私は変態性欲を持つ異常者だ。
幼稚園の時机の下に隠れて女子のスカートを覗き見したり、小学生の時クラスの女子児童を手当たり次第に妄想交尾の相手にしたり…
中学には女子トイレとプール更衣室にカメラをしかけ問題も起こした。

そんな私が真っ当な人間に成長するわけもなく今日も下郎として生きている。
主に暇を言い渡された私は外に出た。仕事がないので当分休みに充てていいらしい。
異常性欲者の私であるが未だかつて女性を強姦した記憶はない。それは私が矮小な心の持ち主であるからと同時に私の欲望を掻き立てる女性がいなかったからである。
しかし、最近私に淫らな気持ちを沸き起こさせる女学生を目にするようになった。これも偏に休暇を与えてくれた主のお陰だ。
彼女たちは近くの女子高に通う軽音楽部のようだ。
茶髪の可愛らしい子、カチューシャを付けた元気な子、モデルのような黒髪美人、お嬢様といった雰囲気の髪がきれいな子、そして色白な太腿が嗜虐心をくすぐる小さい子…。
仲がいいのか彼女たちはいつも一緒にいる。その姿は微笑ましく、私のような下郎にでさえ彼女たちがいとおしくみえた。
彼女たちを眺めているうち、私の変態性欲は限界を迎えた。私は明日から最後の一線を越える。全てを何にも変えられない快楽のために捨てよう。
まず狙いを定めたのはカチューシャを付けた小柄な少女だ。これでも力は人並み以上にあると自負している私にとって最も強姦し易い相手に思えた。
そして運命の日、彼女が私の肉欲の餌食となる日だ。
私は獣心を抑え彼女が1人になるのを伺う。
「んじゃまたな澪~」
「明日はちゃんと練習するからな律!」
「へいへーい」
律というらしい彼女が友人と別れ1人になった。悟られないよう適度な距離を保つ。そして彼女は人通りの少ない裏路地へ向かう。
下半身の疼きを解き放つように私は猛然と駆け寄り肩を掴んだ。ここは地元民でも滅多に利用しない道であり、この道を毎日利用していた彼女は格好の獲物だった。
「なっなんだ!?」
バランスを崩され驚く律と呼ばれた小柄な少女。
あと数分もしない内にこの可愛らしい顔が苦痛に歪むのだと想像すると、私はそれだけで達しそうになった。
しかしそのまま倒し込もうと力を加えた時、予想外の出来事が起きた。
「うおりゃあああ!」
バゴっ!!咄嗟に受け身をとった彼女のスクールバックが私の顔面に直撃する。
「あれ?って大丈夫ですか!?」
少女の鈴のような声が朦朧とした意識に鳴り渡る。私の意識はここで一旦途切れた。

失敗。目を覚ました私は路地に寝かされ介抱されている状態であった。
私を道を尋ねてきた人間か何かと間違えているのか、律と呼ばれる少女は心配そうな眼差しを私に向けている。
その状態から再び彼女に襲いかかるような玉もない私はただ平謝りする彼女と別れた。

次の日。ちょっとした顔見知りになってしまった以上、手を出すことははばかられた私は律と呼ばれた彼女を諦め次なる餌に食いつこうと考えた。

今日の狙いは周りからムギと呼ばれる柔らかそうなウェーブがかった髪が特徴の子だ。
性に無縁そうな聖母のような姿に、いたぶられ精を拒絶する淫乱な姿を重ね合わせる。
その姿を思い描くだけで愚息はいきり立った。自慰行為を自重していた私の理性は崩壊寸前である。
しかし今回は前回の教訓を生かしわずかな理性を働かせる。道に迷った旅人を装い接近、人通りの少ない場所でナイフをちらつかせ行為に及ぶ手はずだ。
「ムギちゃん!今日のお菓子もおいしかったよ~♪」
ギターを背負った茶髪の子が無邪気な笑顔を振りまく。
「うふふ。明日はラズベリーパイを持って行くわね。」
彼女は笑顔で答え「わーい☆」と喜ぶ友人に別れを告げた。

