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「Here we go! go!」(2008/11/14 (金) 17:19:36) の最新版変更点
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** Here we go! go! ◆mk2mfhdVi2
東の空が白み始め、孤島に夜明けが近づく中。
先程、兄との再会を最悪な形で終えた少女が、隣に立つ傷だらけの少年を心配そうに見守っていた。
「ゲ、ゲンキ君、やっぱりそんな体で動くなんて無茶だよ!」
ガイバーと化したキョンが放った渾身の一撃は、ゲンキの体に多大なダメージを与えていた。
ほんの少し動かしただけで全身に鋭い痛みが走る。
さらには今までの疲労も相まって、ゲンキの体はまともに歩き続けることすら叶わない程に傷ついていた。
「だ、大丈夫だってこのくらい。心配すんなって」
傍らに立つ少女に心配をかけないように、ゲンキは精一杯の虚勢を張り、足を踏み出す。
途端、体中を駆け巡る激痛によろめく。
「―――――ッ!」
「だからまだ動いちゃダメだって!」
少女の忠告にも耳を貸さず、ゲンキはなおも前に進もうとする。
(一刻も早く、みんなを探し出さないと―――)
先刻のマーダーとの初遭遇と、その際に受けた一撃は、実際のダメージ以上の衝撃をゲンキに与えていた。
自分と同じようにこの殺し合いに参加させられている、大切な仲間たち。
彼らが殺人鬼の餌食となる前に、なんとしても合流しなければならない。
その思いだけが、今のゲンキの頭を支配していた。
しかし、精神で肉体の限界を超えられるほど現実は甘くはなく、
結果として、少し進んだところでゲンキの体は地に沈む。
「ほら、一度体を休めないとダメだよ!」
「駄目だ、そんなことしてる間にみんなが死んだらどうするんだよ!」
そう言って、ゲンキはまた立ち上がろうとする。
走る痛みにも、少女の制止の声にも構わず。
今この瞬間にも大変なことになっているかもしれない大切な仲間たちを救うために、
精一杯のガッツを振り絞って、ゲンキは再び立ち上がった。
「―――待ってろよみんな、すぐに見つけ出してみせるから」
そして少年は今ここにいない仲間に向けて呟き、
「ゲンキくん、ごめん――――少し、頭冷やそうか」
その直後、業を煮やした少女のゲンコツが脳天に直撃し、再度少年は昏倒した。
『――――うまくいったか』
キョンの妹の着ているスクール水着から、男の声が響く。
それだけ書くとどことなく変態チックな香りがするが別にそんなことはなく、
声を発したのは、スクール水着型のパワードスーツ『地球人専用専守防衛型強化服』に内蔵されているナビであった。
「さっきはありがとう、ナビさん」
ナビが、気絶させてでもゲンキを止めるべきだ、と忠告してくれなければ、
ゲンキを止められないまま、ただでさえ悪い今の状況をさらに悪化させることになっていたかもしれない。
自分だけではどうにもならない窮地を救ってくれたナビに対して、キョンの妹は礼を言う。
『フン、ペコポン人の礼などいらんわ』
『……何をかっこつけているでありますか、ギロロ』
『仕方ないですぅ軍曹さん、ギロロ伍長は最近流行りのツンなんたらなんですぅ』
『くーっくっくっくっくっ……』
『!!』
「へ、だれ!?」
突如聞こえてきた正体不明の声に驚くキョンの妹。
少し経って声が自分のスク水から聞こえてきたことに気がつく。
「えっと……皆もナビさんの、仲間?」
『うむ、我輩達もナビでありますよ。ちなみにさっきまで話してた奴にはギロロ伍長って名前があるからそう呼んでやって欲しいであります』
「あ、そうなんだ。よろしくね、ギロロ」
『う、うむ……』
『ちなみにボクはタママ二等兵!』
『くーっくっくっくっくっ、クルル曹長だぜえ……』
『そしてこの我輩がケロロ軍曹であります!我輩達のことも、気軽にケロロ、タママ、クルルと呼んでほしいであります』
そうでもしないと『ナビ』だけじゃややこしいでありますし、と最後に付け加える。
「……ケロロとタママ?」
何処かで見た記憶のある名前に、キョンの妹が呟く。
『ム、こいつらを知っているのか?』
「うん、たしかどこかで見たような……」
(見たとすればこっちに来てからだよね……。いきなり池に落ちて、温泉に入ってたらゲンキ君に……いやこれは置いといて、たしかその後……)
