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141 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:04:58.69 ID:Sgb6b.AO
 桜が丘高校。
 今日から通う事になった、私の新しい学舎だ。
 ……私の名前?まあ、もうちょっと待とうか。どうせすぐに名乗るんだし。
教師(さっきから小声で何を言ってるんだこの子は……)

教師「という訳で、今日からうちのクラスの一員になる……」
 教師が何か喋ってるうちに黒板に名前を書き終え、ナイスタイミングで振り返り。
舞「布津木 舞(ふつき まい)です。今後ともヨロシク」
 朝のホームルームが終了した途端に。……うわあ。囲まれた。さあ、質疑応答タイムだ。何でも答えてやろうじゃないか。
生徒A「前はどこの学校にいたの?」
舞「え~と……あそこって何県?富士山あるとこ」
生徒B「静岡か山梨どっち?」
舞「あれだ。お茶の方」
生徒C「素直に静岡って言おうよ」
生徒B「で、なんで転校してきたの?」
舞「親が死んだから。で、親戚を頼ってこっち来たの」
 静まり返る一同。お~い、空気重いよ~。……ああ、今の冗談が原因か。
142 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:10:59.29 ID:Sgb6b.AO
舞「というのは嘘。本当は父の海外出張に母が付いてくって言うんで、親戚に預けられた訳なのです」
生徒A「……ビックリした~」
生徒C「縁起でもない冗談言わないでよ~!」
 その後、何事もなかったかのように質疑応答タイムが続く。しばらくすると、真ん中辺りの席のおさげ2つ(一部ではツインテールと言うらしい)の子が声を上げる。
梓「そろそろ終わりにしないと、先生来ちゃうよ?」
生徒A「うわっそうだった!一限目シマちゃんじゃん!」
生徒B「しゃ~ない、また後でね~」
 ようやく質問隊から解放された。が、いきなり人がいなくなるとちょっち寂しい。

 昼休み。
 かばんから取り出した弁当を喰らい始めると。私の席に、おさげ2つの子とその友達らしい2人が近づいてくる。
梓「布津木さん。一緒に食べよう?」
舞「もっふぇ~。れわろもりふらわん」
純「飲み込んでから喋りなよ……」
 周りの空いてる机を借りて弁当を喰らい始める一同。
143 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:15:52.59 ID:Sgb6b.AO
 自己紹介しつつ、雑談を始める私達。
憂「布津木さんは、入る部活もう決めてあるの?」
舞「ん~……まだ特には」
純「だったらさ、軽音部に入ってあげなよ。来年梓1人になっちゃうかも知れないから」
梓「そう思うなら純も入ってよ」
純「今年の学祭ライブ次第かな~」
舞「ふ~ん、軽音楽部か~。……何故私がベース持ちだとバレた!?」
梓「いや、初耳だから」
純「てか自爆じゃん、今の」
 やべえ、これは恥ずかしい。まじで。
憂「そうなると、私と梓ちゃんがギターで純ちゃんがドラムだね~」ニコニコ
梓「それいいかもね~」ニヤニヤ
純「いやいや!入るなんて言ってないし!」
 慌てて入部を否定する純。そんなに必死だと入れてくれって言ってるようなモノですぞ?

 放課後。
 梓に軽音部の部室へと案内される。なんかもう入部させる気満々みたいです。入部する気満々だからいいけど。
 THE 音楽室……だよね?食器棚やら何やらがありますけど。
144 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:19:24.15 ID:Sgb6b.AO
律「お~、君が噂の転校生か!ようこそ軽音部へ!あたしが部長の田井中律だ!よろしく!」
 部室に入るなり、煌めくデコの人が駆け寄って来て、無理矢理握手しながら自己紹介をしてきた。
唯「早速転校生ちゃんを勧誘してくるなんて、さっすがあずにゃん!ご褒美のはぐ~」
梓「ちょっ!もう……それより舞に自己紹介してください!」
唯「私は平沢唯!よろしくね~、布津木さん」
舞「舞でいいですよ、唯先輩」
 『先輩』と呼ばれて恍惚の表情を浮かべる平沢先輩。天然ちゃんですか?
紬「私は琴吹紬ですわ。ムギって呼んでね」
 なんと凛々しい太眉をお持ちだ。良家のおぜうさまってところかしら。なんかほわほわした人だなあ。
澪「私は秋山澪。よろしくな」
 言いながら手を差し出す大和撫子な秋山先輩。もちろんしましたとも、握手を。
律「よーし、これより新入部員歓迎会を開始致します!」
梓「……まあ、いつものお茶会なんですけどね……」
145 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:22:02.51 ID:Sgb6b.AO
 軽音部の諸先輩方とお茶会を楽しんだり、皆さんの演奏を鑑賞して感心したりと、有意義な歓迎会となったのでした。

