで、また息苦しく感じるとは思わなかった。あぁ、本当に済まない。だから……  静寂を破るように梓の前へと歩み出す。その表情には絶望だけではなく恐怖すらも混じっていた。  儂はただ抱くことしか出来なかった。 「ごめんな。それしか言えない」 「良いんです……」    嗚咽を漏らし、ただしがみ付いて泣く梓。  なんでこうも世の中ってのは上手く回っては呉れないのだろうか。 125 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 04:33:42.40 ID:N0L7EALk0  それから数日が経って、無勉強に近い状態で挑んだセンター試験の結果は言うまでもなく。、私立にも冗談半分でやってみたもののものの見事に全滅。晴れて楽しい楽しい浪人生という名のNEETへの道を歩んでいた。 「私は国学院大学に受かったよ~」  最初の吉報は唯から。 「私と澪は青山学院に受かったよ!」  次は大穴と化していた律と安心オッズの澪から。そして合格祝いと儂に対する慰めということで部室でパーティーが開かれた。  ……それから1か月。卒業式。彼女達は涙を流して別れを惜しんだ。そんな帰り。 『国際経営学部 まだ間に合う!』  私立大学の広告。AO入試がまだ間に合うとそこにはあった。……最後にコレ行ってみようか。  それから五日後。エントリーシートと小論文課題を鞄に仕舞いAO入試の会場へと行く。しかし会場には自分以外誰も居らず、この時期に受けるのは異例に近く、今回の様な受験も今までなかったそうだ。 「で、君がこの学校を選んだ理由は?」 「夢を探すためです。新しい事を学ぶ以上にこの大学の風に当たり、自分自身を見つめなおしたいと思ったからです」 「なるほど。ではまだ明確な夢はないと?」 「はい。その明確な夢をここで見つけられたらと思います」 「……で、小論文にあるのは定額給付金についてだけど、時事問題に関してはこれはどうして書こうと思ったのかな?」 「それは、今現在、金のばら撒きではないかという問題、また今の定額給付金では日本国内で必ずしも撒かれた日本円が国内循環するとは限らないということについて書きたかったからです」 「というと?」 「その給付金には購入制限がないからですね。旧ソ連時代、ゴルバチョフが行ったペレストロイカの一貫の一つにバウチャーと呼ばれるものがあります。これは国から国民に金を給付政策です」 「それでは今の日本となんら変わりがないけども」 「そのバウチャーには購入制限が設けられていまして、株券の購入などが主な使用用途して定められていました。これが日本でも可能であればいいのですが、ここで一つ問題点が上がります」 「憲法だね?」 「仰る通りです。憲法では日本国民の自由権の一つに経済活動の自由が認められています。このためこのバウチャーと同じ制限が行えないのです」  そして1時間に亘る面接は終わり。 「……おめでとう」  面接官に面を向かって言われるとは思わなかった言葉だ。 「今日の午後に君の家に電話が改めていくだろう。これからこの大学で大いに頑張ってくれ。君のような高校生は今までに見たことがない、本当におめでとう」  たったの五日で大学に入学が決まってしまった。笑うしかなかった。面接官に分からないように心の中で。  そして、これが最後の楽になるのだろうか。 127 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 04:48:36.32 ID:N0L7EALk0  それからの数日は物凄く忙しかった。入学金のために銀行に行き、学費ローンを申請したり、高校に行って合格の報告と内申書を担任から奪い取ったりと兎にも角にも忙しかった。 「ということで、儂も大学に行くことになった。慰めてもらったのに悪かったな。アッハッハッハ!」 「全く、先輩は本当に嫌な性格です。もう二度とこんなチャンスはないですよ?」 「これだけ運に恵まれた人間はいないな全く。で、梓の方はどうだ?」 「問題ないです。何か色々と手助けしてくれる人も居て、部活は順調に進みそうです」 「そうか。なら、頑張ってくれよ。後、儂の事は忘れてくれよ」 「よ、余計な御世話です! それじゃ切りますかね!」 「あぁ、じゃあな」  通話を切り、携帯の電話帳からメンバーの電話番号を全て消す。 「さぁて、こっからが本番だ。頑張ろうぜ! 自分!」  その朝日はとても痛い位清々しく元気に見えた。 -Fin- --------------- 以下つまらないあとがき  ということで、なんというかグダグダ進行な上に何様視点モノローグSS「じゅけん!」如何だったでしょうか? 色々と面倒なところを端折って居るためストーリーに繋がりがなかったり、 文章が酷く滅茶苦茶だったりとしてWikiに色々とやってくださってる方々には本当に申し訳ないです。  そして何よりこんなあとがきまで読んで下さる読者様。本当にありがとうございます。もうこの際だから何か安価で実行しちゃっても良い位の勢いで感謝感激雨霰です。orz...    さて、ここで事実とSSのウソ、ホントについて書いておきます。  儂の所属はSS内ではけいおん部では高校時代は漫研でした。また梓とのやり取りですが、事実に基いて加筆修正削除しています。実際にはスクールライフ唯一のリア充はほんの数か月でした。  最後のAO入試の部分は本当に五日で合格決定しました。世の中本当に何があるか儂にも分からないモンです。  それでは次回のSSでまたこんなあとがきが書けたらいいなーと思って、今回はここで筆を置かせて貰います。  WikiのSS編集の皆さん。スレを見守って下さっている皆さん。本当にありがとうございました。 2009/09/13 目次 ◆INDEX/woDo
