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Turning point - (2009/08/17 (月) 04:26:15) のソース
*Turning point ◆5xPP7aGpCE 「これから語る事は我輩の考え過ぎかもしれません……ですが思い至った以上夏子さんには話しておくべきだと思ったのです。 そもそも我輩達がここまで追い詰められたのは全てがそのせいではありませんが……シンジさんが引き起こした災害が大きいのは夏子さんもご存知と思います」 慎重に前置きしながらハムは語る。 内容は正しいと言える、シンジの対応でモールに長時間足止めにされた末がオメガマンの襲来と逃亡劇。 シンジが逃げ出したりしなければ万太郎と別れる事も、その後の悲劇も避けられたかもしれない。 「そのシンジさんを我輩達に押し付けたのがあのモンスターなのですぞ、あの時山小屋にモンスターが居座っていましたがおかげで動くことは出来ませんでした」 放送直前に集音機で知ったのは山小屋方面に何者かが居るという事。 偵察に行った夏子が見たのはモールで一度見かけた巨大な獣だった、直後に湖方面でも爆音が聞こえ慎重を期してその留まり続けた。 途中何度も動こうとした、しかし獣は夏子達を見張ってるかの様に離れず時間だけが過ぎた。 その結果シンジが手引きした悪魔将軍に追いつかれた、というのが経過だ。口に出すまでも無く解ってる。 夏子はハムの言いたい事を悟って反論した。 「つまり、あの獣は私達を不利になるように導いたという事? 結果論過ぎるわ、シンジ君をモールに運んだのは貴方達だし動かないと決めたのも私達自身よ?」 確かに二度の転換点にあの獣は現れた。 が、それによって自分達が都合よく操られたとはさすがに納得しかねる結論だ。 「その通りです、しかし我輩にはどうしても気になるのですよ。あのモンスターは近くに居たにも関わらず悪魔将軍から我輩達を助けてはくれませんでした。 それにシンジさんの時は偶然ではないのです、我輩とマンタさんが北へ向かう事を決めた直後にモンスターが現れたのですよ」 頬をかきながらハムが淡々と事実を述べる。 聞きながら夏子は闇に紛れ込んでゆくような錯覚を感じた。 もし会話が主催者に漏れていたとすれば、主催者からモンスターに情報が伝わったとすれば―――確かに偶然とも片付けられない。 山小屋の時もそうだ、主催者は当然自分達の動きを知っていたはず。獣に先回りさせる事は難しくない。 パソコン画面に登場したというだけで主催者との関係を疑うのは早計かもしれない、だからこそハムも慎重な物言いなのだろう。 「……」 言葉が発せられる事なく沈黙が続く。 ハムもまた自分と同じく盗聴の可能性に気付いていたのだ。 そして筆談という方法を取らないのは先程の放送を聞いたからだろう、反抗の末の死を残念と語る草壁ならこの程度で罰するとは思えまい。 いやそれ以前の問題だ、もし喋っただけで罰せられれば正解と教えるようなものだ。 有り得なくは無い、そういった殺し合いをコントロールするゲームマスター的存在が参加者に混じっていても不自然では無い。 だとすれば―――あの獣は、敵だ。 ギリッと夏子は歯を軋ませた。 今迄の屈辱と無念を思い出す、自然と銃に手が伸びる。 「ま、あくまで可能性が有るというだけですよ。とにかく今後あのモンスターには特に注意を払うべきでしょう。その上で提案なのですが」 ハムは夏子を宥めつつ内容を語り始る。 此処までは前置き、主催者が作為を入れてまでゲームを動かそうとしている可能性に触れるのが目的。 「我輩達も主催者に接触してみませんか? 放送の通り何度も会場に来ているのなら会う機会はあると思うのですよ」 夏子は言われた意味を一瞬遅れて理解した。 正体を現したわね、とこれまで以上に厳しい顔でハムを睨む。 