「あ」
思考の末にようやく目的の記憶に思い至り、近くに置いておいた自分のディパックから名簿を取り出す。
『これは、このバトルロワイアルの参加者の名簿か?』
先程、キョンの妹とゲンキは、自分たちが陥っている状況についてナビに軽くだが説明はしていた。
とはいえ、大して説明する間もなくゲンキが仲間を探しに出ようとした為に、
自分達が今殺し合いに巻き込まれていることと、既に殺し合いに乗った人物がいること程度しか説明できてはいなかったのだが。
よって、ギロロを始めとするナビ版ケロロ小隊(一名欠席)は、未だに名簿を実際に目にしてはいなかった。
「うん、たしかここに二人の名前が――」
キョンの妹が名簿を開くと、そこに書かれた名前にナビ達が反応する。
『ゲロッ!?我輩と冬樹殿の名前があるであります!?あ、ドロロも』
『ボクとギロロ伍長のお兄さんの名前もですぅ~!』
『なんだと!?』
『くっくっく……コイツは中々……』
名簿に記載された名前に驚愕する四匹。特に、自分のオリジナルの名前が記載されていたケロロとタママの驚愕は大きかった。
『くっ……我輩のオリジナルは何をしているのでありますか!自分がついていながら冬樹殿をこんな危険な目に!』
『くっ……どうしてボクはコピーなんですぅ!自分がオリジナルなら軍曹さんと戦うボーイ・ミーツ・ボーイ的な何かが……!』
「えっと……どういうこと?」
無理も無いが、一般人であるキョンの妹だけが話についていけていない。
それに気付いたギロロが、出来るだけ解りやすいように心がけながら説明する。
『つまりだな、このパワードスーツに搭載されているナビのケロロとタママはオリジナルでは無く、オリジナルの人格を我がケロン軍のなんかものっそいテクノロジーでなんたらして、
さらになんか凄く色々やってコピーした人格がこのパワードスーツには………』
『まあオッサンの説明は置いといて、要するに二人の本物がこのバトルロワイアルに参加してるってわけだ。オーケー?』
「うん、ありがとうクルル!解りやすいよ!」
『くーっくっくっくっくっ…………』
『………………さて、話を戻すぞ。こいつらのオリジナルや俺達の関係者がこの島にいるって事はわかった。
ならばするべきことは一つ。この島からの脱出だ。クルル、この首輪はお前の知識でどうにかならんのか?』
『………なるぜ』
「本当!?」
『本当か!?』
ようやく見えた希望に、二人の声にも喜びが満ちる。
が、その希望はすぐに絶望へと変わった。
『ただし、俺がデータじゃなけりゃあな……今の俺は文字通り手も足も出ないってヤツでねェ……』
『ならば始めからそれを言わんか!まったく、肝心な時に役に立たん奴め……』
ギロロが悪態を吐き、クルルが奇妙な笑い声をあげる脇で、キョンの妹は完全に希望を失っていた。
「もう……無理なのかな」
いきなり殺し合いの場に放り込まれ、人外と化した兄と対峙し、キョンの妹の精神は大分摩り減っていた。
それこそ、ほんの少しのきっかけで完全に折れてしまう程に。
未だ小学生の少女には、あまりにも過酷な状況だった。
『―――諦めたら、そこで試合終了でありますよ』
静かに泣いていた少女に、ケロロは声をかける。
『漫画の引用で申し訳無いでありますが、諦めてしまったら何も掴めないのであります』
「ケロロ……」
『兄殿とのことだって、気に病むことは無いであります。あの時、兄殿は殺そうと思えば妹殿だって殺せたハズなのであります
しかし結局、妹殿もゲンキ殿も生きている。きっと、兄殿は未だ迷っているのでありましょう。
なら、次に会った時にちゃんと兄妹で話し合うであります。生きているなら、きっとやり直せるでありますよ』
最後に、だから諦めるな、と続ける。
『戦場では諦めた者から死んで行く……おっと、これは余計でありましたな。どれ、少しは元気が出たでありますか?』
決意を胸に、少女は立ち上がる。
その顔には、既に絶望の色は消え去っていた。
「よし、行くよゲンキ君!しっかり捕まっててね!」
「あ、ああ。でも大丈夫なのか、本当に?」
KRR-SPに跨るゲンキとキョンの妹。ただし今回は、キョンの妹が前、ゲンキが後ろと、数時間前とは配置が逆になっている。
『ゲロゲロリ!ご心配は無用でありますゲンキ殿!生粋の円盤乗りの我輩がしっかりサポートするでありますから!』
「そっか……頼んだぜ、ケロロ」
「任せろであります!」
