296 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:10:13.09 ID:p4Rvw9hH0
【けいおん×春合宿】
第3話「決戦!10GIA」
5人はいきつけの楽器屋『10GIA』に来ていた
「わ~ギターがいっぱいだ~」
「唯はここにくるといつもそればっかだな」
「ちょっと店内のレイアウトが変わったみたいですね」
「あ、キーボードのコーナーが大きくなってる」
そこには大小さまざまなキーボードが並べてあった
思わず紬が手を触れる
「あっ、すごい面白そうなシンセだわ」
色々なボタンをカチカチと押しながら様々な音色を鳴らしていた
「すご~い!ムギちゃん」
「やだ、照れちゃう」
「お~い、唯!弦張り替えてもらうぞぉ」
「あ、は~い!」
澪に呼ばれてギー太を抱えて唯はレジの方へと駆け出した
「お願いしま~す」
「かしこまりました」
(あ、この前と同じ店員さんだ♪)
297 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:11:00.78 ID:p4Rvw9hH0
唯は今度は律に呼ばれた
「唯っ、新しい楽譜見に行こうぜっ」
「おっけい!」
「おい、澪も行くぞっ」
「じーっ・・・」
「ま、またかよっ・・・」
「やっぱ、これ欲しいな」
「だーっ!もう持ってるじゃんかっ」
律は面倒くさそうに頭をもしゃもしゃかきむしる
「・・・欲しいものは欲しいんだよっ」
「あら・・・澪ちゃん、それ欲しいの?」
「げっ、さわちゃんっ!?」
なんということだろう。さわ子もここに来ていたのである
300 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:13:16.67 ID:p4Rvw9hH0
「今日はよく会うわね」
「そ・・・そうですね」
「澪ちゃん。あたしとゲームしないっ?」
「げ、ゲーム!?」
「そう、あたしとギター勝負」
「てか、ギター弾けないし・・・」
澪はチラッと唯のほうを見た
「ギター弦の張替え中だよっ・・・」
唯はおろおろしている
「あ、あたしが勝負しますっ!」
梓が声を上げた
「いいわよ、ただし、条件があるわ・・・」
「ゴクリ・・・」
5人は生唾を飲み込んだ
301 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:14:20.00 ID:p4Rvw9hH0
「買ったら、顧問として澪ちゃんの欲しいそのベースは買ってあげるわ。でも・・・」
「でも・・・?」
「負けたら、私のコスプレ趣味に一切口出し禁止!さらにおさわり自由化ッ!!」
「ひいッ!」
「梓・・・大丈夫なのかっ?」
律が顔をひきつらせながら梓に尋ねる
「だ、大丈夫ですっ!」
「あ~ら、無理しなくてもいいのよ」
「み、澪先輩のためですっ!頑張りますっ!」
「きまりね」
さわ子は指を軽く鳴らした
303 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:15:56.05 ID:p4Rvw9hH0
「勝負はギターソロ勝負よ。審査員はこのお店の店員さん」
「ギターソロ勝負・・・?」
「審査員の心をより強く突き動かした方の勝ちよ。どう?面白そうでしょ?」
「いいです。やってやるですぅ!」
さわ子は店内のギターをぐるりと見回すと、そばにあった1本を取った
「これで・・・勝負よ!」
「望むところですぅ!」
梓も背負っていたギターをケースから出した
店員がそれぞれのギターをアンプにつないだ。準備完了だ
「じゃんけん、ぽん!」
「あ、負けたですぅ」
「勝った~♪じゃ、あたしからね」
さわ子はギターを構えた。店員から拍手が起こる
「おりゃぁあああああああああ!!」
恐ろしく早く手が動いている。とんでもない速さで音階を上ったり、下がったり・・・
息をつかせる暇もなかった
「ふっ、こんなもんよ」
305 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:17:36.35 ID:p4Rvw9hH0
店員も唖然としてしまって、少し間を置いてからぱらつくように拍手が起こった
「す・・・すごい技術だ・・・」
「じゃ、次は梓ちゃんの番ね」
そう言ってさわ子は梓の方を見た
「じゃ、い、いくですぅ!」
震える声で梓がギターを構える、。拍手が聞こえた
(澪先輩、私の気持ち、聞いててくださいっ!)
「えーいっ!」
驚いたことに、梓もさわ子に負けず劣らずの素晴らしいテクニックを披露し始めた
唯は驚きのあまり、開いた口がふさがらない
(あ、あずにゃん、いつの間にこんな練習を・・・)
梓が弾き終えると、これまた間を置くようにして拍手が起こった
306 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:19:10.47 ID:p4Rvw9hH0
「し、シンキングタイムです」
店員たちは相談を始めた。2人とも予想外にうまかったので、慌てているようだ
ムギが澪に耳そばで話しかける
「もし必要なら、ひとこえいれましょうか・・・?」
「いや、その必要は無いみたいだぞ」
店員たちは相談を終えたようだ
「は、発表します!」
(ドキドキ)
5人の胸が一斉に高鳴る
「2番の勝ちです!」
「やったぁああ!!!」
5人は一緒に飛び上がった
「そ・・・そんな・・・」
さわ子は地べたにへたり込んでしまった
307 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:20:41.47 ID:p4Rvw9hH0
「ど・・・どうして?」
「気持ち。ですよ」
「気持ち?」
「そう、気持ちです」
店員が教えてくれた
「確かにあなたの演奏も技術的に見れば異常なほど凄いものでした」
「そ、それなら・・・」
「でも、後の子の演奏には、気持ちが感じられました。そう、とても強い心の思いが演奏の中に感じられたんです」
「・・・思い、か」
「でも、うらやましいですよ、あんなにうまい生徒さんがいるなんて」
「そ、そうですか?」
「桜高の軽音楽部は昔からうまいと聞いていましたが、ここまでとは・・・」
「あら、嬉しいわ」
にっこりと微笑みながら、さわ子は過去の自分を思い出していた
308 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:22:12.27 ID:p4Rvw9hH0
「ベースですが、少しならお値引きいたしますよ?せっかくいい演奏を聞かせてもらったんですし」
「えっ、ホント?」
「えぇ、また機会があったら演奏を聞かせてください。店員一同お待ちしておりますから」
店員はペコリと頭を下げた
結局、澪の欲しかったベースは半額になったのである
「あ、ありがとな、梓・・・」
「そんな・・・澪先輩のためなら、このくらい・・・」
「私は何よりあんなにうまくなっていたことに感動したよ。本当に頑張ったんだな、エライぞ」
澪は梓の頭を優しくなでた
(あぁ・・・澪先輩、幸せですぅ)
309 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 22:24:08.40 ID:p4Rvw9hH0
さわ子がレジからベースを持ってやってきた
「ほら、澪ちゃんっ、あなたの欲しかったベースよ」
「ありがとう、さわ子先生」
「ちゃんと大切にしなさいよ」
「はい。・・・その、さわ子先生」
「何よ?」
「コスプレとか・・・結構気に入ってますから。恥ずかしいけど・・・」
「じゃ、これからもヨロシクぅ!」
さわ子の切り替わりの早さに、5人は唖然とした
「結局コスプレするんかいっ!!」
こうして澪は新しいベースを手に入れたのだった
最終更新:2009年08月19日 23:02