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212 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:32:27 ID:ezErVZOg 『憂、私結婚するんだ。』 ――えっ? 『今までありがとうね。じゃあ―。』 待ってよお姉ちゃん!!寂しいよ。行かないでよ。 お姉ちゃんは光の向こうへと消えてしまった―― 『行かないでよー!!!』 ……………………… ……………… ……… 「ぷはぁ!…夢か…」 私は夢を見ていた。原因は昨日見たレンタルしてきたDVDが原因だと思う。 私とお姉ちゃんは感動して泣いた。 ――それで夢に出てきたのか。 でも、いまは一緒だけど、そのうちお姉ちゃんと一緒にいられなくなるんだよね。 少し悲しかった。 「おはよー憂ー」 ここでお姉ちゃんのお目覚めだ。 「おはよーお姉ちゃん。」 いつもと変わりない笑顔で私に挨拶してくれる。とても優しい笑顔を。 ――ずっとお姉ちゃんと一緒にいれたらいいのに…。 215 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:37:01 ID:ezErVZOg 「「いただきまーす」」 いつも通りの二人での朝食。いつも通りの風景。そしていつも通りのお姉ちゃん。 この何気ない一日もこうして変わりなく過ぎていく。 ――そして、いつかは。 「憂ー?」 はっ!! 「な、何!?」 いけない、つい深く考え込んじゃった。お姉ちゃんが心配して 私を見てきた。 「なんか元気ないよ。どうしたの?」 ああ、お姉ちゃんに心配かけちゃいけない! 「なんでもないよ~。それより急がないと遅刻しちゃうよ。」 「うん…でもなにかあったら遠慮なく私に言ってね!」ニコッ 「うん…!」 ありがとう。でも言えないよ。お姉ちゃんに心配かけたくないし、 ――お姉ちゃんのことで悩んでるなんて言えないよ。 「それにしても憂は本当に料理とかうまいよね~」 そ、そうかな~//何かストレートに言われると少し照れる。 確かに料理に関しては自分でも少し自信があった。でも、褒められると照れるものである。 「憂はきっといいお嫁さんになれるね!」 そして、お姉ちゃんは―― 「わたしも憂みたいに頑張んなきゃな。いつかは憂と離れ離れになるしね。」 「……。」 216 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:38:17 ID:ezErVZOg そうだよね。いつかは私たちも離れ離れになっちゃうんだよね。 この時間もいつかは……思い出となるんだよね。 時計を見るとそろそろ学校の時間だった。 「お姉ちゃん、そろそろ急がないと遅刻しちゃうよ。」 「ああ!そうだった~えへへ。」 そして、いろいろ支度をして私たちは学校へ向かった。 「「いってきま~す」」 だれもいない家に挨拶をして、戸締りをして学校にむかった。 雲ひとつないきれいな秋空が広がっていた。 ―――学校 『わたしも憂みたいに頑張んなきゃな。』 『いつかは憂と離れ離れになるしね。』 いつか、か…。私もいつか結婚するのかな。ウエディングドレスを着て。 お姉ちゃんももう高3か……。もうすぐでどこかに行っちゃうのかな。 ――お姉ちゃん…さびしいな。私…。 「い……ってば……うい」 ん?何か聞こえる。ぼんやりと自分の世界に入っていた私。 梓「憂ってば!」 憂「はっ!梓ちゃん!?」 また深く考え込んじゃったみたい…私。 218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:43:46 ID:ezErVZOg 「どうしたの、ぼーっとして。」 「べ、別に何でもないよ~」 「そっか。具合悪いんだったら保健室いきなよ。憂はすぐ無理するし。」 無理をする、か…。 「うん。」 じゃあ、ちょっと無理して聞いてみるか。梓ちゃんに。 「ねえ梓ちゃん。」 「ん?なにー」 「お姉ちゃんって将来どんなお嫁さんになると思う?」 「えっ?」 やっぱりいきなりすぎたか…は、恥ずかしいよぅー// 梓ちゃんは少し驚いたような顔で私の顔を見てきた。確かにいきなり こんな話をされたらびっくりするよね…。 「そ、そうだな~……」 梓ちゃんがなんて答えるのかすごい気になった。なんか自分のことみたいにドキドキした。 ――梓ちゃんはお姉ちゃんをどう思ってるんだろう。 219 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:44:52 ID:ezErVZOg 「温かいお嫁さん…かな?」 「温かいお嫁さん?」 温かいお嫁さん?うーんちょっとよくわからない。 「唯先輩って家事とか苦手じゃん。ドジっ子だし、なんか危なっかしいし――。」 ああ、そんなにはっきりビシビシと……。さすがは梓ちゃんだ。グサグサと心に刺さる。 「でもね――」 いきなり、梓ちゃんは真顔になった。真剣なような、確信があるような。 