ひとまず二人と四匹の会議の結果、ゲンキの為にも医療品の確保を最優先とすることに決まった。
ゲンキは最後まで渋っていたが、先程のゲンコツが余程効いたのか割と簡単に折れた。
向かう先はCー3エリアにある学校の保健室。病院が無いならば、次に医療品が揃っているのは薬局か学校の保健室だろう。
そう結論に至り、最初の目的地は学校に決まった。
そして。
ゆっくりと、少女の運転でKRR-SPが動き始める。
ケロロの指示に従い、段々と速度が上がって行く。
「行くよ、皆!」
『応(であります、だぜェ、ですぅ)!』
ありとあらゆる強者が集ったバトルロワイアル。
生き残るのは案外、純真さを忘れない子供達なのかもしれない。
「ちょっ、ゲンキ君そこダメ!胸掴んでるからぁぁっ!」
「え?なんだってぇぇ!?って揺れてる、落ちる!安全運転安全運転!!」
前言撤回。やっぱ駄目だこいつら。
【E-03/草原/一日目・明け方】
【名前】佐倉ゲンキ@モンスターファーム~円盤石の秘密~
【状態】重傷(全身強打、行動に支障)
【持ち物】S&WM10(リボルバー)ディパック(支給品一式)
【思考】
1:学校へ
2:キョンの妹を守る。キョンの行動に疑問。
3:自分とキョンの妹の知り合いを探す
4:『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5:主催者は絶対に倒すが、長門有希に関してはもう少し情報が欲しい。
【名前】キョンの妹@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】健康
【持ち物】KRR-SP@ケロロ軍曹、『人類補完計画』計画書@新世紀エヴァンゲリオン、地球人専用専守防衛型強化服、
ディパック(支給品一式)
【思考】
1:学校へ
2:殺し合いを止める。
3:自分とゲンキの知り合いを探す
4:『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5:主催者に協力している長門有希のことが気になる。
**時系列順で読む
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**投下順で読む
Back:[[倦怠ライフ・リターンズ]] Next:[[犯罪! 拉致監禁○辱摩訶不思議ADV!]]
|[[強殖装甲リリカルシスター]]|佐倉ゲンキ|[[理想と妄想と現実]]|
|[[強殖装甲リリカルシスター]]|キョンの妹|[[理想と妄想と現実]]|
** Here we go! go! ◆mk2mfhdVi2
東の空が白み始め、孤島に夜明けが近づく中。
先程、兄との再会を最悪な形で終えた少女が、隣に立つ傷だらけの少年を心配そうに見守っていた。
「ゲ、ゲンキ君、やっぱりそんな体で動くなんて無茶だよ!」
ガイバーと化したキョンが放った渾身の一撃は、ゲンキの体に多大なダメージを与えていた。
ほんの少し動かしただけで全身に鋭い痛みが走る。
さらには今までの疲労も相まって、ゲンキの体はまともに歩き続けることすら叶わない程に傷ついていた。
「だ、大丈夫だってこのくらい。心配すんなって」
傍らに立つ少女に心配をかけないように、ゲンキは精一杯の虚勢を張り、足を踏み出す。
途端、体中を駆け巡る激痛によろめく。
「―――――ッ!」
「だからまだ動いちゃダメだって!」
少女の忠告にも耳を貸さず、ゲンキはなおも前に進もうとする。
(一刻も早く、みんなを探し出さないと―――)
先刻のマーダーとの初遭遇と、その際に受けた一撃は、実際のダメージ以上の衝撃をゲンキに与えていた。
自分と同じようにこの殺し合いに参加させられている、大切な仲間たち。
彼らが殺人鬼の餌食となる前に、なんとしても合流しなければならない。
その思いだけが、今のゲンキの頭を支配していた。
しかし、精神で肉体の限界を超えられるほど現実は甘くはなく、
結果として、少し進んだところでゲンキの体は地に沈む。
「ほら、一度体を休めないとダメだよ!」
「駄目だ、そんなことしてる間にみんなが死んだらどうするんだよ!」
そう言って、ゲンキはまた立ち上がろうとする。
走る痛みにも、少女の制止の声にも構わず。
今この瞬間にも大変なことになっているかもしれない大切な仲間たちを救うために、
精一杯のガッツを振り絞って、ゲンキは再び立ち上がった。