さて、そろそろ頃合いだろう…。不自然にならないように彼女へ近づく。そして…

ぽんっと肩を…


叩かれた。

「ミスター、ちょっとよろしいですか?」
強面の男、黒い背広姿である。
気付くと私は同じ格好の男たちに囲まれていた。その風貌は映画でしか見かけないSPそのものだ。
「お嬢様に御用が御座いましたら、こちらを通して戴けますか?」
名刺を渡す彼らは口調物腰こそ柔らかであるがその視線は殺気に満ちていた。
失敗。まさか本当のお嬢様であったとは…。結局不問に処された私は程なく解放されたが前日に続き徒労と終わった活動に心底疲れ果てた。

次の日。いい加減全てを解き放ち快感に酔いしれたかった私は一番小柄なツインテールの女の子をターゲットに見据えた。
まだ中学生にも見えるあどけない顔、力を加えればすぐに折れてしまいそうな首、スカートから伸びる真っ白な足…
数刻の後、あの純白の肌に私の濁った白い淫水がぶちまけられる喜びを噛み締めながら後を付ける。
「今日は部活ないんだー」
ポニーテールの似合う女の子と一緒の彼女は
「合唱部がコンクール前だから音楽室で練習するんだってさ。」
と答えた。なるほど、道理で今日は早いわけだ。
可愛いポニーテールの友人と別れた今日の獲物。昨日は失敗したが同じ過ちは二度繰り返さない。我慢というものを忘れ私は捕食する肉食獣の如く彼女へ駆け寄った。

どかっ!鈍い音と共に何かが私にぶつかった。
小学生にも満たない小さい子どもだ。

急に裏道から飛び出してきたため避けられなかった。
倒れたきり起き上がらない男の子が気になってしまい、私は手をさしのべていた。
涙を浮かべる我が子を助けてもらったと感謝の言葉を繰り返す母親をあしらう頃にはもう彼女の姿は見えなかった。
失敗。あのまま子どもを無視しておけばよかったものを…。しかしながら謎の満足感に満たされたので気にしないことにした。明日があるさ。

そしてチャンスは偶然訪れた。艶やか長い黒髪に豊かな双丘、くびれのある腰を見れば私のような異常性欲者でなくとも彼女を犯したくなるだろう…。
そんな軽音楽部一番の女の子が夜の町を一人歩きしている。しかも人がほとんど歩いていない住宅街の奥地だ。
幸い私の家に近いこの場からであれば羽交い締めにした後連れ去ることも容易であり、自宅で彼女のくびれを両の手で押さえつけて下半身を打ち込む余裕さえある。
先回りし待ち伏せた私は一気に勝負に出ようと飛び出す。
「あ、あの時の!」
漆黒の闇に黒髪が溶けているその後ろ姿…私は彼女の背中を壁にする形で正面の少女と対峙する。
「え?」
少女の声に驚いた長身の彼女は振り返り私を確認した。
「律の知り合いか?」
反転小柄な少女律へ話しかける。
「そだよー。ちょっとねー」
気絶させたと言うのが気まずいのか彼女はてきとうにごまかしている。
失敗。まさか彼女が友人と待ち合わせしていた上にその友人がこの子であったとは…。

