126 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:16:46.85 ID:II/RIJOO0
【ホントの顔】
ある昼下がりのことだった。
「~♪」
「あれ、唯先輩、口笛吹けたんですか?」
梓は驚いた。唯が口笛を吹いているところなんて、聞いたことが無かったのだ。
「あっ、あずにゃんっ」
唯は驚いたようにして口笛を止めてしまった。
「先輩、どうしてやめちゃうんですか?」
「だって…恥ずかしいから」
唯は顔をほのかに赤らめていた。
「怖がらずに、もう一度やってみてださい」
梓が優しくねだると、唯はまた口笛を吹き始めた。
128 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:17:27.55 ID:II/RIJOO0
「~♪」
「このメロディ、どこかで聞いたことあります」
梓は唯にとなりにちょこんと座った。
「どこかで聞いたような、懐かしい感じ…」
心をくすぐられるような、そんな感じがした。
自然と梓は唯へよりかかっていく。
「はわわっ、どうしたのあずにゃんっ?」
「唯先輩って、ホントの唯先輩なんですか…?」
「えっ…?」
唯は梓の思いがけない質問に当惑する。
「人は誰でも隠れた顔を持っている」
梓は続けた。
「でも、一人きりになった時、本当の顔を見せる」
梓は唯をじっと見つめた。
「唯先輩は、見せてくれますか?」
130 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:18:25.02 ID:II/RIJOO0
「ホントの顔…かぁ」
唯はにっこりと笑った。
「あずにゃんには見せちゃおうかなぁ」
「えっ」
「冗談冗談。今見せてるのが本当の私。私のすべてだよ」
梓は唯に抱きついた。
「唯先輩っ、大好きですぅ」
唯は立ち上がった。
「ほら、もうみんな音楽室へ向かったよ」
階段登りながら、唯は梓に語りかける。
「さぁ、いこっ」
梓は階段から腰を上げた。
Fin
最終更新:2009年08月23日 06:49