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59 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 21:18:00.71 ID:05EN2zhXO
麦茶「こんないい子に育っちゃって…」



ある日、俺は山の奥の穴に女の子が捨てられているのを発見した。
太くて黄金色に輝く眉。柔らかな髪。
…だけど、彼女はどこかおかしかった。
紬「おちんちん…おちんちんください…」
麦茶「…ダメだよ、女の子がそんなこと言っちゃ…」
よく見ると、彼女の体は白い液体で汚れていた。俺は衝撃を受けた。
いてもたってもいられなくなって、彼女の腕を引っ張った。
麦茶「君、うちに来なさい!大丈夫、俺は君がされたようなことは絶対しないから!」グッ
72 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 21:26:25.65 ID:05EN2zhXO
…そして、俺は家を借りた。
実家暮らしだが、この子をこのまま連れて帰ったら迷惑をかけてしまう。
それに、この子を実家で養うわけにはいかない。
家族のことをこう言うのもなんだが、はっきり言ってキチガイだらけだ、教育上よくないと思う。

麦茶「ただいまー…っつても、誰もいないけどさ」
はは、と自嘲気味に笑う。
紬「……」
きょろきょろと部屋を見回している。
とりあえず俺はお茶を入れることにした。
麦茶「待ってな、麦茶作ってくるから。」
そう言って俺が出したのは香ばし麦茶と書かれたお徳用麦茶パック。
うちの実家でもこれだ。
82 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 21:36:25.56 ID:05EN2zhXO
しゅんしゅん、とヤカンが沸騰している音がする。
麦茶「…ねぇ、どうしてあんなところにいたの?」
紬「……」
彼女は答えない。
麦茶「まぁいいさ、言いたくないなら。ほら、自分の家みたいにくつろいでいいんだよ?」
ぴー、とヤカンが鳴いた。どうやら出来たようだ。
麦茶「お、できたか。ちょっと待ってな、淹れてくるから」
そう言って、俺は台所に向かう。
はしっ、とズボンを掴まれた。
紬「……おちんちん…」
彼女は、俺のズボンのジッパーをおろそうと手を伸ばしてくる。
麦茶「ダメだろ、こんなことしちゃ」
腕を押さえつける。しかし、彼女は退かない。
麦茶「…自分の体はもっと大事にしろよ!そんなのでいいのか!?」
…しまった、つい怒鳴ってしまった。
彼女の表情が暗くなる。
麦茶「……ごめんな、怒鳴って…」
95 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 21:50:47.49 ID:05EN2zhXO
とりあえずお茶を淹れることにした。この空気には耐えられない。
麦茶「あちち…出来立てはさすがに熱いな。よし、これでも飲めよ」
ちびちびと飲み始める。うん…なんだろうこの空間。
麦茶「……そういえばさ、君名前は?」
紬「琴吹紬、です」
……やっと男性器の名称以外の言葉を話してくれた。
麦茶「そっか。…ムギちゃんって呼んでいい?」
……ムギちゃんが泣き出した。あれ、泣かせるようなこと言ったかな?
麦茶「ちょちょ、何で泣くの」
嗚咽を漏らしながら、ムギちゃんが喋り出す。
紬「だって、こんな風に優しくされたの、久しぶりで…ひぐっ」
麦茶「そうかそうか、今まで頑張ってたんだな…よしよし」
ぽんぽん、と肩を優しくたたいてあげた。
127 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 22:12:38.04 ID:05EN2zhXO
その日、俺はカツバーグと名付けた創作料理を食べさせることにした。
見た目はトンカツのようだが、中身はハンバーグというエキセントリックな料理である。
まず普通に薄くハンバーグを焼き、トンカツと同じ要領で衣をつけ、揚げる。
油の中に放り込むと、バチバチとはじける音がした。
しばらく待つ。……よし、今くらいか。
サッ、と取り出し、皿に盛りつけた。
麦茶「よっしゃ、さぁ食え」
紬「………」サクッ
ムギちゃんがひとかじりした。
紬「…おいしい!」
麦茶「だろ!?ああよかったぁ…(注・これを書いてる人は実際に作ったことはありません。完全に想像です)」
一通り食べ終わり、一息つく。
紬「…あの、私今両親も親戚もいなくて一人なの…ずっとこの家にいさせてくれる?」
麦茶「もちろんさ。今更ほっとけないよ君のことは」
こうして、この日から製菓業の一社員と中学女子の奇妙な生活が始まった。
146 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 22:23:40.56 ID:05EN2zhXO
ムギちゃんとの共同生活は、なかなか楽しいものだった。
あるときはテレビを一緒に見て笑いあい、
またあるときは宿題を二人がかりで何とか協力しながら終わらせたり、
またあるときは誕生日にドッキリさせたりさせられたり。
そんなムギちゃんも、高校受験をすることになった。
麦茶「……もう受験かぁ」
紬「うん、しばらく遊べなくなっちゃうね…」
麦茶「いいさ。どこに行きたいかはわからないけど、とりあえず頑張れよ!」
……そして、ムギちゃんは努力のかいあって桜ヶ丘高校に入ることになった。
麦茶「桜ヶ丘か…桜ヶ丘っていやぁ名門校じゃないか」
さっすが俺の娘!と笑いながら言う。
紬「ふふ、そんなことないよ。これでもギリギリだったんだから」
麦茶「なんにしろいいことだよ!よし、酒飲もうか!」
紬「お父さん、私未成年!」
ぷぅ、と紬が膨れる。
麦茶「はは、冗談だよ。…高校生活、精一杯楽しめよ!」
168 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 22:35:24.87 ID:05EN2zhXO
入学式からしばらくして、ムギちゃんは軽音部に入った。
紬「…でね、キーボードを買って欲しいの…ダメ?」
麦茶「ん…まぁいいよ。よし、今度楽器屋行こうか」
そしてその週の日曜日、二人で楽器屋に行くことになった。
ムギちゃんが一台のキーボード前で立ち止まる。
紬「お父さん、これが欲しい!」
KORG TRITON Extreme。青い光を放つそのキーボードは、確かに目をひくかっこよさがあった。
麦茶「よし、こいつにしよう」
俺は買うと決めたら止まらない。店員を呼び、購入することにした。
ムギちゃんは大いに喜んだ。
あのキーボードはきっと生涯使われるだろう。そんな気がする。
178 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 22:44:41.31 ID:05EN2zhXO
暑くなった頃、ムギちゃんは軽音部の仲間を連れてきた。
みんな優しそうないい子ばかりで、なんだか自然に涙が出てきた。
澪「えっ、ど、どうしたんですかおじさん?」
お兄さんと呼べ。
麦茶「いやね、何か感動しちゃってね…」
紬「もぅ~、お父さんたらぁ」
律「いやー、それにしても仲のいい家族だなぁ。羨ましいよ」
唯「うん、ムギちゃん幸せだよね~こんなおじさんと一緒なんて」
だからお兄さんと(ry
麦茶「はは、まぁゆっくりしていきなよ。お菓子ならいっぱいあるから」
唯「うわぁ~!ありがとうおじさんっ!」
お(ry
…まぁいいか。とりあえずお菓子を持ってくることにした。
ムギちゃんは仲間たちと一緒に楽しく笑いあいながらお喋りしていた。

