「月下の狩猟者」(2008/10/06 (月) 22:08:48) の最新版変更点
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**月下の狩猟者 ◆KKid85tGwY
その超人は2mを越す白い巨躯に、それを被い尽くせる程の巨大な青紫色をした異様な右手を背負い
更にその人差し指の先は五指に別れ、アイスホッケーマスクを被った様な頭部を上から掴んでいる。
何もせずとも異様だけで他者を圧倒しそうな、その超人の名はオメガマン。
このバトルロワイアルに来る前の元居た世界では、名立たる強者にして
犯罪超人を狩って賞金稼ぎをする『超人ハンター』として、1000を超える超人の首を刈って来た。
完璧超人の肩書き通り、依頼された標的は一度たりとも討ち漏らした事は無い。
完璧無比なる殺戮者(ジェノサイダー)、それがオメガマンだった。
そのオメガマンは今、鬱蒼とした森の中の草むら上で両手足を広げ仰向けに寝転んでいる。
一本足と巨大な顔に単眼の超人スエゾー――実際は超人では無いのだがオメガマンはそう認識した――との戦いに敗れたオメガマンは
先程まで同じ体勢で気を失っていたが、意識を取り戻してからも微動だにせず夜空を見上げていた。
体長が10分の1程に縮んでいた身体は、元の大きさに戻っている。
全身を濡らしていた唾液も、ほとんど乾いたらしい。
見上げる夜空は、生い茂る木々の葉の間から月光が微かに零れ落ち
時折聞こえてくる風に揺れる枝のざわめきは、逆にその場の静謐な雰囲気を高めていた。
「クククククク……………………クォーッフォッフォッフォッフォッフォフォッフォッ!!」
やがてオメガマンは、狂った様に森の静寂の中笑い声を響かせる。
その声には明らかに、自嘲の色が混じっていた。
(自分では冷静なつもりだったんだがな…………どうやらこの私にも、動揺が有ったらしい……)
動揺していた。そして、それが油断に繋がり敗北した。
オメガマンは自分の敗因を、そう素直に認める。
スエゾーの存在やそれとの戦いにではなく、首輪を嵌められ殺し合いを強要されていると言う現状にだ。
得体の知れない存在に命を握られているのだから、動揺と恐怖を憶えるのはある意味当然とも言える。
そして最初に出会った参加者のスエゾーは、奇襲に対する反応の鈍さと手応えの無さから遥かに格下の相手と思えた。
平静を欠いた心は恐怖から安堵、そして油断に傾き
相手の体力を充分に削らない内にΩ(オメガ)カタストロフ・ドロップという大技を仕掛け、逆にこちらが無防備な状態で攻撃を喰らってしまった。
そして2度目の敗北。
今度は強力な武器を手に入れたと浮かれ体力の回復しない内に戦いを仕掛け、そして敵の銃撃をまともに受けてしまった。
如何に弱くとも超人ならば、否例えそうでなくても未知の敵はどんな異能で以って攻撃して来るか分からない。
或いは身体を瞬時に砂に変え、或いは手から強力な磁力を発し武器とする様な異能の持ち主等宇宙にはごまんと居る。
そうでなくてもスエゾーが使った相手の身体を小さくする銃撃は、明らかにスエゾー固有の能力ではない武器によるもの。
自分に武器が支給されているのだから、敵により強力な武器が支給されていてもおかしくない。
そんな当然の考えも失念する程、浮かれていたのか。
戦場では相手が赤子だろうと、虫一匹だろうと決して油断をしてはならない。
長き超人ハンターとしての経験で、それを知っていた筈なのに
下らない油断から、無様な不覚を取ってしまった。
頭に血が上って、強力な武器を手に入れ浮かれて、先のスエゾーの攻撃で能力が著しく落ちていた為。
理由は幾らでも挙げられるが、戦場ではそんな言い訳が無意味な事はオメガマン自身が良く知っている。
気を失っている間にトドメを刺されていなかったのが、僥倖とさえ言えた状況なのだ。
(僥倖か…………この『超人ハンター』オメガマンが敵の不覚や情けに助けられて、その幸運を喜ぶのか!!)