そして心の中でなにかを決めたみたいに一人でうなずく。少し微笑んで。 「始めはダメダメでも、夫のために必死で頑張ると思う。 唯先輩は一途だから大好きな夫に喜んでもらいたい、 そのために好きだという純粋な思いからなんでもがんばると思うの。 唯先輩はまっすぐな人間だからね――。」 長々と梓ちゃんは、お姉ちゃんについて語ってくれた。 その語る梓ちゃんの顔はとても優しい顔だった。 「梓ちゃん……。」 220 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:46:11 ID:ezErVZOg そして梓ちゃんは少し目を細めて、 「唯先輩は幸せになると思うよ。その純粋な温かい心でね。」 「だって――」 ………。 「唯先輩だから――。」 「うん。そうだよね。」 長々とお姉ちゃんを語ってくれた梓ちゃん。何か嬉しかった。 でも、なんか寂しかった。 「梓ちゃん……。」 「うん?」 「ありがとうね。」 私は梓ちゃんにお礼をいった。自分が褒められたわけじゃないけど。 「憂がお礼言う必要はないような……」 「そうかなぁ。」 222 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:23:34 ID:ezErVZOg ――キーンコーンカーンコーン 授業を知らせるチャイムが鳴った。梓ちゃんが自分の席に 戻ろうとして立ち上がった瞬間―― 「まあ、今の話には特に深い意味は無いから。私が夫だったら 澪先輩みたいな人がいいかな~」 「そっか~」 梓ちゃんは私のほうも見ずにしゃべるとそのまま、席へと戻った。 私は梓ちゃんの後ろ姿を見つめながら 「ありがとう…」 と小さくつぶやいた。 ――本当に素直じゃないんだから。 でも、やっぱりさびしいな。あの笑顔がいつか夫にむけられていき 私とお姉ちゃんが離れ離れになるのか。やっぱり、元気には私は戻れなかった。 その日、わたしはずっとそのことばかり考えていた。 223 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:25:39 ID:ezErVZOg ――放課後 私は、家に帰宅する途中、あるものを見た。 「すごーい……。」 店に飾られたウエディングドレスだった。普段この店を気にして 見てなかったから、いつからウエディングドレスが飾られていたか分からなかった。 あまりの綺麗さに見とれる私。 『憂、似合う?』 『うん、すごく似合ってるよ。お姉ちゃん』 『ありがとう。いい式にしようね!』 『うん』 『憂……』 『いままでありがとうね…』 『うん…』 お姉ちゃん…。ウエディングドレスに見とれてこんな想像をしてしまった。 「お姉ちゃんのドレス姿、似合いそうだな…」 そして、店から離れ家に向かう。 空は私の心を表わすような少しさびしい一日の終わりを表わす 綺麗な夕焼けだった。 224 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:27:50 ID:ezErVZOg 「「いただきまーす」」 今日も二人での晩御飯。私と向かいにはいつものお姉ちゃん。 「でさー今日部活でりっちゃんが――」 部活の事など盛んに話す。このいつも通りのお姉ちゃんを見て 私は何かほっとした。 ――まだ、お姉ちゃんはわたしのそばにいる。 でも、これもいつか…… 「憂ー聞いてる?」 はっ! また、考え込んでた。お姉ちゃんがハの字眉毛にして 私を見ている。ああ、ダメだよ私、心配かけちゃ…。 「うん!聞いてるよ。お姉ちゃん。」 「そう……。」 私は、必死に笑顔で答えた。心配させたくなかったから。 「でも、律さんも意外な一面があるんだねー」 私はなるべく明るく振る舞った。 ――心配かけてごめんね。 「ねえ、憂。」 「なに?」 「あんまり無理しないでね」 「うん……。」 この晩の晩御飯の私は無理に明るく振る舞ってるわたしだった。 226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:30:56 ID:ezErVZOg ――自分の部屋 私はふとアルバムを見ていた。幼稚園、小学生、中学生と 過去の私とお姉ちゃんが写っていた。 ――ずっと小さい頃から一緒だったんだね。 「あっ、この写真。」 そこに写ってたのはクリスマスに撮った私とお姉ちゃんの写真。 私とお姉ちゃんが笑顔で写っていた。確か、私はお姉ちゃんに お願いごとをするといいって言われてホワイトクリスマスをお願いしたんだっけ? 『ういー!ういー!』 『ん?』 『はやく!はやくー』 『おねえちゃんまってー』 『ジャジャーン!!!』 『わーー//』 『ほわいとくりすますだよ~』 『?おねえちゃん、これ。」 『クッションのなかみ!』 『へへへ//』 …………… ……… … 227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:33:24 ID:ezErVZOg あの後、お姉ちゃん、確か怒られちゃったんだっけ。 