323 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 02:55:08 ID:PV6SDkug
律「よーし、今日はこれくらいにしとくかー」
いつものように律先輩の言葉を合図にして、皆が帰り支度を始める。
そんな中、私はチラリと唯先輩を見た。
ギターを大事そうにしまいながら、ムギ先輩とおしゃべりをしている。
別に気になるとか、そういうわけじゃない。決してない。
ただ、なんとなく今日は話し足りなかったからというか…
あまり唯先輩の顔を見られなかったからというか…
律「ゆーい、一緒に帰ろうぜ!」
唯「やーん、離してよりっちゃーん♪」
律先輩が唯先輩に抱きついてじゃれあっている。とても楽しそうだ。
なんだろこの気持ち。無性にムカムカする…
唯「ねー、あずにゃんも一緒に帰ろう?」
梓「…いいです。私お先に失礼します!」
唯「あ…」
唯先輩にせっかく声をかけてもらったのに、目も合わせずに部室を飛び出してしまった。
なにやってんだろ私…どうして素直になれないんだろう。
沈んだ気持ちのまま校舎を出ると、風がとても冷たく感じられた。
まだ10月なのにこんなに寒いなんて…それとも一人でいるせいだろうか。
やっぱり、唯先輩と一緒に帰りたかったな。なんて、今さら…
324 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 02:58:17 ID:PV6SDkug
唯「つーかまーえた♪」
梓「ひゃっ…」
突然、唯先輩が私を後ろから抱きしめる。不意の事態に、私の体は強ばってしまう。
梓「あ、あの…ゆ、唯先輩?」
唯「あずにゃん早足なんだもん、追いつくの大変だったよー」
梓「どうして…他の先輩たちは?」
唯「一緒に帰るの断ったの。どうしてもあずにゃんと一緒に帰りたかったから」
梓「どうしてそんな…わ、私なんかほっといて皆と楽しく帰ればよかったじゃないですか」
唯「え…?」
また私は…どうしてこういう言い方しかできないんだろう。素直になれない自分が嫌になる。
梓「私といたって楽しくもなんともないですよ。だから早く…」
唯「そんなことないよあずにゃん」
唯先輩は優しく私の頭を撫でて言った。
唯「私あずにゃんと一緒にいるのすっごく楽しいよ?」
梓「うそですよ…そんなの」
唯「ホントだよ?あずにゃんかわいいし、優しいし、ギターのことにも詳しいし」
梓「……」
私は嬉しくて何も言えなかった。唯先輩は私のこと、そんな風に感じてくれてたんだ。
唯「私、あずにゃんのこと大好きだよ?好きな子と一緒にいられて楽しくないわけないでしょ?」
325 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 03:08:50 ID:PV6SDkug
梓「先輩…」
唯先輩の言葉を聞いて、心が満たされていくのを感じた。
大好き。こんなに短い言葉が、こんなにも幸せな気持ちにさせてくれるなんて…
唯「だから、一緒に帰ろ?ね?」
梓「は、はい…あの、先輩?」
唯「なあに?」
私は逃げてたんだ。自分の気持ちを認めるのが怖くて…
でも今は違う。唯先輩も私を想ってくれているってわかったから。
だから、ちゃんと自分の気持ちを伝えよう。
梓「私も先輩のこと好きです。ずっと前から大好きでした。
だから…これからは、私とできるだけ一緒にいてくれませんか?」
言えた。私が安堵していると、唯先輩はうれしそうに答えた。
唯「うん♪もちろんだよ!」
梓「あ、ありがとうございます…じゃあ、帰りましょうか」
唯「そうだね…あ、手つなごうか!」
梓「は、恥ずかしいですよ…」
唯「えー?私のこと好きなんじゃないのー?」
梓「う…わ、わかりました…!」
唯「わーい♪あったかーい♪」
梓「も、もう…」
唯先輩、ありがとう。色々大変そうだけど、これからはずっと、一緒にいましょうね。
すばらしい作品をありがとう
最終更新:2009年10月04日 11:10