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12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:02:08.52 ID:Vy9DNFvc0  こんにちは、中野梓です。長い夏休みもあとちょっとでおしまいです。  そんな今日は夏休み最後の部活。明日からは宿題の片付けをするそうです。とは言っても宿題が終わってないのは律先輩と唯先輩だけで、しかも二人は澪先輩やムギ先輩を頼りにしているみたい。呆れちゃいますまったく。 「あ、梓ちゃんだー!」  私がいつもの通学路を歩いていると後ろから声をかけられた。その声は平沢憂、唯先輩の妹。 「憂珍しいね、学校に用事あるの?」  憂は部活に入ってないので夏休みは学校に行く用事がないはず。どうしてかなと思っていると、 「うん、お姉ちゃんがお弁当忘れちゃったから届けに行くの!」  そう言いながら手提げ鞄の中身を見せてくれた。まったくあの人は。憂から唯先輩のおっちょこちょい話を聞きつつとことこ歩いていると校門前に憂のお目当ての人物がいた。 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:08:52.42 ID:Vy9DNFvc0  そんな憂の姉、唯先輩は私の知らない人と話をしている。クラスの友達なのかな……それにしても、 「わぁ~凄い綺麗な人だね~」  憂も私と同じ感想を持ったみたい。唯先輩と話している女の人はとても美人だ。  二重のぱっちりした大きな目、カチューシャを付けてはいるけど律先輩のようにおでこは見せずに前髪を下ろし、肩口くらいの長さに揃えた後ろ髪がサラサラと夏の風にそよいでいる。  スタイルも良くきっと性格も活発で元気な人なんだろうと思った。男の子にモテそうだなー。 「憂にあずにゃんだぁ。おはよー」  私と憂に気が付いた唯先輩はその美人さんとの会話を中断して私たちに挨拶してくれた。 「あ、おはようございます。じゃあ憂、私準備とかあるから音楽室行くね。暇なら部活見てってね」 「あ、うん! ありがとう梓ちゃん!」  私は唯先輩に先に行ってますと告げ、さらに美人さんを一瞥、そのまま校舎の方へ向かって行った。ほどなくして後ろから、 「あ憂!! めずらしーこんなところで!!」 「純ちゃん!! おはよーー!」  クラスメイトである鈴木純の声が聞こえてきた。あの子も何か用事あるのかな。だけど私は急いでいたので先輩達の集団へ戻ることなく先へ向かっていった。 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:18:42.22 ID:Vy9DNFvc0 はるおん!第三部 『中野梓の憂鬱』 律「あーたりー、暑いし練習はほどほどにしとこうぜー」 澪「律!今日が最後なんだから最後ぐらいちゃんとやるぞ!」 律「えー」 澪「ふざけたら宿題手伝ってあげないぞ」 律「あ!きたねー!!」 梓「そもそも見せてもらえるだけありがたいと思うべきなんじゃないですか…」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:20:25.73 ID:Vy9DNFvc0 紬「うふふ、でも丁度いい時間だしお昼休憩にしない?」 澪「ムギまで…ったく。1時間休憩したらすぐ練習するからな!」 律「よっしゃー!んじゃ澪ーコンビニ一緒に行こうぜー!」 澪「私はお弁当があるかr 律「つれないこと言うなよ~」 澪「ちょ!引っ張るな!!」 ずるずる… 紬「相変わらず仲良しね~♪」 唯「本当だね~」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:23:29.22 ID:Vy9DNFvc0 梓「じゃあ澪先輩たちが帰ってきたらお昼にしましょう」 紬「そうね!」 唯「うん、そうしよう!」 梓「そういえば唯先輩、朝話していた人ってクラスメイトの方ですか?」 唯「ほえ?涼宮さんのこと?ううん違うよ。涼宮さんは北高だよ。去年の文化祭で色々あって知り合いになったんだ!今日はたまたま会ってね!」 梓「そうなんですか。