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「湯煙ボイン消失事件~砂漠の妖怪は泣いた~」(2009/07/28 (火) 13:19:36) の最新版変更点
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*湯煙ボイン消失事件~砂漠の妖怪は泣いた~ ◆EFl5CDAPlM
「ふう……」
硫黄の臭いの立ち込める湯船に肩までつかりながら、なのはは溜息を吐く。
その声は、つい6時間ほど前にここに立ち寄った砂漠の妖怪がいまこの時間にいたのならば、
辺り一面が赤い色の液体で染まりそうなほどの艶やかさがある。
ここは、温泉。
砂漠の妖怪がのぞき目的でやってきたのを最後に、しばしの間無人だった施設だ。
そこの女風呂の室内温泉にて、なのはは湯船につかっていた。
だがその表情は、風呂というリラックスできる空間にもかかわらず、非常に張りつめたものになっている。
その原因は、先ほどの愛娘との別れに他ならないだろう。
「ヴィヴィオ……」
ヴィヴィオは朝倉涼子という、高校生くらいの少女が保護してくれた。
だが冷静に考えて彼女が守れる力を持ってるとは考えにくい。
ヴィヴィオに意識が言っていてなのはは気付かなかったが、
朝倉という少女はメイド服を着ていたらしいし、
自分のように特殊な立場の人間だという可能性は低い。
それにすぐに建物の中にあった魔法陣で転移したなのは達と違って、
ヴィヴィオ達はまだあの炎の中にいるはずだ。
そしてあの場には街を火の海に変えたカブトムシのような生物がまだ残っている。
その状況の中、無力な人間が生き残る可能性の方が……
いけない。こんなことを考えていては、二人に申し訳が立たない。
なのははそうした思考が浮かび上がってくるのを必死に払う。
ぶるぶると頭をふるい、湯船へと顔を沈める。
今のこの状況は、ケロロと冬月の好意によるものだ。
主催者が設置したと思われる、謎の魔法陣で転移した先にあったこの温泉。
疲労の大きかった一行はこれ幸いと、この温泉でしばしの休息を取ることにした。
しかし全員で入るのももしもの時の対処がしづらいため順番にはいることになり、
なのはが最初にはいるように勧められたのだ。
当然なのはは断った。冬月達も疲労している。自分は最後でいいと反論した。
しかし冬月達も後で入ると言われ、またレディーファースト等と色々と言い訳をされ、
結局彼女が一番最初に温泉にはいることになった。
それは自分の娘との別れもあり一番精神的に疲労していたことを見抜かれたのもあるだろう。
だがその好意は、元より他者に気を使われるのをよしとしない彼女には堪える。
そしてここで知り合ったばかりの人にもそう思われるくらいに、
自分が落ち込んでいたことにも気付かされる。
無理はないことではあるが、それでも堪えた。
気は進まないが、冬月に荷物を預け、周囲の探索用にケロロにマッハキャリバーを渡し、
半ば押し切られる形で脱衣所へと向かった。
気の利いたことに、温泉内には浴衣やタオルも用意されており、
風呂上りに飲めとばかりに冷蔵庫の中には様々な色の牛乳が入っていた。
制服も血で濡れているし、今は食料もなのはの持つビスケットに限られる。
着替えや食糧が手に入るのはありがたかった。
外にも露天風呂があるけど、そちらにはいかない。
もしも襲ってくるこの殺し合いの参加者がいた場合、
いちはやくケロロ達の元に向かうためにも、脱衣所は近い方がよかった。
防衛のためにと持ち込んだナイフも、手の届く所に置かれている。
「ぶは!……はぁ……」
湯船に沈めていた顔を上げ、外の空気を吸うなのは。
別れたヴィヴィオ達を探す。
そのためにも、ここで体力を取り戻す必要がある。
山登りは体力がいるし、敵がいつ出ても備える必要がある。
だけど今この場だけは。
「いい気持ち……」
不屈のエースオブエースにわずかばかりの休息を。
※ ※
「げろりげろり、大発見をしてしまったであります……!」
一方こちらはケロロ。
なのはが風呂場へ向ったのを確認した後に彼は、温泉の施設からでて、
マッハキャリバーとともに周囲の詳しい探索を始めていた。
彼の疲労も濃いが、何もせずにはいられなかったのだろう。
温泉の外に出た彼が見かけるのは、初めに3人で行った安全確認の時にも見た、入口の焼け焦げた跡。
恐らくは男風呂の垣根を壊した人物に違いないだろう。
マッハキャリバーの確認でも、周囲に生体反応はないということなので、
今はその危険人物らしき者もいないだろうという結論になってる。
そして今現在の、改めて詳細の捜査を行い、
発見した物を見たケロロの感想が、冒頭のものである。
それはナーガがこの場にばらまいた彼のランダム支給品。
彼が不要だと判断して、此処に捨てていった代物だった。
見つけたのはDVDケースと金属製のグローブ。
金属製のグローブはマッハキャリバー曰く、
彼女の本来の持ち主であるスバル・ナカジマの姉の持っているもので、 魔導師の使える武器とのこと。
生憎魔力とやらのない自分に使えるものではないが、なのはなら有効に使ってくれるだろう。
そちらの道具についてはそれでいい。
後でなのはに渡せばいいだろう。
だがもう一つが問題だった。
何故ならそのDVDケースの表面に手書きで書かれたタイトル、