数時間後。
カラスが鳴く声とともに、みんな帰って行った。
麦茶「ムギちゃん、本当にいい友達持ったな…大事にしろよ?」
紬「もちろん!」
183 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 22:52:59.37 ID:05EN2zhXO
そして何年かたち、四度目の俺の誕生日を迎えた。
ムギちゃんももう高校三年生。最近じゃアルバイトも始めた。
……月日がたつのって、本当に早いなぁ。そう思いながらお茶をすする。
今日は祝日なので、仕事は休みである。
麦茶「……毎年友達も家に来なかった俺の誕生日が、四年前からこんなに充実し始めるなんて思いもしなかったなぁ」
それにしても、ムギちゃんの帰りが遅いなぁ。どうしたのかな。
ブルルル、とマナーモードにしていた携帯が鳴った。
メールが来ている…ムギちゃんだ。
紬『お父さん、今から京セラドームに来て欲しいの、お願いね!』
…なぜ京セラドーム?今のシーズンは野球なんてもう…
とりあえず京セラドームに行くことにした。
193 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 23:00:50.43 ID:05EN2zhXO
京セラドームに着いた。
ドームの前には、長い黒髪の女の子がいた。
澪「あ、おじさんこっちです!」グイッ
だからお兄さん(ry
引っ張られてドーム内部へ。
入った瞬間、花火がはじける。
麦茶「うわっ!?ひょおお!」
……盛大にビビった。
俺は火が嫌いなんだちくしょう!
紬「お父さーん!お誕生日おめでとーっ!」キィィーン
声のした方を振り向く。小さなステージがライトアップされた。
麦茶「……ムギちゃん?」
紬「えへへ、今日のためにずっとバイトしてたの!誕生日に借りることができてよかったわ!」
澪「私たちも協力したんですよ!」
唯「うん!みんなでおじさんのために頑張ったんだよ!」
律「今日のお客さんはおじさん一人だけだ、幸せもんだな!」
麦茶「……君たち…ホントにありがとう…!」
204 :午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A :2009/07/22(水) 23:11:18.94 ID:05EN2zhXO
唯「それじゃ、まず…ムギちゃん、MCよろしくっ」
紬「うん!…お父さん、今まで私を育ててくれてありがとう」
紬「あのとき拾われてなかったら、酷い目にあっているところでした。今日まで育ってこれたのはお父さんのおかげです」
紬「そして、これからもずっと忘れられない…最高の肉親の一人です…!」グシュッ
ムギちゃん、泣いてるのか…
紬「今日は誕生日ということで、お父さんだけにライブをプレゼントします!聞いてください、ふわふわ時間!」
ギターの演奏とともに、曲が始まった。
ボーカルは、紬。
紬「君を見てると~いつもハートドキドキ~♪」
へぇ、綺麗な声で歌うじゃないか。
今までの思い出が、走馬灯のように蘇る。
おかしいな、今から死ぬ訳じゃないのに。泣きたいやら笑いたいやらで、きっと変な顔になってるだろうな。
麦茶「………こんないい子に育つなんて…」グシュッ ヒック
その日は、最高の誕生日だった。
これからも、紬と暮らしていきたいと思う。ずっと―――――