全てがうまくいかない…。本来なら今頃は4人の美少女を陵辱し孕ませた鬼畜として人生の絶頂期を迎えていたはずがこの有様である。
もはや性欲処理しか頭にない私は最終手段に出ることに決めた。
週末。私はとある家の呼び鈴を鳴らした。表札には平沢の文字。軽音楽部最後の美少女平沢唯の自宅である。
尾行等により彼女の家を突き止めた私は綿密な計画を立てた。
調べた所、彼女の両親は週末決まって家をあけ唯とその妹に家を預けているらしかった。
しかもその妹はいつぞや目にしたポニーテールの美少女であった。なんという幸運だ。
私はもともと一番性欲を注がれた平沢唯を最後にしようと決めていた。その彼女の妹にまで同じ種を植え付けることができる男になれるのだ。
こんなに嬉しいことはない。
宅配便を装った私に吸い寄せられるかのように足音が近づく。
今この家には平沢唯しかいない。妹は買い物に出かけたようだからだ。なのでこの足音も自然と彼女のものであると確信できる。
「お待たせしましたー」
不用意に玄関を開けた彼女に飛びかかる。
「ふえ!?」
バランスを崩し倒れた彼女は頭でも打ったのか気を失ってしまった。騒がないよう抑えつける手間が省けた。
運も味方につけ、私は玄関の扉を閉め彼女を居間へと運んだ。
携帯電話を奪い手中に収める。妹の電話も置きっぱなしだったのが幸運だ。固定電話の電話線も引き抜き外部との連絡手段は完全に封じた。
上手く行き過ぎている。今までの失態が全てこの日のためであったのならばそれも許そう。
あとは意識のない平沢唯の自由を奪い妹の帰宅を待つ。
意識のないままぶち込んでしまおうかとも考えたが、想像もつかない彼女のあえぎ声を最初から聞きたかったので我慢する。
妹の帰宅より先に意識が戻る方が早かった。彼女はぼんやりした顔つきで、次第に自分の置かれた状況を理解した。
「ごっごーとーさん!?うっうちにはなにもありますん!」
肯定か否定かわかりかねる言葉は混乱故か。しかし奪いにきたのは君の体だ。妹と一緒に強姦してやる旨を伝える。
「GO缶?」
彼女は何やらアホの子なのか…
どうにも伝わらないことにしびれを切らした私は体で教え込んでやろうと決意。
予定を変えて彼女に襲いかかりそのマシュマロのように柔らかそうな胸を鷲掴みにした。
「ひや!?」
突然の出来事に驚く彼女。
私はさらなる感触を楽しもうと彼女のTシャツを捲るためシャツに手をかけた…
そして次の瞬間
「あの…もしかして淋しーんですか?」
とこちらが驚く台詞を目の前の女子高生が吐いた。
思わず気がそがれ彼女の胸から手を離してしまった。
「胸を触りたくなるのは淋しいからだって憂から聞いたことがあって…何かあったんですかごーとーさん?」
その顔はこれから滅茶苦茶に引き裂かれ純潔を貫かれることを恐れた少女ではなく、私を心底心配しているかのような顔であった。
「その…さっ触るのは駄目ですけど…うん、やっぱり男の人には触らせちゃ駄目って憂に言われたし…でっでもお話しなら何でも聞きます!」
付け加え、淋しい時はたくさん話せばいいんだーなどとにこにこしながら彼女は言った。さらに
「あっあとごーとーさん、悪いことは駄目です!」
なんて説教までされてしまった。

もう馬鹿馬鹿しい。彼女の拘束をとき自由にしてやる。
「あのぅ…お話しは?」
なんておどおどしながら声をかけてくる彼女に背を向け玄関へと向かった。

「ごっごーとーさん!わっ悪いことしなければ、きっと絶対楽しいことがあります!わっ私もそうだったから…あ!ちょっと待って下さい!」
バタバタとどこかへ消える平沢唯。帰ってしまってもよかったのだがその場に留まる。
再びバタバタと舞い戻ってきた彼女はギターを抱えていた。そして前触れもなく
「今~私の~♪」
有名な曲を弾き語ってくれた。
「この~大空に~翼を広~げ、飛んで~ゆきた~いよ~♪」
私はギターの澄んだ音色と透き通る歌声に耳を傾ける。
曲が終わると平沢唯は言った。
「私、軽音楽に出会って毎日楽しいんです!みんなの演奏する曲にも感動して…だからごーとーさんも…感動してくれるかなって…」

正直頭がおかしいのは私ではなくこの子なのではないかと思った。襲いかかってきた人間に対しどうしてこんな対応ができる。
「こっ怖かったですけどごーとーさんは良い人だと思うから…」
何を根拠にそう思っているのか問いただすと
「だっだって…悪い強盗なら気を失った私を殺してるはずだもん!最近ニュースでみる強盗犯はみんなそうだもん!」
呆れる。こんな人間が現代に存在していたとは…
「そっそれにごーとーさん私の曲聴いて」
そこまでで彼女の口を抑えた。それ以上は言うな。
私は玄関に揃えた靴を履きドアを開けた。土足で上がり込めない小心さから私を判断していたのならまだしも…
「ごーとーさん!もう悪いこと駄目だよ!」

こんな私が言っていい言葉でないとはわかっていたがこのまま去ることはできない。
私が忘れていたものを持っていた彼女に対して伝えなくてはならない。
私は振り返り
「邪魔して悪かった…ありがとな」
と頬に伝う温もりを感じながらそう平沢唯に伝えた。

その後の私の行方を知る者は誰もいないだろうしいてほしくもない。

私は社会に適応できない欠陥品、異常者なのだから…。

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最終更新:2009年08月31日 16:53