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「Girl who does lesson」(2010/01/22 (金) 21:54:12) の最新版変更点
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*Girl who does lesson ◆5xPP7aGpCE
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やあみんな。こうやって姿を見せるのも暫くぶりだね。
僕は実況中トトロ!
特設リングで行われる熱い戦いを伝える謎の使者さ。
僕にとって二度目の晴れ舞台となるのは湖から突き出すダイナミックな水上リング!
いや、なるはずだったというのが正確かな。
というのは今行われているのは本チャンの試合じゃないんだ。
見てごらん、赤い髪の女の子は凄く真剣に戦っているけどその相手、リングを起動させた大男は全然余裕だよ。
僕の見立てでは実力の半分も出してない、しかも最初から一度も右腕を動かしていないんだ。
そして時々止まっては女の子―――ノーヴェにアドバイスを出している。
彼女もなかなか有望な素材だ、悪魔将軍と名乗っていた大男の指導を砂に水が染み込む様に吸収している。
それに不思議だ、彼女を見ていると何故かあのスバルと重なってしまう。
髪や肌の色は全然違うのにね。
解ったかな?
この二人がリングを出現させたのは練習場所として使うためだったんだ。
そしてリングが起動すれば僕も登場しなければいけない。
何故なら僕は自動的だから。
練習試合だからって勝手に帰るのも許されていない、宮仕えの辛い所さ。
ついでに言うと登場した途端、二人というか悪魔将軍にあれこれ聞かれたよ。
聞くというより尋問だったけどスバルに伝えたのと同程度しか喋らなかった。
前の試合の詳細も禁則事項に触れるって事で言ってない。
二人は特訓が目的なので手短に終わってくれたのが幸いだったかな。
さて、それじゃ僕も本来の役目を果たさなきゃ!
もちろんやる事なんて一つしか無いさ。
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| あーーーーっと! 素早いフットワークで将軍の背後に回り込んだノーヴェが右腕を狙ったーーー! |
| 見えない角度からスピードを乗せた見事な攻撃だーーーーっ!! |
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※ ※ ※
あたしはノーヴェ。
普段から機嫌が悪いはずのあたしは今不思議と気分がいい。
理由? さあな、何時からこんな気分になったのか忘れちまった。
相変わらず将軍を負かすどころかまともに攻撃を入れる事も出来ないってのに何故だろう。
きっと身体がこんなに軽い事も関係してる。
これが初めて経験するランナーズハイって奴か?
違う、強くなっている事を全身で感じられているからだ。
けどあたしはまだ満足していない!
―――決まった
最初何度も跳ね返されて諦めたと思わせた右腕への攻撃。
今まで他の部位を攻撃はその為の陽動。
将軍の注意はこれで逸れた、そして前に出ようとするタイミングに合わせて横をくぐり抜けた。
あたしの会心の蹴りが将軍の折れた右腕を狙う。
蹴り方も、リング上での体裁きも、容赦なく相手の弱点を狙うやり方も全部将軍のアドバイスを受けて高めることが出来た。
あたしは意地っ張りだ。
だから絶対将軍の右腕に入れてやると決めた。
蹴りは後数センチで届く、今度こそ決まったと本気で思った。
将軍の身体が動く、でも早いのはあたし。
蹴りは確かに命中した。
あたしは喜ぶ、一瞬後にはそれが覆された。
くるり。
何だよこれ!?
期待していた感触が無い、まるで空振りしたみたいだ。
同時にあたしの世界が回る、天地が逆さまになる。
あたしは今、背中からリングに叩きつけられようとしている!
それを理解した瞬間に力を発動させた。
「ほう、いい判断だなノーヴェ」
エアライナー、あたしの生まれ持っての力。
光の帯、その上にばふっと受け止められてあたしは止まる。
そのまま後退、けどそれは無理だった。
あたしの真正面には将軍の拳が制止していたから。
「……ふん、降参するよ」
また負けた。
これで何度目だろうか、数える気にもなれない。
悔しい。
実力差は承知している、でも悔しくてあたしは膨れる。
「さっきは何したんだよ、将軍」
エアライナーを消して身体を起こすと解らない事を素直に聞く。
思い出せば直前に将軍の身体が螺旋を描く様に動いていた。
その動きは振り向く前兆?
恐らく正しい、でもたぶん正解は二つ。
あたしは回転させられて蹴りを殺された。
だからあれは―――
「まずはお前の考えを言ってみろノーヴェよ」
自分の頭でも考えろ、三人で模擬戦していた時から将軍に言われた事だ。
ただ聞くだけじゃ駄目、本当に理解しなければ強くなれない。
「将軍は、あたしの蹴りを受け流したというか弾いた。
そしてあたしの回転軸をずらした、合ってるかよ?」
空中感覚には自信がある。
あの時起こったのは胴体を軸に横方向の回転から縦方向回転への急速な転換。
それを折れた右腕であたしに行った、合気の達人がそんな事をできると聞いた事がある。
「解ってきたようだな、”柔よく剛を制す”それも武の一面だ。
リングの上で戦う者はあらゆる格闘技に精通しているのが当然のあり方と思え。
私も本来ならその”柔”をさらに生かした戦いができるのだが今は関係ない。
狙いも動きも悪くは無かった、だが問題はそれ以前にあるのだ」
正解の喜びも束の間、突き放した様な言い方は慣れてるけどちょっとムカつく。
たぶん顔にも出ているけど隠すもんか。
「それ以前って、あたしの何が悪いんだよ!」
「簡単な事だ、お前は狙いが単純すぎる。読みやすいのだ。
私の各所を狙ったのはフェイントのつもりか? お前の意識は常に私の右腕に向かっていたぞ。
狙いが解っている攻撃を防ぐなど誰にでもできる、違うか」
言葉も無くあたしは黙った。
そういや将軍には気絶したふりも見抜かれていたっけ。
でもゼクトールは騙せた、将軍が鋭すぎるのか?
「怒りが戦意を高める程度なら構わん、だが必要以上の高ぶりは時として害にもなる」
「わ、わからなくもないけどよ……」
心当たりは有る、けど性格なんてすぐに変えられないんだよ!
きっとこれも表情に出たのだろう、将軍の言葉は続いた。
「誰がそこまでしろと言った、心しておくだけで良い。お前に言った所で無駄というものだ。
同時に私が言いたいのは相手の動きを読む事が勝負の決め手という事だ。
相手の考えが解れば先を取れる、相手の狙いが解れば動きが遅れても後の先を取れる。
特にお前は速度は及第点をやれるが力が不足だ、そのくらいの事をせねばならん」
正論だ。
ゼクトール、ギュオー、将軍にあのデカいもふもふ。
力であたしを上回る相手なんて何人も見てきた。
でもそれをするには経験不足だ、こればかりはどうしようもないよ。
「け、けどあたしは実戦にあまり出た事が無いし。心理学の勉強とか、そういうのも苦手なんだよ……」
あたしはそんなに深く考える性格じゃない。
話は解るけど座学より体を動かす方法の方があたし向きだ。
しかし将軍の指導はあたしの考えの上を言っていた。
将軍は左腕を突き出し、あたしには右腕を出させて手の甲と掌を触れ合わせる。
当然掌のサイズはまるで違う、あたしの掌は将軍の手の甲に全て収まってしまう。
ただそれだけ。
一体何をしようってんだよ?
