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このSSは『【けいおん!】唯×梓スレ 3』というスレに投下されたものです
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458 名前:保守かわりに1[] 投稿日:2009/10/08(木) 13:22:53 ID:GCGYpHW1
「ただいま、あずにゃん2号」

帰宅した梓を可愛らしい鳴き声で出迎えたのは、またしても純から預かったあずにゃん2号だった。
手近なテーブルに学校の荷物を置いた梓は、構って欲しいと足に頬を擦り付けて来るあずにゃん2号を抱きかかえた。

「やっぱり今日も練習あんまり出来なかったよ。心配してた通りだった。次のライブまでもう随分近付いていて……」

そうやってあずにゃん2号と遊んでいると、家のインターホンが鳴った。

「はい」

このご時世、なにが起こるかわからないので相手が誰だか確かめた後でなければドアを開けるのも危険なのだが
梓は相手も確かめず、また、ためらいもせずにドアを開け広げた

「あずにゃんっ!」
「わっ!」

果たしてそこには満面の笑みを浮かべた唯の姿があった
一旦家に帰ってから来たらしく、いつもの制服でなく普段着に着替えている
その唯は、ドアが開かれるやいなや、これまたなんのためらいもなく梓に抱き付いていった

「遅くなってごめんね!寂しくなかった?私は寂しかった!」
「も、もう…とりあえず一旦離れてくださいよぉ」

玄関先にも関わらず力いっぱいハグして頬擦りしてくる唯に苦笑しつつ、梓はリビングへ行きましょうと促した。
459 名前:保守かわりに2[sage] 投稿日:2009/10/08(木) 13:23:47 ID:GCGYpHW1
と、梓の態度が何か気に障ったらしく、唯はぷくーっと頬を膨らませた。

「敬語ヤだって言ったでしょ」
「でも、唯先輩…」
「唯って呼んでって言ったのにぃ」
「はい。あ、いえ、うん…でもそれは…」
「ゆ・い」
「ゆ、唯……」

二人きりのときだけの、特別な話し方をしてくれた梓に満足した唯は、今にも蕩けそうな笑顔を浮かべる
梓の一番大好きな笑顔だ

「でも今日は本当に遅かったね。いつもならドア閉めた瞬間にチャイムが鳴るのに」
「今日は珍しくお父さんとお母さんが帰ってたから、ちょっとお話ししてたんだぁ」
「そ、そんな大事な日なのに抜け出して来たの?」
「うんっ」
「はぁ………」

家族をないがしろにしてまで恋人を優先させるのはちょっと考え物だよと付け加え、注意する素振りの梓ではあるものの、口許はつい綻んでしまう。
考え物とは分かっているが、何よりも自分のことを一番に想ってくれる唯の愛情がたまらなく嬉しかった。
その態度から梓の本心を見て取った唯は、梓に負けないくらい顔を綻ばせた。

「もう一年になるんだね。私たちが出会ってから」

リビングの一画を占めるオーディオコンポの上には去年の学園祭後に撮影した記念写真が飾ってある。
それを手に取った唯は、大切なものを愛おしむように写真の中の自分たちを撫でた。
カメラが切り取った過去の自分たちも、そこから連なる未来の姿と同様に幸せそうだ。
唯が力いっぱい梓を抱き締め、梓はちょっとだけ戸惑い気味にはにかんでいる。

「あずにゃんが新歓のライブで軽音部に興味持ってくれて。前の年の学園祭でやったライブも音源聴いててくれて。大喜びで入部してくれたのに…」
「最初は戸惑ったけど、今、私はとっても幸せだよ?唯と出会えたもん」
460 名前:保守かわりに3[sage] 投稿日:2009/10/08(木) 13:25:40 ID:GCGYpHW1
ただ一つ違う点があるとすれば――カメラが切り取った瞬間から一年を経た今日では、梓のほうから唯に抱き付く機会が増えたことか。
写真立てを愛でる唯の背中を「昔の私に浮気したらダメだよ」と梓はぎゅっと抱き締めた。

「だから二人で一緒に暮らそうって言ったのに」
「まだ結婚してないのに一緒には暮らせないよ」
「そんなことないもん。あずにゃんは私の恋人さんだもん」
「学生二人じゃ生活してくのは無理だよ。それに週末はどっちかの家に泊まってるし」
くるりと梓に向き直り、正面から彼女と抱き合った唯の表情(かお)は、話しながらだんだんと憂いを帯びていく。

「でも………」

梓の頭を自身の胸元へ引き寄せた唯の声色は、憂いから切なさをはらんだものへと変わっている。

「平日の夜とかあずにゃんと離れてるときは………さびしいよ。あずにゃんはさびしくない?」
「………さびしいよ」

唯が感じた寂しさともどかしさは、互いの家と家とを隔てる数キロメートルの距離は、お互いに共有するもの。
「どこにも行かないで。ずっともっとそばにいて」。その叫びを抱き締める力に込める唯に応じるように、
また、自分も同じ叫びを胸の内に秘めてることを伝えたくて、
461 名前:保守かわりに4[sage] 投稿日:2009/10/08(木) 13:29:40 ID:GCGYpHW1
梓も唯を抱く力を強めた。

「部屋でね。夜、ギター弾きながらいつも考えてる。あずにゃん何してるかなって。わたしのこと、ちょっとでも考えてくれてるかなって」
「………考えてるよ」

唯を真っ直ぐに見つめながら――小さな彼女は自然と見上げる恰好になるのだが――梓は、
全ての存在を許容し愛する天使のような笑顔を浮かべた。

「どうしてるかなって、唯のこと、いつでも考えてる」

それからその笑顔に見惚れている唯の唇に自分のそれを重ね合わせた。
恋人との距離を縮めようと爪先立ちまでして頑張るとは、妙に愛らしい天使がいたものだ。

「あ…あ…あ………」
「え?」
「あずにゃんっ!」

恋人が伝えてくれた力いっぱいの愛情に感激した唯は、お返しとばかりに今度は自分から梓を求め、
貪るかのように彼女の唇を堪能すると更に頬擦りしながら愛を叫んだ。

「大ッ好きっ!愛してるよ、あずにゃんっ♪」
「も、もぉ…唯ったら………私も愛してる、唯♪」







すばらしい作品をありがとう