他の学校の人とも関わりがあるなんて意外に顔広いんですね」 唯「意外にってあずにゃんひどい」 梓「あ、すみません先輩そんなつもりじゃ…」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:25:55.54 ID:Vy9DNFvc0 ガチャ 憂「こんにちはー」 紬「あら憂ちゃん、こんにちは」 憂「今お昼休憩中ですか?」 紬「そうよ♪」 唯「憂どうしたの?」 憂「えへへ、特に用はないんだけどちょっと覗きにきたんだ」 梓「憂もまだ学校にいたんだ」 憂「うん!純ちゃんと図書室で自習してたんだ!じゃあお昼食べた後また来ようかな」 紬「お菓子用意して待ってるわね★」 憂「わーありがとうございます!それじゃあお姉ちゃん梓ちゃん、またね!」 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:31:13.14 ID:Vy9DNFvc0 ガチャ 律「お、憂ちゃん」 憂「あ、律さんに澪さん、お疲れ様です。また後でお伺いしますね」 唯「あ!帰ってきた!!ご飯にしよー!私お腹空いちゃった~!!」 澪「そうだな」 律「ったくよー、どうしてミックスサンドが売り切れなんだよー」 紬「あらあら…残念ねりっちゃん」 律「まーいーや。さってと、豚丼豚丼っと!」 唯「あ!おいしそー」 律「あげないからなー」 唯「う…まっまだ何も言ってないのに…」 そして午後は憂や純も顔を出し、賑やかなひと時を過ごす一行であった。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:34:17.30 ID:Vy9DNFvc0 部活動後、1年生トリオが一緒に帰る。 純「軽音部の人たち、意外とまともな人が多いんだね…知らなかった」 憂「あはは…まあ最初のインパクトが強かったもんね」 梓「疲れることも多いけどそれなりに楽しいよ」 純「ふーん……」 じー 梓「…何?」 純「え?あ!ごめんごめん!なんでもないんだ!うん…じゃ、じゃあ私こっちだからまた二学期学校でね!!」 憂「うん!バイバイ純ちゃん!!」 梓「またねー」 純「あ…うっ…うん…」 純はその場から逃げるように駆け出していった 梓「どうしたんだろう急に走り出して」 憂「うーん…スーパーのタイムセールを思い出したとか?」 梓「あはは、それはあっても憂だけじゃないかなあ…」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:37:34.16 ID:Vy9DNFvc0  なるほどね。確かに鈴木さんとハルヒが接触したのはこの日の朝だけのようだし間違いなさそうだ。  俺は今、平沢さんが中野さんから伝え聞いたおかしな話を聞いている。 「それでねキョン君。あずにゃんは思えばこの時から変だったのかもって言ってたの。二学期に入ってからはそれがますます出てきたんだって」  それ……とはなんであるか、この先の平沢さんが語る中野さんの話を聞いていただけばわかることである。  二学期が始まって以降、鈴木さんは中野さんに対して不審な行動を繰り返すようになっていたそうだ。そんなある日―― 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:38:56.07 ID:Vy9DNFvc0 憂「おはよう梓ちゃん!」 梓「おはよう!今日小テストだね!」 憂「頑張らなくちゃ!勉強したところ大丈夫かなあ」 純「おはよー」 憂「あ!純ちゃん!おはよう!!」 梓「おはよう」 純「あ、おはよう…」 梓「?」 純「……あう…」 何故かもじもじする純、何か声をかけようと梓が思った瞬間、チャイムと共に先生が教室に登場し各々が自分の席へ散っていった 梓(どうしたのかなぁ…) 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:41:17.23 ID:Vy9DNFvc0 放課後 憂「今日も部活?」 梓「うん、久しぶりだから多分ぐだぐだだと思うけどね…」 憂「あはは、それじゃあ梓ちゃん、余計に頑張らないとね」 梓「ホントね。じゃあ憂、また明日!」 憂「ばいばい梓ちゃん!」 梓「さってと…ちゃんと先輩たち来るかなぁ…」 純「あ…梓!!ちょっと待って!!」 梓「どうしたの?」 純「う…うん…その…ちょっと話があるんだけど…いいかな…?」 