819 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 01:43:47.68 ID:6Y4y7c0O0 じゅけん! この物語は目次をオリジナルキャラとしてけいおん!の世界に組み込み『 受 験 に は 全 く 役 に 立 た な い 』SSです。 高校時代の実生活を元にしたフィクションであり、実在する団体、組織、個人とは一切関係ありません。 また、このSSを読んで実践した結果、例え『落選』しようが、『滑ろう』が、『内定取り消し』されようが一切の責任は負いません。 では、お楽しみください。  -じゅけん!- 4月  春。儂は惰性半分に高校3年になっていた。けいおん部に入り浸るものの、何もせず基本的には『バックアップ』として高校3年までやるつもりだ。そしてある日、パソコン部からゲーム製作の手伝いをして欲しいと申し出があり、 けいおん部に加え、パソコン部の手伝いもするようになっていた。  そんなある日。 「目次君って、大学何処にするの?」  話をかけてきたのは平沢唯。けいおん部のリードギター兼ボーカルで独特の感性を持った女の子だった。 「いや、決めてない。儂自身も大学なんてそもそも行く気自体が今もないしな」 「ふーん。でも大学行かないと就職とかって厳しいって聞くよ?」 「就職ねぇ……大学行くのはネームバリューとしてそのブランド欲しさに行くんだろ? だったら儂は資格とか免許とかそういうものを取って『何でも屋』にでもなった方がマシだな」 「そっか……」  後輩たちにも自分は大学に行くつもりは更々ないと言い、それを担任や顧問にも明言してきた。勿論まだ春の時点では『何処の大学に行こうか』なんてものも考えておらず、進路調査票にも『未定』としか書かなかった。 が、そんなものも長続きはせず、ある日のこと担任から呼び出された。 「目次。お前いい加減に進路を考えたらどうだ?」 「だから言ってるじゃないですか『大学に行くつもりはない』と。儂は資格や免許を取るのに1年費やして、それで就職します」 「それなんだよ。今の時代、大学卒業しないと厳しいって言ってるんだよ」 「大学卒業しても就職難の今に? 大学卒業よりも資格重視の現代社会だと言うのにですか?」  学校の本音がどういうものかは知っている。元より県内でも有名な公立進学校である以上、『難関大学に受からず、浪人』でもない限り無理にでも進学させたいのだ。それが見えていたからこそ儂は頑なにソレを拒んだ。 「話がそれだけなら、進路は未定じゃなくて『国公立大学希望』とでも書いておいてください。東大か埼大あたりでも」  儂は言い終えるとそのまま踵を返し職員室を後にする。 「せめて、本音を言えば納得をするというに」  職員室からけいおん部の部室に戻ると皆が練習していた。 「目次君どうだった?」 826 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 02:06:19.96 ID:6Y4y7c0O0  心配そうに声をかけてくる唯。そんな心配を払拭できるように薄ら笑いを浮かべる。 「どうだったも何も。何時も通りの事だよ。何を言おうと儂は考えを変えるつもりはないっての」 「とはいえ目次、本気で1年フリーターでやるつもりなの?」  今、声をかけてきたのは田井中律。元気に溢れた性格でこのけいおん部の部長だ。 「そうだよ。幾ら目次が良いって言ってもそこまで頑なに拒む必要もないだろ?」 「そうよ?」  律の質問に重ねて来たのが秋山澪そして、琴吹紬だ。彼女たちも同じくけいおん部でベース、キーボードを担当している。 「正直な話、追加で4年間も勉強することに何の意味があるんだって話。高校まで朝から夕まで勉強漬けにされた挙句に更に4年間も。しかも穴だらけのカリキュラムだぞ? なんの意味があるよ?」 「わ、私思うんですけど。その空いた時間に好きなことすれば……良いと思うんです。そうすれば大学で仲間も新しく出来たり、それに先輩にも彼女だって……」 「彼女? 要らん」  けいおん部の後輩で2ndギターの中野梓の意見を正面から否定する。 「なんでですか? 私が初めて目次先輩と会って告白したときだって断って……」 「「「「えぇ!?」」」」  部室内が戦慄する。 「え? 梓、目次に告白したの? え、一目惚れ?」 「どういうことなの目次君! あずにゃんみたいな可愛い子フるなんて! しかもこんなに今も気楽に話してるなんて頭おかしいんじゃない?」  梓が過去の事を言ってしまったがばかりに質問攻めを喰う羽目になってしまった。 「いや、儂の話も少しは聞いてく……」 「話を聞くも何もフっておきながら気安く話かけてるお前の頭が不思議でしかたないんだよ!?」 「だからだな……」 「先輩達! 落ち着いてください」  梓の一言で静まり返る。 「だからな、今の儂には彼女なんて身分不相応なんだよ。だから梓には悪いがフらせて貰ったってだけの話だよ」 「……身分不相応ねぇ……」 832 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 02:20:59.18 ID:6Y4y7c0O0 「そ、身分不相応。大体、儂がどういう生活してるか知ってるだろう?」 「どういう生活って……」 「オタク」  答えたのは律。 「万年徹夜」  答えたのは澪。 「努力をしないことを努力する生活」  答えたのは紬。 「能はあって爪を隠しても爪を磨かない」  答えたのは梓。 