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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです
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420 :ゆいあずでちょっとしたはぷにんぐとか:2009/08/17(月) 22:16:20 ID:EF5T1D+Y
 現在、唯先輩の部屋で唯先輩と一緒にギターの練習をしている。
 ……のだけれど。
「唯先輩?」
 だんだんと唯先輩の演奏が下手になってる気がする。これならまだ部活でやってたほうが上手だ。
 不審に思って唯先輩の顔を覗き込んでみると――
「んぅ……」
 瞳が虚ろだった。
「ちょ、唯先輩?」
 よく見てみると、顔も少し赤くなってて、上半身もなんだかふらふらしている。
 私の呼びかけにも気付いていないみたいだしこれは……。
「ちょっと失礼しますよ」
「んぁ?」
 ずい、と顔を唯先輩に近付けると、唯先輩はようやく私に気付いたみたい。
 少し驚いた風に体を捩って、私から離れようとする。
 私はそれを許さずに、唯先輩を掴もうと腕を伸ばし――
『ガンッ』
「っ……!」
「きゃっ!」
 足元の荷物に足を引っ掛けてしまい、二人して唯先輩の後ろのベッドに倒れこんでしまった。
 両腕を支えにしてどうにか唯先輩を下敷きにしないようにはできたけど……。
「うぅ……」
「……」
 視線の先には、小動物のように体を震わせている唯先輩。頬を紅潮させ、潤んだ瞳で私を見ている。
「あずにゃん……」
 小さく震える唇から私の名前を呼ばれる。
 頬を更に赤く染めて、瞳を閉じ、何かを期待するように唇を突き出している。
「ゆい、せんぱい……」
 私は、それに応えるために唯先輩の唇に自分の――
「――って、ちがあああああああああああああああああああああああああああう!!!!!」
「うひゃあ!?」
 わた、私は何を……! い、いきなり唯先輩にききき、キスしようなんて……。
 いくらなんでも唐突過ぎる! 初めてはもっといい雰囲気のときに――ってまた何考えてるの!?
 どきどき。
 胸の鼓動が速くなる。きっと今の私の顔はすっごく赤くなってるんだろうな……。
「あずにゃん、急にどうしたの……?」
 と、気付かれないように何度も小さく深呼吸をしていると、唯先輩に後ろから声をかけられた。
 最後にもう一度深呼吸をして、もう大丈夫だということを確認してから唯先輩に振り返る。
「どうしたもこうしたも……」
 ありませんよと続けようとして、唯先輩の様子に、はっとする。
 顔は相変わらず赤いままだし、焦点も合ってない。息も少し荒いし、これはやっぱり……。
421 :ゆいあずでちょっとしたはぷにんぐとか:2009/08/17(月) 22:17:04 ID:EF5T1D+Y
「唯先輩、動かないで下さいね」
 今度は先にそう断ってから、唯先輩に顔を近付ける。
 ……さっきみたいなことがまた起こるかもしれないから。
 思い出してまた赤面しそうになるのを堪えながら、唯先輩のおでこと私のおでこをくっつける。
『ぴと』
 ……うん、やっぱり熱い。
 これは間違いなく風邪を引いちゃったのかな。どうせまたクーラーをガンガンに付けて寝たんだろうけど。
 お互いのおでこを引っ付けたまま唯先輩に声をかける。
「先輩、やっぱり熱が――」
 それ以上言葉を紡げなかった。
 なぜなら――
「えへへ、キスしちゃった」
 唯先輩に唇を塞がれてしまったから。
「な、ななな何してるんですか!?」
 びっくりして唯先輩から飛び退く。
 そんな、いきなりだなんて……。心の準備ってものがあるでしょう。
「だって、さっきあずにゃんがしてくれなかったんだもん」
「あ、あれは――」
 だめだ、心臓がものすごい勢いで鼓動して、体温が急上昇してる。
 たぶん今の私の顔は茹蛸状態になってると思う。
 顔から火を噴くなんてレベルじゃない。もう顔が火になってる。
 こんなに恥ずかしいのは初めてだ。
 そのくせ唯先輩はあんまり恥ずかしく思ってなさそうなのが腹立たしい。
 私にこんな恥ずかしい思いをさせておきながら自分は平然と笑ってるなんて……唯先輩らしいか。
「嫌だった?」
「嫌とかそういう問題じゃ――ああもう!」
 このままじゃずっと唯先輩のペースだ。何か誤魔化せるものは……。
 探していたものは目の前にいた。そもそもこんなことになったのもこれが原因だ。
「唯先輩、風邪引いてるんですからベッドで横になってたほうがいいですよ」
「ん……そういえば、なんだかぼーっとするね……」
 と、今更風邪を引いていることに気付いたような唯先輩。
 ふらふらとしながらベッドへと歩いていく。
 見ていて危なっかしいから私も手伝ってあげることにした。
「ほら、唯先輩こっちですよ」
「ん~」
 唯先輩の手をぎゅっと握って、ベッドまで連れて行き、そのまま横に寝かせてあげる。
「い~つもすまないねぇ」
「それは言わない約束でしょ」
 布団をかけて、唯先輩の頭が枕に乗ったのを確認してから、ベッドから離れる。
「あずにゃん、私とのキスどうだった?」
「さあ、どうでしょうか」
「え~? 教えてよ~」
「はいはい。元気になったら教えてあげますよ」
 最後に唯先輩の髪の毛を軽く撫でてから、氷を取りに台所へと向かう。
 道中、まだ少し唯先輩の感触が残っている唇を、人差し指でなぞってみる。
 ……今度は、私から――



Fin