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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1247988782/l50 788 :無自覚無意識1:2009/09/10(木) 12:44:41 ID:EC8L5ru1 「軽音部ってレズが流行ってるの?」  藪から棒にとんでもないことを言い出したのは親友のひとり、鈴木純だ。  今日は久し振りに純と憂と三人でお出かけしたんだけど、さっきまでの浮かれ気分は これで見事に吹っ飛んでしまった。  バーガーショップに入ってるときじゃなかったらもっともっと大変なことになってたよ。 人通りの激しい場所であんな発言しようものならどんな目に遭ったかわかったもんじゃない。  …まぁ、人数減っただけでレズ発言に反応した周りのお客さんから向けられる視線が 痛いのに変わりはないんだけどね。  しかもオレンジジュース飲んでるときだったから吹き出した拍子に鼻から逆流しかけたじゃない。  ぽかんとしたまま動かない私の様子に慌てたのか、純は「いや、女の子同士も素敵だと思うよ」と すぐにフォローを入れてくれた。いや、全然フォローになってないんだけど。  憂まで困ったように眉毛を八の字にしてるんだもん。そりゃ純もバツが悪いか。 「別に偏見とかじゃないよ。好きになったら周りなんか関係ないもんね」 「それはわかったけど…どうして急にそんな話になるの?」 「いや、さぁー…」  顔中に困惑を張り付けた純は「ちょっとねぇ…」と歯切れ悪く言いつつバッグから何枚かのCDを取り出した。  それは私たち放課後ティータイムのメンバーがソロで出したシングルだった。 さわ子先生のも含めて発売中のものは全部揃ってる。 (全員分買ってくれたんだぁ…)  胸がぽわっと温かくなる。  KYっぽかったりちょっとトラブルメーカーなとこもあるけど、実はすごく友達思いで優しい子。 純もやっぱり私の大好きな親友だ。   …まぁ、放課後ティータイムの関係者ってことで憂や和先輩にCDデビューのオファーがあったときは 「そっすか、私だけハブっすか」とか「諦めたら試合終了? 諦める以前に体育館にも入れて貰えんかったわ!」とか めちゃくちゃ荒れたけど(※後に「鈴木純の乱」として桜高の歩みにも掲載される学校占拠事件)。  駆け付けた機動隊すら一網打尽にした純の武勇伝はともかく… 「私たちのCDがどうかしたの?」 「秋山先輩と田井中先輩のCDなんだけどさ、B面の曲、続けて聴いてみてよ」 「どうでも良いけど今B面って言い方あんまりしないよね」 「う、うっさいなぁ。やめてよ、そのニヤけ顔…憂も噴き出すなぁっ」  嗚呼、やっぱり純も気付きましたか。お気付きになりましたか。  放課後ティータイムの、えと…ファンの人たちの中でも特に鍛えられた玄人はみんな純と同じことを言う。  澪先輩の「hello little girl」を聴いてから律先輩の「目指せハッピー100%」を聴くと 破壊力は倍率ドン! 更に倍だって。 789 :無自覚無意識2:2009/09/10(木) 12:45:38 ID:EC8L5ru1  うん、確かにね、澪先輩の遠回しな告白に律先輩が答えてるって風に聞こえるんだよね。 …答えてる風って言うか、実際、その通りなんだけど。  歌詞書いてるときからしてねぇ………  澪先輩、チラチラチラチラ律先輩のこと気にしてたし、先に出来上がった澪先輩の歌詞を見た律先輩、 一気に自分のを書き上げたんだよね。それで二人してロッカーん中に閉じこもって 「りつー」「みおー」の大連呼+衣擦れ音。  なんて言うかな、ムギ先輩の身にもなってあげてください! …って感じだった。 (※鼻からの出血性ショックでレスキューヘリを呼ぶ事態になった) 「律さんと澪さん、仲良しだよね~。私たちもあんな風になれたらいいね~」  憂は朗らかに笑うけど、あの二人の場合は友情とはちょっと次元が違うからなぁ。  とりあえず純の質問には、生暖かい薄ら笑いを返しておいた。純も私の言いたかったことに気付いてくれたらしく、 これまた生暖かい薄ら笑いで頷いている。 「こう言っちゃなんだけど、梓のも結構アレよね」  ところが純の話は桜高きってのバカップルだけでは終わらなかっ―――って、私ぃっ!? 「じゃ、「じゃじゃ馬way to go」は割と自信作だったんだけど…」 「そっちのじゃなくて。いや、曲はどっちもすごい良かったよ」 「うんうんっ! 私も毎日聴いてるよー」  そこまで言われたら照れちゃうけど…じゃあどこが引っ掛かったのかな。  確か純は「じゃじゃ馬way to go」じゃない方のがどうとか言ってたけど……… 「「私は私の道を行く」のことかな? あれがどうかしたの?」 「どうかも何も、あれって、そのぅ…憂のお姉さんにさ…」 「唯先輩に?」 「う、うん…平沢先輩へのラブソングだよね?」 「………………」  えーっと…このコは一体何を言い出すんだろう。  ラブソング? 誰が? 誰に?  B面(笑)が? 私が? 唯先輩宛てに? 「やだなぁ、純、それはとんだ誤解だよ。そんな風に受け取るなんて脳味噌腐ってるよ、爛れてるよ」 「人をゾンビみたいに言うなっ! …え? 違うの? 秋山先輩みたいに告白ソングじゃないの?」 