116 名前: ◆PzD3ftv2xo [sage] 投稿日:2009/08/15(土) 21:41:33.02 ID:vMwSdrnzO
律「お、おいおい、忘れたフリなんて冗談キツいよ梓。」
梓「私の名前…なんで知ってるんですか?」
澪「なんでって、同じ軽音部のメンバーだし…。」
梓「けい…おん…ぶ?」
紬「私達の事…何も覚えてないの?」
梓「…すみません。」
唯「思い出してよあずにゃ~ん!」
梓「ひっ!」ドカッ
唯「き、嫌われた…。」シクシク

189 名前: ◆PzD3ftv2xo [sage] 投稿日:2009/08/16(日) 01:01:02.00 ID:0tlxwTK0O
澪「まあ、私達と一緒にいれば、何か思い出すかも知れないし、しばらくは放課後、音楽室に来るといいよ。」
梓「は、はい!よろしくお願いします!」キラキラ
紬(これはいい展開…!)ニコニコ
律「唯、スキンシップはしばらく自重しとけよ。」ボソボソ
唯「そうだよね、これ以上あずにゃんに嫌われたら、私立ち直れなくなっちゃうよ。」ボソボソ

442 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 00:57:51.58 ID:9ZiPfDJOO
翌日

梓「おはよー憂。」
憂「!?」
梓「どうしたの?」
憂「梓ちゃん、私の事覚えてるの?」
梓「当たり前でしょ?友達なんだから。」
憂「そ、そうだよね!ゴメンね、変な事聞いて!」

昼休み

憂「お姉ちゃん!」
唯「どしたの~憂?そんなに慌てて。」
憂「梓ちゃん、私の事ちゃんと覚えてたよ?本当に記憶喪失なの?」
唯「そっかぁ。じゃあ寝て起きたら思い出したんだよ、きっと!」
憂「そうなのかなあ…?」

放課後、音楽室

梓「唯先輩、律先輩、今日こそはちゃんと練習して下さいよ?」
唯律「………。」
澪「記憶、戻ったの?」
梓「え?」
澪「う、ううん。なんでもないよ。」

458 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 02:20:03.17 ID:9ZiPfDJOO
練習終了後

梓「私、ちょっと用事があるので、お先に失礼します。」
律「おう、お疲れさん。」
パタン
澪「…なあ、おかしいと思わないか?昨日の今日で記憶が戻るなんて事あるか?」
唯「だから~寝て起きたら思い出したんだよ。」
律「それは普通に忘れたってだけだろ。」
紬「……………。」

644 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 20:42:02.03 ID:9ZiPfDJOO
夕方、空き地前

梓「ここには…あるはずないよね。家がないんだし。」
澪「梓?何してるんだ?こんなとこで。」
梓「澪先輩、ここに家ってありませんでした?」
澪「家?…ああ、あったよ。四年前まではね。」
梓「火事…あったんですよね?」
澪「うん。住んでた人はみんな逃げ遅れて死んじゃったらしいよ。…ここの人と知り合いだったのか?」
梓「ええ、まあ。それじゃ、さようなら。」
澪「また明日な。」

660 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22:00:50.01 ID:9ZiPfDJOO
次の日の放課後、音楽室

梓「ここにもない…どこいっちゃったの…?」
紬「あら、梓ちゃん。何か探し物?」
梓「えっと、ピックを落としたみたいで…。」
紬「一緒に探しましょうか?」
梓「いえ、替えのピックがあるので、今日はそっちを使います。」
紬「そう。…本当は、ベースを探してたんじゃないの?」
梓「!? なんで、それを…!」

673 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22:24:39.91 ID:9ZiPfDJOO
紬「昨日の梓ちゃんの様子が気になったから、斎藤に調べさせたの。あの後、四年前火事にあった家の跡に行ったでしょ?」
梓「………。」
紬「あそこにも、ベースを探しに行ったのよね?…ミカさん。」
梓「………。」
律「うい~す。…どしたの?2人とも。」
紬「…いえいえ、今お茶を用意するわね。」
澪「おーっす。あ、梓。ちょっと聞きだい事が…。」
梓「………!」キッ
澪「い、いや、何でもない。」
律「どーした梓?」
梓「………。」プイッ