オメガマンの、自分を嘲る笑い声が止まらない。
明らかに自分より戦力の劣るスエゾーに、2連敗を喫したのだ。
それはオメガマンから、強豪超人としての誇りをすら奪うに充分なものだった。
(『超人ハンター』も堕ちる所まで堕ちた……………………ならば後は、這い上がるだけだな)
しかしオメガマンは熾烈な超人界の、それも闇を生きて来た者。
1度や2度の失敗に拘泥する程、生温い生き方はしていない。
オメガマンは両手足を広げた体勢のまま立ち上がる。
(いいだろう、完璧超人だの過去に何人討ち取っただのと言った下らん驕りは捨てよう…………)
右拳を強く握り
(だが、このままでは済まさないぜー!!)
それで斜め後ろの木を殴り付ける。
オメガマンの倍以上の高さの有る木は、その一撃で圧し折れ
地に倒れ落ちる轟音が、森の静寂に木霊した。
殺し合いの舞台上で響き渡る轟音を、オメガマンは気にも留めない。
音がする範囲に、参加者の気配が無い事は予め分かっている。
もし音を聞き付けてやって来る者が居たとしても、この見通しの悪い森の中ではハンターである自分が後手に回る事はまず無い。
戦闘のロケーションとしては、自分に利が多い状況なのだ。
そうオメガマンは考え無しに木を殴り倒したのではなく、理由があった。
(力が落ちている。まだ体力が、回復し切っていないのか? …………いや、違うな)
オメガマンは完璧超人の首領ネプチューン・キングをも凌ぐ、超人強度8600万パワーを誇るが
その力が大きく落ちている実感が、スエゾー戦から有った。
力だけではなく、超人本能は問題無く働く様だが実際に身体を動かす速度の部分も落ちている。
それでも、並の超人より遥かに優れた戦闘能力を発揮出来るが。
スエゾーの体力を奪う攻撃の影響が、残っているのかとも考えるが
思い返せば件の攻撃を受ける前から、不調は始まっていた。
(考えられる理由で最も可能性が高いのは、主催者の仕込んだ能力制限か……)
主催者の目的は、参加者同士に拠る殺し合いである。
しかしオメガマンが本気で動けば、ほとんどの参加者は殺し合いにもならず苦も無く皆殺しに出来る。
云わばハンデとして、制限を課したのだろう。
(ならば他の能力も、試す必要が有るな。Ω(オメガ)血煙り牙は使えたから後は…………)
オメガマンはデイパックから、自分への最後の支給品を取り出す。
それは何の変哲も無い、只の傘。
ちなみに説明書には、大垣勘太から草壁サツキに貸し与えた物とある。
「オメガ・メタモルフォーゼ」
オメガマンの眼から傘に光線が放たれ、傘が掻き消える。
そしてオメガマンの右前腕部が、その傘と同じ形状に変化した。
物体を吸収しその形状、能力に合わせ身体を変化させるオメガマンの特殊能力オメガ・メタモルフォーゼ。
それが使えた事を確認し、オメガ・メタモルフォーゼを解除する。
自分の状態を確認し終えたオメガマンは、その場から動き出す準備を始める。
殺し合いに積極的に乗る事に、躊躇は無い。
仮に勝ち残ったとしても、主催者が自分を殺すと言う疑念もオメガマンには無い。
こんな殺し合いを開催する様な者は、間違い無く社会の闇に属する者である。
そしてそんな者にとって、『超人ハンター』が如何に有用かはオメガマン自身が最も良く自覚していた。
だから自分が優勝すれば、無碍に扱われる事は無い。
むしろ、下手に逆らう方が危険だ。
眼前に広がる殺戮の舞台の闇に、怖じる様子も無くオメガマンは進み出す。
如何に驕りを捨てても、オメガマンには狩られる物ではなく狩る者だという自負が有る。
彼は殺戮をその本性とする、『超人ハンター』オメガマンなのだから。
【H-6 森/一日目・明け方】
【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【持ち物】
ディパック(支給品一式入り)
【状態】
健康。
【思考】
0.全員皆殺し。
1.スエゾーを必ず殺す。
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。
※H-6付近に爆音が響きました。
※支給品の傘@となりのトトロはオメガマンに吸収され消滅しました。
