332 :みみかき ◆/BV3adiQ.o :2009/07/14(火) 15:11:21.44 ID:u/ZfaRJ/0
 ある日の中野家
「あずにゃ~ん、耳かきして~」
「はい? どうしたんですかいきなり」
 いつものごとく膝の上に寝かせた唯先輩の頭を撫でていると、急に耳かきを要求されてさすがに困惑する。
「いやぁ~、なんだかいまとっても耳かきしてほしい気分なんだよ~」
「何ですかそれ」
 先輩らしいけど……。
「……はぁ、まあ良いです。してあげますよ」
「ほんとぉ!?」
 はぁ。この顔が卑怯なんだよな……。何でもしてあげようと思っちゃうんだもの。
「――はい、準備はいいですか?」
「おっけーです!」
「それじゃ、始めますよ」


339 :みみかき ◆/BV3adiQ.o :2009/07/14(火) 15:20:02.30 ID:u/ZfaRJ/0
 ふわふわの髪の毛をかき分けて小さな耳穴を露出させる。
 右手に耳かき棒を持って、恐る恐る先輩の耳穴に侵入する。
「……ん」
 すると、先輩の体がぴくりと硬直してしまった。
「せ、先輩?」
「ん、いいから続けて~」
 ……大丈夫かな。
 そう心配しながらも手を動かし続けると、次第に先輩の身体が弛緩してきた。
 口からもふにゃぁとかふにぃとか緩みきったときにしか出ないような声を出すようになってきた。
 ちょっと嬉しい。
「先輩? 気持ちいいですか?」
「うんー。あずにゃんは上手だね~」
 ……褒められて悪い気はしない。
「――はい、終わりましたよ」
「…………」
 返事が無い。
「先輩? どうしたんですか?」
「……………………」
 さすがに心配になったので覗き込んでみる。
 すると――
「zzz」
 ――ぐっすりすやすやと寝息を立てていた。
「……な、何だ……。心配して損した……」
 まったく、自分ひとりだけ夢の世界に旅立つなんて、恋人失格ですよ。
「んぅ……あずにゃん……」
「……」



 ――まぁ、可愛いから許しちゃおう。

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最終更新:2009年07月15日 15:46