 そんなこんなで下校時間。私は軽音部の面々に別れを告げると、足早にある場所へと向かう。
 最近世間を騒がせている、《神隠し》のあった現場である。と言っても、今までいた世界とは異相の世界だけど。
舞『着いたよ~弓子。指示ヨロシク』
 私は念じる様に仲間に話し掛ける。すると、それに応える様に脳裏に声が響く。
弓子『はーい。早速で悪いけど、《領域》内部に人がいないか調べて下さい。気をつけてね』
舞『了解』
 ……ふむ。今回は《領域》に入り込んでしまった人はないようだ。しばらく周囲を見て回り、本当に人がいないかどうかを確認する。
舞『今回は異常なし。そろそろ出るね~』
弓子『了解です。お疲れ様でした』
 私が《領域》から出ると、そこに仲間-菱守 弓子(ひしもり ゆみこ)-が立っていた。
146 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:26:03.64 ID:Sgb6b.AO
弓子「今日もパトロールご苦労様。はい」
 そう言って弓子が缶コーヒーを手渡してくる。
舞「ありがと……しっかし、今度は京都か。なんで《領域》が発生するんだろうね?」
弓子「う~ん、分からないわ。けど……なんにしても、被害を最小限に食い止めるのが私達の仕事ですから」
舞「……んだね」
 まあ、調査は人が増えてから、かな。
 つっても、《適合者》がそうホイホイ現れる訳がないし……ハテサテ、調査開始はいつになる事やら。

 次の日。学校にやって来ると、フラフラした足取りで憂が教室に向かうのが見えた。
舞「オハヨー。どしたの憂?元気ないみたいだけど」
 私の声に反応し、ゆっくり振り返る憂。何やら瞼を腫らしている。本当にどうしたんだろう?
憂「舞ちゃん……お姉ちゃんが、お姉ちゃんが……!うう……うわああああん!!」
舞「なんとお!?」
 突然その場に泣き崩れてしまう憂。と、とりあえず落ち着くんだ、憂!
147 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:28:39.10 ID:Sgb6b.AO
 そこにナイスいやバッドタイミングで梓がやって来る。
梓「う、憂!ちょっと舞、憂に何したの!?」
舞「ご、誤解だよ!私は何も……」
憂「違……の……ヒック……お姉……ちゃ……が……ヒック……いなく……なっちゃ……ヒック」
梓「ええっ!?唯先輩がいなくなった!?」
 とりあえず、私と梓は憂を保健室に連れて行く。しばらくして落ち着いた憂は、昨日の事を話し始める。
憂「昨日お姉ちゃん、忘れ物をしたって言って、学校へ取りに行ったの。でも、いつまで経っても戻って来なくて……」
梓「憂の家から学校までは結構近いし、ましてや通い慣れた道だから迷う事はないだろうし……」
舞「《神隠し》……かもね」
 ……あ~、この沈黙は何だい?私、何か変な事言った?……言ったな、《神隠し》って。しばらくすると、憂が口を開く。
憂「……私も、もしかしたらそうかもって思ったんだ……」
梓「最近、結構騒がれてるよね、《神隠し》……」
148 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:33:50.54 ID:Sgb6b.AO
 ふむ。昼休みに校内を調べてみるか。《領域》に呑まれたのなら、急いで見つけてやらないとだし。

 という訳で昼休み。パパッと弁当を喰らい終え、唯先輩捜索を開始する。
 まずは《領域》に入って、と。……む?人の気配がする。……音楽室かな?
 私は音楽室へ向かう。そして、音楽室の中に唯先輩の存在を確認する。
 机に伏せ、憔悴しきった様子の唯先輩。そりゃそうだ。私だって《領域》に半日もいたら疲れるし、普通の人は存在を保っていられなくなるし。
 ……ん?でも唯先輩ははっきりと存在を保っている。という事は、唯先輩は《適合者》の可能性があるのかしら?
 なんにせよ、早く《領域》から出してあげないと。疲れてるんだろうし。
 ……って、寝てるし!めちゃくちゃ《領域》に順応してるよこの人!こりゃもう《適合者》で間違いナシだね!
舞「起きて下さい、唯先輩。帰りましょう」
唯「ん~……ほえ?舞ちゃん?……ああ!もうお昼!?きっと憂が心配してるよ~!」
149 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:36:34.26 ID:Sgb6b.AO
 私は唯先輩と共に平沢家へ向かい、そこから《領域》を出る。さすがに学校で出る訳にはいかんからね。思いっきり私服だし。
唯「じゃ~ね~舞ちゃ~ん。また明日~」
 《神隠し》に遭ったってのに、すごく呑気な人だ。やっぱり天然ちゃんだな、あの人は。

