「はじめてのこくご」(2008/11/14 (金) 17:14:08) の最新版変更点
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** はじめてのこくご ◆0O6axtEvXI
「ふむふむ、どうやら文字一つ一つに意味があるようですね……おや? ですがそうなるとこの配列の意味は……?」
緩やかに吹く風の中、ゼロスは紙の束に書かれた無数の文字と格闘を続けていた。
平仮名、片仮名、漢字という三種類の文字が使われている日本語は、さしものゼロスも苦戦を強いられる。
「『森』……これはさっきの『木』という文字が集まってますね……他にも何人かの名前の一部に使われている……」
まったく情報のない場所からのスタートでは、かなりの時間と労力を消費することとなっただろう。
だが、名簿という『参考書』のおかげで解読にかかる時間はぐっと縮まっている。
現に、漢字に関しては読み解くコツをすでに掴んでいた。
「一部の文字は、元の物質を簡略化して作られてるみたいですねぇ、要は壁画の変化形ですか。うーん、リナさんやゼルガディスさんなら得意そうなんですが」
とはいえ、あの二人が自分に協力してはくれないだろう。
それどころか、下手に近づこうものなら問答無用で魔法の雨が降ってきかねない。
「いやはや、我ながら嫌われたものですねぇ。いやあっはっは」
笑いながらもその表情から何を考えているのかはまったく読めない。
(しかし、リナさんはここでもリナさんですねぇ)
滝の方から聞こえた爆音は竜破壊(ドラグ・スレイブ)と見て間違いないだろう。
いささか規模が小さいようにも思えたが、ただの物理的な攻撃で自分が傷ついたことといい、この空間は精神世界に対して何らかの制限が加えられているのかもしれない。
(そうなると、『あの方』の魔法も威力が弱まっているなら制御できてしまうかもしれませんね……)
終始穏やかだったぜロスの瞳が、一瞬鋭く開かれる。
魔族にとって、いや、本来ならば生きる物全てがその名を口にすることさえ許されない存在。
万物の母、混沌の闇、ロード・オブ・ナイトメアの力を借りた魔法さえをもリナは完全に制御できてしまうかもしれないのだ。
リナ自身の魔力にも何かしらの枷があるのならば問題ない、そんな状態であの魔法を使おうとすれば自ら魔法に喰われ、制御を失った魔法は世界を滅ぼすだろう。
だが、もしも制御してしまったなら? 冥王フィブリゾとの戦いの時、ほんの少しだけ目にしたあの力をリナが自在に使えるようになったら?
ゼロスは笑みを浮かべたまま、紙の束を握る手に力を込める。
ぐしゃり、と音を立てて紙が皺になるがそんなことは眼中にない。
(……やれやれ、恐ろしい人ですねぇ、リナさんは)
息を一つ吐き、唐突に下にいるホリィへと声をかける。
「ホリィさん、今さっきの爆発、聞こえましたー?」
「……っ!」
動揺した気配が伝わってくる。
とはいえ身動き一つできない状態だ、こちらの声に耳を傾けるぐらいしかできないだろう。
「いやー、凄い爆発でしたねー、あんな爆発起こされたらこんな木、呆気なく吹き飛んじゃうでしょうねー」
「っ……!」
「それでですね? 一つホリィさんに良いことを教えてさしあげようと思いまして」
「……?」
「あの爆発起こした人、どうやら僕の知り合いみたいなんですよ」
「――――」
見なくても、ホリィが表情を凍りつかせたのがわかる。
ゼロスはそのまま、ニコニコと笑いながら言葉を続けていく。
「いやはや、どうしましょうかねぇ。あの人に頼めば、このあたり一帯を焼け野原にするのなんて朝飯前なんですよね」
言葉を紡ぐたび、下方から伝わってくる恐怖が膨れ上がる。
ゼロスはその恐怖を『喰らい』ながら笑みをわずかに深くした。
(ホリィさん、役に立ちそうにないなんて思って申し訳ありません。あなたはとても素晴らしい――『餌』ですよ)
ホリィの心をつまみにしながら、ゼロスは再び紙の束に向かい合う。
「うーん……この『涼宮』という文字と『ハルヒ』という文字、根本から違う気がするんですよねぇ……」
ホリィはただ震え続ける。
直接命を奪われそうになったことは幾度もある。ワルモンに情け容赦などという言葉は存在しない。
だが、今のように緩慢な死への恐怖を与え続けられることはなかった、例えるならば真綿で首を絞められるような。
(怖い……! ゲンキ、モッチー、スエゾー……! 誰か、誰か助けて……!)
