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138 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:37:47.97 ID:WsrCkFz70
【ぱんでみっく!】

夏休みも終わり、唯達は久しぶりの放課後ティータイムを楽しんでいた
そして、5人は相も変わらずテーブルの周りに座っている
ただ、いつもと違うのは、ワンセグケータイがテーブルの端に置かれ、5人がそれを見ていたことだ

「新型インフルエンザ…ついにやって来たな」
「夏休み前も結構騒がれてたけど、この県ではまだ感染者が出てなかったからな」

ワンセグから流れるニュースでは新型インフルエンザが再び勢いを取り戻しつつあることを伝えていた
そして桜が丘高校のある県で、ついに感染者が確認されたことも…

「夏休み中に旅行に行く人も多かったみたいですし、感染拡大は不思議なことではないですよね」

梓がティーカップをテーブルに置きながら、つぶやいた


141 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:40:31.04 ID:WsrCkFz70
「まぁ、無いとは思うが…みんな体調は大丈夫か?」

澪が4人に尋ねる

「ピンピンだぞっ」
「私もです」
「相変わらずですわ」

クシュン!と、かわいらしいくしゃみが聞こえた

「みおちゃん…ティッシュ無いっ?…ずるずる」
「うわぁあっ!!!!」

4人は一斉にテーブルから離れた


142 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:42:10.15 ID:27i397QL0
「唯!近づくなっ!近づくなよっ!」

律が首をふるふると横に振りながら後ずさりする

「ほら、ティッシュ、受け取れっ!」

澪がポケットティッシュを投げた
唯が受け取るのを確認してから口を開いた

「今、保健室の先生に知らせてくる。そこを絶対に動くなよっ。みんなもここから出ないこと」
「へっ?…ずるずる」
「みなさん、マスクをどうぞ」

どこから持ってきたのか、ムギが4人にマスクを配り始めた

「唯ちゃんも、つけてください」
「唯先輩、パスですっ」
「ほいほいっ!…ずるずる」

梓からのマスクを受け取り、唯もマスクを装着した
澪は音楽室から出て行った


143 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:43:40.04 ID:27i397QL0
10分後、澪が戻ってきて音楽室の隔離閉鎖が決まったことを伝えた

「とりあえず、校内放送が流れるまで待とう」

さらに10分後、放課後まで在校している全生徒の強制下校を校内放送が伝える
ただし、軽音部5人は音楽室の中にしばらく待機。とのことである

「私たち、ここから出れないんですかっ?」
「梓、落ち着け。少しの辛抱だ」
「そもそも唯が新型インフルエンザって決まったわけじゃないんだし…」
「日本は対応が大げさですからねぇ」

ムギが苦笑した


144 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:45:18.76 ID:27i397QL0
「そうだよなぁ、そんなに毒性も強くないって言うし…」
「だけど感染力は結構強いし、突然変異とかしたら、大変だからな」

澪は窓の外を見ていた
校門から続々と生徒が下校を始めていた。みんな心なしか早歩きしているようだ

(まさか、ここから出れないことはないよな…)

澪は嫌な予感がしていた


145 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:46:28.22 ID:/STFE0fq0
「えーつ!!!???」

5人はさわ子の言葉に耳を疑った

「何度も言うけど、あななたちは一週間ここで生活してもらうことになるわ。状況によってはもう少し早くなるけど」
「そんな…お風呂とかどうするんですかっ!?着替えとかも…」
「それはこっちで用意するから。お風呂は…シャワーぐらいならなんとかなるかも」
「着替えがコスプレってのは、止めてほしいな」
「あ、バレた?」
「さわちゃん先生…ずるずる」

さわ子は軽音部の顧問として5人に状況を説明しに来ていた。もちろんマスクをつけてドア越しだが



146 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:49:19.27 ID:SOzvuzF10
「唯ちゃん、あなたはとりあえず血液検査があるそうだから、お医者さんが到着したら呼びにくるわ」
「え…ちゅうしゃするのぉ?…ずるずる」

