「ゆいあず、クッキーネタ。 ID:TWgLytVJ」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 3』というスレに投下されたものです
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190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:12:14 ID:TWgLytVJ
「皆さん、クッキー食べませんか?」
放課後ティータイムの準備中、急にあずにゃんはそんなことを言う。
「クッキー?」
「あ……、ケーキじゃ不満だったかしら?」
「あ、そういうのじゃないですよ、ムギ先輩。ただ、私が自分で作ってみたってだけで……」
「手作り!?」
敏速に反応しましたは私、平沢唯、平沢唯です!!大事なことなので、二回言いました!!
「まぁ、おいしいかどうかは、わかりませんけど……」
「お前は、またそういう……。どれどれ」
ぱくっ、と出された弁当箱入り(なんで?)のクッキーをつまみましたのは、我らがりっちゃん隊長。
「ん!うま!ムギが出すお菓子よかうまいぞ!!」
「あらあら、本当。おいしいわ」
「うん。手作りクッキーって感じがして、私は好きだな」
続いて、ムギちゃん、澪ちゃんと続きます。
私は、なかなか食べれません。てか、クッキーに皆群がりすぎだよ。私入るとこないじゃん。おーい。
「で、なんで弁当箱に入ってるんだ?」
「あ、それは、入れ物が見つかんなかったので……。すいません」
ああ!その質問私がしようと思ってたのに!!りっちゃんひどい!!空気読め!!
「うっせぃ!」
「にしても、梓がお菓子を作れるとはなぁ」
「驚いたわ。こんなにおいしく作れるのなら、もっと早く持ってきてくれれば良かったのに」
「あ~……、いや。最近、興味持ったもので。調理実習の時間、憂達と作ったんですけど、これがなかなか楽しくて」
「憂ちゃんは、料理うまいもんなぁ」
「はい。それもあって、なんというか、悔しいというか……。で、私も頑張ってみようって。あ、誰かに自分の作ったもの食べてもらったのは、これが初めてなんですけど……」
その初めてを、私はまだ食べていません。
「唯、さっきからうるひゃいぞ」
「あー!!りっちゃん!!なんか静かだと思ったら、何口に思いっきり頬張ってんの!!返せ!あずにゃんの初めて返せーー!!」
「誤解を招くようなこと言うな!!」
「あうちっ!」
澪ちゃんに叩かれました。
最近思うけど、澪ちゃんなんか暴力的だよね。そっちのほうに目覚めちゃったとか?
「そうか。そんなに死にたいか」
すいませんでした。
「ま、まぁまぁ。唯先輩、クッキーなら、まだありますから」
「え~、ウソ。もうないじゃん。ほら、空だよ」
「そっちじゃなくて……」
パッ、と取りだしましたは同じような弁当箱。あ、でも色が違うや。
「一応、余分に作ってきたんです。まぁ、作りすぎもしましたが……」
パカッ、とあずにゃんが箱を開ける。と、さっき登場したクッキーたちは、四角ばっかだったのに対し、こちらはやけにハートが多い。
てゆうか、ハートばっか。なんで?