へへ、でもすごく嬉しかったんだよ。お姉ちゃん。 私を喜ばせようとお姉ちゃんは昔からずっと……。 『唯先輩は幸せになると思うよ。その純粋な温かい心でね。』 ――お姉ちゃん……私やっぱりさびしいかも。 私はアルバムをそっと抱き締める。一緒に歩んできたお姉ちゃんの思い出とともに…。 「お姉ちゃん………」グスッ 鼻の奥がツーンとして涙が目から溢れてくる。1滴、2滴と――。 まだ一緒に居れなくなるわけじゃないのに、その日を、 いつかくるその日を想像して、涙が出てきた。あと何日、 何日過ごしたその日が来るんだろう。 「寂しいよー」ポロポロ 誰かに甘えたい。温もりが欲しい。 ――コンコン 「!!!」 ドアがノックされる。 「憂ー入るよー」 それはお姉ちゃんだった。 228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:35:59 ID:ezErVZOg 泣いてるとこ見られたら……。 「ちょっと待って」 私は必死に涙を拭く。そして呼吸を整えながら 「うん、いいよー」 ガチャ お姉ちゃんが私の部屋に入ってきた。 「ど、どうしたの?お姉ちゃん。」 珍しく真剣な顔をするお姉ちゃん。 「なんで今日元気なかったのかなーて思って。あと憂が 私とテレビ見ながら一緒にアイス食べないで、すぐ用事済ませて 部屋に戻っていっちゃうから心配になったの。」 「私を避けてない?」 「!!!」 だって、お姉ちゃんのことで悩んでたから。お姉ちゃんはこういうところは 本当にするどい。うん、意外に。 「私に言えないことなの?」 「えっ?」 お姉ちゃんの顔は真剣だ。 229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:37:49 ID:ezErVZOg 「憂、今泣いてたでしょ。」 「なんで、分かったの?」 「だって目が赤いし辛そうな顔してる。」 本当にこういうのには鋭い人だ。まあ約16年間も一緒にいれば…。 「よかったら私が相談に乗るよ?役に立つか分からないけどね。」 でも…相談に乗るのは…。心配かけたくないし。 こんなこと言っていいのかな。甘えていいのかな? ――でも、でも……。 『憂はすぐ無理するし』 梓ちゃんがそんなこと言ってたっけ?確か。じゃあ、今日は、 いや、たまには…甘えていいよね。 私のほうを優しく見つめるお姉ちゃん。でも、顔は真剣だった。 「お姉ちゃん……私、私ね――」 「うん。」 ゆっくり次の言葉を待つお姉ちゃん。 230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:40:13 ID:ezErVZOg 「昨日ね、レンタルしてきた映画見たよね。二人で…。」 「うん。」 一つ一つそれを打ち明けていく。 「それで、それでね、お姉ちゃんもいつか綺麗なドレスをきて、 私から離れていくのかなーって思って、この時間もいつか思い出になっちゃう のかなぁって思って。」 「…………。」 「そしたらね、なんかね…グスッ、寂しくな…なっちゃて…グスッ。ずっと、 ず…ずっとい、一緒にいたから、離れ離れになるお姉ちゃんをグスッ、想像してたら、 寂しくて…切なくて」ポロポロ 「うい………。」 涙が止まらなかった。お姉ちゃんがどんな反応をしているのか、何を思ってるのか、 考えることができなかった。自分の気持ちを伝えるだけで精いっぱいだった。 「ずっと一緒にい…いれないことくらい、わ…分かってるのに……。 ごめんねぇ…こ、こんなことでし、心配かけて…」グスッ 全てを話した。引かれたかもしれないと思った。でもお姉ちゃんはずっと、 黙って聞いていた。 ――聞いてくれてありがとうね。 「憂。」 何も言わず、お姉ちゃんがゆっくりと立ち上がった。 231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:42:55 ID:ezErVZOg 「ベランダに行こう?今日は星がきれいだよ。」 お姉ちゃんは部屋の電気を消して窓をあけて外に出る。 私も、お姉ちゃんの言う通りベランダに出た。 「きれいでしょ?ほら、こんなにお星様が広がってる。」 「うん。とってもきれい。」 星と月の光で照らされるお姉ちゃんの横顔は黄色くて、大人っぽく、 とてもきれいだった。神秘的だった。 「憂ー」 「なに?」 お姉ちゃんがベランダの段差に腰をかける。 「こっちにおいで。」 お姉ちゃんがとなりをたたきながら私を呼んだ。 「うん。」 そしてお姉ちゃんのとなりに座った。 「憂ー」ギュウ 「お、お姉ちゃん!?」 232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:45:21 ID:ezErVZOg お姉ちゃんが私の背中を思いっきり抱きしめた。 「そんなことで心配しなくていいんだよ。」ナデナデ 頭をなでながらゆっくり私を抱きしめる。とても温かかった。 「憂ももっと甘えていいんだよ。憂はいい子だからすぐ無理するし。」 