 放課後。物凄い勢いで家に帰って行った憂から姉帰還の知らせを受けて、ホッと胸をなで下ろす梓。
梓「舞が何かしてくれたんだよね?ありがとう」
舞「ハテサテ、ナンノコトヤラ~」

 次の日。元気に登校して来る平沢姉妹。昨日はどうやら憂が唯先輩は病欠だと先生に伝えたらしい。

澪「全く、体調管理はしっかりしとけよ。また去年の学祭前みたいな事になったりしたら……」クドクド
 放課後、部室にて。澪先輩からお叱りを受ける唯先輩。本当は病欠じゃないんだけど。
 真実を伝えても言い訳にしかならない事は分かってる様で、黙ってお叱りを受けている。う~ん、ちょっち可哀想だなあ。
150 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:38:42.95 ID:Sgb6b.AO
律「澪~。そろそろ練習始めよ~ぜ~?」
澪「……そうだな、このくらいにしといてやるか」
 その日の唯先輩は、先輩達曰わく、いつもより凄い演奏をしてみせたのだそうな。そりゃもう別人かって思う程に。

 そして下校後。再び《領域》パトロールに精を出す私。今回は弓子も一緒だ。
弓子「2人で入るのも久しぶりですね」
舞「んだね~。あっ」
弓子「どうしました?」
 私は前方に人影を見つける。あれは……唯先輩じゃないか!また《領域》に呑まれたのかしら。
弓子「あの子がさっき言ってた先輩さん?」
舞「うん。ちょっち話してくる」
 私は唯先輩に近づいて話し掛ける。
舞「また入り込んじゃいました?」
唯「あ、舞ちゃん!昨日はありがとね!お礼言いたくて探しに来ちゃった」
 そう言って頭を掻きながら微笑む唯先輩。
 ……まさかとは思ったけど。自力で入ったんだ。だとしたら、まじで《適合者》な訳で。ちょっち嬉しい。
151 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:41:10.89 ID:Sgb6b.AO
弓子『舞!大変よ!《シャドウ》が来るわ!』
 弓子の声が脳裏に響く。とうとうお出ましか。
 《シャドウ》。
 《領域》内部に存在する、読んで字のごとく影の化け物である。個人的には、人の心のネガティブ面が具現化した存在だと思っている。
 私は周囲に睨みをきかせつつ、隠し持っていた木刀を取り出す。唯先輩はといえば、私の様子を見て何事かを察したのか、震えながら周囲を見渡す。
弓子『舞!後ろよ!』
 その声が聞こえたのとほぼ同時に後ろを向く。するとそこには、人間の3倍はあろうかと思える巨躯を持つシャドウが佇んでいた。
 シャドウは腕を振りかぶり、唯先輩に襲い掛かる!
舞「先輩!」
 私は唯先輩の腕を引っ張って避けさせ、シャドウの腕を木刀で受け止める。
唯「……ま、舞ちゃん!」
舞「大丈夫です……私の事はいいから、先輩は早く《領域》から出て下さい……!」
唯「そんな、置いてくなんて出来ないよ!」
152 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [sage]:2009/11/14(土) 04:43:24.07 ID:Sgb6b.AO
舞「早く……うあっ!」
 私はシャドウのもう片方の腕で吹っ飛ばされる!

唯「舞ちゃん!」
 舞ちゃんは壁に叩きつけられて気絶してしまう。シャドウは舞ちゃんに追い討ちを仕掛けようと、ゆっくりと腕を振り上げる。
 舞ちゃんを助けないと! その時。
-我は汝……汝は我……-
 私の脳裏に声が響く。誰なの?
―我は汝の心の海より出でし、汝のもうひとつの姿……-
 心の海?もうひとりの私?
-我を求めよ……さすれば、力を授けん……-
 力……力が欲しい。舞ちゃんを助ける為の力が……!
 私は空に手をかざす。そこに、1枚の薄青く輝くカードが現れる。
唯「ペ・・・ル・・・ソ・・・ナ・・・!!」
 私がカードを掴むと、カードはガラスの様に砕け散る。そして、光に包まれる私の頭上に、不思議な人物が姿を現す。
 私は何故かその人の名前を知っている。……そう、その名は……。
唯「キュプリス!」



第1話 転校生と異世界と 終