**時系列順で読む
Back:[[接触! 怒涛の異文化コミュニケーション!]] Next:[[強殖装甲リリカルシスター]]
**投下順で読む
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|[[さらば! オメガマンの巻]]|オメガマン||
**月下の狩猟者 ◆KKid85tGwY
その超人は2mを越す白い巨躯に、それを被い尽くせる程の巨大な青紫色をした異様な右手を背負い
更にその人差し指の先は五指に別れ、アイスホッケーマスクを被った様な頭部を上から掴んでいる。
何もせずとも異様だけで他者を圧倒しそうな、その超人の名はオメガマン。
このバトルロワイアルに来る前の元居た世界では、名立たる強者にして
犯罪超人を狩って賞金稼ぎをする『超人ハンター』として、1000を超える超人の首を刈って来た。
完璧超人の肩書き通り、依頼された標的は一度たりとも討ち漏らした事は無い。
完璧無比なる殺戮者(ジェノサイダー)、それがオメガマンだった。
そのオメガマンは今、鬱蒼とした森の中の草むら上で両手足を広げ仰向けに寝転んでいる。
一本足と巨大な顔に単眼の超人スエゾー――実際は超人では無いのだがオメガマンはそう認識した――との戦いに敗れたオメガマンは
先程まで同じ体勢で気を失っていたが、意識を取り戻してからも微動だにせず夜空を見上げていた。
体長が10分の1程に縮んでいた身体は、元の大きさに戻っている。
全身を濡らしていた唾液も、ほとんど乾いたらしい。
見上げる夜空は、生い茂る木々の葉の間から月光が微かに零れ落ち
時折聞こえてくる風に揺れる枝のざわめきは、逆にその場の静謐な雰囲気を高めていた。
「クククククク……………………クォーッフォッフォッフォッフォッフォフォッフォッ!!」
やがてオメガマンは、狂った様に森の静寂の中笑い声を響かせる。
その声には明らかに、自嘲の色が混じっていた。
(自分では冷静なつもりだったんだがな…………どうやらこの私にも、動揺が有ったらしい……)
動揺していた。そして、それが油断に繋がり敗北した。
オメガマンは自分の敗因を、そう素直に認める。
スエゾーの存在やそれとの戦いにではなく、首輪を嵌められ殺し合いを強要されていると言う現状にだ。
得体の知れない存在に命を握られているのだから、動揺と恐怖を憶えるのはある意味当然とも言える。
そして最初に出会った参加者のスエゾーは、奇襲に対する反応の鈍さと手応えの無さから遥かに格下の相手と思えた。
平静を欠いた心は恐怖から安堵、そして油断に傾き
相手の体力を充分に削らない内にΩ(オメガ)カタストロフ・ドロップという大技を仕掛け、逆にこちらが無防備な状態で攻撃を喰らってしまった。
そして2度目の敗北。
今度は強力な武器を手に入れたと浮かれ体力の回復しない内に戦いを仕掛け、そして敵の銃撃をまともに受けてしまった。
如何に弱くとも超人ならば、否例えそうでなくても未知の敵はどんな異能で以って攻撃して来るか分からない。
或いは身体を瞬時に砂に変え、或いは手から強力な磁力を発し武器とする様な異能の持ち主等宇宙にはごまんと居る。
そうでなくてもスエゾーが使った相手の身体を小さくする銃撃は、明らかにスエゾー固有の能力ではない武器によるもの。
自分に武器が支給されているのだから、敵により強力な武器が支給されていてもおかしくない。
そんな当然の考えも失念する程、浮かれていたのか。
戦場では相手が赤子だろうと、虫一匹だろうと決して油断をしてはならない。
長き超人ハンターとしての経験で、それを知っていた筈なのに
下らない油断から、無様な不覚を取ってしまった。
頭に血が上って、強力な武器を手に入れ浮かれて、先のスエゾーの攻撃で能力が著しく落ちていた為。
理由は幾らでも挙げられるが、戦場ではそんな言い訳が無意味な事はオメガマン自身が良く知っている。
気を失っている間にトドメを刺されていなかったのが、僥倖とさえ言えた状況なのだ。
(僥倖か…………この『超人ハンター』オメガマンが敵の不覚や情けに助けられて、その幸運を喜ぶのか!!)