「成る程、弱い者なりの逆転の手段ね……下手すると引き返せなくなるわよ?」 「我輩は其処まで言っておりませんが……夏子さんの考えはきっと当たってますよ」 何ともいえない空気がその場に漂う中でハムはノホホンと済ましている。 夏子も薄笑いを浮かべつつ異議は何も唱えなかった。 ハムの提案、それは主催者に協力者として自分達を売り込む事。 上手くすれば力と情報が手に入る、失敗したとしても主催者との接触はそれだけで価値が有る。 得るものを得てから裏切るのか、そのまま手先となってゲームの進行に協力するのかはその時次第。 選択肢が増えるのは悪くない、具体的な手段は今後の課題としてミーティングを終える。 方針を確認すれば以下の様になる。 ・万太郎との合流には拘らない、無理をする事無く成り行きに任せる。 ・接触すべき相手は正義超人と深町晶、それにキョンと朝倉涼子。 ・軍人の肩書きを持つ三人は戦力として期待できそうなのでこちらも探す。 ・今後は他者と積極的に交渉する。安全に接触できるパソコンは活用できる。 ・有用な支給品を手に入れる、特に武器を優先する。 加えてもう一つ確認する、それは今後シンジの様な行動を乱す足手まといをどう扱うか。 議題を出したのはハムだった。 「夏子さんは冷静な判断が出来ると我輩は買っているのですが……もし今後シンジさんみたいに混乱した人、でなくても後々で問題になりそうな人が現れたらどうなさいますか?」 聞かれるまでも無く夏子は既に答えを決めていた。 弟と重ねて甘やかした結果がこの有様だ、誓った以上二度と過ちを犯す積りは無い。 「殺すわ。そんな弱い奴なんか生かしたところでロクな事にならないってこれ以上無い程良く解ったからね」 自嘲的に笑いながら銃を構える、そして撃つ真似をしてみせる。 それはシンジを射殺するイメージ、二発、三発と弾丸は仮想の少年に撃ち込まれる。 放置した結果第二第三のみくるが出ないとも限らない、芽は早いうちに摘まねばならない。 「仕方無いですな、我輩もそんな事をしなければならないのが本当に残念で仕方無く思いますよ」 ハムも止むを得ないと繰り返し強調しながら仮想のシンジに哀悼を述べる。 彼が最初からその答えを望んでいたのかは夏子にはどうでもいい事だ、これで互いの考えが一致した。 「これでますますマンタさんとは合流しづらくなりましたな、まあ今の私達にはその方が動き易いですが」 「フン、女の胸ばかり見てる奴なんか考えが合わなくて当然よ」 外道の幼馴染を思い出したのか更に一発空撃ちする。 地図や名簿を仕舞って外を見やれば炎は一段と近付いていた。 パソコンを調べるなら急ぎましょうと動き出したその瞬間だった、部屋がフラッシュを焚かれた様に白色に染まった。 一瞬の後で窓が一斉に飛び散った、同時に凄まじい轟音と衝撃が診療所全体を振るわせる。 夏子とハムは直ちに伏せた、窓から離れていたのが幸いだった。 「ムハーッ! 何という反則技!」 何が起こったのか予想は出来る、化け物同士の戦いが再開したのだろう。 ハムが戦力の不公平を嘆く中、夏子は割れた窓から慎重に外の様子を窺った。 立ち上る煙の中でも一際目立つ建物がある、窓という窓から黒煙を吹き上げる高層建築―――デパートだ。 遠目でも屋上が大破したと解るデパートが爆発の中心地に間違いなかった。 黒い影が空を飛んでいる、喫茶店の失敗を繰り返すまいと頭を下げる。 そのまま動かずにいると爆竹の様な連続音が数秒続き、そして静かになった。 今のうちに退避すべきかもしれないが何も調べもせずにを去るのも惜しい、とにかく状況を見極めようともう一度外を眺めてみる。 「ムハッ、何ですかあの光跡は?」 夏子もハムが指し示すものにすぐ気付いた。 燃えるデパートの屋上を空高く飛び出す何かが見える。 怪物にしては小さすぎる、ロケットだとすぐに気付く。 