唯は目をうるうるさせ始めた

「大丈夫よ。痛くないから。検査結果によっては、すぐにでもここから出られるわ」


148 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:51:59.24 ID:iTBkjy/i0
さわ子が帰っていった後、音楽室には重たい空気が残った
律がハッと気づく

「そうだ、親とかに連絡取らないと」
「一応本人から電話しないと、まずいですよね」

5人はそれぞれ携帯を取り出し、電話をかけ始めた

「もしもし?うい?今日帰れないかもしれないんだっ…ずるずる」
『おねーちゃんっ!?心配してたんだよっ!急に放送が流れて…』

憂は涙声になっていた。よっぽど心配だったのだろう



149 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:52:43.74 ID:iTBkjy/i0
「きっと帰るからねっ!うい!…ずるずる」
『家のことはまかせて!待ってるからねっ、おねーちゃんっ…』
「じゃぁ、また電話かけるからね。とりあえずバイバイっ…ずるずる」

唯電話を切ると同時にドアをノックする音が聞こえた

「唯ちゃん、お医者さん来たわよ」

150 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:53:32.86 ID:iTBkjy/i0
唯は音楽室を出た
ドアの目の前には、さわ子と若い感じの医者が待っていた

「平沢さん、ですね。ちょっと血液を調べさせてもらいますね」

医者もまた、マスクを付けていた

「腕まくってください」

(こわいよぉ…)

唯の心配もどこ吹く風、あっという間に血液採取は終わってしまった

151 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:56:50.91 ID:iTBkjy/i0
「ありがとうございます。すぐに検査を始めたいと思います」
「お願いします」
「結果が出次第、すぐにお伝えします。つらいでしょうが、頑張ってください」

そう言って、医者は階段を降りて行った

「陰性だって信じてるわ。もう少しの辛抱よ、頑張ってね」

唯は音楽室に戻り、さわ子も階段を降りていった


152 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 16:57:53.33 ID:iTBkjy/i0
6時を過ぎた。段々辺りが暗くなってくる

「なんつ~か、暇だよなぁ」
「練習、しますか?」
「はは、この状況で?」
「ですよねぇ…」

5人は意外なほどにくつろいでいた。マスクをしている以外は普段と変わらない

「さすがに、腹減ってきたよなぁ」
「あ~い~す~…ずるずる」
「全く…誰のせいでこうなったと思ってるんですか、唯先輩っ」
「だってぇ…」

お互いの目しか見えないので、感情が伝わりにくい。5人はそれを薄々感じていた
梓を澪が諭す

「まぁ、落ち着け梓。そろそろ検査が終わるころだろうし…」


153 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:00:17.47 ID:iTBkjy/i0
『コンコン』

ドアをノックする音が聞こえた
さわ子の声も聞こえる

「唯ちゃん、来てもらえる?」
「はいっ」

唯は音楽室を出て行った
残された4人は唯の帰りを待った。だが、中々帰ってこない

「どうしたんだろう…」

ムギの眉はさっきからげんなりしている

「もう1時間以上待ってるんだぞ、何かあったとしか思えない…」

さすがの澪も冷静さを失いつつあった


154 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:01:38.12 ID:iTBkjy/i0
その時、ドアの向こう側から声が聞こえた
さわ子の声だ

「ちょっといい?」
「さわちゃんっ!遅いよっ!」

律がはやしたてる
少し間を置いてさわ子の声が聞こえた

「実はね、唯ちゃんなんだけど…」

その声は震えていた

「さっき、近くの病院に搬送されたわ。突然倒れてしまったの」

音楽室の中の4人は凍りついた

155 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:02:48.57 ID:iTBkjy/i0
「えっ…?」
「思ったより病状が進行していて…結果は陰性だったのに」
「私たちは出れるんですか?出れないんですか?」
「みんな、落ち着いて聞いてちょうだい」

嫌な間が空いた

「『突然変異』よ。毒性が強くなって、なおかつ現状の検査にも引っかからないの」
「それってつまり…」
「私たちはここから出られないってこと!?」
「……」

音楽室の中からはすすり泣く声が聞こえ始めた

「さわちゃん、嘘だよね?さわちゃんは私たちをここから出しに来てくれたんだよね?」
「……ごめんなさいね」
「え?さわちゃん!さわちゃんっ!?」

すでにさわ子はいなかった


156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/18(火) 17:02:48.82 ID:XrR/bOx90
なん……だと……?