「うん…ありがと。お姉ちゃん。」 とても気持ちが柔らかくなる。お姉ちゃんに包まれるこの心はとても気持ちよかった。 「ねえ、憂?」 「うん?」 「星ってすごい数だよね。何億個も何百億個も無限に数え切れないほど。 「うん。」 「お星様みたいに、地球にも数え切れないほどの人がいるよね。 私たちが会ったことのない人たちがたくさんいる。同じ日本でも、 違う言葉の通じない国でも会ったことのない人が数え切れないほどに この地球にはいるんだよね…」 お姉ちゃんは私を抱きつくのをやめて私のとなりに座り直し、 夜空を静かに見上げて言った。その横顔はとても神秘的で、 何回も見とれてしまう。 237 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:03:57 ID:ezErVZOg 星を見ながらお姉ちゃんは言う。 「それでね、私…不思議に思うんだ。」 静かに星を見ながらお姉ちゃんは微笑む。 「こんなにも数え切れない人がこの地球にいるのに、どうして、 どうして私たちは姉妹で生まれて来たんだろう、なんで広い地球で 私たちが出会えたんだろうって……」 「お、お姉ちゃん……。」 「それでね、私は憂と…ここいいる憂と姉妹になれたのは、運命だと 思ってるんだ。憂と巡り合えたこと、お母さん達が同じお腹で産んで くれたことすべてが。」 「うん………。」グスッ 不意に鼻の奥がまたツーンと来た…。 「だからね…私たちがいつか結婚してもね、私たちが姉妹だったことは 一生変わりない。会えなくなっても、遠くに離れてても、憂が私のこの地球で、 たった一人だけの妹には決して変わらない。」 「お姉ちゃん……」ポロポロ 「ずっと姉妹という関係で結ばれてる。一生。」 また、お姉ちゃんは私の頭をなで始める。 238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:07:14 ID:ezErVZOg 「だから、いつかその日が来ても、何も悲しまなくてもいいんだよ。 私は一生、憂のお姉ちゃんだから。神様にお礼を言わなきゃだね。」ナデナデ 「憂を私の姉妹にしてくれて、ありがとうございます。」 「そして“憂という自慢の優しい妹と姉妹になれて感謝しています”ってね。」ニコッ 涙線が崩壊した。 「お……グシュ、おねえちゃーーん!!」ポロポロ 私は勢いよくお姉ちゃんの胸に抱きつく。もう頭の中は空っぽで。 「憂はいい子だねーこんなダメなお姉ちゃんをこんなに考えてくれて。」ナデナデ 「私、私、お姉ちゃんとグスッ、姉妹でぇ、生まれてぎて良かっだ」ポロポロ 「うん、私も、私もだよーういー」 「もしぃ、もし結婚してもずっと、ずっとお姉ちゃんでいてねグスッ」 「もちろん、ずーっと、ずーっと憂は私の妹だよ」ギュウ~ 「うん…ありがとう。」 ――本当にありがとうね、お姉ちゃん! 239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:09:11 ID:ezErVZOg 私はしばらくお姉ちゃんの胸で泣いた。涙でぬらしてしまったが、 お姉ちゃんはずっと抱きしめて頭をなでていてくれた。 「ねえ、お姉ちゃん。」 優しく私を受け止めて頭をなでてくれるお姉ちゃん。 「なあに?」 「もう少し、もう少しこのままでいさせて」 「いいよ」ニコッ まだ、お姉ちゃんに抱きついていたい。温かくて優しい匂いとともに、 甘えていたい、温もりを感じていたい。 「甘えん坊の憂もかわいいねぇ~」 「もう//お姉ちゃんたら~」 「へへへ」 虫の声と満点の星空が広がるとても秋らしい、静かなよるだった。 「お姉ちゃん、あったかい……。」 ――そしてとっても気持ちのいい夜だった。 240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:11:39 ID:ezErVZOg ―――翌朝 昨日の夜のことで私はすっかり元気になった。なんかとても 体が軽くなった気がする。これも、お姉ちゃんのおかげだね。 「おまたせー」 そして昨日の夜に一人で誓った。お姉ちゃんが結婚をするとき、 私は精いっぱい笑顔で迎えようと。 ――ずっと私たちは姉妹だから。 「そろそろいこっか。憂ー」 「うん。」 ただ言いたいことがあった。 「お姉ちゃん。」 「なあにー。」 思いっきり気持ちを込めて―― 「大好きだよ!」 大好きな、大好きなお姉ちゃんに。 「私も大好きだよ憂。」 「へへ」 「そろそろ行こっかー。」 「「行ってきまーす。」」 外に出ると、今日もまたいつもと変わりない景色、 いつもと変わりない日常が待ってる。 横に並んで歩くお姉ちゃんを見た。いつもと変わらない。 いつかその日が、そのときが来るまで。ずっとお姉ちゃんの、 そばにいさせてね。 いつまでも、ずっと変わらないお姉ちゃんでいてね! fin すばらしい作品をありがとう