心の中で必死に助けを求めるが、それに気づくものなど存在しない。
ホリィの思いは、誰にも届かず。
葉の擦れ合う音さえしない木の上はただ静かで。
静かに、
とても静かに……
少女の手にした宝石が、脈動していた。
【F-4 森(樹上)/一日目・明け方】
【ホリィ@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【状態】右脚骨折、喉に激痛(声が出ない)、恐慌状態
【持ち物】ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.わからない、わからない……
※原作終了後からの参戦です
【ゼロス@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】わずかな精神的疲労(回復中)
【持ち物】デイパック×2、基本セット×2(地図一枚紛失)、不明支給品1~4
草壁タツオの原稿@となりのトトロ
【思考】
0.首輪を手に入れ解析するとともに、解除に役立つ人材を探す
1.原稿解読中……あ、これは森という意味ですね!
2.禁止エリアが発表されたら、そこにホリィを投げ込んで首輪がどのように作動するか観察する
3.セイギノミカタを増やす
※簡単な漢字を少しずつ覚えていっています
*時系列順で読む
Back:[[Triple 『C』 ~超人/超能力者/超…生物?~]] Next:[[ONIGUNSOWと、AMBIVALENCE]]
*投下順で読む
Back:[[Triple 『C』 ~超人/超能力者/超…生物?~]] Next:[[ONIGUNSOWと、AMBIVALENCE]]
|[[怪物の森]]|ホリィ|[[正義超人と魔族の出会い。そして悲劇の終焉]]|
|[[怪物の森]]|ゼロス|[[正義超人と魔族の出会い。そして悲劇の終焉]]|
** はじめてのこくご ◆0O6axtEvXI
「ふむふむ、どうやら文字一つ一つに意味があるようですね……おや? ですがそうなるとこの配列の意味は……?」
緩やかに吹く風の中、ゼロスは紙の束に書かれた無数の文字と格闘を続けていた。
平仮名、片仮名、漢字という三種類の文字が使われている日本語は、さしものゼロスも苦戦を強いられる。
「『森』……これはさっきの『木』という文字が集まってますね……他にも何人かの名前の一部に使われている……」
まったく情報のない場所からのスタートでは、かなりの時間と労力を消費することとなっただろう。
だが、名簿という『参考書』のおかげで解読にかかる時間はぐっと縮まっている。
現に、漢字に関しては読み解くコツをすでに掴んでいた。
「一部の文字は、元の物質を簡略化して作られてるみたいですねぇ、要は壁画の変化形ですか。うーん、リナさんやゼルガディスさんなら得意そうなんですが」
とはいえ、あの二人が自分に協力してはくれないだろう。
それどころか、下手に近づこうものなら問答無用で魔法の雨が降ってきかねない。
「いやはや、我ながら嫌われたものですねぇ。いやあっはっは」
笑いながらもその表情から何を考えているのかはまったく読めない。
(しかし、リナさんはここでもリナさんですねぇ)
滝の方から聞こえた爆音は竜破壊(ドラグ・スレイブ)と見て間違いないだろう。
いささか規模が小さいようにも思えたが、ただの物理的な攻撃で自分が傷ついたことといい、この空間は精神世界に対して何らかの制限が加えられているのかもしれない。
(そうなると、『あの方』の魔法も威力が弱まっているなら制御できてしまうかもしれませんね……)
終始穏やかだったぜロスの瞳が、一瞬鋭く開かれる。
魔族にとって、いや、本来ならば生きる物全てがその名を口にすることさえ許されない存在。
万物の母、混沌の闇、ロード・オブ・ナイトメアの力を借りた魔法さえをもリナは完全に制御できてしまうかもしれないのだ。
リナ自身の魔力にも何かしらの枷があるのならば問題ない、そんな状態であの魔法を使おうとすれば自ら魔法に喰われ、制御を失った魔法は世界を滅ぼすだろう。
だが、もしも制御してしまったなら? 冥王フィブリゾとの戦いの時、ほんの少しだけ目にしたあの力をリナが自在に使えるようになったら?