157 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:05:23.82 ID:iTBkjy/i0
もちろん、音楽室のドアには鍵がかかっており、出ることはできない

「死にたい…」

澪はぽつりとつぶやいた

「どうして?どうしてこうなった!!どうしてこうなったぁああああああああっ!!」

律は叫び始めた

「止めてくださいっ!」
「…あずさ?」
「澪先輩、律先輩、みっともないです!今ここで混乱してもしょうがないですっ!」

梓もまた、目から涙を流していた

「今、ムギ先輩が外部に連絡をとってます。私たちがここから出れないのには何か裏がありそうなんですっ」

ムギは斉藤に電話をかけていた


158 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:10:12.97 ID:iTBkjy/i0
「斉藤、何か分かった?」
『お嬢様、お友達はもしかしたら重大な事件に巻き込まれてしまった可能性がありますぞ』
「唯ちゃんが事件に?どういうこと?」
『実は、某国がひそかに開発していた細菌兵器のカプセルが、誤って加工食品に
混入してしまった、という情報をつかみました。確実なものではないのですが』

ムギは驚き、思わず声を上げた

「もしかして、それを食べてしまったというの?そんなことがあり得るの?」
『どうやら、カプセルは普通の医薬品に偽装されていたらしく、それが返って裏目に出たようです』
「唯ちゃんは大丈夫なの?」
『我々も搬送先を調べているところなのですが、なかなか情報が出てきません。これはどうやら相当大きな組織がうごめいている様ですぞ』
「ということは、さしずめ私たちはモルモット扱い、という訳ね…」

ムギは怒りで拳を握りしめた


159 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:12:14.67 ID:iTBkjy/i0
『お嬢様を人体実験に使うとは…斉藤断じて許せませぬ!きっとお救いいたしますぞ!』

どうやら斉藤も相当怒っているようだ

「どうやら、本格的にここを隔離するみたいね」

ムギは窓越しに校門から入ってくる謎の集団を確認した

『お嬢様、かくなるうえは突入も…』
「待って斉藤、私たちにだって考えはあるわ」
『しかし、お嬢様・・・!』
「この電話も盗聴されている可能性があるわ、一旦切るから」

そう言ってムギは電話を切ると、鞄からもう一台の携帯を持ってきた
梓がそれに気づく


160 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:14:40.34 ID:iTBkjy/i0
「見慣れないケータイですね」
「えぇ、まだ発売も発表もされてない実験機よ」

コトブキグループが開発している新型携帯は、新たに開発された電波送信方式により
これまでにない高いセキュリティを保持していた。電波傍受をすることはまず不可能だ

「もしもし、斉藤、聞こえる?」
『音声明瞭でございます、お嬢様。これなら電波妨害も電波傍受もなんのその、ですな』
「えぇ、そうね。じゃぁ、これからの計画を伝えるわ・・・ゴニョゴニョ」
『ゴニョゴニョ…了解いたしました。では準備ができ次第、また掛けさせていただきます、お嬢様』

そう言って斉藤は電話を切った
そして待機していたコトブキグループの新型携帯開発グループに伝えた

「これから、お嬢様の端末からここの高速回線で世界中のネットワークに接続する!急いでくれ!」
「了解しました」


161 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:17:07.26 ID:iTBkjy/i0
研究員たちはすぐにキーボードを打ち始めた
コトブキの中枢であるスーパーコンピューター『KOTO-PC』に接続するためだ
『KOTO-PC』の力を使い、唯が搬送された病院を探し当てるとともに、世界中へ動画を配信をする準備をしていた

