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311 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 17:13:11.38 ID:+MG46Btp0 【ぽかん】 「のぉ~どかちゃんっ」 唯が両手を広げながら近づいてきた。 まただ、と思った瞬間、私は唯の腕の中にいた。 「く、苦しいよっ、唯」 私は唯の腕の中で精一杯の抵抗を試みる。 だが、唯は聞いてくれそうもない。 仕方ないか、いつものことだし。 313 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 17:15:15.18 ID:+MG46Btp0 だけど、さすがに息が出来なくなってきた。 薄れゆく意識の中で私は軽く生命の危機を感じ、少し荒げた。 「唯、苦しいって!」 力任せに唯の腕をふりほどいた。 はぁはぁ、と息を整えていると、ぽかんとした顔の唯が目に入ってきた。 私は何ともなしに唯に話しかけた。 「今のはちょっと苦しかったわよ。もうちょっとソフトに…」 私は途中で言葉を止めてしまった。 唯の視線が私の動きを止めた。 314 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 17:17:23.68 ID:+MG46Btp0 「何…?唯」 唯は口は開けたままで、目は私を見続けていた。 なんだか少し寒気がして、私は唯の方に近づいてみた。 「ごめん、怒った?」 「…………」 それでも唯は無言で私を見続ける。 その瞳は無垢とでも言えばいいのだろうか。 全くもって透き通っていた。 315 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 17:19:19.53 ID:+MG46Btp0 「ねぇ、唯ってば」 耐え切れなくなった私は、唯に抱きついた。 あぁ、私の方から唯に抱きつくなんて何年振りだろう。 自分から触れた、そのやわらかい腕に頬をすり付ける。 「許して…唯」 上目づかいで唯を見た。 だが、視線は正面を捕えていた。 316 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 17:29:23.99 ID:+MG46Btp0 「何、見てるの…?」 私は唯の腕から離れないようにしながら、唯の視線の先を追った。 そして私は納得した。 そこには、息を飲むほど美しい、夕焼けが広がっていたのだ。 空にまばらに広がっている雲は、それぞれ違う色で夕焼けを情熱的に、かつ抒情的に表していた。 私もまた、ぽかんと口を開けてその夕焼けを見ていた。 ふと、唯が口を動かした。 「綺麗だね、のどかちゃん」 「そうだね、唯」 Fin

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