このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです
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645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 04:54:36 ID:kfyhTLuN
「あずにゃーん、にゅーすにゅーす!」
音楽室に入るなり、そういいながら唯先輩が抱きついてきた。
いつもなら一応ワンテンポ置いてからなのに、いきなりこう来るということは何かいいことがあったという事ですか。
「そうだよ~りっちゃん!」
「おう!ええとだな…この記事によると」
ああ、確かまた私たちのグッズが出るとか…まだ話しか聞いてませんけど。それに載ってたんですか。
「どうやら唯と梓が合体するらしいぞー」
「がったい!」
そうですか、唯先輩と合体ですか―
―え?
ちょままままままま、待ってください!な、なんていいました?
「…?いやだから、唯と梓が合体―」
―なななな、何考えてるんですかっ!破廉恥にも程があります!
大体けいおん!は全年齢対象のはずで―
「…いや、ヒートしてるとこ悪いんだが…」
ばさっと律先輩が、私のほうに雑誌を放ってくる。
だ、駄目ですよ!見ませんからね!そもそも私はまだ18歳以下ですし…でもそういうのに興味のあるお年頃でもあるんです。
―唯先輩と私の合体…ドキドキ。
「…って!そういう意味ですか!もう、勘違いさせないでくださいよ!」
「何で勝手に勘違いされて怒られなきゃいけないんだよ…」
「あ、す、すいません」
確かに律先輩は何も悪くない。私が勝手に―でも、あんなこと言われたら、私がそう勘違いしてしまうなんてわかりそうなものじゃないですか―
―って、それもない。というか冷静になったら、私なんて勘違いして―
「あーずにゃんっ」
「にゃあうっ!」
不意に私に抱きついていた先輩が、ぎゅっとその力を強めてくる。
―駄目、駄目です!今そんなことされたら―そっち方面に動いちゃった思考のまま、先輩に―
「えへへ~あずにゃん、合体だよぉ」
「う…あぅ…」
こんなにもぎゅっとされたら―駄目、もう意識が―
「何か今日のあずにゃん、反応よくて可愛いよぅ…すりすり~」
―それは、止めのつもり…ですか…きゅう…
「あれ。あずにゃん?あずにゃーん!」
唯先輩の少し慌てたような声と共に、私の意識はゆっくりと薄れて行った。
646 :合体ゆいあず2/3:2009/09/01(火) 04:59:29 ID:kfyhTLuN
目を開けると、鼻先に唯先輩の顔があった。
「な…むぎゅ」
「駄目だよー保健室だから、静かにしなきゃ」
思わず大声を上げようとして、むぎゅっと胸を顔に押し付けられて妨げられた。
おそらくはベッドに寝転ぶ私をぎゅーと先輩が抱きしめている形。
―いったいどうしてこんな状況に…?。
「急に気を失ったから、保健室まで運んできたんだよ」
「ああ…そういえば。先輩が運んできてくれたんですか?すみません、お手数おかけして」
「いいよ~そんなの。それより、目が覚めてよかったよぉ。ずっと目を覚まさなかったから、心配したんだよ?」
「あ…すみません」
ちらりと時計に目を走らせると、私が気を失った時間から既に一時間以上は経過しているようだった。
―ひょっとして、唯先輩はずっと私に着いてくれていたんですか?
「うん~」
「ありがとうございます…」
―ときに、いつになったら放してもらえるんですか?
こうして会話しながらも、唯先輩はずっと私を抱きしめたままだった。声を出せるくらいの隙間は空けてもらってるけど。
「?何で放すの?」
―へ?
どうしてそこで疑問で返されないといけないんだろう。そういえば、さっきの先輩の返答、この状況については説明してない。
―ええと、看てくれていたことは嬉しいんですけど…どうして抱きついているんですか?
抱きつくというか、仰向けに寝転んでいる私の上に先輩がいるから―つまり押し倒されているような。
「だってあずにゃん、さっき言ってたよね?」
―え?何を…?
そういった瞬間、とあるフレーズが頭に蘇ってきた。いやでも、だってあれは―まさか唯先輩が、そんな―
「私と合体、したいんだよね?」
―嘘、先輩、本気…?だって唯先輩はさっき、その意味を知らない素振りで―
だけど唯先輩の眼差しは真剣。真っ直ぐと私を見つめている。そこから読み取れるのは―それしかない。
ドキドキと心臓が鼓動を早める。だって、こんないきなり―こうなるなんて思わない。
「ここなら大丈夫だよ…今誰もいないし。保険の先生も、あと一時間は戻ってこないんだって」
外堀も、ちゃっかり固められてる。元々私の腕も脚も先輩にがっちりはさみ困れてて…逃げようがない。
―ううん、そもそも私、逃げようなんて…思ってない?
そう、そもそも最初に勘違いしたのは私の方だし―つまりは、私も先輩と―…
「大丈夫だよ、あずにゃん。何も言わなくても…私のせいにしちゃっていいから」
―駄目です、その優しさは…ずるいです。そう言われると―
「…したいです。先輩と…合体」
―こう言わざるを、得ないじゃないですか。
先輩は、にこりと笑う。予想通りって笑顔。先輩は何も知らない顔をして、こういうところはすごく策士だと思う。
「じゃあ、するよ?」
私をぎゅっとしていた腕を解いて、先輩の手が私の頬に触れる。ふんわり暖かいはずのそれが、今はとても熱い。
ああ、いよいよなんだ。私はきゅっと目を閉じて、その瞬間を待つ。瞼の向こう、先輩の気配が少しずつ近付いてくる。
そして、そうっと私の唇に触れた。
それはまだ少し強張っていた私の緊張をあっさり解いて―
これから始まる時間を一瞬でも逃さぬようにと、体中の細胞が開いていくような感覚がゆっくりと、だけど確実に私を包み込んで行った。
647 :合体ゆいあず3/3:2009/09/01(火) 05:00:13 ID:kfyhTLuN
「はい、おしまい!」
―へ?
「どうだった、あずにゃん~」
あっけらかんと笑う先輩は、あっという間にいつもの先輩になってた。
いや、いつものでも可愛くてかっこいいんですけど―いやいや、それは置いておいて。
―今、なんていいました?
「へ?どうだったって」
―その前です。
「おしまい?」
―ええ、それです。
「おしまいはおしまいだよ~ちゃんと合体したし。ちゅって」
―ん?
ちゅって…って。ひょっとして、先輩が言う合体って…キスのこと?
「あ、あずにゃん?ど、どうしたの?」
―ええ、どうもしてませんよ。ただこの溢れる憤りをどう発散したものかと。
「え、ええと…そ、それじゃ私そろそろ帰るねっ?」
ひょいっと逃げようとする先輩を、がしっと捕まえる。
「ひゃうっ」
―ええ、確か後一時間は保険の先生帰ってこないんですよね?
「ひゃう…そうだけどぉ…」
―オッケーです。それだけあれば十分です。
折角の機会ですし―た~っぷり教え込んであげます!

―あ、こっから先はカメラ立ち入り禁止ですから。悪く思わないでくださいね?

(終わり)




すばらしい作品をありがとう

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最終更新:2009年09月01日 05:27