「―――待ってろよみんな、すぐに見つけ出してみせるから」
そして少年は今ここにいない仲間に向けて呟き、
「ゲンキくん、ごめん――――少し、頭冷やそうか」
その直後、業を煮やした少女のゲンコツが脳天に直撃し、再度少年は昏倒した。
『――――うまくいったか』
キョンの妹の着ているスクール水着から、男の声が響く。
それだけ書くとどことなく変態チックな香りがするが別にそんなことはなく、
声を発したのは、スクール水着型のパワードスーツ『地球人専用専守防衛型強化服』に内蔵されているナビであった。
「さっきはありがとう、ナビさん」
ナビが、気絶させてでもゲンキを止めるべきだ、と忠告してくれなければ、
ゲンキを止められないまま、ただでさえ悪い今の状況をさらに悪化させることになっていたかもしれない。
自分だけではどうにもならない窮地を救ってくれたナビに対して、キョンの妹は礼を言う。
『フン、ペコポン人の礼などいらんわ』
『……何をかっこつけているでありますか、ギロロ』
『仕方ないですぅ軍曹さん、ギロロ伍長は最近流行りのツンなんたらなんですぅ』
『くーっくっくっくっくっ……』
『!!』
「へ、だれ!?」
突如聞こえてきた正体不明の声に驚くキョンの妹。
少し経って声が自分のスク水から聞こえてきたことに気がつく。
「えっと……皆もナビさんの、仲間?」
『うむ、我輩達もナビでありますよ。ちなみにさっきまで話してた奴にはギロロ伍長って名前があるからそう呼んでやって欲しいであります』
「あ、そうなんだ。よろしくね、ギロロ」
『う、うむ……』
『ちなみにボクはタママ二等兵!』
『くーっくっくっくっくっ、クルル曹長だぜえ……』
『そしてこの我輩がケロロ軍曹であります!我輩達のことも、気軽にケロロ、タママ、クルルと呼んでほしいであります』
そうでもしないと『ナビ』だけじゃややこしいでありますし、と最後に付け加える。
「……ケロロとタママ?」
何処かで見た記憶のある名前に、キョンの妹が呟く。
『ム、こいつらを知っているのか?』
「うん、たしかどこかで見たような……」
(見たとすればこっちに来てからだよね……。いきなり池に落ちて、温泉に入ってたらゲンキ君に……いやこれは置いといて、たしかその後……)
「あ」
思考の末にようやく目的の記憶に思い至り、近くに置いておいた自分のディパックから名簿を取り出す。
『これは、このバトルロワイアルの参加者の名簿か?』
先程、キョンの妹とゲンキは、自分たちが陥っている状況についてナビに軽くだが説明はしていた。
とはいえ、大して説明する間もなくゲンキが仲間を探しに出ようとした為に、
自分達が今殺し合いに巻き込まれていることと、既に殺し合いに乗った人物がいること程度しか説明できてはいなかったのだが。
よって、ギロロを始めとするナビ版ケロロ小隊(一名欠席)は、未だに名簿を実際に目にしてはいなかった。
「うん、たしかここに二人の名前が――」
キョンの妹が名簿を開くと、そこに書かれた名前にナビ達が反応する。
『ゲロッ!?我輩と冬樹殿の名前があるであります!?あ、ドロロも』
『ボクとギロロ伍長のお兄さんの名前もですぅ~!』
『なんだと!?』
『くっくっく……コイツは中々……』
名簿に記載された名前に驚愕する四匹。特に、自分のオリジナルの名前が記載されていたケロロとタママの驚愕は大きかった。
『くっ……我輩のオリジナルは何をしているのでありますか!自分がついていながら冬樹殿をこんな危険な目に!』
『くっ……どうしてボクはコピーなんですぅ!自分がオリジナルなら軍曹さんと戦うボーイ・ミーツ・ボーイ的な何かが……!』
「えっと……どういうこと?」
無理も無いが、一般人であるキョンの妹だけが話についていけていない。
それに気付いたギロロが、出来るだけ解りやすいように心がけながら説明する。
『つまりだな、このパワードスーツに搭載されているナビのケロロとタママはオリジナルでは無く、オリジナルの人格を我がケロン軍のなんかものっそいテクノロジーでなんたらして、
さらになんか凄く色々やってコピーした人格がこのパワードスーツには………』
『まあオッサンの説明は置いといて、要するに二人の本物がこのバトルロワイアルに参加してるってわけだ。オーケー?』
「うん、ありがとうクルル!解りやすいよ!」
『くーっくっくっくっくっ…………』
『………………さて、話を戻すぞ。こいつらのオリジナルや俺達の関係者がこの島にいるって事はわかった。