「何より、色々と勿体ない生活」  答えたのは唯。  容赦のない回答に全くその通りとしか言い様ががない。 「……まぁ間違っちゃいないし、否定するつもりも更々ないんで構わないが、もう少しポジティブな捉え方は出来ないのかお前らは」 「だって、目次君普段から何もしないじゃん。音楽聞いたり、漫画読んだり、ゲームしたりで。もう少しクラスの為に動くとかすれば良いのに」 「そんなことしたら儂が全部取り仕切らなきゃいかんだろ。面倒事は全部お偉いさんに任せて、儂は自由に生活するんだよ」  そんなことをいう儂だったが、高校1年の時にクラスの連中が前もって話を合わせていた様に男子から一同から推薦されてHR委員長にされたことがある。その時は半分仕方ないと思った反面で推薦したことを後悔させようとした。 まず基本的に委員長であるという事で君主政治のように基本的な方針や決め事は儂が決め、それに対して反論は基本させなかったり、またクラスの出し物についても女子と男子全員にメイドの格好をさせメイド喫茶を強行しようとしたが、 流石に担任が止めた為、学校初となるメイド喫茶は泡沫となった。 「流石にこればかりはどうしようもないって事かな」 「そゆこと」  ソファに倒れ込み、リュックサックの中から持ってきた解説本を読む。 「さて、練習始めようか。目次、聞いて貰える……って、何その緑色の本は……」 「 毒 草 大 百 科 」 「……突っ込まないでおく。まぁ何時も通りお願いね」 「あいよ」  ソファに寝転がりながらページを捲る儂を横に彼女達の演奏が始まる。 ………… 928 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/29(土) 09:22:01.01 ID:6Y4y7c0O0  ジャーン……  彼女達の演奏が終わり、唯が感想を求める。 「どうだった?」 「『どうだった?』と聞かれば『良かった』と返せるかな」 「そっか。なら悪かった?」 「悪くはない。が、強いて言うなら律が相変わらず。で、澪と梓も音がほんの少しズレてる。唯は自由すぎる」 「え? 音ズレてた?」 「あぁ、本当にほんの少しな。チューナーでもっかい計ってみ」  儂からの助言に彼女達はチューナーを取り付けて調音する。 「あ、3弦の音が若干高い……」 「こっちも6弦の音が若干低いです」 「な? 言った通りだろ?」  そんな感じで1年の新入りが入ることはなく5月を迎えるのだった。 5月へ続く。 269 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/08/30(日) 04:58:27.96 ID:u48bDgRnO 5月  中間試験を中旬に構え、新入生の真新しい制服の糊も幾らか取れて、体に馴染み始める頃。とうとうというべきだろうか。親が呼び出された。 「……ねぇ、目次。貴方、何で進路書かないの?」 担任を待つ生徒指導室の中で母親が話し掛けて来る。 「書かないも何も書けないんだよ」 「その歳にもなってまだなりたい職業もないの?」 「言ったって反対しかしないんだから、言うだけ無駄でしょ? だから書きたくても書けない」  そんな問答をしていると担任がやってくる。 「本日はお忙しい中、学校にお越しいただき有難うございます。今回は目次君の進路相談についてというこで、よろしくお願いします」 518 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/30(日) 23:57:21.84 ID:SK74RcuR0  在り来たりな社交辞令。どうせ心にも思ってないことを言ってるのだろう。寧ろ本音は『コイツがまともに書かないからこんなこと言わなきゃならないんだ』とでもだろうか。 「もう3年生になって1ヶ月以上経つのに『未定』のままなので、考えてないことはないと思うのですが、流石にこの場で少し考えてもらって方向性を決めてもらおうかと思いまして」 「それならば親を呼ぶ理由にはならないでしょう? 他にも理由があるんじゃないんですか?」 「……目次君。少し外で考えててくれる?」  担任に外に出すように促され、部屋の外に出る。と、そこには紬が来ていた 「練習は如何したよ? 紬」 「うーん、練習も練習でなんだけど流石に部員の一大事とあると困るから、少し様子見にね?」 「そうけ。まぁ今まで『未定』で出してただけの話なんだけどな。それを今更になってここまでやるとは思わなかったよ」 「まぁ、それだけこの学校で浮いてるからじゃないのかしら?」 「そりゃないよ。これだけの人数いるのにその中のたった一人にこんなにやるなんて正気の沙汰とは思えない行動」 「そう? ……ま、頑張って。部室で皆待ってるからね」 「出来るだけ早く終わらせるよ」  そして紬に別れを告げてから5分後。 「目次、入れ」  母親の眼前とでは全く違った態度の担任が儂を呼んだ。 「はいはい。先生様」  部屋に戻ると、こちらを睨む母親と机の上には紙が置いてあった。無論、進路調査票だ。それを見た儂は咄嗟に言った。 「進路なんですが、国立行きます」  そんなことを言ったものだから二人は驚いた。 521 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/08/31(月) 00:33:20.10 ID:LuFvtack0 「国立って、今から勉強してどうにかなるレベルじゃないこと位分かってるだろう?」  言われるまでもない。こんな時期から勉強したって合格出来るようならば予備校も塾も何も要らない。 「えぇ、普通に国立を目指せば今から勉強したって無理ですし、当然推薦取れるような成績でも僕はありませんしね」 「なら分かっててそんな世迷い事を?」 