このSSは『【けいおん!】唯×憂スレ』というスレに投下されたものです
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348 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/04(日) 00:52:00 ID:MN8YSAMF
憂「……」

 お風呂から上がってリビングに行くと、珍しく憂がうたた寝をしていた。
 私よりもずっとずっとしっかりしているけれど、憂だって人の子なのだ。
 疲れて寝ちゃうときだってある。

 だけど、こんなところで寝ていたら風邪を引いてしまうかもしれない。

唯「……」

 少しだけ、考える。

 抱っこして部屋まで運んであげようとも思ったけれど、私の力ではきっと無理だ。
 あんまり揺らして起こしちゃうのも可哀想だし……。

唯「う~~ん……」

 もう少しだけ考えて、ようやくひらめいた。
 ひらめいた瞬間、思わず「おぉぅ!」と、おマヌケな声が漏れてしまい、慌てて自分の口を塞いだ。

唯「気が利かないお姉ちゃんでごめんね、憂」

 起こさないよう小さな声でそう呟いて、憂の肩にそっと布団をかけてあげた。

唯「……」

 だけど。

唯「……」

 気持ちよさそうに寝息を立てる憂を見ていると、なんだかこっちまで眠くなってしまって……。

唯「ん、私も寝るぅ……」

 憂の隣に転がり、私は静かに眠りに落ちた。
349 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/04(日) 00:53:40 ID:MN8YSAMF
憂「……んぅ、うふふ。お姉……ちゃん、愛して……ハッ!?」

 しまった。
 少し休憩しようと思って横になっていたら、いつの間にか眠ってしまったようだ。

憂「……あれ?」

 ふとした違和感に気付く。

 布団だ。
 お姉ちゃんだ。

 寝ていた私には布団がかけられていて、どういう訳か隣でお姉ちゃんが眠っている。

憂「……」

 ええと、これはつまり……。

憂「……ふふ」

 ようやく思考が追いつき、思わず笑みが漏れる。

憂「お布団かけてくれたところまでは、完璧だったのにね」

 そう呟きながら、そっとお姉ちゃんの額を撫でる。
 優しくて、ふわふわで、あったかくて―。
 だけどどこか抜けていて、完璧じゃないからこそ、私はこの人が大好きなんだ。

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

 もう少しだけ眺めていようとも思ったけれど、そういうわけにもいかない。
 私のうたた寝とは違い、この人は本気で寝ている。
 おそらくは、朝まで起きないつもりで寝ている。

憂「でもダメだよ、自分の部屋で寝なくちゃ……」

 起こさないように小さな声でそう呟いて、私は、お姉ちゃんの背中に左腕を、右腕を膝の下にそれぞれ回した。
 そして、そのまま抱きかかえるように立ち上がる。

 うわーい、お姫様抱っこだぁ。

 なんて叫ぶことは決してなく、私はお姉ちゃんを静かに部屋へと運び、ベッドへと寝かしつけた。

憂「……お姉ちゃん、今日一緒に寝てもいいかな?」

唯「……」

 返ってくるのは、可愛らしい寝息ばかり。
 当たり前だ。

 返事が返ってこないことを確認した後で、私は部屋を後にする。

憂「さて、遅くなったけどお風呂入んなくちゃ」

 軽く伸びをしながら、そう呟いた。

 答えなんて必要ないのだ。
 だって私は、お姉ちゃんの妹なんだから。

 たまには甘えたって、いいよね?




すばらしい作品をありがとう

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最終更新:2009年10月04日 11:16