このSSは『【けいおん!】唯×憂スレ』というスレに投下されたものです http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1252737307/l50 212 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:32:27 ID:ezErVZOg 『憂、私結婚するんだ。』 ――えっ? 『今までありがとうね。じゃあ―。』 待ってよお姉ちゃん!!寂しいよ。行かないでよ。 お姉ちゃんは光の向こうへと消えてしまった―― 『行かないでよー!!!』 ……………………… ……………… ……… 「ぷはぁ!…夢か…」 私は夢を見ていた。原因は昨日見たレンタルしてきたDVDが原因だと思う。 私とお姉ちゃんは感動して泣いた。 ――それで夢に出てきたのか。 でも、いまは一緒だけど、そのうちお姉ちゃんと一緒にいられなくなるんだよね。 少し悲しかった。 「おはよー憂ー」 ここでお姉ちゃんのお目覚めだ。 「おはよーお姉ちゃん。」 いつもと変わりない笑顔で私に挨拶してくれる。とても優しい笑顔を。 ――ずっとお姉ちゃんと一緒にいれたらいいのに…。 215 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:37:01 ID:ezErVZOg 「「いただきまーす」」 いつも通りの二人での朝食。いつも通りの風景。そしていつも通りのお姉ちゃん。 この何気ない一日もこうして変わりなく過ぎていく。 ――そして、いつかは。 「憂ー?」 はっ!! 「な、何!?」 いけない、つい深く考え込んじゃった。お姉ちゃんが心配して 私を見てきた。 「なんか元気ないよ。どうしたの?」 ああ、お姉ちゃんに心配かけちゃいけない! 「なんでもないよ~。それより急がないと遅刻しちゃうよ。」 「うん…でもなにかあったら遠慮なく私に言ってね!」ニコッ 「うん…!」 ありがとう。でも言えないよ。お姉ちゃんに心配かけたくないし、 ――お姉ちゃんのことで悩んでるなんて言えないよ。 「それにしても憂は本当に料理とかうまいよね~」 そ、そうかな~//何かストレートに言われると少し照れる。 確かに料理に関しては自分でも少し自信があった。でも、褒められると照れるものである。 「憂はきっといいお嫁さんになれるね!」 そして、お姉ちゃんは―― 「わたしも憂みたいに頑張んなきゃな。いつかは憂と離れ離れになるしね。」 「……。」 216 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:38:17 ID:ezErVZOg そうだよね。いつかは私たちも離れ離れになっちゃうんだよね。 この時間もいつかは……思い出となるんだよね。 時計を見るとそろそろ学校の時間だった。 「お姉ちゃん、そろそろ急がないと遅刻しちゃうよ。」 「ああ!そうだった~えへへ。」 そして、いろいろ支度をして私たちは学校へ向かった。 「「いってきま~す」」 だれもいない家に挨拶をして、戸締りをして学校にむかった。 雲ひとつないきれいな秋空が広がっていた。 ―――学校 『わたしも憂みたいに頑張んなきゃな。』 『いつかは憂と離れ離れになるしね。』 いつか、か…。私もいつか結婚するのかな。ウエディングドレスを着て。 お姉ちゃんももう高3か……。もうすぐでどこかに行っちゃうのかな。 ――お姉ちゃん…さびしいな。私…。 「い……ってば……うい」 ん?何か聞こえる。ぼんやりと自分の世界に入っていた私。 梓「憂ってば!」 憂「はっ!梓ちゃん!?」 また深く考え込んじゃったみたい…私。 218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:43:46 ID:ezErVZOg 「どうしたの、ぼーっとして。」 「べ、別に何でもないよ~」 「そっか。具合悪いんだったら保健室いきなよ。憂はすぐ無理するし。」 無理をする、か…。 「うん。」 じゃあ、ちょっと無理して聞いてみるか。梓ちゃんに。 「ねえ梓ちゃん。」 「ん?なにー」 「お姉ちゃんって将来どんなお嫁さんになると思う?」 「えっ?」 やっぱりいきなりすぎたか…は、恥ずかしいよぅー// 梓ちゃんは少し驚いたような顔で私の顔を見てきた。確かにいきなり こんな話をされたらびっくりするよね…。 「そ、そうだな~……」 梓ちゃんがなんて答えるのかすごい気になった。なんか自分のことみたいにドキドキした。 ――梓ちゃんはお姉ちゃんをどう思ってるんだろう。 219 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:44:52 ID:ezErVZOg 「温かいお嫁さん…かな?」 「温かいお嫁さん?」 温かいお嫁さん?うーんちょっとよくわからない。 「唯先輩って家事とか苦手じゃん。ドジっ子だし、なんか危なっかしいし――。」 ああ、そんなにはっきりビシビシと……。さすがは梓ちゃんだ。グサグサと心に刺さる。 「でもね――」 いきなり、梓ちゃんは真顔になった。真剣なような、確信があるような。 