「お前がすべき事は単純だ。私の掌から動きを感じて合わせてみろ」
言葉と同時に将軍の腕が動く。
慌ててあたしも手が離れないよう動く。
最初は緩慢と、そして次第に緩急や複雑な動きが加わりだした。
甘く見ていたけど結構難しい。
掌は触れ合っているだけ、少し動きがズレただけで簡単に離れてしまう。
「これは大陸で聴剄と呼ばれる技法の練習だ、その目的は触覚のみで相手の動きを読み取る事よ」
気が散るので返事なんてできやしない。
将軍は足も動かし始めて前後左右にあたしを振り回してる。
触覚だけなんて無理だよ!
あたしは目で見て将軍の動きを読もうとするけどこれも難しかった。
全くパターン化しない動きは勘とかそういうものじゃ予測できない。
言われたように掌に集中するだけじゃなくて全ての感覚を動員しながらなんとか付いていく。
「フ、それでは何の意味も無いぞノーヴェよ、これは何の為の特訓だ?」
わかってるよ、でもどうすりゃいいんだよ!
センサーはちゃんと掌から圧力や振動を伝えてくれている。
けどそれをどう処理すればいいのか解らない。
―――まるで水みたいに捕らえ所が無いんだから!
そんな風に思ったあたしは何となく将軍と水を重ね合わせる。
将軍は水の塊。
じゃあ掌に伝わってくるのはその水の流れ?
……解りやすいかも
とにかくやってみる。
あたしは将軍の身体に水の流れるさまをイメージする。
掌に感じるのは単純な一方向の流れ。
そう思っていると突然乱れる。
あたしの腕はその流れに翻弄される事を繰り返している。
―――まるで大河に腕を突っ込んでるみたいだ。
それは乱流
それは渦
これでも将軍にとって抑えた状態、一たび荒れ狂えばどれ程怖いか知っている。
伝わる感覚の視覚化を試みる。
将軍の形をした入れ物に渦巻く水の流れ、それがあたしの作ったイメージ。
どう流れる?
何時あたしに到達する?
ぼんやりと、けど確かに見えてきた。
将軍の肘で力が渦を巻いている。
渦は盛んに形を変えて水の流れをかき乱す。
あたしを弄ぶその流れ、やっぱりムカつく!
今掌に伝わる流れは間も無く途切れる、そして一瞬後に違う流れに切り替わる。
あたしは自然と掌をその流れに乗せた。
将軍の掌が上に動く、シンクロするようにあたしの腕も上がる。
次は身体ごと前に踏み出される、僅かなズレもなくあたしも下がる。
「掴めたようだなノーヴェ」
「見たか、あたしの才能!」
付いたり離れたりを繰り返してた掌はもうくっついたまま離れない。
軽く触れたまま将軍の手と一つになったみたいに自然に動く。
「思い上がるな、お前は入り口に立ったにすぎん。
本当に触覚のみで掴めなければ体得したとは言えん。
そして私もあえて読ませてやっているのだ」
爆発的に渦が巻く。
あたしは”巻き込み”によって手先だけで投げられる。
あたしを遥かに上回る力の奔流、エアライナーで受身を取るのが精一杯だった。
上等だよ!
即座に起きてまた掌をくっ付ける。
さっきとは全然流れが違う、でもすぐに掴んでみせる!
「更に練り上げれば触れずとも読める様になる、お前が狙う女は触れる事が好ましくないのだろう?」
スバル・ナカジマ―――タイプゼロ・セカンド、チンク姉の仇。
戦闘機人にとって相性が最悪の能力「振動破砕」の使い手。
本当にそれが出来ればあたしは勝てる。
「そうだよ! 本当に腹立つ相手さ、出会ったら必ず蹴っ飛ばしてやる!」
だんだん”流れ”を感じられてきた。
腕だけじゃない、肩、背中、腰、膝、つま先といった将軍の各所で渦巻く力があたしのフレームに伝わってくる。
将軍の腰で流れが加速する、それは膝に、更に足元へと一瞬で伝わる。
不意打ちの蹴り。
攻撃するなんて言われてなかった、でも蹴りは跳躍したあたしの足元を通過した。
もちろん掌は合わせたままだ。
まだ終わってない、空中のあたしに第二撃が迫っていた。
将軍の腕を伝わる大渦がある、次は”巻き込み”が来る。
掌を離せば避けれる、けどそれは負けを意味する。
力で対抗なんてできない、そして流れは避けられない。
なら流れを乗りこなす!
あたしは自分から動いた。
将軍の渦に合わせて掌と手首が螺旋を描く。
あたしはやるべき事を知っている。
そして教えてくれたのは将軍だ。
リングに叩き付けられる回転から蹴りの回転への回転軸変更。
猛烈な回転と足を伝わる小気味良い衝撃。
”巻き込み”の力を利用した蹴りが胴体に入った。
初めてのクリーンヒット!
さっきのお返しだよ、将軍。
「上出来だぞノーヴェ」
褒めてんのか? 今度こそ褒めてるんだよな?
調子に乗ったあたしはどんと来いと続けようとして―――
ふと思った。
手を触れ合わせて向き合って一緒に動くこの状況。
まるで将軍とあたしはダンスを踊っているみたいじゃないかよ……
突然あたしの顔が熱くなる。
「ちょ、ちょっとタンマ!」
何か気恥ずかしくなっちまった。
思わず将軍から離れてしまう。
「何下を向いているノーヴェ、顔も赤いぞ」
し、仕方無いじゃねえか!
あたしはそういうのに免疫が無いんだよ!