「あれは軽音部のゆるゆるな空気にも負けずにギタリストの道を行きたいっていう私なりの決意表明ね」 「おぉー、そうだったのかー」  せっかくの決意表明をラブソングと間違われたのは心外だったけど、わかってもらえたからいいか。  そうですっ! 私、中野梓はあの曲に孤高のギタリストとして生きる決意を込めたのですっ! 「梓ちゃん、カッコいいよー」 「うん、梓らしいね、そう言うの」   えへへ…拍手喝采(って言っても憂と純のふたりだけど)貰っちゃって、なんか照れくさいな。 「でも、普段からそんなにゆるゆるなの? 前に憂と行ったときはそこまでゆるくなかったけど。 …コスプレはしてたけど」 「ちゃんと演奏もしてたもんね」 「抜き打ちで見学に来たらわかるよ。ゆるゆるって言うか……… 唯先輩ったら歌詞にしたようなことばっかりやってて全然練習しないんだから」 「………は?」 790 :無自覚無意識3:2009/09/10(木) 12:47:12 ID:EC8L5ru1   あ、あれれ…? 部活中のゆるゆるな状況を説明し始めた途端、 なぜだか純はビシッと固まってしまった。 「アズササンイマナンテオッシャイマシタ?」 「ん? だから唯先輩のスキンシップがあの曲のまんまだって」 「………………」 「あ、でも書いてないのもたくさんあるよ。代わり番こで膝枕したり、お菓子食べさせ合ったり―――」  いわゆるあずにゃん分補給ってやつだ。  ハグとかあ~んしてとか比較的ライトなやつは歌詞に使わせて貰ったけど、 さすがにむちゅちゅ~とか恥ずかしい系は無理だったなぁ。  そ、それにむちゅちゅ~とか日常茶飯時になってるなんて知られたら クールなギタリストのイメージが壊れちゃうし! 「そうそう! この間、「kagayake!girls」を五人編成で収録したんだけど、 そのときに唯先輩が私のことを梓って名前で呼ぶ箇所があったんだよ」  今までにリリースされたCDのバージョンだとメンバーの呼び掛けに私だけいなかったんだよね。  唯先輩に「あずさぁ!」って呼んで貰えたときはやっと仲間入りできたみたいで嬉しかったなぁ。 「それ以来、梓って呼び方が気に入っちゃったらしくて。一緒にいると梓、梓って呼んで来るんだ」 「え? でも昨日とか梓を迎えに教室来たときは普通にあだ名で呼んでたじゃん。あずにゃんって」 「それは本当に二人きりのとき限定の呼び方なんだよね、梓ちゃん」 「も、もう憂ったら言わないでよ~」 「先週うちに泊まったときなんか可愛かったんだよ~。 お姉ちゃんてば梓ちゃんにも自分のこと唯って呼び捨てにして欲しかったみたいでね」 「ちょ、ちょ、ちょっと待って! ストップ! もうどこから突っ込めばいいのかわかんないから!」  ど、どうしちゃったんだろ、純………。なんか顔真っ赤にして腕ぶんぶん振り回してるし。 「えーっと…梓、普通に平沢家にお泊まりしてるの?」 「あ、毎週じゃないよ。唯先輩が私の家に泊まることも多いし。大体一週ごとローテーションする感じかな」 「それでふたりきりになったら唯、梓って呼び合うんだよねっ」 「うぅ…やっぱり蒸し返されたぁ。だ、大体、憂もノックなしで部屋に入って来るなんて卑怯だよぉ」 「アワアワしてるお姉ちゃんと梓ちゃん、すっごく可愛かったよ~」  憂の不意打ちにも、「梓、梓」ってハグしてくる唯先輩にも困るけど、 なんだかんだ言って平沢家のお泊まりはクセになっちゃうんだよね。  憂の美味しいご飯は最高だし、集中して唯先輩とギターの練習もできるし。  逆に私の家だとあんまり集中出来ないかなぁ。ハグしたまま寝ちゃうこともあったりして全然練習にならないんだ。  うちの家族も唯先輩のこと大好きだし、リードしなきゃいけないはずの私が、 我が家ってことで油断しちゃうんだよねぇ。   ………お日様みたいな体温で抱き締められて、「あーずさ~」なんて囁かれたら無条件で力抜けちゃうし。  本当、人体は不思議だよ。 791 :無自覚無意識4:2009/09/10(木) 12:47:58 ID:EC8L5ru1 「一応、流れで聴くんだけどさ…一緒に寝てるなんてことはないよね?」 「………? えと、なにか変…かな?」 「………………」  あ、あれー……?純ってばなんか本格的に黙りこくっちゃったよ……なんだか肩ぷるぷるさせてるし。 (こ、これはもしや「鈴木純の乱」の再現!?)  途端に全身に緊張が走る。間違ない。これは機動隊二百人を再起不能にしたあの発作の前兆だ!  あのときは最終形態を復活させたさわ子先生が止めてくれたから良かったけど、 今は頼みの綱のさわ子先生もいない…! (ど、どうしよう…どうしたら……助けて……ゆ、唯っ……!)  命の危険を感じて身構えていたところ、フッと純の肩から力が抜けた。  よ、良かった…例の発作じゃなかったんだ。 「…つまり梓は平沢先輩との日常をそのまま歌詞にしちゃったと」 「ゆるゆるな空気の象徴みたいな感じにしてね」 「思ったままを書きなぐったと」 「そだよ。私なりの決意表明だもん」 「………………」  ニコニコニコニコとろけるような顔で笑う憂と対照的に純はなんだかお疲れのご様子だ。  一体、今日はどうしたんだろう―――と心配していたら、ビシッと指さされて言われてしまった。 「………まさに私は私の道を行くって感じね」 すばらしい作品をありがとう

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