192 :ゆいあずでばれんたいんとかあふたぁ ◆/BV3adiQ.o :2009/07/31(金) 21:22:12 ID:DgM2/N97
唯先輩からチョコレートをもらった後。
「おじゃましま~す」
「はいどうぞ」
お返しを用意していなかった私は、唯先輩を家に招待することにした。
「今日は両親とかいないの?」
「はい、二人とも仕事で外に行ってて」
「そっか、じゃあ今は二人っきりだね」
ぴくっ。
二人っきりという何気ない言葉にどきりとする。
そうか……今、唯先輩と二人っきりなんだ……。
いまさらその事実を認識する。
「あずにゃん、どうしたの?」
「あ、いえ……なんでもないです」
内心のどきどきを悟られないように普段通り答える。
「そっか」
すると、唯先輩はあっさりと引いてくれた。
……ほぅっ。
「それじゃ、上がってください」
「うんっ」
心臓を落ち着けてから、唯先輩を家に上げる。
……こんなのでこの先大丈夫なのかな……。
193 :ゆいあずでばれんたいんとかあふたぁ ◆/BV3adiQ.o :2009/07/31(金) 21:23:04 ID:DgM2/N97
「それにしても、あずにゃんから誘われるとは思わなかったよ~」
廊下を歩きながら、隣で唯先輩がそんなことを言う。
「そりゃ……お返しがまだでしたから」
言いながら、もらったときの暴挙を思い出して赤面する。
気持ちが暴走しちゃったからなぁ……。
「お返しって……今から作るの?」
「はい」
気がつくと、リビングに着いていた。
「チョコ作るのってそんなに早くできるの?」
「まぁ、少し待っててください」
「わかった」
唯先輩にはリビングで待っててもらい、私は台所へと向かう。
「えっと、まず――」
牛乳150ccを電子レンジで1分間暖める。
「その間に……?」
買ってきたチョコレートを細かく砕いてカップに入れる。
「牛乳が温まったら――」
それを半分ぐらいカップに注いでよくかき混ぜ、チョコレートを溶かす。
「しっかりと溶けたら……?」
残りの牛乳を全部注いでよく混ぜ、マシュマロを浮かべる。
「最後に――」
マシュマロが膨らむまで電子レンジで暖める……と。
「――できたっ」
194 :ゆいあずでばれんたいんとかあふたぁ ◆/BV3adiQ.o :2009/07/31(金) 21:23:57 ID:DgM2/N97
完成したものを持ってリビングへ向かうと、唯先輩は開口一番に――。
「待ちくたびれたよぉ~」
――ぶーたれた。
「待たせてしまってすみません」
言いながら、左手に持ったカップを掲げると、
「それ、なぁに?」
途端に元気になる先輩。
「ホットチョコレートです」
「いいにお~い」
「これが、私からのお返しです」
「わぁ~い」
……どうしてこんなことをしたのかわからない。
「――え?」
喜んで伸ばされる唯先輩の手を寸前で避けると、目の前には不服そうな唯先輩の顔が。
そのまま左手を口に持っていく。
ごくごく。
「え、ちょ、それ私のじゃ――」
それ以上、唯先輩の言葉は続かなかった。
「んむ……」
「ん……」
私が、唯先輩の口を塞いだために。
舌で唯先輩の唇を割り、口内へと侵入する。
そして、チョコレートを口移ししながら唯先輩の舌を見つけ出し、私の舌を絡める。
……甘い。チョコレートの甘さもあるんだろうけど、唯先輩の舌はとても甘かった。
「んっ……んぐ……」
「ふ……ん、ぅ……」
唯先輩の腰に手を回す。
私は、唯先輩の舌の甘さを味わいながら目を閉じた――
「――ぷはっ」
それから何分経っただろうか。
軽く10分ほど唯先輩の口内を味わい尽くし、ようやく唇を離した。
「あっ……」
唯先輩はまだ満足してないとでも言いたげな顔でこちらを見てくる。
赤い顔に潤んだ眼がいやらしい。
「……これが、私からのお返しです」
「お返し……」
「満足ですか?」
そう言うと、唯先輩は恥ずかしそうに、
「まだ、満足してないかな……」
と、言った。
あぁもうどうにでもなれっ!
「それじゃ、続きは私の部屋で――」
勇気を出して自室に誘うと、唯先輩はますます顔を赤くしながら――
「うんっ」
――だけど、とびっきりの笑顔でそう返事をしてくれた。
Fin
最終更新:2009年08月01日 15:12