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915 :おはあずにゃん ◆/BV3adiQ.o :2009/08/07(金) 21:58:34.04 ID:h5gJr+9+0
 朝。
「おはようございます」
 部室の扉を開けて先輩たちにあいさつをして、さあ今日も頑張ろうと思い――
「おはあずにゃん!」
 いきなり唯先輩に出端を挫かれた。
「なんですかおはあずにゃんって」
 いつもどおり、抱きついてこようとする唯先輩をかわしながらそう訊ねる。
「あずにゃん専用の朝のあいさつだよっ」
 唯先輩は少し残念そうに、だけど笑顔でそう答えた。
 そんな顔をしても抱きつかれるのは恥ずかしいから嫌ですよ。てか専用ってなんですか。
「専用は専用だよ~。おはあずにゃん!」
「恥ずかしいからやめてください」
「え~? かわいいのに~」
「どこがですか」
 まったく……唯先輩のスキンシップは全部恥ずかしいから苦手だ。
 ……いや、まあ、嫌な訳じゃなくてむしろ嬉しいんだけど……。
「とにかく、やめてくださいよ」
「やだよ~。あいさつはおはあずにゃんで決まったもん!」
「……はぁ」
 こうなった唯先輩は止まらないから、結局私が折れるしかない。
 それに、専用と言われて悪い気はしないし……。
「わかりました。もうあいさつはそれでいいです」
「ほんと? やったぁ~」
「わぁっ!?」
 まさかこのタイミングで抱きついてくるとは思わなかった。
「ちょ、先輩、抱きつかないでくださいよ」
「だってあずにゃん気持ちいいんだもん~」
 唯先輩はそう言ってさらに体を摺り寄せてくる。
「そんな理由で――ひゃっ」
 引き離そうとしたら、唯先輩がさらにぎゅっと抱きついてきて思わず声を上げてしまった。


916 :おはあずにゃん ◆/BV3adiQ.o :2009/08/07(金) 21:59:16.01 ID:h5gJr+9+0
「唯先輩、とにかく離れてくださいっ」
「どうして?」
「どうしてもです!」
 少し強めに言うと、唯先輩はしぶしぶながらも私から離れてくれた。
 ……危なかった。これ以上抱きしめられてたら心臓がおかしくなってしまう。
 今のうちに深呼吸をして、唯先輩にかき乱された心を落ち着ける。
 ……よし。
「でも、それだと不公平ですよね」
「なにが?」
「あいさつです。唯先輩からは『おはあずにゃん』なんて恥ずかしいことを言われるんですから」
「確かに不公平だね~。でも、どうするの?」
 首を傾けながらそう聞いてくる唯先輩に、私は自身を持って言い切る。
「私から唯先輩へのあいさつは『おはゆいにゃん』にします!」
「おはゆいにゃん? なんだかかわいいね~」
「そう……ですか?」
「うん! もっと言って!」
「嫌ですよそんな」
 何度も使うものじゃないでしょう。
「うぅ~。……おはあずにゃん!」
「む……。おはゆいにゃん!」
「おはあずにゃん!」
「おはゆいにゃん!」


 二人がにゃんにゃんと言い合っている頃。
 律と澪はもう甘いのはおなかいっぱいですと口から砂糖を吐き続け、紬は鼻血を吹き続けていた。



Fin