結局無理矢理考えを頭から追い払うまであたしは将軍に顔を合わせられなかった。
気を取り直してやり直そうとしてもさっきまでが嘘だったみたいにうまくいかない。
変な事考えたせいで全然解んなくなっちまった……
「完全に心が乱れたな、一体何を考えた?」
将軍にもこれ以上は無理と見られたのか聴剄の練習は打ち切り、何やってんだあたしは。
誤魔化す為に無理矢理話題を逸らす。
「聞くな! それよりジェットエッジを取り戻せりゃもっと戦える様になるんだよ!」
ハムとか言うウサギに持ってかれちまったあたしの固有装備。
ガンナックルも何処かに有るかもしれない。
言う程こだわってないけどガイバーも古泉のものになっちまったし何か欲しい。
「武器が欲しいのかお前は?」
「……あった方がいい」
特に期待せず返事する。
将軍のも含め、手持ちの品物であたし向きの武器なんて無かったから。
腕を出せ、と将軍は言った。
聴剄の練習はまだ無理だよと膨れながらもその通り手を伸ばす。
将軍も腕を伸ばす、けどさっきと違うのは触れ合わない事。
差し出した掌の真上数センチに将軍の力強い拳が重なる。
すると拳があたしにも聞こえる程の音を立てて握り締められた。
あたしが見ていると拳から雫が落ちた。
キラキラと光る大粒の雫、どんどんあたしの手の甲に溜まってゆく。
将軍の汗? でも全然汚いとかそういう事は思わなかった。
むしろそう思うのは侮辱だ。
将軍の力が雫になってあたしの腕に重なってゆく。
溜まる重み、あたしはただ黙って見続ける。
「これが私からお前に与える力だ、そしてお前を認めた証よ」
将軍の拳が離れた瞬間、手の甲が太陽の光を浴びて綺麗に輝いた。
ゆっくりと腕を顔に近づける。
最高の硬度を持つ物質があたしの掌を守っていた。
「……これがあたしのダイヤモンドナックル」
あたしは蹴りの方が得意だし、ガンナックルみたいな射出機構も無い。
実際道具として何処まで役立ってくれるかは解らない。
でも嬉しい!
役立ちそうなものが貰えたからじゃない、古泉と同じ様に認められた事があたしは嬉しい。
これ以上無い程上機嫌になって何度も眺める。
そういえば女性に宝石を送るって特別な意味があるとかないとか。
将軍の事だ、そんな事全然ありえないけどさ。
よく見ればあたしの顔が写っていた。
あたしは今最高にニコニコしている!
※ ※ ※
いやはや、実にお見事。
悪魔将軍の指導もノーヴェの成長も見ていてとても楽しかったよ。
二人のこれからも見てみたいけどリングで戦ってくれない限りは適わない願いだ。
次の放送後に出発予定と言ってたね、あと数時間でその機会は訪れるかな?
「おー、中トロも実況ありがとな」
もふもふとノーヴェが僕の頭を撫でてくれる。
いい顔してるよホント、輝いてるって言葉がこれ以上無く似合う。
でも名前違うよ! 僕は中トトロ!
大トロ、中トロは名前として呼べるけど小トロなんて言葉無いから困るよ!
「中トロはおにぎり食べるか? あたしは特訓中で食べるわけにいかないからさ」
……まあいいか。
水分を摂る為ペットボトルを取り出した彼女が大事な食料を渡してくれた。
そういえば僕の雇い主は食事を出してくれた記憶が無い……
不思議にお腹は空かなかったけど。
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| ありがとう!,|
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ぱくぱくとノーヴェの横でおにぎりを食べる。
鮭の塩味が本当に美味しい。
おかげでお腹一杯だ、でも飲み物も欲しくなってきたな。
ノーヴェの方をちらりと見ると彼女も察してくれたらしい。
自分が飲んでいたペットボトルを僕に寄越してくれようとしたんだけど思わぬ邪魔が入ったよ。
「お前はこれを飲め、あつかましいMONONOKEめ」
悪魔将軍から手付かずのペットボトルが強引に渡される。
ノーヴェもそれを見て手を引っ込めてしまった。
ちょっと、いやかなり残念な気分だよ。
そんなこんなで湖の真ん中でハイキング気分になっていたその時だった。
突然前触れも無しにリングが没し始めた。
「中トロッ! こいつは一体何なんだよ!」
ノーヴェも慌てて僕に聞くが答えられる訳無い。
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| ぼ、僕にも解らないよ!,|
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すぐにリングは完全に沈んでしまう、早くボートに乗り込まなきゃ!
僕は急いでボートに飛び乗ろうとしたけどそれよりも早く謎の光がボートを照らした。
「危ない中トロッ!」
後ろからノーヴェに抱きすくめられる、その一瞬の間にボートは消えていた。
沈んだんじゃない、文字通りの消滅。
前に同じ現象を見た、これは―――Ωメタモルフォーゼ!
見れば遠く対岸に僕を蹴り飛ばしたあのオメガマンが不気味に笑っていた。
リングは既に没する寸前だ、どうしよう僕泳ぎは苦手なんだよ!
「大丈夫だ、あたしにしっかり掴まってろよ! エアライナァーーッ!」
スバルのウイングロードにも似た光の橋が水の上をオメガマンのいる対岸へと延びていく。
そして将軍と僕を抱えたノーヴェがその上を駆けてゆく。
後ろではリングは完全に没したみたいだ、危なかった。
でも安心するのは早いよ!
Ωメタモルフォーゼはウイングロードも取り込めた、つまりこの”エアライナー”も……
思う間も無くオメガマンの仮面が光った。
”エアライナー”が岸の部分から消滅していく!
でも完全に消える前に将軍とノーヴェは空へと跳躍していた。
上空で再びノーヴェの足元からエアライナーが延びていく。
エアライナーの連続使用だ、これなら対岸まで行ける!
アーチ状のエアライナーを将軍がスライディングしながら滑り落ちる。
僕もノーヴェの腕の中で一緒に滑る、まるで虹の架け橋だ!
凄い、凄いよノーヴェ!
※ ※ ※
「ゲェーッ! 空中を滑るとは何という反則技!」
オメガマンにとっては欲を出したのがそもそも間違いの元だった。
遮るものの無い湖のリングは比較的目立つ。
だから湖畔を通りかかったオメガマンが先に気付いたとしてもそれは当然。
関わりを避ける為E-10との境界付近を移動する事にしたのも悪くない判断。
そこで偶然リングの起動装置を発見した事が彼の運命を変えた。
(クォックォックォッ、どうやら俺はツキに見放されていなかったらしいぜ~~~)
看板の説明によるとスイッチのON・OFFでリングを出現させるだけではなく元通りに戻す事も可能らしい。
もしリングが沈み、更に移動手段となるボートが消失すれば当然あの二人は水の中だ。
(そのまま溺死してくれる可能性は高くないだろうが、水に落ちた相手を陸から狙う有利さは魅力的よーーーっ!)
必死になって岸に辿り着こうとしている間は隙だらけとなるはず。
もし何らかの不都合が起きても逃げる時間はあるだろう。
(このペットボトルから水が抜けて軽くなるとシーソーが下がってスイッチを押す。即席で時限装置を作るなど”超人ハンター”の俺には朝飯前よ~~~)
そして慎重に岸に忍び寄りタイミングを合わせてΩメタモルフォーゼを仕掛けた。
そこまで計算したというのに空中を走るとは何という卑怯者!