そして心の中でなにかを決めたみたいに一人でうなずく。少し微笑んで。 「始めはダメダメでも、夫のために必死で頑張ると思う。 唯先輩は一途だから大好きな夫に喜んでもらいたい、 そのために好きだという純粋な思いからなんでもがんばると思うの。 唯先輩はまっすぐな人間だからね――。」 長々と梓ちゃんは、お姉ちゃんについて語ってくれた。 その語る梓ちゃんの顔はとても優しい顔だった。 「梓ちゃん……。」 220 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 00:46:11 ID:ezErVZOg そして梓ちゃんは少し目を細めて、 「唯先輩は幸せになると思うよ。その純粋な温かい心でね。」 「だって――」 ………。 「唯先輩だから――。」 「うん。そうだよね。」 長々とお姉ちゃんを語ってくれた梓ちゃん。何か嬉しかった。 でも、なんか寂しかった。 「梓ちゃん……。」 「うん?」 「ありがとうね。」 私は梓ちゃんにお礼をいった。自分が褒められたわけじゃないけど。 「憂がお礼言う必要はないような……」 「そうかなぁ。」 222 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:23:34 ID:ezErVZOg ――キーンコーンカーンコーン 授業を知らせるチャイムが鳴った。梓ちゃんが自分の席に 戻ろうとして立ち上がった瞬間―― 「まあ、今の話には特に深い意味は無いから。私が夫だったら 澪先輩みたいな人がいいかな~」 「そっか~」 梓ちゃんは私のほうも見ずにしゃべるとそのまま、席へと戻った。 私は梓ちゃんの後ろ姿を見つめながら 「ありがとう…」 と小さくつぶやいた。 ――本当に素直じゃないんだから。 でも、やっぱりさびしいな。あの笑顔がいつか夫にむけられていき 私とお姉ちゃんが離れ離れになるのか。やっぱり、元気には私は戻れなかった。 その日、わたしはずっとそのことばかり考えていた。 223 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:25:39 ID:ezErVZOg ――放課後 私は、家に帰宅する途中、あるものを見た。 「すごーい……。」 店に飾られたウエディングドレスだった。普段この店を気にして 見てなかったから、いつからウエディングドレスが飾られていたか分からなかった。 あまりの綺麗さに見とれる私。 『憂、似合う?』 『うん、すごく似合ってるよ。お姉ちゃん』 『ありがとう。いい式にしようね!』 『うん』 『憂……』 『いままでありがとうね…』 『うん…』 お姉ちゃん…。ウエディングドレスに見とれてこんな想像をしてしまった。 「お姉ちゃんのドレス姿、似合いそうだな…」 そして、店から離れ家に向かう。 空は私の心を表わすような少しさびしい一日の終わりを表わす 綺麗な夕焼けだった。 224 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:27:50 ID:ezErVZOg 「「いただきまーす」」 今日も二人での晩御飯。私と向かいにはいつものお姉ちゃん。 「でさー今日部活でりっちゃんが――」 部活の事など盛んに話す。このいつも通りのお姉ちゃんを見て 私は何かほっとした。 ――まだ、お姉ちゃんはわたしのそばにいる。 でも、これもいつか…… 「憂ー聞いてる?」 はっ! また、考え込んでた。お姉ちゃんがハの字眉毛にして 私を見ている。ああ、ダメだよ私、心配かけちゃ…。 「うん!聞いてるよ。お姉ちゃん。」 「そう……。」 私は、必死に笑顔で答えた。心配させたくなかったから。 「でも、律さんも意外な一面があるんだねー」 私はなるべく明るく振る舞った。 ――心配かけてごめんね。 「ねえ、憂。」 「なに?」 「あんまり無理しないでね」 「うん……。」 この晩の晩御飯の私は無理に明るく振る舞ってるわたしだった。 226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:30:56 ID:ezErVZOg ――自分の部屋 私はふとアルバムを見ていた。幼稚園、小学生、中学生と 過去の私とお姉ちゃんが写っていた。 ――ずっと小さい頃から一緒だったんだね。 「あっ、この写真。」 そこに写ってたのはクリスマスに撮った私とお姉ちゃんの写真。 私とお姉ちゃんが笑顔で写っていた。確か、私はお姉ちゃんに お願いごとをするといいって言われてホワイトクリスマスをお願いしたんだっけ? 『ういー!ういー!』 『ん?』 『はやく!はやくー』 『おねえちゃんまってー』 『ジャジャーン!!!』 『わーー//』 『ほわいとくりすますだよ~』 『?おねえちゃん、これ。」 『クッションのなかみ!』 『へへへ//』 …………… ……… … 227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:33:24 ID:ezErVZOg あの後、お姉ちゃん、確か怒られちゃったんだっけ。 