「ならもしも五教科七科目から三教科三科目まで国立のセンターが減らせるとしたら?」 「そんな事出来るわけないだろう」 「いや、有るんですよ実は。国立で一校だけですけどね。しかもこの埼玉県に」  ニヤリと笑いながら担任を見据える。 「埼玉大学? いやいや、そんな情報知らないぞ?」 「ちゃんと調べてみると良いですよ」 「センターだけで入る方法としてソレがありますから」 「それで、合格の見込みは?」 「努力次第でしょうね」  進路希望調査票に『国立埼玉大学』に書き込み、母親と共に部屋を後にする。 「母さん、何を言われた?」 「貴方の学校生活」 「そうけ。まぁ問題はないから大丈夫さね」  教室で分かれ、部室へと向かう。 「あー終わった」  ドアを開けるとそこには何もしない彼女達がいた。 51 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 01:36:09.35 ID:iNlcN09z0 「あれ? 練習してるんじゃなかったのか?」  てっきり練習をして休憩でもしているのかと思ってみれば、楽器のセットもせず、ただ椅子に座るだけの彼女達。 「練習するも何も仮にも部員が教師に親諸共呼び出されてるのよ? 心配で練習が手に付く筈もないでしょ?」  口を尖らせて言う澪。 「心配することでもないだろう? 高が教師に呼び出された程度の事じゃないか?」 「何処がだ。全く心配する身にもなってよ」  溜息を吐き、席を立つ澪。 「さぁ、練習練習。問題なく戻ってきたみたいだし、私たちの最後のライブも近い。此処で頑張らないと去年の二の舞よ!」  鶴の一声とまではいかないが、けいおん部の面々は自分たちの楽器をセットし始める。勿論、儂自身は何時も通り本を読んだりするだけなのだが。  そして、進路を決めた5月から早くも4か月が過ぎたる頃。 9月  夢。朦朧とした意識の中、携帯の着信音が聞こえる。起きなければ…… 「……今何時だか知ってる?」  部長の律だ。 「さぁ~何時でしょう?」 「時計はある?」 「……おはようクーヤ。今何時だい?」  …………あぁ、可愛いなクーヤは。 「で、目次君。何時だった?」 「……さぁ?」  既に10時が過ぎていた。因みに開祭式は8時30分から。 「『さぁ?』じゃないでしょ!? 文化祭だってのに遅刻!? しかも今まで寝てたなんて聞いたことない!」 「そりゃ儂ですから」 「これ以上神経逆撫でするような事を言って私に学校で殴られる前にさっさと準備して学校に来なさい」 「嫌です」 「殴るよ? グーで。しかも角手かメリケン用意しておくよ?」 53 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 02:20:34.28 ID:iNlcN09z0  流石に冗談が過ぎた。電話越しからでも怒りが伝わってくる程に声は低くなっていた。 「分かった分かった。今から行くからあと2時間ほど掛かる」 「確か自転車で45分だったよね最速記録」  何という地獄耳だろうか、そんな下らないことまで覚えているとは。 「そんなこと言ったっけか?」 「イッタヨ? ブシツデ」 「そうけ。まぁそれがどうしたって?」 「今からソレの新記録挑戦して貰える?」  嫌だと言えば確実に殺られる。 「OKOK。最高速でどれくらい出せるか分からないが頑張ろうじゃないか」 「分かったら速攻で来なさい」  電話を終えると、衣紋掛けにかけた制服を持ち、風呂場へと向かう。 「あー寝癖酷いな……使いたくはないがヘアアイロン使うか……」  所謂爆発パーマで、かなり凄惨な状態になっていた。取り敢えず霧吹きで髪の毛を濡らして櫛を入れる。 「あーもー引っかかるなぁ……」  櫛入れが終わったところで、ヘアアイロンで髪の毛をストレートにしていく。そして後ろで髪を束ねる。 「さて、行きますか……」 96 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 09:17:44.37 ID:iNlcN09z0  制服を鞄に詰め込み、ヘルメットを付ける。つまり服装は『私服』だったりする。時間的に誰も居ない家に鍵を掛け、弟が乗っている原付のエンジンを付ける。免許? そんなものは無い。無い状態で警察に厄介になると免許が暫く取れなくなったりするがー。まぁ大丈夫だろう。 「行くのは良いとして、何処に停めようか……」  まぁ公園の裏手にでも停めておけば何も問題はない。はず。多分。きっと。大丈夫だろう。うん……大丈夫だよな? 「Zoom-Zoom-Zoom 走る喜びぃ~♪」  普段自転車で通う道を原付で通るのは何処か新鮮だった。普段は感じない風、普段はしないエンジン音、普段は嗅ぐことのない排ガスの臭い、それらが普段の単調な道に彩りを添えて呉れる。 そして秋らしい風景もまた一層と美しい垂れる稲穂はとても明るく輝いていて、街路樹は恋い焦がれたかの様に色を染めつつあった。学校に居る間に無免許で運転するのはこれが最初で最後。 そしてまた来年、大学に合格して余裕があれば部活に顔を出そう。その時はまた駄目な先輩として笑って今日の話をしよう。皆が楽しく過ごせると信じる今日の話を。    ……  学校近くにある公園に原付を停め、公衆トイレの個室で制服に着替える。運の良いことにこの公園は衛生的で臭わず、特に苦労はしなかった。ジーンズからスラックスに履き替え、上のポロシャツはワイシャツに。 『君とGo Tight! 正体不明の Show Time♪』  着替えが丁度済んだ頃に目覚めから2度目の着信音が鳴る。