このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 2』というスレに投下されたものです
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877 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 00:28:43 ID:oC76zyXt
「さぁむい~!!」
 帰り道、他の軽音メンバー達と別れた後、私はあずにゃんにそんな感想を連発していた。
季節はまだ秋だというのに、なんでこんなに寒いんだろう。地球温暖化はどこに行ったの?
「先輩は、寒がりなんですよ」
 やれやれ、といちいちツッコんでくれるあずにゃんはやっぱり優しい。
「そんなことないよ!寒いもんは寒い!!」
「九月にマフラー巻いてる人初めて見ました」
「だって、寒いじゃん!!」
「そうですか」
 ぬぬぅ、これは軽くバカにされている!マフラー巻いて悪いですか!?だって、セーター探してもないんだもん!!
マフラーなら首の隙間から風入ってこないし、あったかいし、あったかいしで、なんか、いいじゃん!!
「で、寒くないんですか?」
「寒いです!!」
 あ!はぁ~、と大きなため息吐かされましたよ!!うわぁい!!あずにゃんひどい!!
「あずにゃんは、寒くないの!?」
 私より背の低い後輩を、やや見下ろしながら訊いてみる。
「ええ、寒くないですよ」
 そんな見下ろしも、あずにゃんはさらりとかわす。
相変わらず、何の表情も変えずにスタスタ歩いている。そんなあずにゃんの姿を見て、私の胸に何かモヤモヤとしたものが浮かび上がる。
 ――あずにゃんに、「寒い!」って言わせたい!――
「うりゃああ!!」
 そう思ったら一直前進!!私の冷たい手をあずにゃんのプニプニ両頬にドーン!!
「うひゃああああ!!!??」
 命中!あずにゃんのライフをえ~と……、120くらい減少成功!!
878 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 00:30:37 ID:oC76zyXt
ついでに、そのままあずにゃんのほっぺをプニプニ揉みます。
「ち、ちょ、な、な、何するんへすか!!むっ……、にゅぅ……」
「はぁ……、あずにゃんのほっぺ、柔らかあったか~い……」
「も、先輩……!!……っ」
 ……あれ、なんかあずにゃんの頭、ふるふる震えてる?
後ろからプニプニしたから、顔までは分かんないけど……。
 …………もしかして、泣いてる?
「あ、ああ、あずにゃん、ごめん!私、そんなつもりじゃ……」
 と、あずにゃんの正面に慌てて回る。手は、もちろん離して。
……って、
「はい、隙あり!」
 むにぃ ふにふに
 …………!?私の頬に手!?
「お返しです!」
 むにむに ぷにぷに むにゅ
 あうう、なんか、好き放題やられてます、私。
でもね、あずにゃんの手、柔らかくて、あったかくて、気持ちいいの。……だけど、あずにゃんがそれを聞いたら、多分怒るだろうなぁ。
 ……だから。
「あうう~、あずにゃん、やめて~」
 とりあえず、さっきのあずにゃんと同じような反応をする。唯、悪い子。
「えへへ~、ぷにぷに~」
 でも、あずにゃんはご満悦みたいです。良かった良かった。
 ……しばらくの間、私はぷにぷにされ、気がすんだのか、あずにゃんは手を離す。
ちょっと、残念。
「……先輩」
「ん?」
 あずにゃんは、なぜか申し訳なさそうに下を向く。
「すいません、ちょっと調子乗りすぎました……」
 しゅん、という効果音がまさに似合うほど、あずにゃんはかなり落ち込んでいる様子。
879 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/09/17(木) 00:33:16 ID:oC76zyXt
そんなこと、全然いいのに。むしろ、もっとやってなのに。あったかかったのに。
「……あったかかった、ですか?」
 うん、だから、もっかい。
「もう一回は、なしです」
「ええ~、あずにゃんのケチ~」
「でも……」
 不意に、両手に小さな温もりが、ふたつ。
それは、さっきまで私の両頬をいじっていた、小悪魔で、天使な手。
「違うあったかを、あげます」
 ぎゅ、と握られた手に、私は微笑んで、ぎゅっと握り返した。
えへへ、と笑うあずにゃんは、秋の夕日の効果もあってか、より一層かわいく、神秘的に見えた。
 ……うん、たまには寒いのもいい。

おわり



すばらしい作品をありがとう

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最終更新:2009年09月17日 07:46