梓「?別に急いでないしいいけど?なに?」 純「あ…そのここではちょっと…あ…あっちで話そう!」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:43:37.73 ID:Vy9DNFvc0 純に連れられ歩いていった先は滅多に人の来ない4階美術準備室の廊下 梓(何の話なのかな…誰かに聞かれちゃまずい話…?) 純「あの…うんとさ…急に…急にこんなこと言ったら変な人に思うかもしれないんだけど…でも私真面目に考えていてさ…」 梓「あ…うん」 純「あ…梓がさ…」 梓「なに?」 純「あ…あ…う…」 なかなか話を切り出せずにもじもじする純、その目にはうっすら涙を浮かべ、顔は赤くなっていた 梓(なにこれ…まるで…す…好きな人に告白するみたいな…) 純「すーはーすーはー…ふう…落ち着かなきゃ…うん!梓!私ね!!」 梓「う…うん!(嘘でしょ?だって私女だし…)」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:45:34.48 ID:Vy9DNFvc0 純「梓のことが好きなの!!!」 梓(…どどどどどういうことなの…?!え?なんでどうして…ええええええ!?) 純「そのね…私…男の子に興味ないんだ…つまり…その…」 梓「…」 純「い…今まではそんなことなかったのに…いつからか梓のことを考えると胸がきゅうってなって…はあ…はぁ…こっ呼吸も乱れて…ごっごめん…えっと…」 梓(私は…どっどうすればいいんだろう…つまり純は…………。ムムムムギ先輩を紹介したい気分だよ…) 純「そのね…別に梓が私の気持ちに答えてくれる必要はないの…ただ…ただ梓にこのことを伝えたかっただけだから……うう…ごめん…それじゃあ…はあ…ふぅ…私…ごめん」 そして純は梓の言葉を待たずその場から退場した 梓「…」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:50:30.84 ID:Vy9DNFvc0  純はこの後も迫ってくることもなくはた目には昔と同じように私と接していた。しかし私を長い間見つめていると息が乱れ……そうまるで…… 「平沢さん、すまん……それより先の話は鈴木さんの人権にも関わる気がするので遠慮しておく」  いや、俺が耐えられん。だがあらかたの事態は把握したぞ。概要は最初に全て聞いていたしな。  その後そんなことの繰返しをしていたある日、突然鈴木さんが中野さんに謝罪したそうだ。あの時の自分はどうかしていた、全て忘れてほしい――と。  もちろん全てを忘れることなど聖人君子レベルの人間でなければできるはずもない。一応、以降は顔を赤くしたり息を乱したりすることなく中野さんと接しているようだしひとまず問題はなさそうだが。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:54:34.70 ID:Vy9DNFvc0  しかしまあ鈴木さんが健全な男子高校生の害になるような挙動をしていたとは全然知らなかったぜ。猫騒動で俺と会ったときは謝罪の前なんだよな確か。 「そうだよ。二号が元気になった数日後あずにゃんに謝ったんだって」  平沢さんがそう言ってるので間違いない。その日によってムラでもあったのだろうか。いや、このムラはそっちの話ではなく。 「で、そんな女の子大好きっ子ぽかった鈴木さんが突然普通の女子高校生になって中野さんは驚いた、というわけか」  平沢さんはこくんとうなずく。だけどもよく考えりゃ確かに鈴木さんがそれっぽい反応を長門にしていた気もするな。つまりは、 「長門、鈴木さんは何かに取り憑かれていたのか?」 「違う。自律神経における非拡散趣向の認識が先鋭されていただけ」  いちいち突っこみを入れるのにも飽きたので俺はもうスルーする。 「あーっとだな、つまりハルヒと偶然出くわしたときに何らかの原因で鈴木さんの頭がハルヒの謎パワーに冒されて女の子大好き人間になっちゃったってわけだよな?」  長門は聞き流された用語の説明をしたかったのかどうか知らんが俺に一瞥くれると微妙に頭を傾けてくれた。 「なるほど。さすがは涼宮さんですね」  今の会話のどこにさすがと思える部分があったのかはわかりかねるが、古泉は納得の表情を浮かべている。