675 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22:42:26.43 ID:9ZiPfDJOO
律「おいムギ、梓のやつ機嫌悪いみたいだけど、何かしたのか?」ボソボソ
紬「私が来た時から機嫌が悪かったのよ。クラスで何かあったのかしら。」ボソボソ
唯「おいっす~!あずにゃん今日もかわいいね~。」だきっナデナデ
律(うわっ馬鹿!)
……………
梓 ほわ~
澪(機嫌直った!?)
紬(うふっ☆いいデジャヴ…。)ニコニコ

708 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 23:57:38.14 ID:9ZiPfDJOO
さわ子「みんな~!新しい衣装作って来たわよ~!」
律「燕尾服だと!?」
紬「執事ですね、分かります!」
唯「イエス、マイロード。」
澪「ま、まあ、コレなら…。」
梓「相変わらずだね、さわちん。」
澪「えっ?」
唯「さわちん?」
律「梓?一体どうし…。」
さわ子「…!ミカちゃん!?」
唯律澪紬「ミカちゃん!?」
梓「嬉しいなあ。ちゃんと覚えててくれたんだ。」
さわ子「忘れられるわけ…ないじゃない…!」

169 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 21:45:08.17 ID:rZLPtuREO
梓「もうすぐあえるんだ、ユキヒロに…!」
律「ユキヒロ?」
さわ子「ミカちゃんが使ってたベースよ。」
澪「なんか、唯みたいな子だな…。」
バタッ
唯「あずにゃん!」
梓「う…ん。あれ、ここは…音楽室?」
紬「大丈夫なの?梓ちゃん。」
梓「はい。…ミカさんに体を貸していたんです。」
唯「貸してた?」
律「なるほど、だからか。なんていうか、ちょっと違和感あったんだよな。」

171 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 21:50:04.97 ID:rZLPtuREO
2日前の夜、夢の中

梓「ここは一体…。」
??「はじめまして、中野梓さん。」
梓「誰…ですか?」
??「あたしはミカ。よろしくね。」
ミカ「無理矢理取り憑いたから、軽く記憶喪失っぽくなったでしょ?ごめんね。」
梓「記憶をなくしてた時の事を覚えてないですけどね。ところで、どうして私に取り憑いたんですか?」
ミカ「ユキヒロを探したいの。あ、ユキヒロっていうのは、あたしが使ってたベースの名前ね。」
梓「名前、あるんですか…。(唯先輩みたいな人だな…。)」

175 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22:02:48.85 ID:rZLPtuREO
梓「どうして私に取り憑いたんですか?」
ミカ「ちっちゃくて可愛いからつい☆」
梓(本当に唯先輩みたいな人だな…。)
ミカ「火事で死んじゃった後からずっと探してるんだけど、全然見つからなくて。」
梓「すごく思い入れがあるんですね、そのベース。」
ミカ「さわちんが一緒に選んでくれたものだからね。」
梓「さわちん?」
ミカ「山中さわ子って人。知ってるよね?あたし、さわちんと一緒にバンドやってたんだよ。その名もDEATH DEVIL!」

179 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22:15:42.89 ID:rZLPtuREO
梓「ああ…あの伝説の…。(さわ子先生の黒歴史…。)」
ミカ「あたしね、さわちんの事好きだったんだ。女性として。」
梓「あなたも女性だと思うんですけど。」
ミカ「女が女に恋して何が悪い!」
梓「す、すみません。」
ミカ「ユキヒロはあたしの宝物。だって、さわちんがあたしにぴったりだって言ってくれたんだもん。だから、もう一度ユキヒロに会いたいの。お願い、しばらく体を貸して?」
梓「分かりました。そこまで言われたら、断る訳にいかないし。」
ミカ「ありがと。」

189 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22:33:03.93 ID:rZLPtuREO
梓「…という事がありまして。」
紬「そうだったの。私てっきり悪霊かと思ってたけど、良い霊(もとい百合)なのね。」
唯「ね~ね~さわちゃん、ミカさんってどんな人だったの?」
さわ子「そうねえ…。」

