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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです
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145 :ゆいあずでばれんたいんとか:2009/07/28(火) 21:16:16 ID:OOq+qxhN
 2月13日、明日は女の子の日。
「お姉ちゃん、できた~?」
 私は、憂に教えてもらってチョコを作っている。
「まだだよ~」
 自分で作るのは今回が初めてだから、上手くできない。
 やっぱり無理なのかなぁ……。
「はぁ……」
 隣を見ると、憂がお手本に作ってくれたチョコレート。
 ……憂は、本当に何でもできてうらやましいな……。
「お姉ちゃん?」
 そんなことを考えて落ち込んでいると、憂に声をかけられた。
「ん……なに?」
 自分の声に覇気が無いのがわかる。
「なんだか落ち込んでるみたいだけど、どうしたの?」
 憂が心配そうに聞いてくれる。
 ……本当に、よくできた妹だなぁ……。
「なんだかね……」
「うん」
 憂は静かに話を聞いてくれるから話しやすいな……。
「憂みたいに上手くできなくてね……」
「うんうん」
 相槌も忘れないし。
「自分が嫌になってきちゃったの……」
「……」
 私が話し終えると、憂は目を閉じて何かを考え出した。
「う、憂……?」
 どうしたんだろうと思って声をかけると、憂は目を開いて、
「上手にできなくてもいいんだよ?」
 と言った。
「へ?」
「味が変でも、形が不恰好でも、そこに気持ちがこもってたらそれでいいんだよ」
「そ、そうかなぁ……」
 私だったらやっぱり嫌だと思うけど……。
「そうだよ!」
 でも、憂は自信満々って顔でそう断言してくれた。
「ち、ちなみに……根拠とかあるの?」
 憂のことだからあるに決まってるだろうけど……。
「お姉ちゃんだって、梓ちゃんから貰ったチョコなら、どれだけ味が変でも形が不恰好でも喜んで貰うでしょ?」
「そ、それはそうだけど……ってどうしてあずにゃん限定!?」
 びっくりして確認すると、憂はあっけらかんと、
「だって、お姉ちゃん梓ちゃんのこと好きなんでしょ?」
 そう言ってくれた。
「すすす好きぃ!?」
 どきどき。
 憂の突然の言葉に心臓の鼓動が速くなる。
「違うの?」
「ち、ちがうっていうか……どうしてそう思ったの?」
「だって、お姉ちゃん梓ちゃんのお話をするときが一番楽しそうなんだもん」
「そ、そうかな……?」
 そんなつもりは無いんだけど。
「今作ってるチョコだって、梓ちゃんにあげるんでしょ?」
「そ、そうだけど……」
「だから、梓ちゃんのことが好きなのかなって」
「そうなんだ……」
 憂は変なところで鋭いからなぁ……。隠し事ができないや。
「それで、実際はどうなの?」
「な、何が……?」
146 :ゆいあずでばれんたいんとか:2009/07/28(火) 21:17:32 ID:OOq+qxhN
 憂、ちょっと顔が怖いよ……。
「梓ちゃんのこと、好きなの?」
 ……ここまできたら、隠しても無駄だよね……。
「たぶん……好きなんだと思う……」
「……そう」
 観念して打ち明けると、憂はようやく追究しなくなってきた。
「だったら、とにかく気持ちをこめて作れば梓ちゃんも喜ぶと思うよっ」
「そ、そうかな?」
「そうだよっ! ……あ、あとは作ってる間、梓ちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべてるといいと思うよ?」
「あずにゃんの喜ぶ顔?」
「うんっ! お料理を作るときはね、そうするとおいしくなるんだっ」
「そ、そうなんだ」
「だから、お姉ちゃんもがんばってねっ」
「う、うん……。ありがと、憂」
 素直に感謝すると、憂はそれじゃーねと言って二階へ上がってしまった。
 ……憂、泣いてた?
 なんだか目から水が垂れてたけど……。
「――うんうんっ! 今はそれよりもチョコ作りに専念しよっ」
 せっかく憂がアドバイスしてくれたんだもん。ちゃんと作らなきゃっ。



「――できたっ」
 あれから何度も失敗を繰り返して、完成したのは結局2時ぐらいだった。
 いつもなら寝ている時間帯だ。
「後はこれを冷蔵庫に入れてっと……」
 明日の朝には固まってるよね?
「あずにゃん、よろこんでくれるかな~」
 憂は気持ちがこもってればそれでいいなんて言ってくれたけど……。
「――うん、憂を信じるっ」
 心配してもなるようにしかならないんだし、今日はもう寝よう。
 ……おやすみなさい――
147 :ゆいあずでばれんたいんとか:2009/07/28(火) 21:18:18 ID:OOq+qxhN
 翌日、放課後。
「あ~ずにゃ~んっ」
 だきっ。
「わわっ……どうしたんですか、唯先輩」
 ティータイムの前に渡さないとっ。
「私ね、チョコ作ってきたの~」
 ぴくっ。
 そう言った途端、あずにゃんが反応した。
「唯先輩が、チョコレートを……ですか?」
「うんっ」
「だ、誰にですか……?」
「あずにゃん、ちょっと目が怖いよ……?」
「答えてください、誰に作ってきたんですか?」
「それはもちろん、あずにゃんにだよっ」
 答えると同時に、チョコの入った箱をあずにゃんに突きつける。
 こうでもしないと恥ずかしさで死んじゃいそう。
「え……私に、ですか?」
「そうだよっ」
「……」
 あれ、どうして無言……。
「あ、あずにゃ――」
「ありがとうございます、せんぱいっ」
「――わわわっ」
 どうしたのかなと思って顔を覗き込もうとしたら、急にあずにゃんに抱き付かれた。
「あ、あずにゃん……?」
「私、嬉しいです。先輩からチョコレートをもらえるなんて」
「えっと……」
 とりあえず、あずにゃんには喜んでもらえたんだよ……ね?
「そ、それはわかったから……とにかく、食べてくれないかな?」
「あ、そ、そうですね……せっかく先輩が作ってくれたチョコレートですし……」
「う、うん……初めて作ったから上手くできてるかどうかわからないけど……」
 ――ぱくっ。
「ど、どぉ……?」
「もきゅもきゅ……ちょっと、苦いですね……」
「や、やっぱり……」
 分量間違えたのかな……。
「でも」
 また落ち込みそうになったところで――
「先輩の気持ちがこもってるみたいで、なんだか胸がほわほわします」
 ――あずにゃんがそんなことを言ってくれた。
「うんっ! だいすきって気持ちをこめたよ!」
 もうやけくそっ!
「せんぱい――」
「うん?」
「――わたしも、せんぱいのことが、だいすきですよ」
「――うんっ!」



Fin