へへ、でもすごく嬉しかったんだよ。お姉ちゃん。 私を喜ばせようとお姉ちゃんは昔からずっと……。 『唯先輩は幸せになると思うよ。その純粋な温かい心でね。』 ――お姉ちゃん……私やっぱりさびしいかも。 私はアルバムをそっと抱き締める。一緒に歩んできたお姉ちゃんの思い出とともに…。 「お姉ちゃん………」グスッ 鼻の奥がツーンとして涙が目から溢れてくる。1滴、2滴と――。 まだ一緒に居れなくなるわけじゃないのに、その日を、 いつかくるその日を想像して、涙が出てきた。あと何日、 何日過ごしたその日が来るんだろう。 「寂しいよー」ポロポロ 誰かに甘えたい。温もりが欲しい。 ――コンコン 「!!!」 ドアがノックされる。 「憂ー入るよー」 それはお姉ちゃんだった。 228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:35:59 ID:ezErVZOg 泣いてるとこ見られたら……。 「ちょっと待って」 私は必死に涙を拭く。そして呼吸を整えながら 「うん、いいよー」 ガチャ お姉ちゃんが私の部屋に入ってきた。 「ど、どうしたの?お姉ちゃん。」 珍しく真剣な顔をするお姉ちゃん。 「なんで今日元気なかったのかなーて思って。あと憂が 私とテレビ見ながら一緒にアイス食べないで、すぐ用事済ませて 部屋に戻っていっちゃうから心配になったの。」 「私を避けてない?」 「!!!」 だって、お姉ちゃんのことで悩んでたから。お姉ちゃんはこういうところは 本当にするどい。うん、意外に。 「私に言えないことなの?」 「えっ?」 お姉ちゃんの顔は真剣だ。 229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:37:49 ID:ezErVZOg 「憂、今泣いてたでしょ。」 「なんで、分かったの?」 「だって目が赤いし辛そうな顔してる。」 本当にこういうのには鋭い人だ。まあ約16年間も一緒にいれば…。 「よかったら私が相談に乗るよ?役に立つか分からないけどね。」 でも…相談に乗るのは…。心配かけたくないし。 こんなこと言っていいのかな。甘えていいのかな? ――でも、でも……。 『憂はすぐ無理するし』 梓ちゃんがそんなこと言ってたっけ?確か。じゃあ、今日は、 いや、たまには…甘えていいよね。 私のほうを優しく見つめるお姉ちゃん。でも、顔は真剣だった。 「お姉ちゃん……私、私ね――」 「うん。」 ゆっくり次の言葉を待つお姉ちゃん。 230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:40:13 ID:ezErVZOg 「昨日ね、レンタルしてきた映画見たよね。二人で…。」 「うん。」 一つ一つそれを打ち明けていく。 「それで、それでね、お姉ちゃんもいつか綺麗なドレスをきて、 私から離れていくのかなーって思って、この時間もいつか思い出になっちゃう のかなぁって思って。」 「…………。」 「そしたらね、なんかね…グスッ、寂しくな…なっちゃて…グスッ。ずっと、 ず…ずっとい、一緒にいたから、離れ離れになるお姉ちゃんをグスッ、想像してたら、 寂しくて…切なくて」ポロポロ 「うい………。」 涙が止まらなかった。お姉ちゃんがどんな反応をしているのか、何を思ってるのか、 考えることができなかった。自分の気持ちを伝えるだけで精いっぱいだった。 「ずっと一緒にい…いれないことくらい、わ…分かってるのに……。 ごめんねぇ…こ、こんなことでし、心配かけて…」グスッ 全てを話した。引かれたかもしれないと思った。でもお姉ちゃんはずっと、 黙って聞いていた。 ――聞いてくれてありがとうね。 「憂。」 何も言わず、お姉ちゃんがゆっくりと立ち上がった。 231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:42:55 ID:ezErVZOg 「ベランダに行こう?今日は星がきれいだよ。」 お姉ちゃんは部屋の電気を消して窓をあけて外に出る。 私も、お姉ちゃんの言う通りベランダに出た。 「きれいでしょ?ほら、こんなにお星様が広がってる。」 「うん。とってもきれい。」 星と月の光で照らされるお姉ちゃんの横顔は黄色くて、大人っぽく、 とてもきれいだった。神秘的だった。 「憂ー」 「なに?」 お姉ちゃんがベランダの段差に腰をかける。 「こっちにおいで。」 お姉ちゃんがとなりをたたきながら私を呼んだ。 「うん。」 そしてお姉ちゃんのとなりに座った。 「憂ー」ギュウ 「お、お姉ちゃん!?」 232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 01:45:21 ID:ezErVZOg お姉ちゃんが私の背中を思いっきり抱きしめた。 「そんなことで心配しなくていいんだよ。」ナデナデ 頭をなでながらゆっくり私を抱きしめる。とても温かかった。 「憂ももっと甘えていいんだよ。憂はいい子だからすぐ無理するし。」 