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 00:58:48.83 ID:Vy9DNFvc0 「長門、お前鈴木さんが抱きついてきたときに対処プログラムみたいなのを仕込んだんだろ?」 「そう。あのまま放置しておくと彼女の生命活動に支障を及ぼす危険性があったから」  謎が解けたぜ。あの時、猫を助けたお礼と言わんばかりに抱きついた鈴木さんに対し長門は何やらぶつぶつ呟いているように見えたのだ。アレはきっと例の呪文だったんだろう。  そういえば普段人をあまり見ない長門が鈴木さんのことをちょいちょい気にかけていた気もする。  さて、聞いた話に補足を付け加えておく。どうやら鈴木さんも女の子なら誰でもよかったわけではないらしく、中野さんや長門に何かシンパシーを感じ取っていたようだ。これは長門の予測であるが俺もそんな気はする。  しかも平沢さんの妹さんの話によれば鈴木さんは平沢さんに対してもそれっぽいまなざしをいつしか向けていたそうだ。えっと文化祭のときだったかな確か。  そして平沢さんと長門の共通点は超人類的な力――もっとも長門は宇宙人だが――を秘めているこの一点。まさか中野さんにも平沢さんとはまた別の何かがあるのだろうか。猫のときにはなんとか周波数体の被害も受けていたし何かしらあるのかもしれん。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 01:02:12.17 ID:Vy9DNFvc0 「だがまあ……年始からとんでもない話を聞いちまったぜ」  現在俺達SOS団プラス平沢さんはいつもの喫茶店に集合している。当然ハルヒはここにいない。 「でも……やっぱり涼宮さんを中心として何かが起きていたんですね……ずっと」  先ほどまでは顔を真っ赤にして鈴木純×中野梓の話を聞いていた朝比奈さんがようやく口を開いた。 「そして平沢さんも。涼宮さん以上に予測不能なわけです」  ニヤケハンサムエセイイ人古泉が朝比奈さんの描く中心人物に平沢さんも加えた。この二人はいまだ微妙に組織間対立してるのかね。まあそれはいいのだが。  微妙な空気が嫌だったのか、はたまた話さないと場が持たないのか、平沢さんが長門に話しかける。 「長門さん、私はどうすればいいの?」 「あなたは平素と変わらず生活をしていれば問題ない」  あれから長門の親玉たちは平沢さんについて静観という態度を取ることに決めたそうだ。  結局保留と変わらない気もしなくはないが謎物体の襲撃から俺達の身の回りで目立った事件や動きはなく、いたって平穏に暮らしていた。  何も起きていないので何もすることがない、ならば静観もある程度仕方のない方針かもしれない。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/07(日) 01:06:40.42 ID:Vy9DNFvc0 「とにかく、今後もこまめに連絡を取り合いましょう」  分かりきったことを古泉が再確認する。そりゃそうだ、だから正月気分に浸っていた中わざわざ出向いたんだからよ。 「唯ちゃんもごめんなさい。せっかくのお休みなのに」 「大丈夫だよ~どうせ家でゴロゴロしているだけだったし~」  朝比奈さんの気遣いにいやいやとんでもないと笑顔で答える平沢さん。どうしてだろう、生活パターンは俺とほぼ同じはずなのに平沢さんならそれが許せてしまう。  間もなく三学期もはじまる。またハルヒが軽音部との合同企画を何やら考えているらしいし、これからひと悶着起こらなきゃいいが。 「無事平穏が一番ですからね」  古泉の意見に珍しく同調するぜ。  そして無事平穏とはいかないのが俺達であり、そこに平沢さんまで加わってしまえばもはや無事に済むことの方が奇跡的結末だったのだろうと俺は数日後……否、全てが解決したとき心底思うのであった。  まさか平沢さんだけでなく桜高軽音部の全員を巻き込む出来事が起き、それがハルヒ平沢さん能力入れ替わり事件以上の最大規模問題になるとは……。  外の寒気から逃れるようにコーヒーの温もりをむさぼっていた平沢さんと俺達SOS団がこの時知る由もなかった。 続く。

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