「ターゲットの移動先がわかりました!」
「どこだ?」
「現在、成田空港に入ろうとしています」

斉藤にはおおよその見当がついていた
唯はおそらく国外に連れて行かれ、実験データを取ったのち、抹消されることは想像に難くない

162 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:20:26.60 ID:iTBkjy/i0
「…そういうことか。よし、一時的に成田の全システムをダウンさせてくれ」
「了解です」


数秒後、成田空港の全システムがダウンした。これで飛行機は飛ぶことができない

「システムが復旧するまでの時間は約30分です。その間に何とかしてください」
「わかった。よし、特務班はすぐに向かってくれ」
『了解です』

斉藤は無線ですぐに指示を出すと、ムギに電話をかけた


163 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:22:15.12 ID:kzePfTvg0
「もしもし」
『斉藤でございます。お嬢様、準備完了でございます』
「でかしたわ、斉藤!それじゃ、今から撮り始めるからね」

ムギは携帯を構え、他の3人はテーブルの後ろに座っていた
ちょうどニュースタジオのような有様だ

「ちょ、ちょっと緊張するな…」
「大丈夫ですよ澪先輩。きっとうまくいきます!」
「あたしたちを閉じ込めた罰、思い知らせてやるっ!」

ムギがカウントを始める

「いくわよっ!3、2、1、スタート!」

その時、突然ドアが開いた

「そこまでだっ!」

164 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:26:11.87 ID:kzePfTvg0
同じ頃、成田空港

「ふぁ~ぁ。あれ?ここどこ?」

唯は車の中で寝ていたようだ。自分の記憶をさかのぼってみる

(えっと、音楽室からさわちゃん先生と二人で階段を降りて…そうえいばさわちゃん先生すごいおどおどしてたような・・・)

音楽室を出た時、唯は気付かなかったがさわ子の他にもう一人の男がいた
そいつはさわ子に銃を突きつけていた

「おい、変な行動起こしたら遠慮なく撃つからな」
「ひぃっ」
「別にお前なんていてもいなくてもこっちの計画に当たり障りなんてねぇンだ。死にたくなければ言うとおりにしてろ」

さわ子は脅されていた
その後、さわ子、唯はそれぞれホルマリンで眠らされてしまい、ここに連れてこられたのである

「うひゃ!なんか足が突き出てるっ!」


167 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:30:57.17 ID:kzePfTvg0
奥のトランクの部分から足が突き出ていた。ヒク、ヒク、と小刻みに動いている
覗き込んで見ると、それがさわ子の足であるということが分かった

「さ、さわちゃん先生っ!?」
「ん~…たすけて~」

さわ子は両腕を縛られていた。すぐさま唯がほどく

「助かった…今回はホントにヤバいと思ったわ。ありがとね、唯ちゃん」
「なんでさわちゃん先生はここにいるの?」
「連れてこられたのよ、あなたと一緒に」
「そういえば、ここどこ?」
「外見てみなさい」

そう言われて唯は窓越しに外を見てみた。飛行機がたくさんとまっている

168 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:32:36.67 ID:kzePfTvg0
「…くうこう?」
「そうよ、ここは成田空港。どうやら私たち国外に連れてかれるみたいね」
「さわちゃんはどうしてわかるの?」
「眠らされて、気を失う前にかすかに聞こえたのよ」

そう言ってさわ子は車の中を調べ始めた

「この車の中には、私と唯ちゃんだけね?」
「そうみたいだよ」
「なら…チャンスねっ!おりゃぁ!」

さわ子は思い切り車の窓を蹴破った

「ひぇえええ…」

唯はただただ驚いて唖然としていた


169 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:36:26.54 ID:kzePfTvg0
「時間が無いわ!とりあえずここから逃げましょう!」