回想

ミカ「山中さん、軽音楽って興味ある?」
さわ子「え?う、うん。」
ミカ「そうなんだ!じゃあさ、あたしが作るから入って!軽音楽部!」
さわ子「ええ!?そんないきなり…。」
ミカ「あ…いや、どうしてもって訳じゃないからさ。一応、考えといてよ。」

193 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22:58:59.75 ID:rZLPtuREO
ミカ「部を作るには最低4人必要…つまり君達が必要なんだ!という訳で、ミユキ、キョーコ、今日からよろしく!」
ミユキ「…ギターなら、やってもいいよ。」
キョーコ「強制かよ!別にいいけど。わたしドラムね。…って、言い出しっぺが楽器持ってないじゃない!どーすんのよ!」
ミカ「あと1人入ってから考える!」
ミユキ「しかも演奏出来ないし。」
ミカ「ぐっ…。」
キョーコ「歌声変だし。」
ミカ「ぐはっ。」
さわ子「あの、私、ギター弾けるから、入ってもいいかな?」

197 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 23:06:29.50 ID:rZLPtuREO
ミカ「おお!山中さん、入ってくれるのね!じゃあボーカルで。」
さわ子「ええ!?あ、あの、ギター…。」
ミユキ「弾き語りという、手がありますよ。」
キョーコ「あんたらねえ…。まあ、ボーカルは追々決めるとして。これでミカが使う楽器決まったわね。」
ミカ「え~と…カスタネット?」
キョーコ「ベースだよ!」

484 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21:00:16.72 ID:nx37/sPHO
回想、楽器店

ミカ「ベースって弦4本なんだ。…ピンからキリまでありますなあ。…むがああああ!1人じゃ分からん!」
さわ子「ねえ、コレなんかどうかな?」
ミカ「おお、いたんだ。気づかなかった。」
さわ子「今日はミカちゃんのベース選びに来たんでしょ。キョーコちゃんとミユキちゃん自分の楽器見に行っちゃってるけど。」
ミカ「まあ、キョーコは新しいスネア欲しいって言ってたし。ミユキは…。」
ミユキ「やっと、見つけた。」ウルウル
さわ子「まさか、迷子に…?」

491 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21:21:19.80 ID:nx37/sPHO
キョーコ「いや~、スネアだけのつもりが結局一通り新調しちゃった。販売戦術恐るべし!」
ミユキ「単にキョーコが、押しに弱い。それだけ。」
キョーコ「それは言わないお約束でしょ?」
ミカ「よし!次はあたしのベースを選ぶんだ!」
キョーコ「それはあんたが決める事でしょ?」
ミカ「そう言われてもよく分かんないし。あたし楽器初めてだし。」
さわ子「え!?楽器触った事もないのに軽音楽部作ったの!?」
ミカ「失礼な!ネコふんじゃったは弾けるから!」
ミユキ「すごく、遅いです。」
キョーコ「指一本じゃ弾けるとは言わないわよ。」
ミカ「あうち。」

513 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21:58:16.23 ID:nx37/sPHO
さわ子「私、コレがミカちゃんに似合うかなって思うんだけど。」
ミユキ「…ミカ、持ってみて。」
ミカ「う…重い…。」
さわ子「そっかあ…残念。じゃあ、他のに…。」
ミカ「コレ買う!」
キョーコ「でも、重いんでしょ?だったら…。」
ミカ「コレがいいの!コレにする!」
さわ子「ミカちゃん…。」
キョーコ「はいはい、分かったわよ。後悔するんじゃないわよ?」
ミユキ「また、押し負けた。」フフリ
キョーコ「うるっさい!」

547 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 22:35:57.41 ID:nx37/sPHO
回想、再び音楽室