「あ、すいません。え~と、無意識?のうちにこうなっちゃって……」
「なんで疑問形?」
「う……、と、とにかく、食べてみてください!」
質問に 答えてくれても いいじゃない。……まぁ、いいか。いただきます。
はむっ もぐもぐ
…………なんだろうね。まず、バターがこう、ジュワンってなって、シャリン、が、ドーン!みたいな。そんでパンッてなって、ゴーン!がバキューン!で。
うん、そうだね。すごくおいしい。
「本当ですか!?」
パアア、という効果音が付いてきそうなほど良い笑顔。
「うん。憂が作るお菓子よりおいしいかも」
「そ、それは言い過ぎですよ!」
そんなことないのに。
「でも……、えへへ。嬉しいです。ありがとうございます」
あずにゃんは、本当に嬉しそうに、顔をにこにことさせている。
その顔に、つられて私もにこにこする。
191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:16:13 ID:TWgLytVJ
「……やっぱり、嬉しいものですね」
「うん?何が」
「えっ、あっ……」
しまった、と言うような顔。多分、無意識のうちに声に出していたのだろう。不意を突かれて、あずにゃんの顔に一瞬焦りが見える。
でも、すぐに意を決したように、
「ええと……、料理の話です」
「料理が、何?」
「あ~……。ええと、――……人に……りを……れるのは、…………って話……」
「んぅ?ごめん、聞こえなかった」
あずにゃんは、伏せ目がちなネコ目をキッとこちらに向けて、
「好きな人に、自分が作った料理を『おいしい』って言われるのは、嬉しいって話ですよ!!」
声が、部室中に響く。
その声が、あずにゃんの耳にも届いたのか、急に顔を真っ赤にした。かわいい。
「す……、すいません。あの……、」
「あずにゃん」
なるべく、優しい声で、私の気持ちを伝える。
「すごくおいしかった。また作ってね」
なるべく、優しい笑顔で、あずにゃんに笑いかける。
あずにゃんは、一瞬驚いて、何か言おうとしたけれど、やっぱり諦めたのか、苦笑して、
「……気が向いたら、作ってあげますよ」
そう言うあずにゃんの顔は、私以上に優しい笑顔だったと思う。
しばらく、微笑み合っていると、あることに気付いた。
「あれ?りっちゃん達は?」
「え?……あれ?そういえば、どこに行ったんでしょう?おかしいなぁ……」
「……まぁ、いいや。先に二人でティータイムにしよう。あ、もうしたか」
目の前にある、愛情たっぷりクッキーを見て気づく。
今思うと、これは、私“だけ”のために作ってくれたのかも。少なくとも、このハート型クッキーは。
なんでって?そりゃあ……、ハートだからに決まってるじゃん!!
「……じゃあ、第二幕、ということで」
「ふふふ、そうだね。あ、私お茶出すよ~」
「えっ、あっ、ゆ、唯先輩はだめです!私がやりますから!」
「え~なんで~」
「じゃあ、お茶を蒸す時間とか、分かりますか?」
「……あずにゃん先輩、お願いします」
そう言って、また私たちは笑い合った。
ハート型クッキーを、間に添えて。
――部室前、廊下――
「まいったな。カンッペキに出るタイミング逃したぞ」
「一時間ぐらい、どこかの喫茶店にでも行くか?」
「またか……。もう勘弁してくれよ。私は部長だぞー!部長が空気読んだために部室入れないってなんだー!!」
「落ち着け、律。唯たちに聞こえる」
「しかも、その唯に空気読めとか言われたし!!なんなのあいつ!?CD売れたからって調子乗ってんの!?」
「律、リアル(二次元)とドリーム(三次元)を混合させるな」
「ちくしょー!おい、ムギ!お前も悔し……」
「あっ!待って!今服擦れる音した!静かに!!」
「いや、何言ってんのあんた」
「てゆうか、何を想像してるんだ?」
「あああ、しまった。ビデオカメラ(手のひらサイズ)を持ってくるの忘れたわ……。あっ!携帯って録画もできるのよね!?確かここに……、あっ!?しまったわ!携帯、カバンの中だし、カバンも部室の中だわ!!ああ~どうしましょう二人とも~!!」
「いや、私らに振られても」
「……律、駅前のバイキング、今ケーキ特集やってるらしいぞ。どうだ?」
「ああ、いいね、澪。今日はやけケーキの気分だ。付き合うぜ」
「ああ~、部室にカメラでも付けていればよかったわ……」
「はぁ……。ほら、ムギも行くぞ。やけケーキ」
「カメラ~」
「「((ムギの場合、ホントにやりそうで怖いな……))」」
おわり
すばらしい作品をありがとう