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305 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:48:06.83 ID:HfBO7bWS0
【雪の中】
私が目を覚ました時、そこには唯先輩がいた。
「あれ、唯先輩。なんでこんなところに…」
「あっ、あずにゃん、大丈夫?」
唯先輩は私のおでこに手を当てて、熱が無いか確認しているみたいだった。
それにしても…ここは列車の中?
ガタゴトと音が聞こえる。
「心配したんだぞ。梓が突然ホームで倒れるから」
その声は…澪先輩?
段々と視界が明瞭になってきた。
どうやらここは、列車の中。
それも…夜行列車?窓の外は暗い。
唯先輩と澪先輩以外にも、律先輩やムギ先輩もいた。
だけど2人は寝ているようだった。
306 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:49:20.41 ID:HfBO7bWS0
「あの…私達どこへ向かってるんですか?」
私の言葉に、唯先輩は目を丸くした。
「あ、あずにゃんっ!ホントに覚えてないの?」
「は、はい…」
「そっか…」
澪先輩が、膝に置いて開いていた本をぱたんと閉じた。
「もう一寝りすれば思い出すさ。ほら、電気消すぞ?」
カチャっと音がして、とたんに周りが真っ暗になった。
私は再び、深い眠りの中に落ちて行った。
308 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:50:18.79 ID:HfBO7bWS0
再び私が目を覚ましたのは、辺りが明るくなった頃だった、
「あずにゃん、起きてっ」
唯先輩に揺り起こされた私は、窓の外を見た。
外は一面銀世界だった。
「ここは…?」
「ドイツだよ」
律先輩が、私の顔を覗き込みながらそう言った。
「えっ?ドイツ?」
「うそうそ、北海道だよっ」
「北海道?なんで北海道なんかに来てるんですか?」
律先輩は少し困った顔をした。
そして、困った顔のまま、私に言った。
「ホントに覚えてないのか?困ったなぁ」
どうやら私は、ここに来る理由を覚えていないらしい。
「ほら、もうすぐ着くから下りる準備しとけよ」
澪先輩はすっかり荷物をまとめていた。
309 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:51:26.63 ID:HfBO7bWS0
列車から降りると、一気に寒さが襲ってきた。
重ね着はしていたけど、ここまで寒いとは思わなかった。
白い吐息を出しながら、ムギ先輩は私達に言った。
「もうすぐバスが来るから、それまでの辛抱よ」
ムギ先輩の言うとおり、数分後にバスがやってきた。
私達が乗り込むと、バスはすぐに出発した。
バスはかなり古そうな雰囲気を醸し出していた。
なんて言うんだろ…こういうの。
昭和の香りっていうか…
「見てみてあずにゃんっ!雪だるまがあるよっ!」
嬉しそうに窓の外を指さす唯先輩。
確かに窓の外には沢山の雪だるまがいて、可愛らしくこちらを見ていた。
「終点です」
バスの運転手がそう言った。
ゆるやかな坂を登り終えて、バスは停まった。
310 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:52:57.86 ID:HfBO7bWS0
「わぁ~!おっきいねぇ!」
唯先輩は目の前にある巨大な建物を見上げていた。
それはホテルだった。
いや、旅館なのかな。
まぁどっちでもいいくらい大きかった。
「お待ちしていました、お嬢様」
旅館の人だろうか。
恭しくムギ先輩に頭を下げている。
「荷物はこちらでお持ちしますから、皆様は先に部屋へどうぞ」
私達は荷持つを預けると、そのまま部屋に向かった。
部屋は和室で、大きかった。
荷物を一通り置くと、私達は食事をするために下へ降りた。
すでに食事は用意されていて、他の客も沢山いた。
「よしっ!一杯食べるぞぉ」
律先輩はいつにもましてノリノリのようだ。
312 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 10:56:37.02 ID:HfBO7bWS0
私の記憶が途切れたのは、そこからだ。
再び目を覚ました時、私は暗い部屋にいた。
他の4人は誰もいない。
目の前には変なゆらゆらした棒みたいなのが立っていた。
おかしい、目の前の光景が歪んでいる。
それになんだか、気分がとてもよかった。
しばらくして、目の前にムギ先輩が現れた。
「どうかしら、梓ちゃん」
「えっ、どうって…」
私は座っていた椅子から立とうとした。
だが、すぐに体のバランスを崩してへたり込んでしまった。
314 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 11:04:09.36 ID:HfBO7bWS0
よく見ると、他の3人もここにいるみたいだ。
だけど、みんな変なうめき声を出していた。
「う~っ、うぐっ」
「唯先輩、律先輩、それに澪先輩…どうしちゃったんですか!?」
「ふふっ♪みんなこれを食べたのよっ」
そう言いながら、ムギ先輩は、私の目の前にたくあんを吊るしてきた。
「そ・し・て、あなたもよっ。梓ちゃん」
言い終わるか終わらないうちに、ムギ先輩はそのたくあんを自分の口に放り込んだ。
「もぐもぐっ…おいひいわぁ…」
だめだ…目がイっちゃってる…
早く、早くここから逃げなきゃ。
私はうまく動かない体を精一杯動かして、その場から離れようとする。
しかし、ムギ先輩の方が早かった。
「あーずさちゃーん」
ムギ先輩が私の上に覆いかぶさってきた。
「きゃあああああああああああ」
316 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/22(火) 11:07:32.65 ID:HfBO7bWS0
「だ、大丈夫?あずにゃん」
気がつくと、私は列車の中にいた。
突然大声をだしたので、みんなびっくりして私の方を見ている。
「あれ…ここは?」
「冬休み合宿のために、北海道に向かってる列車の中だ」
そう言いながら、澪先輩はパタンと読んでいた本を閉じた。
「ほら、もう一寝りすれば思い出すさ。電気消すぞ」
パチンと音がして、暗闇が目の前に広がった。
私は再び深い眠りの中に落ちて行った。
Fin