「覚悟が出来ていれば違和感など問題ないわーーっ! あの光の道を取り込んでやるーっ!」
二度目のΩメタモルフォーゼによって岸に届きかけていた光の道が消える。
だがオメガマンか期待した水面に落ちる二人は見る事が出来なかった。
二人は消えかける道を足場に跳躍した、すぐさまオメガマンは視線を上に向ける。
「クオォーーッ!? 太陽の光が!」
その先にあったのは強烈な陽射し。
そこから再び光の道が自分へと伸びる、その上を高速で二人が滑り落ちてくる。
渦巻く違和感で身体は鉛の様に重い、これ以上Ωメタモルフォーゼで光の道は取り込めない。
冒頭の叫びを上げながらオメガマンに出来るのはスバルの『振動破砕』から身を守った様にエアライナーで全身を包む事。
銀色に輝く超人が目前に迫る。
すぐ後ろに獣を抱きしめた少女が滑る。
(こ、こんな所で俺は死ぬのかーーっ!!)
衝撃がエアライナーの壁を突き破る、走る激痛。
そしてオメガマンは意識を失った。
※ ※ ※
やっぱり僕達を襲ったのはあのオメガマンだった。
将軍のスライディングで吹っ飛ばされて大の字に伸びている。
うかつに近付いてまた蹴られるのはごめんだ、僕はノーヴェの後ろに隠れて見守る事にした。
「……殺しちまったのか、将軍?」
「何も聞き出して無いのにそのような事をする訳なかろう、気絶させただけだ」
ほんとだ、と確かめたノーヴェが頭をポンポン叩いていた。
お、起きないよね?
「中トロも触ってみるか? 大丈夫、完璧気絶してるって」
ノーヴェが僕を抱えてオメガマンに近付けてくれた。
ぺしっと頭を蹴ってやる。
あの時のお返しだ!
「遊んでる場合か、荷物を見るにアシュラマン殺しの下手人はこやつに間違いない」
「つまり将軍の部下の仇で危険人物かよ! あ~、こいつの運命は決まっちまった」
わっ、将軍がオメガマンのティバックから太い腕を取り出しているよ。
アシュラマンが死んだのは知ってたけど死体損壊までしていたとはやっぱり極悪人だ!
「フン、だが腕を持っていたのはこやつの功績だな。再び私に帰るのだアシュラマンよ」
将軍が自分の右腕にアシュラマンの腕を押し付けた途端、腕が融合し始めたよ!
……完全に将軍の腕に溶けちゃった。
何事も無いかったかの様に将軍は右腕を動かしてる。
もしかして怪我治っちゃった?
「それにしても先程は機転が利いていたぞノーヴェ。エアライナーと重力を利用した加速、"エアスライダー"とでも呼ぶとしよう。
新しい利用法を見つけ出す事が追加の課題となったな」
「解ってるさ、あたしだってエアライナーで身を守るなんて思いつかなかったもんな。
頭でこいつに負けたかと思うとムカつく」
ノーヴェの機嫌また悪くなっちゃた。
オメガマンは何処まで悪い奴なんだ。
「では、そろそろ始めるとしよう」
す、凄い! 将軍の言葉で一気に周りの気温が下がったよ。
僕もゾーッと背筋が寒くなった、なんて冷え切った声だ!
「ほらほら中トロは見ない方がいいよ、今からとってもヤバイ光景が繰り広げられるぞ」
ノーヴェが僕を無理矢理向こうを向かせる。
そうした方が良さそうだ。
だから後ろからは言葉しか聞こえない、実況役としては赤点だけど勘弁してね!
「ゲゲゲェーーーッ!!! お、お前は悪魔将軍!」
「ほう、私と知らずに戦いを挑んだのか。今から行う質問に正直に答えろ。
第一に聞きたいのは正義超人の事だ、特にキン肉スグルの情報を知っていたらどんな些細な事でも口にしろ」
メキメキと何かが潰れるような音がするけど正体については考えない方がいいよね。
「ギャアーッ! し、知っている! キン肉スグルとはさっきまでモールで戦っていた!」
「嘘では無いだろうな? それで戦いはどうなったのだ?」
いきなり本命の情報が飛び出したよ、聞いた将軍の声に更に力が篭る。
哀れだ、オメガマンは完全に迫力負けしてる。
「あ、後少しという所で”ガイバーⅢ”と名乗る得体の知れない奴に邪魔された! だから奴がどうなったかは知らん!」
その言葉に将軍もノーヴェも反応して顔を見合わせた。
え? ひょっとして二人の知り合い?
「すぐモールに向かうぞノーヴェ、貴様には道中で話の続きを聞くとしよう」
途端ノーヴェが慌しく荷物を集めだした。
どうやら二人にとって重大な情報だったらしい。
将軍はといえばオメガマンをヘッドロックの形で拘束していた。
成る程、ちょっと力を込めるだけで首輪が壊れてたちまちスープだ。
あれじゃオメガマンは動けない。
「悪りぃな、出発が早まっちまった。一緒に来るか中トロ?」
行きたいよ、でもリングから離れる事は許されていない。
今度はノーヴェがスバルみたいになるのを見たくない。
だからここで別れる事にした。
「そっか、でもまた会おうな。あたしの晴れ姿見せてやるよ」
ギュッと抱きしめられた。
そして囁かれる。
「あとちょっとで新技のイメージが浮かびそうなんだよ、将軍と古泉の模擬戦を見てからずっと考えてるんだ。
誰にも言うなよ、将軍と古泉にはいきなり見せて驚かせてやるんだからな」
つまり僕とノーヴェだけの秘密なんだ!
僕も見てみたいよ、ノーヴェの新しい技。
「何してる、行くぞ」
将軍は既にオメガマンを引き摺りながら先へ行っていた。
残念そうにノーヴェが僕を離す。
「じゃあな! 短い間だけど楽しかったよ!」
僕だってとても楽しかったよ。
遠くなるノーヴェの背中に僕は手を振る。
別れを済ませたら引き寄せられるような感覚が身体を包む。
あの部屋へ戻されるんだ。
景色が完全に変わる前に僕は考える。
スバルもとてもいい娘だったけどノーヴェもいい娘だ。
特に印象的だったのはたまに見せてくれたあの笑顔。
殺し合いが始まって半日以上過ぎた、既に十数人が死んでいる。
彼女の知り合いが含まれていたのかどうか知らないけど―――それであんな笑顔が出来るって凄い事だ。
無邪気、そうだ無邪気な笑顔だ。
……そこに何となく危うさを感じるのは気のせいだろうか?