恐らく決着が付いたのだろう、ただの勘だがきっと外れてはいない。 「何かを曳いているわ……南の方に向かっている。どうする、ハム?」 一方のハムはロケットなど初めて見る。 最初は驚いていたが夏子からそれが物を飛ばす道具だと教えられて考え込む。 あれを追うか、ここに留まってパソコンを調べるか。 二兎を追うもの一兎を得ず、だが二手に別れる方法も有る。 いずれにせよここが焼けるのも時間の問題、すぐに決めなければならない。 そんな彼等の悩みを他所にロケットは尚も飛び続ける。 夕日を浴びて輝きながら一人の男の想いを込めて。 繋がっているのは一つのバッグ、遺志を託されたものがその中に入っている。 更に高く。 更に速く。 更に遠くへ。 下界の喧騒を見下ろしながらロケットは南に向かって飛んでゆく――― 【B-08 市街地診療所/一日目・夜】 【川口夏子@砂ぼうず】 【状態】顔にダメージ、強い決意。 【持ち物】ディパック、基本セット(水、食料を2食分消費)、ビニール紐@現実(少し消費)、 コルトSAA(5/6)@現実、45ACL弾(18/18)、夏子とみくるのメモ、チャットに関する夏子のメモ 各種医療道具、医薬品、医学書 【思考】 0、何をしてでも生き残る。終盤までは徒党を組みたい。 1、診療所をもう少し調べる? 光跡を追う? 2、怪物(アプトム、ゼクトール)と火災から逃げる。 3、キン肉スグル、ウォーズマン、深町晶、キョン、朝倉涼子を探してみる。 4、万太郎と合流したいが難しいと思っている。 5、ハムは油断ならないと思っているが今は自分を見放せないとも判っている。 6、生き残る為に邪魔となる存在は始末する。 7、水野灌太と会ったら―――― 【備考】 ※主催者が監視している事に気がつきました。 ※みくるの持っている情報を教えられましたが、全て理解できてはいません。 ※悪魔将軍、古泉、ノーヴェ、ゼロス、オメガマン、ギュオー、0号ガイバー、怪物(ゼクトール、アプトム)を危険人物と認識しています。 ※深町晶を味方になりうる人物と認識しました。 ※トトロ(名前は知らない)は主催と繋がりがあるかもしれないと疑いを持っています。 ※診療所の外に救急車が停まっているのを発見しました。 【ハム@モンスターファーム~円盤石の秘密~】 【状態】顔にダメージ 【持ち物】基本セット(ペットボトル一本、食料半分消費)、 ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、チャットに関するハムのメモ、大量のシーツと毛布類 【思考】 0、頼りになる仲間をスカウトしたい。 1、診療所をもう少し調べる? 光跡を追う? 2、万太郎と合流したいが難しいと思っている。 3、キン肉スグル、ウォーズマン、深町晶、キョン、朝倉涼子を探してみる。 4、殺し合いについては乗るという選択肢も排除しない。 5. 機会があれば主催者と接触したい。 【備考】 ※ゲンキたちと会う前の時代から来たようです。 ※アシュラマンをキン肉万太郎と同じ時代から来ていたと勘違いしています。 ※悪魔将軍、古泉、ノーヴェ、ゼロス、オメガマン、ギュオー、0号ガイバー、怪物(ゼクトール、アプトム)を危険人物と認識しています。 ※トトロ(名前は知らない)は主催と繋がりがあるかもしれないと疑いを持っています。 ※深町晶を味方になりうる人物と認識しました。 ※現在スタンスは対主催ですが状況を見極めて判断するつもりのようです。 *時系列順で読む Back:[[Hard Luck Duo]] Next:[[彼等彼女等の行動 (01~02)]] *投下順で読む Back:[[Hard Luck Duo]] Next:[[彼等彼女等の行動 (01~02)]] |[[Hard Luck Duo]]|ハム|[[詐欺師兎は奇妙なパソコンを前に頭を捻る]]| |~|川口夏子|~|