今度は梓だった。 「もしもし? どうした?」 「あ、先輩。今何処ですか?」 「ト・イ・レ」 「……あ、すみません! また後でかけ直します!」 「あー大丈夫大丈夫。着替えてただけだから。もう終わったし」 「そうですか。それはそうと先輩、早く来てください」 「何かトラブル?」 「何でもアンプにトラブルがあったそうで、分からないって……」 「んー、了解。も少しで付くから待ってなー」  私服を鞄に仕舞い込み、軽く伸びをする。 「……ふう。それでは赴こうか。我が戦場へ」 99 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:23:06.15 ID:iNlcN09z0  学校に到着してみれば既に12時近く。けいおん部のライブは確か14時だったはずだ。取り敢えずはトラブルを解消するために部室へと向かう。 「どうもー。ニコニコ借金払い、粗雑なAfter Service、手抜き工事の目次工業でーす」  軽いジョークを混ぜながらドアを開けると、そこにはムスっとした律と澪、苦笑いを浮かべる紬と梓。唯は見当たらない。 「遅い」 「遅いのもSpecial Serviceとなっておりまーす」 「グーで殴るよ?」 「OKOK落ち着こうか。それに女の子が角手なんてモノを装備しちゃいけないな。マジで危ないから。いや、ホントソレ痛いから」 「直せ。もう時間ないから火急的且つ速やかに修理しろ」 「……人にモノ頼む態度じゃないが、仕方ない。で、何が悪いんだ?」  状況把握の為に問題点を聞く。トラブルを解消する第一歩だ。 「音が出ないんだ。確かにこっちに持ってくるまでは平気だったハズなんだけどさ」 「音が出ないのな。ボリュームは確かめたか?」 「確かめた」 「接続は?」 「問題ない」 「コード断線してなかったか?」 「予備のコード使ったけど変化なし」 「唯のギターとかで音が出るか試したか?」 「それでも駄目」  問答法から得た情報を整理して問題点を割り出していく。澪のベースやコードに問題はなく、アンプそのものに問題がある。となれば内部の接触不良か。 「10分ほど掛かるが問題ないな?」 「ライブに間に合って、最後のリハーサル出来れば問題ないな」 「了解」  鞄に仕舞ってあるツールボックスからプラスドライバー、半田鏝と半田を出す。恐らく何かの拍子で中の銅線が外れただけのはずだ。応急処置としては問題ない筈だ。 101 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:37:01.51 ID:iNlcN09z0  アンプのカバーしているビスを取り外し、中身を取り出す。原因は予想通り銅線が一本外れていた。 「あー、ほらコレ。外れてるだろう?」  指で差して問題の部分を見せる。 「コレが外れてたのか……でもなんで?」 「付け方が甘かったか、長く使ってたかのどっちかじゃないかね?」 「ふーん」  修理が終わり、文化祭メインイベントとも言うべき我らがけいおん部のライブが数分後に迫った講堂の舞台袖。 「さて、儂から言う必要もないだろう? さわちゃんが付いてたんだ、問題もないさ」  最後のライブということもあって、緊張の色が中々取れない4人。とそれを感じ取ってオドオドとする小さな1人。流石に仕方ないと言えば仕方ない。 「泣いても笑っても最後のライブだ。思いっきり楽しんでこいよ。今までそのためにやってきたんだろ?」 「そうよ。目次君の言うように皆頑張ってね! もしも去年みたいなことになったら後日コスプレ大会するからね!」 「さわちゃん。そりゃ逆にプレッシャーになるだけ」 「あらら」  そんな小さなやり取りに『プッ』と吹き上げる唯。 「あははは! そうだよね、私たちこれで最後なんだもんね。女子高生として胸張って最後頑張ろう!」 「……だな」 「そうだよな」 「そうね」 「です!」  唯の一言でさっきまでの雰囲気は何処へやら。今はやる気に満ち満ちていた。 『次はけいおん部、放課後ティータイムによるバンド演奏です』 「さぁ行ってこい! お前らの思い出を歌ってこい!」 「「「「「行ってきます!!!!!」」」」」 …… ………… ……………… 文化祭が終わり、体育祭も何事もなく過ぎ、かといって儂は勉強することなく2学期の学期末を迎えていた。 102 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/07(月) 11:45:38.16 ID:iNlcN09z0 12月 「えー、君たちの中にはこの冬休みが終わるとセンター試験が待っている人も居るでしょう。その人達はセンター試験に向けて是非とも頑張って下さい。また推薦等で内定した人達も勉強を怠らないように」  テンプレートにあるような言葉を受験生に渡し、解散となった教室。放課後行く宛もない自分はまたけいおん部へと足を向ける。  部室では既に挨拶をほぼ済ませていたようで、センターを受ける面々は参考書を片手にしていた。 「じゃ、また来年。良いお年を」 「ん、じゃあな」  受験勉強に忙しく、もう他人の事を構っている余裕が出てこないのだろうか。それとも……  それとも……  もう部活に興味はないのだろうか……? そして勉強することなく儂は新年を一人酒で迎えるのだった。 554 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/09/11(金) 21:01:08.37 ID:rDsSY67cO  年が明けてから三が日が過ぎた。嗚呼、数日も経てばセンター試験が待っている。儂は何をしただろうか? 