ならばするべきことは一つ。この島からの脱出だ。クルル、この首輪はお前の知識でどうにかならんのか?』
『………なるぜ』
「本当!?」
『本当か!?』
ようやく見えた希望に、二人の声にも喜びが満ちる。
が、その希望はすぐに絶望へと変わった。
『ただし、俺がデータじゃなけりゃあな……今の俺は文字通り手も足も出ないってヤツでねェ……』
『ならば始めからそれを言わんか!まったく、肝心な時に役に立たん奴め……』
ギロロが悪態を吐き、クルルが奇妙な笑い声をあげる脇で、キョンの妹は完全に希望を失っていた。
「もう……無理なのかな」
いきなり殺し合いの場に放り込まれ、人外と化した兄と対峙し、キョンの妹の精神は大分摩り減っていた。
それこそ、ほんの少しのきっかけで完全に折れてしまう程に。
未だ小学生の少女には、あまりにも過酷な状況だった。
『―――諦めたら、そこで試合終了でありますよ』
静かに泣いていた少女に、ケロロは声をかける。
『漫画の引用で申し訳無いでありますが、諦めてしまったら何も掴めないのであります』
「ケロロ……」
『兄殿とのことだって、気に病むことは無いであります。あの時、兄殿は殺そうと思えば妹殿だって殺せたハズなのであります
しかし結局、妹殿もゲンキ殿も生きている。きっと、兄殿は未だ迷っているのでありましょう。
なら、次に会った時にちゃんと兄妹で話し合うであります。生きているなら、きっとやり直せるでありますよ』
最後に、だから諦めるな、と続ける。
『戦場では諦めた者から死んで行く……おっと、これは余計でありましたな。どれ、少しは元気が出たでありますか?』
決意を胸に、少女は立ち上がる。
その顔には、既に絶望の色は消え去っていた。
「よし、行くよゲンキ君!しっかり捕まっててね!」
「あ、ああ。でも大丈夫なのか、本当に?」
KRR-SPに跨るゲンキとキョンの妹。ただし今回は、キョンの妹が前、ゲンキが後ろと、数時間前とは配置が逆になっている。
『ゲロゲロリ!ご心配は無用でありますゲンキ殿!生粋の円盤乗りの我輩がしっかりサポートするでありますから!』
「そっか……頼んだぜ、ケロロ」
「任せろであります!」
ひとまず二人と四匹の会議の結果、ゲンキの為にも医療品の確保を最優先とすることに決まった。
ゲンキは最後まで渋っていたが、先程のゲンコツが余程効いたのか割と簡単に折れた。
向かう先はCー3エリアにある学校の保健室。病院が無いならば、次に医療品が揃っているのは薬局か学校の保健室だろう。
そう結論に至り、最初の目的地は学校に決まった。
そして。
ゆっくりと、少女の運転でKRR-SPが動き始める。
ケロロの指示に従い、段々と速度が上がって行く。
「行くよ、皆!」
『応(であります、だぜェ、ですぅ)!』
ありとあらゆる強者が集ったバトルロワイアル。
生き残るのは案外、純真さを忘れない子供達なのかもしれない。
「ちょっ、ゲンキ君そこダメ!胸掴んでるからぁぁっ!」
「え?なんだってぇぇ!?って揺れてる、落ちる!安全運転安全運転!!」
前言撤回。やっぱ駄目だこいつら。
【E-03/草原/一日目・明け方】
【名前】佐倉ゲンキ@モンスターファーム~円盤石の秘密~
【状態】重傷(全身強打、行動に支障)
【持ち物】S&WM10(リボルバー)ディパック(支給品一式)
【思考】
1:学校へ
2:キョンの妹を守る。キョンの行動に疑問。
3:自分とキョンの妹の知り合いを探す
4:『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5:主催者は絶対に倒すが、長門有希に関してはもう少し情報が欲しい。
【名前】キョンの妹@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】健康
【持ち物】KRR-SP@ケロロ軍曹、『人類補完計画』計画書@新世紀エヴァンゲリオン、地球人専用専守防衛型強化服、
ディパック(支給品一式)
【思考】
1:学校へ
2:殺し合いを止める。
3:自分とゲンキの知り合いを探す
4:『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5:主催者に協力している長門有希のことが気になる。
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