ゼロスは笑みを浮かべたまま、紙の束を握る手に力を込める。
ぐしゃり、と音を立てて紙が皺になるがそんなことは眼中にない。
(……やれやれ、恐ろしい人ですねぇ、リナさんは)
息を一つ吐き、唐突に下にいるホリィへと声をかける。
「ホリィさん、今さっきの爆発、聞こえましたー?」
「……っ!」
動揺した気配が伝わってくる。
とはいえ身動き一つできない状態だ、こちらの声に耳を傾けるぐらいしかできないだろう。
「いやー、凄い爆発でしたねー、あんな爆発起こされたらこんな木、呆気なく吹き飛んじゃうでしょうねー」
「っ……!」
「それでですね? 一つホリィさんに良いことを教えてさしあげようと思いまして」
「……?」
「あの爆発起こした人、どうやら僕の知り合いみたいなんですよ」
「――――」
見なくても、ホリィが表情を凍りつかせたのがわかる。
ゼロスはそのまま、ニコニコと笑いながら言葉を続けていく。
「いやはや、どうしましょうかねぇ。あの人に頼めば、このあたり一帯を焼け野原にするのなんて朝飯前なんですよね」
言葉を紡ぐたび、下方から伝わってくる恐怖が膨れ上がる。
ゼロスはその恐怖を『喰らい』ながら笑みをわずかに深くした。
(ホリィさん、役に立ちそうにないなんて思って申し訳ありません。あなたはとても素晴らしい――『餌』ですよ)
ホリィの心をつまみにしながら、ゼロスは再び紙の束に向かい合う。
「うーん……この『涼宮』という文字と『ハルヒ』という文字、根本から違う気がするんですよねぇ……」
ホリィはただ震え続ける。
直接命を奪われそうになったことは幾度もある。ワルモンに情け容赦などという言葉は存在しない。
だが、今のように緩慢な死への恐怖を与え続けられることはなかった、例えるならば真綿で首を絞められるような。
(怖い……! ゲンキ、モッチー、スエゾー……! 誰か、誰か助けて……!)
心の中で必死に助けを求めるが、それに気づくものなど存在しない。
ホリィの思いは、誰にも届かず。
葉の擦れ合う音さえしない木の上はただ静かで。
静かに、
とても静かに……
少女の手にした宝石が、脈動していた。
【F-4 森(樹上)/一日目・明け方】
【ホリィ@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【状態】右脚骨折、喉に激痛(声が出ない)、恐慌状態
【持ち物】ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.わからない、わからない……
※原作終了後からの参戦です
【ゼロス@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】わずかな精神的疲労(回復中)
【持ち物】デイパック×2、基本セット×2(地図一枚紛失)、不明支給品1~4
草壁タツオの原稿@となりのトトロ
【思考】
0.首輪を手に入れ解析するとともに、解除に役立つ人材を探す
1.原稿解読中……あ、これは森という意味ですね!
2.禁止エリアが発表されたら、そこにホリィを投げ込んで首輪がどのように作動するか観察する
3.セイギノミカタを増やす
※簡単な漢字を少しずつ覚えていっています
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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