否、何もしてはいない。何も努力していないことをしていたのだ。勉強、運動、部活、趣味、特技、生活、何もかもが中途半端……これでは単なる厨二病だ。  さて、そんな自分の事はどうでもいいとしよう。しかし気になるのはけいおん部の面々だ。雰囲気が鋭く、露骨になったのは去年別れてからだった。 澪は兎も角として、唯や律からさえもその雰囲気が滲み出ていた。 「……ふぅ」  机に投げ置かれていたスケッチブックを開く。  はらり……はらり……  紙が擦れる音と共に彼女達の姿が歪んだ構図で描かれていた。笑顔、泣き顔、寝顔……茶をする一コマ、演奏する一コマ。 それらが様々な画材や写真によってスケッチブックに切り取られていた。 「…………梓に電話しておくか……」 556 :目次@携帯 ◆index/9a7s :2009/09/11(金) 21:25:08.98 ID:rDsSY67cO  さて、携帯電話は何処にうあっただろうか? 確か枕の脇にあったはずなのだが……あれ……?  落ち着け。KOOLになれ。まずすべき事は携帯電話に電話しよう。えー…… 「良い頃はよおはようさんっと」 『こちらはMUUダケドです。おかけになった電話は電波が届かねぇとこにあるか、携帯の充電すっかり忘れて電池切れになってる馬鹿だから後でかけ直せ』 「馬鹿でさーせん」  さて困ったことになった。携帯が見つからない以上は部屋を掃除しよう。勉強なんてする気は皆無なのだから、せめて掃除でもして、携帯を見つけて電話をしよう。  そして2時間程経った頃。携帯はベッドと壁の間から救出されたのだった。 「中野……中野……っと」  この電話があのようなことの引き金になるとはこの時は知る由も無かった。 55 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 00:21:19.16 ID:N0L7EALk0 『Trrr...Trrr... ガチャ。もしもし?』 「もしもし。梓、今大丈夫か?」 『えぇ、構わないです。どうかしました?』 「いや、そこまで真剣な事じゃないんだが、明日暇か?」 『明日っていうと5日です?』 「っと、カレンダーカレンダー……っと、そうだな。アレだ暇なら初詣にでも行かないか?」 『ふ、二人っきりですか!?』 「んー、梓次第だな。儂個人の意見無視して梓の我儘で良い」 『……そしたら、二人っきりで』 「あいよ。そしたら明日駅前に10時にな」 『はい。では明日』  ……こっちから初めて誘ったデート。になってしまった。いや、決して自分が嫌というわけではない。寧ろある意味じゃ先輩特権で無理矢理初詣に連れ出すと言っても過言ではないだろう。 「目次! 飯!」  親父様の呼ぶ声が聞こえる。この調子だと今日は店屋物だろう。 「あいよー。今行く」  衣紋掛けにかけてあるYシャツを羽織り、パソコンの前に置いてあるiPodをポケットに入れる。ヘッドホンを頭に着け、音楽を流す。懐かしい曲が流れる。 "急に泣き出した空に声を上げはしゃぐ無垢な子供達……"  さて、今日は何料理かな……  翌日、待ち合わせの時間5分前に行ってみれば、梓は既に待っていた。やはり女の子ということだろうか。何時になくその姿は艶かしく見えた。 「おはようさん。待たせて悪かった」 「いえ、こっちも来たばかりですから。問題ないです」 「んじゃ行くか」  駅から20分ほど歩けば武蔵国一宮氷川神社はそこにある。神池にかかる朱色の神橋、それを渡れば外界とは一線を画す橋と同じ朱色の楼門が目に入る。 「そういえば、氷川さんは初めてだっけか?」 「です。にしても凄く人が多いですね……」 70 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 01:34:55.29 ID:N0L7EALk0 「ま、この地域じゃ有名な神社だしな。元旦なんかこんなのよりもっと凄いぞ? 入場規制に座り込む人、最悪な時は喧嘩もあった位だ」 「今日はマシな方なんですね」 「夏休みとかだと閑古鳥鳴くほどだな」  苦笑い気味に笑う。にしても平年に比べると今日は多い。が、流石にこの時期に受験生が混ざっているはずもないので、同級生と会うことは少ないはずだ。はずだった。 「……あれ、目次君……それに梓ちゃん?」  居ないと思って来たのが失敗だったのだろうか。そこには推薦で入学が決まっていた紬がいたのだ。 「よー。そっちも初詣かー」 「うん。そっちは……お邪魔だったかしら?」 「どうだろうな?」 「……デートです」 「ん?」 「私は目次先輩と初詣デートに来たです!」 「あらあら、それじゃお邪魔ね。それじゃ私はお参り済ませたから新学期にまたね」 「あぁ、それじゃ」  紬と別れを告げ、楼門の中へと入る。その中は人が多く、とても凛とした静けさとまでは言えないものの、神気と表現すべきかは分らないが楼門の外と中とでは何かがやはり違っていることだけは分かった 「目次先輩、意地悪です……」  ふと、梓が呟く。顔を見れば唇が尖っていた。 「そんなに意地悪かねぇ?」 「意地悪ですよ。ワザとあんなこと言わせたに決まってるです」 「全く可愛い後輩だなぁ?」  意地悪に更に意地悪を重ねて言う。すると見る見ると顔が紅潮していくのが分かる。 「そんなこと言わないでくださいです!」 「フォッフォッフォ。そんなこたぁありゃせんよ」 「喋りが怪し過ぎるです!」 「フォッフォッフォ……」  きっと傍から見れば恋人同士に見えるだろう。梓自身もデートと意識しているからこその言葉だと思う。だからこそ、その表情が仕草が、笑っている表情を見せている自分さえも梓に対して申し訳ない気持ちだった。 