腹が減った。
俺は欲求を満たす為に民家を歩くことにした。
勿論歩くだけでは満たされる筈もなく、どこぞの民家に強盗に
入る予定だ。懐には通販で買った万能セラミック包丁を忍ばせて
ある。
こんなものを買う金があったなら飯を買ったほうがいいんじゃ
ないか?、なんて考える奴は馬鹿野郎だ。
飯は食っちまえば終わりだが、こいつは1本あれば何度でも繰
り返し強盗できるだろ?
ヤッフーーーーーーー!!!
俺ってやっぱ天才!!!
そして天才な俺様が練った完璧究極ウルトラミラクルな作戦っ
ていうのは―――。
インターホンを押して、宅配便を装い、ドアを開けたところを
押し入って、包丁を突きつけて金を出せ、と叫べば終わり。
あとは右足と左足を交互に、素早く繰り出す作業に集中すれば
いいだけだ。
<<シーンは飛んで>>
ふぅ。ちょろい仕事だったぜ。返り血を浴びちまったちまった
けどどうってことはねぇ。
そんなことより、だ!
あー。今思い出してもうざってぇ!なんだあの猫!
両親を殺したあとにピーピー泣いてるうるせぇガキも殺してや
ろうとしたら猫が俺の腕に噛み付きやがった。
相当強く噛んだのか歯形がくっきり残ってやがる!
くそ!猫なんかに俺の殺人の邪魔され―――。……あれ?
そういや俺は殺人を行う為に家に押し入ったんじゃなかったよ
な?
……ん?……んん?
そうだ!強盗の為に押し入ったんだったんじゃねぇか!目的を
忘れるなんて本末転倒だ!俺の馬鹿野郎め!
くっ、しょうがねぇ。もう一度幸せな家族を恐怖のどん底に叩
き落すか。
時刻は4月2日の午前0時25分。嘘を吐き終わり、疲れて寝
静まった早朝。嘘のような惨劇を目の当たりにするであろう。
―――なんて、予言者気取りの実行者♪
しっかし、猫は怖いね。どうも。
最終更新:2007年09月06日 22:12