キョーコ「へえ~!さわ子好きな人出来たんだ!」
さわ子「ちょっと、声が大きいよ!」
ミユキ「ここは、音楽室。防音、ばっちぐ~。」
さわ子「そういう問題じゃないよ!」
ミカ「よしさわちん、早速告白だ!レッツゴー!」
さわ子「ええ!?ちょ、ちょっとミカちゃん!!」
……………
キョーコ「どうなるんだろ…。」
ミユキ「ドキドキ。」
ミカ「お、来た来た。どうだった?」
さわ子「もっと…ワイルドな人が好きなんだって…。」
ミカ「ワイルド…ワイルドと言えば、メタル!よし、明日からあたし達軽音楽部は、メタルバンドをやるぞ!さわちんの幸せの為に!」
ミユキ・キョーコ「おー!」
さわ子「なんでそうなるの~!?」

567 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 23:08:50.11 ID:nx37/sPHO
……………

さわ子「とまあ、とにかく私に一直線な子だったわ。」
梓「きっと、よっぽどさわ子先生に惚れ込んでたんですよ。」
さわ子「私に惚れてたのか。…嬉しいけど、ちょっと複雑ね。」
紬「まあ、女子校ではよくある事ですわ☆」
澪(よくある事なのか!?)
律「んで、なんでさわちゃんがユキヒロ持ってんだ?」
さわ子「ミカちゃんちが火事にあう前の日にね、久しぶりにみんなで集まって演奏会しないか話になってね。」
さわ子「それでミカちゃん、ベースのメンテしてなくてさ、色々ヤバかったから私がメンテしてあげる為に預かってたのよ。その次の日にあんな事になって…。」
さわ子「ユキヒロ見ると思い出して悲しくなるから、ずっとしまい込んでたのよ。まあ、時々メンテはしてたんだけどね。」

57 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 19:34:11.69 ID:yjXr8ItVO
次の日

唯「やっほ~あずにゃん!…じゃなくて、ミカさん?」
梓「あずにゃんで合ってますよ、唯先輩。」
律「はっはっは、バレバレですぞミカさん!梓は自分の事あずにゃんとは言わないぜ!」
梓(ミカ)「バレたか。そんな事より、ユキヒロまだかな~?」ワクワク
紬「私も楽しみですわ~。」ニコニコ
澪(ムギは一体何を期待してるんだろう…。)
さわ子「待たせたわね!持ってきたわよ!はい、ミカちゃん。」
梓(ミカ)「ユキヒロ!会いたかったよ~!」ギュッ
さわ子「私がメンテしててあげたんだから、感謝しなさいよね?」
梓(ミカ)「さわちん!だ~い好き!」チュッ
さわ子「んむ!?」
唯律澪紬「!!!」

72 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 20:13:38.24 ID:yjXr8ItVO
唯「あう~。あずにゃんのちゅ~…。」
律「羨ましいのかよ。」
紬「良いもの見せてもらいました~。」テカテカ
澪(お…女…同士で…キ…キス…!?)ドキドキ
さわ子「いきなり何するのよ、もう!」
梓(ミカ)「…えへへ。ありがとね、さわちん。ユキヒロの事…よろしくね。」
さわ子「はいはい、分かってるわよ!…じゃあ、またね。」
梓(ミカ)「うん!絶対さわちんの子供になるから!じゃあね!」

114 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 21:02:59.65 ID:yjXr8ItVO

prrr…
さわ子「あっキョーコちゃん?ねえ、明後日さあ、DEATH DEVILのメンバーで久々に集まらない?」
キョーコ『さわ子から誘って来るなんて珍しいわね。どういう風の吹き回し?』
さわ子「ほら、明後日ってさ…ミカちゃんの命日じゃない?それに、ちょうどお盆って事もあるし。…笑って送り出してあげたいの。」
キョーコ『…もうそんな時期なのかあ。時間経つのって早いね。…オッケー。他のメンバーはわたしが集めとくわ。って、ベースどうすんの?』
さわ子「私が弾くわ。ちょうどユキヒロ持ってるし。」
キョーコ『ふ~ん。やっと失恋から立ち直ったか。』
さわ子「どういう意味よ?全く…。」
キョーコ『ふふ。明後日また会おうね。んじゃ。』ガチャ
さわ子「ミカちゃん…楽しみにしててね。」



終わり

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最終更新:2009年08月26日 19:38