「ごめんよ」 「全く、そういうところを直さないからクラスの人から煙たがられるんです!」 「ハハハ、すまんな。こればかりは直す気は全くないさ」 「……ま、それが先輩のいいところでもあるです」 77 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 02:09:36.29 ID:N0L7EALk0 「そうかい、そうかい。さて、賽銭済まして御神籤でも引こうじゃないか」  やり取りをしている間に賽銭ポイントにまで来ていた。賽銭する場所は祭事仕様として通常の賽銭箱ではなく、大きく枠が取られ、そこに白い布が敷かれている。また両端には酒樽や金一封と書かれたものもある。 「そういえば、梓。賽銭って何にしてる?」 「それは五円玉に決まってるです。【御縁(五円)があるように』っていうことでおばあちゃんから教えて貰ったです」  流石はおばあちゃんの知恵袋。ちょっとしたところで役立つ知識が満載だ。 「だな。確かに五円玉も良い。そしてもう一つお賽銭に向く金額ってのがあるんだよ」 「五円以外に?」 「そ。二十円のお賽銭は聞いた事はあるか?」 「知らないです」  その言葉を後押しするように横に首を振る梓。 「そかそか。なら、ちょっとした豆知識として覚えておくと良いさ。二十円には『二重(二十)に縁を』って意味が籠ってるのさ」 「へぇ……」  そう言って財布から出した十円玉二枚を握りしめる。 「先輩? 何やってるですか?」 「あー、ちょっと前どいてくれー」  軽く助走を付け握りしめた十円玉を一番奥の神棚目掛けて投げる。くすんだ赤銅色の物体二つは放物線を描く事無く、直線的に神棚へと飛翔。そして 『ガコン!』 「っしゃぁ! ガハッ」  二つの内の一枚が命中する。それと同時に肘打ちが脇に刺さる。 「何が『っしゃあ!』ですか! 罰当りすぎるです!」 「年に一度の運試しだ。これくらい良いじゃないか」  意気揚揚と梓の説教に答える。 「なーにーがー運試しですか! そんなの御神籤で良いじゃないですか」 「まぁまぁ、そう怒らずに賽銭しなって。そっちが入れなきゃこっちは頼み事出来ないじゃないか」 「……! それなら分かったです」 88 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 02:38:43.34 ID:N0L7EALk0 『チャリン』  下手投げで入れた五円玉は小気味良い音を立てた。続いて頼み事をするときは二礼二拍手一礼。これもまたおばあちゃんの知恵袋の一つだ。 『ス……ス……パンパン……スッ』  また、この面々が笑って集まる日が来ますように。そして皆が、何より儂自身に幸せであって、ついでに金は困らないほどに手に入って、裕福な暮らしが出来て、社会的権力も持てますように。自己中心的思考ここに極めり。 「さて、と。願い事は済んだか?」 「はい!」  願い事が何かは聞かない。聞くのは野暮というものだ。 「さて、御神籤引いて帰るとしよう」  賽銭ポイントから離れ、出口側にある御神籤箱へと行く。もちろんそこも黒山の人集りだ。が、少し待ては人は少なくなる。  御神籤といえば平均的に一回百円。勿論ここも同じだ。 「御神籤二つ」 「二百円になります」  自分と梓の分で計二百円。アルバイトだと思われる赤い袴の巫女が営業スマイルをこちらに向けている。が、その背後には何か黒く禍々しいものが垣間見えた。  箱に手を突っ込み、一本引く。まだこのままでは分からない。梓も隣の箱から一本引く。 「さて、ここだと邪魔だから外に出よう」 「ですね。あ、御神籤ありがとうございます」 「良いって、これくらいは先輩としてやらせておくれよ」  入口の楼門とは別の楼門から外に出る。神気とはこれでお別れだ。 「さて、今年の運勢は……っと」  糊付けを大雑把に剥がし、中を見る。『第三十七番 経津魂兆(ふつのみたまのうらかた)』、運勢は吉だ。 「ま、ボチボチかな。梓は?」 「えっと、ですね……」  糊付けを丁寧に剥がす梓。中には『第十六番 三貴子事似兆(みはしらのうづみこことよさすのうらかた)』、大吉だ。 「お、良かったじゃないか。年初めから幸先良いな」 「ありがとうございます。これは、何事も思うままに叶う……やった」 「これならけいおん部は安泰だな。いやー良かった良かった。さて結ぶか」  出口に設置されている結び場に御神籤を結び付ける。良いことは末永く、悪いことは消えるように。 「 108 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 03:22:58.88 ID:N0L7EALk0 「これで良し。さて帰ろうか」  結び付け終わり、行きと同じ道へと歩を向けた。その時だった。 「あ……あの!」  ……呼び止められた。 「先輩……あの!」  嗚呼そうか。やっぱりか…… 「……梓」 「……」  どうかそれ以上は言わないでくれないか。 「……」  周りには何故か人はいない。流れる時間はまるで止まっているかのように長い。 「先輩……」  染まる頬、潤んだ眼、震えた腕、脚。子猫を髣髴させるその姿。彼女の中に一体どれだけの希望と恐怖があるのだろうか。 「やっぱり……諦めきれません」  頼むから言わないでくれ。 「……!!」  梓に対して苦虫を噛み潰した様な歪んだ表情を見せてしまったのだろう。梓の表情には絶望の色が浮かんでいた。  静寂。それがこれ程までに静かで、また息苦しく感じるとは思わなかった。あぁ、本当に済まない。だから……  静寂を破るように梓の前へと歩み出す。その表情には絶望だけではなく恐怖すらも混じっていた。  