考えすぎだよね、ノーヴェ。
*時系列順で読む
Back:[[蜘蛛は何処に消えた?]] Next:[[It's a show time]]
*投下順で読む
Back:[[獣の葬列]] Next:[[It's a show time]]
|[[空気少女ノーヴェと導く悪魔]]|悪魔将軍|[[It's a show time]]|
|~|ノーヴェ|~|
|[[叫び返せHUSTLE MUSCLE]]|ジ・オメガマン|~|
|[[さらば愛しき中トトロ!! の巻]]|中トトロ|~|
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やあみんな。こうやって姿を見せるのも暫くぶりだね。
僕は実況中トトロ!
特設リングで行われる熱い戦いを伝える謎の使者さ。
僕にとって二度目の晴れ舞台となるのは湖から突き出すダイナミックな水上リング!
いや、なるはずだったというのが正確かな。
というのは今行われているのは本チャンの試合じゃないんだ。
見てごらん、赤い髪の女の子は凄く真剣に戦っているけどその相手、リングを起動させた大男は全然余裕だよ。
僕の見立てでは実力の半分も出してない、しかも最初から一度も右腕を動かしていないんだ。
そして時々止まっては女の子―――ノーヴェにアドバイスを出している。
彼女もなかなか有望な素材だ、悪魔将軍と名乗っていた大男の指導を砂に水が染み込む様に吸収している。
それに不思議だ、彼女を見ていると何故かあのスバルと重なってしまう。
髪や肌の色は全然違うのにね。
解ったかな?
この二人がリングを出現させたのは練習場所として使うためだったんだ。
そしてリングが起動すれば僕も登場しなければいけない。
何故なら僕は自動的だから。
練習試合だからって勝手に帰るのも許されていない、宮仕えの辛い所さ。
ついでに言うと登場した途端、二人というか悪魔将軍にあれこれ聞かれたよ。
聞くというより尋問だったけどスバルに伝えたのと同程度しか喋らなかった。
前の試合の詳細も禁則事項に触れるって事で言ってない。
二人は特訓が目的なので手短に終わってくれたのが幸いだったかな。
さて、それじゃ僕も本来の役目を果たさなきゃ!
もちろんやる事なんて一つしか無いさ。
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※ ※ ※
あたしはノーヴェ。
普段から機嫌が悪いはずのあたしは今不思議と気分がいい。
理由? さあな、何時からこんな気分になったのか忘れちまった。
相変わらず将軍を負かすどころかまともに攻撃を入れる事も出来ないってのに何故だろう。
きっと身体がこんなに軽い事も関係してる。
これが初めて経験するランナーズハイって奴か?
違う、強くなっている事を全身で感じられているからだ。
けどあたしはまだ満足していない!
―――決まった
最初何度も跳ね返されて諦めたと思わせた右腕への攻撃。
今まで他の部位を攻撃はその為の陽動。
将軍の注意はこれで逸れた、そして前に出ようとするタイミングに合わせて横をくぐり抜けた。
あたしの会心の蹴りが将軍の折れた右腕を狙う。
蹴り方も、リング上での体裁きも、容赦なく相手の弱点を狙うやり方も全部将軍のアドバイスを受けて高めることが出来た。
あたしは意地っ張りだ。
だから絶対将軍の右腕に入れてやると決めた。
蹴りは後数センチで届く、今度こそ決まったと本気で思った。
将軍の身体が動く、でも早いのはあたし。
蹴りは確かに命中した。
あたしは喜ぶ、一瞬後にはそれが覆された。
くるり。
何だよこれ!?
期待していた感触が無い、まるで空振りしたみたいだ。
同時にあたしの世界が回る、天地が逆さまになる。
あたしは今、背中からリングに叩きつけられようとしている!
それを理解した瞬間に力を発動させた。
「ほう、いい判断だなノーヴェ」
エアライナー、あたしの生まれ持っての力。
光の帯、その上にばふっと受け止められてあたしは止まる。
そのまま後退、けどそれは無理だった。
あたしの真正面には将軍の拳が制止していたから。
「……ふん、降参するよ」
また負けた。
これで何度目だろうか、数える気にもなれない。
悔しい。
実力差は承知している、でも悔しくてあたしは膨れる。
「さっきは何したんだよ、将軍」
エアライナーを消して身体を起こすと解らない事を素直に聞く。
思い出せば直前に将軍の身体が螺旋を描く様に動いていた。
その動きは振り向く前兆?
恐らく正しい、でもたぶん正解は二つ。
あたしは回転させられて蹴りを殺された。
だからあれは―――
「まずはお前の考えを言ってみろノーヴェよ」
自分の頭でも考えろ、三人で模擬戦していた時から将軍に言われた事だ。
ただ聞くだけじゃ駄目、本当に理解しなければ強くなれない。
「将軍は、あたしの蹴りを受け流したというか弾いた。
そしてあたしの回転軸をずらした、合ってるかよ?」
空中感覚には自信がある。
あの時起こったのは胴体を軸に横方向の回転から縦方向回転への急速な転換。
それを折れた右腕であたしに行った、合気の達人がそんな事をできると聞いた事がある。
「解ってきたようだな、”柔よく剛を制す”それも武の一面だ。
リングの上で戦う者はあらゆる格闘技に精通しているのが当然のあり方と思え。
私も本来ならその”柔”をさらに生かした戦いができるのだが今は関係ない。
狙いも動きも悪くは無かった、だが問題はそれ以前にあるのだ」
正解の喜びも束の間、突き放した様な言い方は慣れてるけどちょっとムカつく。
たぶん顔にも出ているけど隠すもんか。
「それ以前って、あたしの何が悪いんだよ!」
「簡単な事だ、お前は狙いが単純すぎる。読みやすいのだ。
私の各所を狙ったのはフェイントのつもりか? お前の意識は常に私の右腕に向かっていたぞ。
狙いが解っている攻撃を防ぐなど誰にでもできる、違うか」
言葉も無くあたしは黙った。
そういや将軍には気絶したふりも見抜かれていたっけ。
でもゼクトールは騙せた、将軍が鋭すぎるのか?
「怒りが戦意を高める程度なら構わん、だが必要以上の高ぶりは時として害にもなる」
「わ、わからなくもないけどよ……」
心当たりは有る、けど性格なんてすぐに変えられないんだよ!
きっとこれも表情に出たのだろう、将軍の言葉は続いた。
「誰がそこまでしろと言った、心しておくだけで良い。お前に言った所で無駄というものだ。
同時に私が言いたいのは相手の動きを読む事が勝負の決め手という事だ。
相手の考えが解れば先を取れる、相手の狙いが解れば動きが遅れても後の先を取れる。
特にお前は速度は及第点をやれるが力が不足だ、そのくらいの事をせねばならん」
正論だ。
ゼクトール、ギュオー、将軍にあのデカいもふもふ。
力であたしを上回る相手なんて何人も見てきた。
でもそれをするには経験不足だ、こればかりはどうしようもないよ。
「け、けどあたしは実戦にあまり出た事が無いし。心理学の勉強とか、そういうのも苦手なんだよ……」
あたしはそんなに深く考える性格じゃない。
話は解るけど座学より体を動かす方法の方があたし向きだ。
しかし将軍の指導はあたしの考えの上を言っていた。
将軍は左腕を突き出し、あたしには右腕を出させて手の甲と掌を触れ合わせる。
当然掌のサイズはまるで違う、あたしの掌は将軍の手の甲に全て収まってしまう。
ただそれだけ。
一体何をしようってんだよ?