2人は軽い身のこなしで、車から飛び出した

「ちくしょうっ!なんで全便が突然離陸できなくるんだ…ってあれっ!?」

残念ながら、気付かれてしまったようだ。何人かの黒ずくめの男たちが、こちらに駆けてくる

「待てっ!」
「待てと言われて待てるもんですかッ!!」
「うばっ!!」

さわ子は向かってきた1人を回し蹴りで吹き飛ばした


172 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:39:14.34 ID:kzePfTvg0
「よくも、騙して脅してくれたわね!覚悟しなさいっ!…と、言いたいところだけど、今は後回しよ」

そう言って踵を返して走り出した

「唯ちゃん、ついてきなさいっ!」
「ほほ~いっ!」

2人は駐車場の出口近くに向かって走り出した



173 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:40:16.21 ID:kzePfTvg0
出入り口付近には黒いセダンが1台停まっていた
よく見ると、助手席からは腕が出ていて、その先には黄色いたくあんがつままれていた

(あれは、ムギちゃんの…!)

2人が近づいてくると、後部座席のドアが自動で開いた
たくあんをつまんでいた男が叫ぶ

「お嬢様の命で参りましたッ!急いで乗ってくださいッ!」

2人は後部座席に転がり込んだ


176 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:42:48.98 ID:kzePfTvg0
「ハァハァ…あ、ありがとう…ところでどこへ向かうの?」 
「お嬢様のおられる場所…桜が丘高校です」

助手席の男が追手を撒くために、たくあん型の煙幕弾を投げながら答えた

「今、お嬢様を含めた4人の方々は悪事を暴いておられるはずです。ですが…」
「え、だ、だいじょうぶなのっ!?」

思わず唯が声を上げる

「数分前に、連絡が途絶えたのです」
「そ…そんなっ…!」
「現在、斉藤を含めたコトブキの精鋭が向かっております」
「ムギちゃん、りっちゃん、みおちゃん、あずにゃん…」

車に揺られながら、唯は不安でいっぱいになった


178 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:46:12.23 ID:kzePfTvg0
再び音楽室

「そこまでだっ!」

4人は固まってしまった。無理もない、銃を突きつけられたのだから

「君たちは大きな勘違いをしている。これは遊びではないんだぞ?」

細長い眼鏡をかけた男が、銃を突き付けたまま話し始める

「この問題は国家間レベルの問題なんだ。黙っていれば帰れたものを…」
「あなたたちが恐ろしい細菌兵器を作っているのは分かっているのよ!」

ムギが男の言葉を遮る

「…少し黙れ」

銃声とともに、ムギは倒れた


179 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:48:59.91 ID:kzePfTvg0
「ムギっ!大丈夫かっ!」

律がムギの元に駆け寄る
澪はすでにへたり込んでいた

「だ、大丈夫ですわ。少しかすっただけよ」
「お、お前っ!ムギになんてことを!」
「まったく…突然恐ろしいことを口に出すお嬢様だ。どこからその情報を仕入れたッ!?」

律の言葉を無視して、男はムギに怒鳴る

「ふ…図星のようね」
「ふん、ほざいているがいいさ。ここにいないお友達も悲しんでるぞ。みんな殺されちゃうってなぁ…ハハハ」
「お、お前…唯がどうなったのか知ってるのか!?」

律がはっとして尋ねる


182 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:52:07.62 ID:kzePfTvg0
「ホントに病院送りになったと思ってるのか?」
「じゃあ、まさか…」
「大丈夫だ、殺してはいない」
「それなら、どこへ…」
「そうだな…もうこの国にはいないだろう」
「な…どいうことだ!?」
「まぁ、存在を抹消しなけりゃならんからな。それにデータも取らなければならない」
「お前ッ…!唯をなんだと思ってるんだ!」

思わず律は男につかみかかろうとする
だが、銃口を突き付けられ、動けなくなってしまった

「残念だが、お前らの存在も抹消することになったんだよ」
「…!」
「秘密をここまで知られちゃしょうがない。残念だが、この学校と共に消し飛べ」

その時、ムギが叫んだ

「たくあんッ!」


184 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:55:57.58 ID:kzePfTvg0
一瞬、音楽室を静寂が包んだ