「うん…ありがと。お姉ちゃん。」 とても気持ちが柔らかくなる。お姉ちゃんに包まれるこの心はとても気持ちよかった。 「ねえ、憂?」 「うん?」 「星ってすごい数だよね。何億個も何百億個も無限に数え切れないほど。 「うん。」 「お星様みたいに、地球にも数え切れないほどの人がいるよね。 私たちが会ったことのない人たちがたくさんいる。同じ日本でも、 違う言葉の通じない国でも会ったことのない人が数え切れないほどに この地球にはいるんだよね…」 お姉ちゃんは私を抱きつくのをやめて私のとなりに座り直し、 夜空を静かに見上げて言った。その横顔はとても神秘的で、 何回も見とれてしまう。 237 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:03:57 ID:ezErVZOg 星を見ながらお姉ちゃんは言う。 「それでね、私…不思議に思うんだ。」 静かに星を見ながらお姉ちゃんは微笑む。 「こんなにも数え切れない人がこの地球にいるのに、どうして、 どうして私たちは姉妹で生まれて来たんだろう、なんで広い地球で 私たちが出会えたんだろうって……」 「お、お姉ちゃん……。」 「それでね、私は憂と…ここいいる憂と姉妹になれたのは、運命だと 思ってるんだ。憂と巡り合えたこと、お母さん達が同じお腹で産んで くれたことすべてが。」 「うん………。」グスッ 不意に鼻の奥がまたツーンと来た…。 「だからね…私たちがいつか結婚してもね、私たちが姉妹だったことは 一生変わりない。会えなくなっても、遠くに離れてても、憂が私のこの地球で、 たった一人だけの妹には決して変わらない。」 「お姉ちゃん……」ポロポロ 「ずっと姉妹という関係で結ばれてる。一生。」 また、お姉ちゃんは私の頭をなで始める。 238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:07:14 ID:ezErVZOg 「だから、いつかその日が来ても、何も悲しまなくてもいいんだよ。 私は一生、憂のお姉ちゃんだから。神様にお礼を言わなきゃだね。」ナデナデ 「憂を私の姉妹にしてくれて、ありがとうございます。」 「そして“憂という自慢の優しい妹と姉妹になれて感謝しています”ってね。」ニコッ 涙線が崩壊した。 「お……グシュ、おねえちゃーーん!!」ポロポロ 私は勢いよくお姉ちゃんの胸に抱きつく。もう頭の中は空っぽで。 「憂はいい子だねーこんなダメなお姉ちゃんをこんなに考えてくれて。」ナデナデ 「私、私、お姉ちゃんとグスッ、姉妹でぇ、生まれてぎて良かっだ」ポロポロ 「うん、私も、私もだよーういー」 「もしぃ、もし結婚してもずっと、ずっとお姉ちゃんでいてねグスッ」 「もちろん、ずーっと、ずーっと憂は私の妹だよ」ギュウ~ 「うん…ありがとう。」 ――本当にありがとうね、お姉ちゃん! 239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:09:11 ID:ezErVZOg 私はしばらくお姉ちゃんの胸で泣いた。涙でぬらしてしまったが、 お姉ちゃんはずっと抱きしめて頭をなでていてくれた。 「ねえ、お姉ちゃん。」 優しく私を受け止めて頭をなでてくれるお姉ちゃん。 「なあに?」 「もう少し、もう少しこのままでいさせて」 「いいよ」ニコッ まだ、お姉ちゃんに抱きついていたい。温かくて優しい匂いとともに、 甘えていたい、温もりを感じていたい。 「甘えん坊の憂もかわいいねぇ~」 「もう//お姉ちゃんたら~」 「へへへ」 虫の声と満点の星空が広がるとても秋らしい、静かなよるだった。 「お姉ちゃん、あったかい……。」 ――そしてとっても気持ちのいい夜だった。 240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/24(木) 02:11:39 ID:ezErVZOg ―――翌朝 昨日の夜のことで私はすっかり元気になった。なんかとても 体が軽くなった気がする。これも、お姉ちゃんのおかげだね。 「おまたせー」 そして昨日の夜に一人で誓った。お姉ちゃんが結婚をするとき、 私は精いっぱい笑顔で迎えようと。 ――ずっと私たちは姉妹だから。 「そろそろいこっか。憂ー」 「うん。」 ただ言いたいことがあった。 「お姉ちゃん。」 「なあにー。」 思いっきり気持ちを込めて―― 「大好きだよ!」 大好きな、大好きなお姉ちゃんに。 「私も大好きだよ憂。」 「へへ」 「そろそろ行こっかー。」 「「行ってきまーす。」」 外に出ると、今日もまたいつもと変わりない景色、 いつもと変わりない日常が待ってる。 横に並んで歩くお姉ちゃんを見た。いつもと変わらない。 いつかその日が、そのときが来るまで。ずっとお姉ちゃんの、 そばにいさせてね。 いつまでも、ずっと変わらないお姉ちゃんでいてね! fin すばらしい作品をありがとう

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