「お前がすべき事は単純だ。私の掌から動きを感じて合わせてみろ」
言葉と同時に将軍の腕が動く。
慌ててあたしも手が離れないよう動く。
最初は緩慢と、そして次第に緩急や複雑な動きが加わりだした。
甘く見ていたけど結構難しい。
掌は触れ合っているだけ、少し動きがズレただけで簡単に離れてしまう。
「これは大陸で聴剄と呼ばれる技法の練習だ、その目的は触覚のみで相手の動きを読み取る事よ」
気が散るので返事なんてできやしない。
将軍は足も動かし始めて前後左右にあたしを振り回してる。
触覚だけなんて無理だよ!
あたしは目で見て将軍の動きを読もうとするけどこれも難しかった。
全くパターン化しない動きは勘とかそういうものじゃ予測できない。
言われたように掌に集中するだけじゃなくて全ての感覚を動員しながらなんとか付いていく。
「フ、それでは何の意味も無いぞノーヴェよ、これは何の為の特訓だ?」
わかってるよ、でもどうすりゃいいんだよ!
センサーはちゃんと掌から圧力や振動を伝えてくれている。
けどそれをどう処理すればいいのか解らない。
―――まるで水みたいに捕らえ所が無いんだから!
そんな風に思ったあたしは何となく将軍と水を重ね合わせる。
将軍は水の塊。
じゃあ掌に伝わってくるのはその水の流れ?
……解りやすいかも
とにかくやってみる。
あたしは将軍の身体に水の流れるさまをイメージする。
掌に感じるのは単純な一方向の流れ。
そう思っていると突然乱れる。
あたしの腕はその流れに翻弄される事を繰り返している。
―――まるで大河に腕を突っ込んでるみたいだ。
それは乱流
それは渦
これでも将軍にとって抑えた状態、一たび荒れ狂えばどれ程怖いか知っている。
伝わる感覚の視覚化を試みる。
将軍の形をした入れ物に渦巻く水の流れ、それがあたしの作ったイメージ。
どう流れる?
何時あたしに到達する?
ぼんやりと、けど確かに見えてきた。
将軍の肘で力が渦を巻いている。
渦は盛んに形を変えて水の流れをかき乱す。
あたしを弄ぶその流れ、やっぱりムカつく!
今掌に伝わる流れは間も無く途切れる、そして一瞬後に違う流れに切り替わる。
あたしは自然と掌をその流れに乗せた。
将軍の掌が上に動く、シンクロするようにあたしの腕も上がる。
次は身体ごと前に踏み出される、僅かなズレもなくあたしも下がる。
「掴めたようだなノーヴェ」
「見たか、あたしの才能!」
付いたり離れたりを繰り返してた掌はもうくっついたまま離れない。
軽く触れたまま将軍の手と一つになったみたいに自然に動く。
「思い上がるな、お前は入り口に立ったにすぎん。
本当に触覚のみで掴めなければ体得したとは言えん。
そして私もあえて読ませてやっているのだ」
爆発的に渦が巻く。
あたしは”巻き込み”によって手先だけで投げられる。
あたしを遥かに上回る力の奔流、エアライナーで受身を取るのが精一杯だった。
上等だよ!
即座に起きてまた掌をくっ付ける。
さっきとは全然流れが違う、でもすぐに掴んでみせる!
「更に練り上げれば触れずとも読める様になる、お前が狙う女は触れる事が好ましくないのだろう?」
スバル・ナカジマ―――タイプゼロ・セカンド、チンク姉の仇。
戦闘機人にとって相性が最悪の能力「振動破砕」の使い手。
本当にそれが出来ればあたしは勝てる。
「そうだよ! 本当に腹立つ相手さ、出会ったら必ず蹴っ飛ばしてやる!」
だんだん”流れ”を感じられてきた。
腕だけじゃない、肩、背中、腰、膝、つま先といった将軍の各所で渦巻く力があたしのフレームに伝わってくる。
将軍の腰で流れが加速する、それは膝に、更に足元へと一瞬で伝わる。
不意打ちの蹴り。
攻撃するなんて言われてなかった、でも蹴りは跳躍したあたしの足元を通過した。
もちろん掌は合わせたままだ。
まだ終わってない、空中のあたしに第二撃が迫っていた。
将軍の腕を伝わる大渦がある、次は”巻き込み”が来る。
掌を離せば避けれる、けどそれは負けを意味する。
力で対抗なんてできない、そして流れは避けられない。
なら流れを乗りこなす!
あたしは自分から動いた。
将軍の渦に合わせて掌と手首が螺旋を描く。
あたしはやるべき事を知っている。
そして教えてくれたのは将軍だ。
リングに叩き付けられる回転から蹴りの回転への回転軸変更。
猛烈な回転と足を伝わる小気味良い衝撃。
”巻き込み”の力を利用した蹴りが胴体に入った。
初めてのクリーンヒット!
さっきのお返しだよ、将軍。
「上出来だぞノーヴェ」
褒めてんのか? 今度こそ褒めてるんだよな?
調子に乗ったあたしはどんと来いと続けようとして―――
ふと思った。
手を触れ合わせて向き合って一緒に動くこの状況。
まるで将軍とあたしはダンスを踊っているみたいじゃないかよ……
突然あたしの顔が熱くなる。
「ちょ、ちょっとタンマ!」
何か気恥ずかしくなっちまった。
思わず将軍から離れてしまう。
「何下を向いているノーヴェ、顔も赤いぞ」
し、仕方無いじゃねえか!
あたしはそういうのに免疫が無いんだよ!