「…は?」

男は何が起きたか分からないようだった

「おしまいよ。何もかも」
「何言ってんだオマエ。頭おかしくなったのか?」

男はムギを鼻で笑う

「残念だけど、あなたが部屋に入ってきてからの会話、すべて録音させてもらったわ」
「…それで?」
「今の合図で梓ちゃんが送信したわ。世界中のネットワークに」

男は笑いだした


187 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:58:14.33 ID:kzePfTvg0
「ハッハッハッハツ…!これは愉快だ!」
「あら、どうして?」
「無駄だよ。ここら一帯にはすでに妨害電波が飛んでる。通信なんか出来るわけないだろ」
「じゃ、これは?」

そう言ってムギは携帯を突き出した

『お嬢様!今到着いたしましたぞ!』

携帯の画面には斉藤が映っていた
男は言葉を失った

「そ…そんなバカな」


188 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 17:59:54.99 ID:kzePfTvg0
「お嬢様ーッ!!」

入口から斉藤が飛び込んできた

「なッ!?」

男は振り向く間もなく、斉藤に蹴り飛ばされた

「うがっ!」
「貴様ッ…!お嬢様に銃を突きつけるとは言語道断ッ!」

すかさず斉藤は男の胸倉を掴んで持ち上げる


190 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:03:50.66 ID:kzePfTvg0
「うぐぅっ…ッ」
「今ここで無き者にしてくれようッ!」
「待って、斉藤!」
「しかし、お嬢様!」
「私は無事よ。それより、唯ちゃんはどうなってるの?」
「はっ!只今確認いたしますっ!」

そう言うと、斉藤は男の両腕を縛り上げ、無線機を取りだした

「こちら斉藤だ。そちらの状況を教えてくれ」
『任務完了です。只今そちらに向かっています』
「…ということでございます。お嬢様」
「よ、よかったぁ…」

思わず4人の表情がほころんだ


192 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:07:29.35 ID:kzePfTvg0
「下にいた奴らは、全員捕えました!」
「そうか、御苦労」

斉藤は報告を受けていた。どうやら、すでに学校はコトブキによって制圧済みのようである
梓が送った録音は、たちまち世界中のネットワークに広まっていた

「おいっ!これは凄いニュースだぞっ!」

たちまち世界の報道機関がこの出来事を取り上げた
無論、日本のメディアも取り上げ、警察も数分前には桜高に到着していた

「あとは、警察に任せましょう」
「えぇ、そうね」

コツコツ…
5人が音楽室の入口を見ると、そこには懐かしい2人の姿があった


193 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:09:49.41 ID:kzePfTvg0
「む、ムギちゃぁん!」

唯はムギに抱きついた

「大丈夫だった?」

ムギは唯の頭を撫でる

「し、心配してたんだぞっ」
「ゆいっ!生きていて何よりだっ!」
「唯先輩…」

みんな、目に涙をためている

「うんっ!さわちゃん先生がすっごく強くて、悪い奴らをみんなやっつけちゃった♪」
「やだ、照れるじゃない…」

さわ子は少し顔を赤らめて言った



194 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/18(火) 18:12:22.53 ID:kzePfTvg0
「こんなことに巻き込まれるなんて…ホントついてないわ」
「お互い様でございます」

斉藤がさわ子の肩に手をのせる

「学校の方での後処理、お願いいたします」
「分かったわ。しっかし…細菌兵器を開発していた秘密結社がいたとはねぇ…」
「裏社会とは、そんなものでございます」

そう言って、斉藤は階段を降りて行った

「結局、唯はインフルエンザだっのか?」
「ええっとね・・・」

澪の問いに、さわ子が言葉を濁らす
だが、唯があっさりと答えてしまった

「ただのカゼだったよ♪」

5人はずっこけた

Fin