儂はただ抱くことしか出来なかった。 「ごめんな。それしか言えない」 「良いんです……」    嗚咽を漏らし、ただしがみ付いて泣く梓。  なんでこうも世の中ってのは上手く回っては呉れないのだろうか。 125 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 04:33:42.40 ID:N0L7EALk0  それから数日が経って、無勉強に近い状態で挑んだセンター試験の結果は言うまでもなく。、私立にも冗談半分でやってみたもののものの見事に全滅。晴れて楽しい楽しい浪人生という名のNEETへの道を歩んでいた。 「私は国学院大学に受かったよ~」  最初の吉報は唯から。 「私と澪は青山学院に受かったよ!」  次は大穴と化していた律と安心オッズの澪から。そして合格祝いと儂に対する慰めということで部室でパーティーが開かれた。  ……それから1か月。卒業式。彼女達は涙を流して別れを惜しんだ。そんな帰り。 『国際経営学部 まだ間に合う!』  私立大学の広告。AO入試がまだ間に合うとそこにはあった。……最後にコレ行ってみようか。  それから五日後。エントリーシートと小論文課題を鞄に仕舞いAO入試の会場へと行く。しかし会場には自分以外誰も居らず、この時期に受けるのは異例に近く、今回の様な受験も今までなかったそうだ。 「で、君がこの学校を選んだ理由は?」 「夢を探すためです。新しい事を学ぶ以上にこの大学の風に当たり、自分自身を見つめなおしたいと思ったからです」 「なるほど。ではまだ明確な夢はないと?」 「はい。その明確な夢をここで見つけられたらと思います」 「……で、小論文にあるのは定額給付金についてだけど、時事問題に関してはこれはどうして書こうと思ったのかな?」 「それは、今現在、金のばら撒きではないかという問題、また今の定額給付金では日本国内で必ずしも撒かれた日本円が国内循環するとは限らないということについて書きたかったからです」 「というと?」 「その給付金には購入制限がないからですね。旧ソ連時代、ゴルバチョフが行ったペレストロイカの一貫の一つにバウチャーと呼ばれるものがあります。これは国から国民に金を給付政策です」 「それでは今の日本となんら変わりがないけども」 「そのバウチャーには購入制限が設けられていまして、株券の購入などが主な使用用途して定められていました。これが日本でも可能であればいいのですが、ここで一つ問題点が上がります」 「憲法だね?」 「仰る通りです。憲法では日本国民の自由権の一つに経済活動の自由が認められています。このためこのバウチャーと同じ制限が行えないのです」  そして1時間に亘る面接は終わり。 「……おめでとう」  面接官に面を向かって言われるとは思わなかった言葉だ。 「今日の午後に君の家に電話が改めていくだろう。これからこの大学で大いに頑張ってくれ。君のような高校生は今までに見たことがない、本当におめでとう」  たったの五日で大学に入学が決まってしまった。笑うしかなかった。面接官に分からないように心の中で。  そして、これが最後の楽になるのだろうか。 127 :目次 ◆INDEX/woDo :2009/09/13(日) 04:48:36.32 ID:N0L7EALk0  それからの数日は物凄く忙しかった。入学金のために銀行に行き、学費ローンを申請したり、高校に行って合格の報告と内申書を担任から奪い取ったりと兎にも角にも忙しかった。 「ということで、儂も大学に行くことになった。慰めてもらったのに悪かったな。アッハッハッハ!」 「全く、先輩は本当に嫌な性格です。もう二度とこんなチャンスはないですよ?」 「これだけ運に恵まれた人間はいないな全く。で、梓の方はどうだ?」 「問題ないです。何か色々と手助けしてくれる人も居て、部活は順調に進みそうです」 「そうか。なら、頑張ってくれよ。後、儂の事は忘れてくれよ」 「よ、余計な御世話です! それじゃ切りますかね!」 「あぁ、じゃあな」  通話を切り、携帯の電話帳からメンバーの電話番号を全て消す。 「さぁて、こっからが本番だ。頑張ろうぜ! 自分!」  その朝日はとても痛い位清々しく元気に見えた。  -Fin- --------------- 以下つまらないあとがき  ということで、なんというかグダグダ進行な上に何様視点モノローグSS「じゅけん!」如何だったでしょうか? 色々と面倒なところを端折って居るためストーリーに繋がりがなかったり、 文章が酷く滅茶苦茶だったりとしてWikiに色々とやってくださってる方々には本当に申し訳ないです。  そして何よりこんなあとがきまで読んで下さる読者様。本当にありがとうございます。もうこの際だから何か安価で実行しちゃっても良い位の勢いで感謝感激雨霰です。orz...    さて、ここで事実とSSのウソ、ホントについて書いておきます。  儂の所属はSS内ではけいおん部では高校時代は漫研でした。また梓とのやり取りですが、事実に基いて加筆修正削除しています。実際にはスクールライフ唯一のリア充はほんの数か月でした。  最後のAO入試の部分は本当に五日で合格決定しました。世の中本当に何があるか儂にも分からないモンです。  それでは次回のSSでまたこんなあとがきが書けたらいいなーと思って、今回はここで筆を置かせて貰います。  WikiのSS編集の皆さん。スレを見守って下さっている皆さん。本当にありがとうございました。 2009/09/13 目次 ◆INDEX/woDo

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