オメガマンの、自分を嘲る笑い声が止まらない。
明らかに自分より戦力の劣るスエゾーに、2連敗を喫したのだ。
それはオメガマンから、強豪超人としての誇りをすら奪うに充分なものだった。
(『超人ハンター』も堕ちる所まで堕ちた……………………ならば後は、這い上がるだけだな)
しかしオメガマンは熾烈な超人界の、それも闇を生きて来た者。
1度や2度の失敗に拘泥する程、生温い生き方はしていない。
オメガマンは両手足を広げた体勢のまま立ち上がる。
(いいだろう、完璧超人だの過去に何人討ち取っただのと言った下らん驕りは捨てよう…………)
右拳を強く握り
(だが、このままでは済まさないぜー!!)
それで斜め後ろの木を殴り付ける。
オメガマンの倍以上の高さの有る木は、その一撃で圧し折れ
地に倒れ落ちる轟音が、森の静寂に木霊した。
殺し合いの舞台上で響き渡る轟音を、オメガマンは気にも留めない。
音がする範囲に、参加者の気配が無い事は予め分かっている。
もし音を聞き付けてやって来る者が居たとしても、この見通しの悪い森の中ではハンターである自分が後手に回る事はまず無い。
戦闘のロケーションとしては、自分に利が多い状況なのだ。
そうオメガマンは考え無しに木を殴り倒したのではなく、理由があった。
(力が落ちている。まだ体力が、回復し切っていないのか? …………いや、違うな)
オメガマンは完璧超人の首領ネプチューン・キングをも凌ぐ、超人強度8600万パワーを誇るが
その力が大きく落ちている実感が、スエゾー戦から有った。
力だけではなく、超人本能は問題無く働く様だが実際に身体を動かす速度の部分も落ちている。
それでも、並の超人より遥かに優れた戦闘能力を発揮出来るが。
スエゾーの体力を奪う攻撃の影響が、残っているのかとも考えるが
思い返せば件の攻撃を受ける前から、不調は始まっていた。
(考えられる理由で最も可能性が高いのは、主催者の仕込んだ能力制限か……)
主催者の目的は、参加者同士に拠る殺し合いである。
しかしオメガマンが本気で動けば、ほとんどの参加者は殺し合いにもならず苦も無く皆殺しに出来る。
云わばハンデとして、制限を課したのだろう。
(ならば他の能力も、試す必要が有るな。Ω(オメガ)血煙り牙は使えたから後は…………)
オメガマンはデイパックから、自分への最後の支給品を取り出す。
それは何の変哲も無い、只の傘。
ちなみに説明書には、大垣勘太から草壁サツキに貸し与えた物とある。
「オメガ・メタモルフォーゼ」
オメガマンの眼から傘に光線が放たれ、傘が掻き消える。
そしてオメガマンの右前腕部が、その傘と同じ形状に変化した。
物体を吸収しその形状、能力に合わせ身体を変化させるオメガマンの特殊能力オメガ・メタモルフォーゼ。
それが使えた事を確認し、オメガ・メタモルフォーゼを解除する。
自分の状態を確認し終えたオメガマンは、その場から動き出す準備を始める。
殺し合いに積極的に乗る事に、躊躇は無い。
仮に勝ち残ったとしても、主催者が自分を殺すと言う疑念もオメガマンには無い。
こんな殺し合いを開催する様な者は、間違い無く社会の闇に属する者である。
そしてそんな者にとって、『超人ハンター』が如何に有用かはオメガマン自身が最も良く自覚していた。
だから自分が優勝すれば、無碍に扱われる事は無い。
むしろ、下手に逆らう方が危険だ。
眼前に広がる殺戮の舞台の闇に、怖じる様子も無くオメガマンは進み出す。
如何に驕りを捨てても、オメガマンには狩られる物ではなく狩る者だという自負が有る。
彼は殺戮をその本性とする、『超人ハンター』オメガマンなのだから。
【H-6 森/一日目・明け方】
【ジ・オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【持ち物】
ディパック(支給品一式入り)
【状態】
健康。
【思考】
0.全員皆殺し。
1.スエゾーを必ず殺す。
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。 皆殺しをした後は報酬をもらうつもりでいます。
※H-6付近に爆音が響きました。
※支給品の傘@となりのトトロはオメガマンに吸収され消滅しました。
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