結局無理矢理考えを頭から追い払うまであたしは将軍に顔を合わせられなかった。
気を取り直してやり直そうとしてもさっきまでが嘘だったみたいにうまくいかない。
変な事考えたせいで全然解んなくなっちまった……
「完全に心が乱れたな、一体何を考えた?」
将軍にもこれ以上は無理と見られたのか聴剄の練習は打ち切り、何やってんだあたしは。
誤魔化す為に無理矢理話題を逸らす。
「聞くな! それよりジェットエッジを取り戻せりゃもっと戦える様になるんだよ!」
ハムとか言うウサギに持ってかれちまったあたしの固有装備。
ガンナックルも何処かに有るかもしれない。
言う程こだわってないけどガイバーも古泉のものになっちまったし何か欲しい。
「武器が欲しいのかお前は?」
「……あった方がいい」
特に期待せず返事する。
将軍のも含め、手持ちの品物であたし向きの武器なんて無かったから。
腕を出せ、と将軍は言った。
聴剄の練習はまだ無理だよと膨れながらもその通り手を伸ばす。
将軍も腕を伸ばす、けどさっきと違うのは触れ合わない事。
差し出した掌の真上数センチに将軍の力強い拳が重なる。
すると拳があたしにも聞こえる程の音を立てて握り締められた。
あたしが見ていると拳から雫が落ちた。
キラキラと光る大粒の雫、どんどんあたしの手の甲に溜まってゆく。
将軍の汗? でも全然汚いとかそういう事は思わなかった。
むしろそう思うのは侮辱だ。
将軍の力が雫になってあたしの腕に重なってゆく。
溜まる重み、あたしはただ黙って見続ける。
「これが私からお前に与える力だ、そしてお前を認めた証よ」
将軍の拳が離れた瞬間、手の甲が太陽の光を浴びて綺麗に輝いた。
ゆっくりと腕を顔に近づける。
最高の硬度を持つ物質があたしの掌を守っていた。
「……これがあたしのダイヤモンドナックル」
あたしは蹴りの方が得意だし、ガンナックルみたいな射出機構も無い。
実際道具として何処まで役立ってくれるかは解らない。
でも嬉しい!
役立ちそうなものが貰えたからじゃない、古泉と同じ様に認められた事があたしは嬉しい。
これ以上無い程上機嫌になって何度も眺める。
そういえば女性に宝石を送るって特別な意味があるとかないとか。
将軍の事だ、そんな事全然ありえないけどさ。
よく見ればあたしの顔が写っていた。
あたしは今最高にニコニコしている!
※ ※ ※
いやはや、実にお見事。
悪魔将軍の指導もノーヴェの成長も見ていてとても楽しかったよ。
二人のこれからも見てみたいけどリングで戦ってくれない限りは適わない願いだ。
次の放送後に出発予定と言ってたね、あと数時間でその機会は訪れるかな?
「おー、中トロも実況ありがとな」
もふもふとノーヴェが僕の頭を撫でてくれる。
いい顔してるよホント、輝いてるって言葉がこれ以上無く似合う。
でも名前違うよ! 僕は中トトロ!
大トロ、中トロは名前として呼べるけど小トロなんて言葉無いから困るよ!
「中トロはおにぎり食べるか? あたしは特訓中で食べるわけにいかないからさ」
……まあいいか。
水分を摂る為ペットボトルを取り出した彼女が大事な食料を渡してくれた。
そういえば僕の雇い主は食事を出してくれた記憶が無い……
不思議にお腹は空かなかったけど。
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| ありがとう!,|
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ぱくぱくとノーヴェの横でおにぎりを食べる。
鮭の塩味が本当に美味しい。
おかげでお腹一杯だ、でも飲み物も欲しくなってきたな。
ノーヴェの方をちらりと見ると彼女も察してくれたらしい。
自分が飲んでいたペットボトルを僕に寄越してくれようとしたんだけど思わぬ邪魔が入ったよ。
「お前はこれを飲め、あつかましいMONONOKEめ」
悪魔将軍から手付かずのペットボトルが強引に渡される。
ノーヴェもそれを見て手を引っ込めてしまった。
ちょっと、いやかなり残念な気分だよ。
そんなこんなで湖の真ん中でハイキング気分になっていたその時だった。
突然前触れも無しにリングが没し始めた。
「中トロッ! こいつは一体何なんだよ!」
ノーヴェも慌てて僕に聞くが答えられる訳無い。
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| ぼ、僕にも解らないよ!,|
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すぐにリングは完全に沈んでしまう、早くボートに乗り込まなきゃ!
僕は急いでボートに飛び乗ろうとしたけどそれよりも早く謎の光がボートを照らした。
「危ない中トロッ!」
後ろからノーヴェに抱きすくめられる、その一瞬の間にボートは消えていた。
沈んだんじゃない、文字通りの消滅。
前に同じ現象を見た、これは―――Ωメタモルフォーゼ!
見れば遠く対岸に僕を蹴り飛ばしたあのオメガマンが不気味に笑っていた。
リングは既に没する寸前だ、どうしよう僕泳ぎは苦手なんだよ!
「大丈夫だ、あたしにしっかり掴まってろよ! エアライナァーーッ!」
スバルのウイングロードにも似た光の橋が水の上をオメガマンのいる対岸へと延びていく。
そして将軍と僕を抱えたノーヴェがその上を駆けてゆく。
後ろではリングは完全に没したみたいだ、危なかった。
でも安心するのは早いよ!
Ωメタモルフォーゼはウイングロードも取り込めた、つまりこの”エアライナー”も……
思う間も無くオメガマンの仮面が光った。
”エアライナー”が岸の部分から消滅していく!
でも完全に消える前に将軍とノーヴェは空へと跳躍していた。
上空で再びノーヴェの足元からエアライナーが延びていく。
エアライナーの連続使用だ、これなら対岸まで行ける!
アーチ状のエアライナーを将軍がスライディングしながら滑り落ちる。
僕もノーヴェの腕の中で一緒に滑る、まるで虹の架け橋だ!
凄い、凄いよノーヴェ!
※ ※ ※
「ゲェーッ! 空中を滑るとは何という反則技!」
オメガマンにとっては欲を出したのがそもそも間違いの元だった。
遮るものの無い湖のリングは比較的目立つ。
だから湖畔を通りかかったオメガマンが先に気付いたとしてもそれは当然。
関わりを避ける為E-10との境界付近を移動する事にしたのも悪くない判断。
そこで偶然リングの起動装置を発見した事が彼の運命を変えた。
(クォックォックォッ、どうやら俺はツキに見放されていなかったらしいぜ~~~)
看板の説明によるとスイッチのON・OFFでリングを出現させるだけではなく元通りに戻す事も可能らしい。
もしリングが沈み、更に移動手段となるボートが消失すれば当然あの二人は水の中だ。
(そのまま溺死してくれる可能性は高くないだろうが、水に落ちた相手を陸から狙う有利さは魅力的よーーーっ!)
必死になって岸に辿り着こうとしている間は隙だらけとなるはず。
もし何らかの不都合が起きても逃げる時間はあるだろう。
(このペットボトルから水が抜けて軽くなるとシーソーが下がってスイッチを押す。即席で時限装置を作るなど”超人ハンター”の俺には朝飯前よ~~~)
そして慎重に岸に忍び寄りタイミングを合わせてΩメタモルフォーゼを仕掛けた。
そこまで計算したというのに空中を走るとは何という卑怯者!
