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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです
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412 :膝枕ゆいあず1/2:2009/08/17(月) 06:26:25 ID:AppZHxz3
「あずにゃ~ん、ひざ~」
「またですか…もう」
そんな台詞と共に、唯先輩はどさっと私の膝の上に倒れこんできた。
正確には太腿の上だけど。先輩は私の太腿にぴたっとほっぺを当てて、ふにゃふにゃと気持ちよさそうな声を上げてる。
「もう、いい加減にしてください」
「だって~あずにゃんの膝枕、気持ちいいんだもん。やめられないよ~」
唯先輩は頭を太腿の上に乗っけたまま、私の腰に手を回し、きゅっとしてくる。
正直なところ、気持ちいい。元から先輩にきゅっとされるのはなんだか心地よくて好きだったんだけど、この姿勢もやっぱり悪くないと感じてる。
ティータイムの後のこれが日常になったのは、一体いつからだったのだろう。私は無意識に先輩の頭を撫でたりしつつ、その日のことを思い返していた。
満腹になった先輩が、私の膝に倒れこんできてふんにゃりしてて…それがあまりに可愛かったものだから、そうっと撫でたりしていたら寝付いちゃって。
結局部活時間が終わるころようやく目を覚ましてくれて、ぐっすり眠れたよ、ありがとうあずにゃん、ってにっこり笑って。
それがいけなかったのか、すっかり先輩は味を占めてしまい、すっかりこれを当たり前と思い込んでしまって…
―今日こそは、それをやめてもらおうと思ってたのに、なんで私はまた、先輩を跳ね除けたりせず、こうして頭を撫でたりしてるのか。
はあ、と溜息をつく。実際のところ、それが難しいことだとはわかっていた。こんな幸せそうな顔をしている先輩に、お預け!と告げるのはあまりに難しい。
「あーずにゃ~ん…」
ごろごろと膝の上で丸くなろうとする―実際はサイズ的に不可能だから、あくまでそういう真似をするだけだけど―唯先輩は、本当に上機嫌そのものの表情。
そんなに気持ちいいのかな、と私はふと思ってしまう。
自信の発育の悪さは不本意ながら自覚するところで、別にそこまで気にしたことは無かったけど―そう、唯先輩くらいにふっくらした太腿ならともかく、私の貧相な太腿で本当に気持ちいいのかな、と疑問に思ったりもする。
唯先輩くらいのふっくらした―そこでちらりと私の視線は動いた。黒タイツに包まれた、柔らかそうな太もも。あれに頬を埋められたら、どんなに気持ちいいことだろう―
―って、私は何を考えてるんですか。
ぶんぶんと首を振る。そもそも、先輩がこんなことしてくるから、私まで変なこと考えちゃうんです。
やっぱり今日言おう。そうだ、ただでさえティータイムで圧迫されてる練習時間が、これのおかげで更に短くなってるんだ。
もうやめてください、って言わなきゃ。
413 :膝枕ゆいあず2/2:2009/08/17(月) 06:27:14 ID:AppZHxz3
「唯先輩!」
「ひゃ、な、なに?あずにゃん」
ぴしっと、そういってやらなきゃ。突然声を上げた私に、びっくりした表情の唯先輩に、私は容赦なく続ける。
「私にも膝枕してください!」
「へ…?う、うん、いいけど…?」
びっくりからきょとんに表情を変えて、唯先輩はむくりと私の膝から顔を上げた。ようやくやめてくれた、と私は残念さと達成感を織り交ぜた溜息をついて―
「はい、あずにゃん」
と、にっこり笑いながらぽんぽんと太腿を叩いて見せた唯先輩に、首を傾げることになった。
―いや、というより、私はさっきなんて言ったのだろう。
記憶を再生し、それにたどり着いたところで、私の頬はぽんっと蒸気をあげた。
―何を言ってくれてやがるんですか、私!
「ち、違うんです、唯先輩、さっきのは…!」
「そうだよねー私も思ってたんだ。いつもしてもらってばっかりじゃ悪いから、あずにゃんにもしてあげよって」
「い、いえ、ですから―!」
「もー、今更恥ずかしがらなくっていいんだよ、ほら」
唯先輩の腕がすいっと伸びて、私をぎゅっと捕まえると、そのまま抱え込むように太腿の上へと倒しこんでしまう。
抵抗しようにも、唯先輩の頭の中ではすっかりそういうことになっているらしくて―もうこうなったら、私の言い分なんて聞いてくれそうにない。
それに実際―私もそうしたいって思ってしまってたわけだし。でもでも、まさか本当にそうなってしまうなんて思いもしなくて。
「ひゃ…」
その瞬間、思わずそんな声が漏れていた。声、というかびっくりした肺から絞り出されたような、そんな音。
「あ、あずにゃん?」
ぴたっと動きを止めてしまった私に、唯先輩が心配そうな声を上げる。だけど、今の私にそれに答えるような余裕なんて欠片も存在しなかった。
いつだったか、確か憂が言ってたっけ―お姉ちゃんの膝枕、すごいんだよ。天国ってあんな感じかなって思えるくらい―確かそう微笑みながら話してくれた。
そのときの私はいつもの憂フィルターだと思って、笑い流していたんだけど―今それが大げさでもなんでもなく、ただ事実を述べていただけだと思い知らされた。
―何これ…私、こんなの知らない…
ふわりと、まるでマシュマロみたいな柔らかさと暖かさ。タイツ越しとは思えないほどの、しっとりとした心地よい肌触り。ふんわりと鼻腔をくすぐる優しい匂い。
その全てが私の意識を溶かそうと包み込んでくる。包み込まれて、絡め取られて、もう一歩たりとも逃げられなくなってる。
むしろ、自らその中に飛び込んでしまおうとしているような―ううん、そのままなんだろう。
私の手は知らない間にぎゅっと唯先輩の腰に回されていて、僅かな距離さえもその間に許さないようにってぎゅっとしがみついている。
「ふふ、あずにゃ~ん…」
先輩の甘い声が、鼓膜を撫でる。とんと背中に手を当てられて、体がぴくりと震える。何だか、すごく敏感になってる。
ふいっと、頭頂部に近付く気配。先輩の手だ。いつも私がそうしているように、私の頭を撫でようとしているのか。
駄目、今そんなことまでされたら―私。
内心、必死に嘆願するものの、先輩の手は止まってくれるはずもなく、それどころか私の体も動いてくれなくて。
ふわりと優しく、先輩の手が私の頭に触れた。
「にゃ…あ…」
耐え切れず、そんな声が漏れる。まるで猫みたいな声。
「ふふ、あずにゃん、猫さんだね~」
なでりなでりと、先輩の手が私の髪を撫でていく。既に私はどうにかなってしまっていたけど、それは更に上へ上へと私を導いていくようで。
「にゃあ…」
また声が漏れる。私の意志に関わらず…ううん、ひょっとしたら私の気付かないその意志に沿うように。
猫みたいな声、ううんきっとそうなんだろう。こうしている私は、もうとっくに先輩の猫に、なってしまってるんだから。
そう、私は先輩の猫。ゴロゴロと喉を鳴らして、先輩の懐の中、頭をこすり付けて甘える猫。
―だから先輩、もっともっと可愛がってくださいね。
そうして私はもう一度、甘えるように小さな鳴き声を上げた。

ぽかんとこちらを眺めていた三人の視線に気が付き、死ぬほど後悔させられたのは余談ということにしておくけど。
ああもう、全部唯先輩が悪いんですからね!



すばらしい作品をありがとう