「覚悟が出来ていれば違和感など問題ないわーーっ! あの光の道を取り込んでやるーっ!」
二度目のΩメタモルフォーゼによって岸に届きかけていた光の道が消える。
だがオメガマンか期待した水面に落ちる二人は見る事が出来なかった。
二人は消えかける道を足場に跳躍した、すぐさまオメガマンは視線を上に向ける。
「クオォーーッ!? 太陽の光が!」
その先にあったのは強烈な陽射し。
そこから再び光の道が自分へと伸びる、その上を高速で二人が滑り落ちてくる。
渦巻く違和感で身体は鉛の様に重い、これ以上Ωメタモルフォーゼで光の道は取り込めない。
冒頭の叫びを上げながらオメガマンに出来るのはスバルの『振動破砕』から身を守った様にエアライナーで全身を包む事。
銀色に輝く超人が目前に迫る。
すぐ後ろに獣を抱きしめた少女が滑る。
(こ、こんな所で俺は死ぬのかーーっ!!)
衝撃がエアライナーの壁を突き破る、走る激痛。
そしてオメガマンは意識を失った。
※ ※ ※
やっぱり僕達を襲ったのはあのオメガマンだった。
将軍のスライディングで吹っ飛ばされて大の字に伸びている。
うかつに近付いてまた蹴られるのはごめんだ、僕はノーヴェの後ろに隠れて見守る事にした。
「……殺しちまったのか、将軍?」
「何も聞き出して無いのにそのような事をする訳なかろう、気絶させただけだ」
ほんとだ、と確かめたノーヴェが頭をポンポン叩いていた。
お、起きないよね?
「中トロも触ってみるか? 大丈夫、完璧気絶してるって」
ノーヴェが僕を抱えてオメガマンに近付けてくれた。
ぺしっと頭を蹴ってやる。
あの時のお返しだ!
「遊んでる場合か、荷物を見るにアシュラマン殺しの下手人はこやつに間違いない」
「つまり将軍の部下の仇で危険人物かよ! あ~、こいつの運命は決まっちまった」
わっ、将軍がオメガマンのティバックから太い腕を取り出しているよ。
アシュラマンが死んだのは知ってたけど死体損壊までしていたとはやっぱり極悪人だ!
「フン、だが腕を持っていたのはこやつの功績だな。再び私に帰るのだアシュラマンよ」
将軍が自分の右腕にアシュラマンの腕を押し付けた途端、腕が融合し始めたよ!
……完全に将軍の腕に溶けちゃった。
何事も無いかったかの様に将軍は右腕を動かしてる。
もしかして怪我治っちゃった?
「それにしても先程は機転が利いていたぞノーヴェ。エアライナーと重力を利用した加速、"エアスライダー"とでも呼ぶとしよう。
新しい利用法を見つけ出す事が追加の課題となったな」
「解ってるさ、あたしだってエアライナーで身を守るなんて思いつかなかったもんな。
頭でこいつに負けたかと思うとムカつく」
ノーヴェの機嫌また悪くなっちゃた。
オメガマンは何処まで悪い奴なんだ。
「では、そろそろ始めるとしよう」
す、凄い! 将軍の言葉で一気に周りの気温が下がったよ。
僕もゾーッと背筋が寒くなった、なんて冷え切った声だ!
「ほらほら中トロは見ない方がいいよ、今からとってもヤバイ光景が繰り広げられるぞ」
ノーヴェが僕を無理矢理向こうを向かせる。
そうした方が良さそうだ。
だから後ろからは言葉しか聞こえない、実況役としては赤点だけど勘弁してね!
「ゲゲゲェーーーッ!!! お、お前は悪魔将軍!」
「ほう、私と知らずに戦いを挑んだのか。今から行う質問に正直に答えろ。
第一に聞きたいのは正義超人の事だ、特にキン肉スグルの情報を知っていたらどんな些細な事でも口にしろ」
メキメキと何かが潰れるような音がするけど正体については考えない方がいいよね。
「ギャアーッ! し、知っている! キン肉スグルとはさっきまでモールで戦っていた!」
「嘘では無いだろうな? それで戦いはどうなったのだ?」
いきなり本命の情報が飛び出したよ、聞いた将軍の声に更に力が篭る。
哀れだ、オメガマンは完全に迫力負けしてる。
「あ、後少しという所で”ガイバーⅢ”と名乗る得体の知れない奴に邪魔された! だから奴がどうなったかは知らん!」
その言葉に将軍もノーヴェも反応して顔を見合わせた。
え? ひょっとして二人の知り合い?
「すぐモールに向かうぞノーヴェ、貴様には道中で話の続きを聞くとしよう」
途端ノーヴェが慌しく荷物を集めだした。
どうやら二人にとって重大な情報だったらしい。
将軍はといえばオメガマンをヘッドロックの形で拘束していた。
成る程、ちょっと力を込めるだけで首輪が壊れてたちまちスープだ。
あれじゃオメガマンは動けない。
「悪りぃな、出発が早まっちまった。一緒に来るか中トロ?」
行きたいよ、でもリングから離れる事は許されていない。
今度はノーヴェがスバルみたいになるのを見たくない。
だからここで別れる事にした。
「そっか、でもまた会おうな。あたしの晴れ姿見せてやるよ」
ギュッと抱きしめられた。
そして囁かれる。
「あとちょっとで新技のイメージが浮かびそうなんだよ、将軍と古泉の模擬戦を見てからずっと考えてるんだ。
誰にも言うなよ、将軍と古泉にはいきなり見せて驚かせてやるんだからな」
つまり僕とノーヴェだけの秘密なんだ!
僕も見てみたいよ、ノーヴェの新しい技。
「何してる、行くぞ」
将軍は既にオメガマンを引き摺りながら先へ行っていた。
残念そうにノーヴェが僕を離す。
「じゃあな! 短い間だけど楽しかったよ!」
僕だってとても楽しかったよ。
遠くなるノーヴェの背中に僕は手を振る。
別れを済ませたら引き寄せられるような感覚が身体を包む。
あの部屋へ戻されるんだ。
景色が完全に変わる前に僕は考える。
スバルもとてもいい娘だったけどノーヴェもいい娘だ。
特に印象的だったのはたまに見せてくれたあの笑顔。
殺し合いが始まって半日以上過ぎた、既に十数人が死んでいる。
彼女の知り合いが含まれていたのかどうか知らないけど―――それであんな笑顔が出来るって凄い事だ。
無邪気、そうだ無邪気な笑顔だ。
……そこに何となく危うさを感じるのは気のせいだろうか?
考えすぎだよね、ノーヴェ。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|[[空気少女ノーヴェと導く悪魔]]|悪魔将軍|[[It's a show time]]|
|~|ノーヴェ|~|
|[[叫び返せHUSTLE MUSCLE]]|ジ・オメガマン|~|
|[[さらば愛しき中トトロ!! の巻 ]]|中トトロ|~|
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