そのうちの一つにとんでもないことが書いていたのだ。
『長門ユキの逆襲Episode 00』
その名前を、知らない人間はこの場にはいないだろう。
なにぜこの殺し合いの場に彼らを呼んだ諸悪の根源の片割れなのだから。
どうして彼女の名前の書かれたDVDがこんなところになるのかわからない。
だが逆襲などと書かれたタイトルなだけに、それが重要なものであると思えてくる。
『朝比奈ミクルの冒険 Episode 00』
『古泉イツキの覚醒 Episode 00』
他のDVDにはそのような名前もあったのだが、既に彼の目には入っていない。
それらの名前は名簿にあったはずだが、彼らの知りあいとは会っていないし、
今は名簿を失っている彼がその名前を記憶していないのは仕方がない。
「こ、こ、こ、これは早く高町殿と冬月殿にお知らせしなければ!」
ケロロは急いで温泉施設へと引き返した。
※ ※
「む、これは……?」
こちらは温泉にいるもう一人の登場人物、冬月コウゾウ。
彼もまた、ケロロと同様に新たなアイテムを発見していた。
その道具は、業務員室の引き出しの中に隠されていた。
隠れていたのはノート型パソコン。持ち運び可能なタイプのパソコンである。
電源を押すときちんと起動する。充電器具等は周囲に見当たらないが、充電はされているようだ。
何故情報のやり取りのできるこのようなものが殺し合いの場に設置されているか、等不審な点はあるが、
ひとまずそれはおいておいて、中をのぞくことにする。
愛らしい二匹の生物が映し出され、
デスクトップに一つだけアイコンが出現する。
冬月は『Ksknet Explorer』と書かれたそれをクリックし、Webページを開く。
中にあったのはチャット、掲示板という冬月も知っているものと、
kskという謎のリンク。
試しにチャットを開いてみるも、中には誰もいない。
実は今この時間には、二つの場所から多数の参加者がチャットをしあっている。
だがそうにも関わらず、冬月の開いたチャットには誰もいない。
それは持ち運べないパソコンと、どこでも使えるノートパソコンで、
それぞれのサイトのリンクが変わっているからだ。
冬月にそれを知ることはできないため、
誰もいないのも間が悪かったのだと思い、何の疑問も持たずに次のリンクを開く。
掲示板に乗っていたのは様々な情報。
彼はその内容をそれぞれ記憶し、読み進める。
内容の成否に関しては保留。虚偽の内容を書いていることも考えられるし、自分一人で判断しないほうがいい。
仲間内で毎回変えるという内容の書き込みも、自分の知り合いではない。
あとでもう一度ケロロ達とともにみようと思いながらも、次のkskへと進める。
『ケロロ小隊の伍長の名前は?』
キーワードの入力画面と、上記のヒントが出てくる。
恐らく、このヒントの答えを入力すると次のページに行くことができるのだろう。
その答えを冬月はしらないが、「ケロロ小隊」というのは今現在自分たちと共にいる緑色のカエルと関係したことだろう。
恐らく、彼ならこの質問にあっさり答えることができるのだろう。
何故彼に関することがヒントになっているか、と疑問にはなるがそれも保留だ。
ノートパソコンを調べおえた彼は、ふと柱にかけられた時計に目をやる。
時計はもう間もなく長針と短針が直線になろうとしている。
もうまもなく放送は始まるだろう。
冬月は自分の側にあった銃をそっと手に取る。
夢成長促進銃と呼ばれるそれを放送後も使うか否か、考える。
今後のことを考えると、老体でいるよりも今の若々しい身体でいたほうがいい。
もしも途中で加持や子供たち、この姿を知らない小砂やタママに会ったらと考えもするが、
これから行くであろう山道のことを考えると体力面を考慮したほうがいいだろう。
「お待たせしました~」
そのうちに、ガラガラと音がして、「女」と書かれた暖簾をくぐってなのはがやってきた。
顔を出すと、なのはも気付いたのか冬月のほうへと向かってくる。
彼女は風呂場にあった浴衣を身にまとい、身体からはほこほこと湯気が上がっている。
「高町殿~~~~~! 冬月殿~~~~!!」
ちょうどいいタイミングでケロロもやってきた。
「吾輩は大変なものを発見してしまったであります!!」
そう言って駆けるケロロ。
その両手には、グローブとDVDケースが。
「ゲロ!?」
そして、それを両手に持ったままケロロは突然何もないところで転倒した。
それはここが風呂場であり、ここへやってきた人間がどのような行動をとったかを知っていれば、
なぜこんなことになったのか安易にわかる。
床は一面板張り。
此処を慌てて出ていったリナの置き土産か、
冬月達がやってくるまで開けたままだった風呂場の扉からあふれ出ていた湿気、
濡れたまま出ていった彼女から滴り落ちた水滴。
そう、この場は普段よりも少しばかり滑りやすくなっているのだった。
そんな場所を駆けていって、お約束のごとく見事にすっころぶケロロ。
両手に荷物を持っているため顔面から見事に床へと衝突し、
手から非常に壊れやすいDVDのケースが飛び出す。
「ケロロ!?」
「あぶない!」
慌てるように冬月が夢成長促進銃を持ったまま飛び出し、両手でDVDケースをキャッチする。
そう、両手で。
同時に、柱にかけられた時計がちょうどまっ直ぐになる。
何処からともなく、この場にいない人間の声が聞こえてくる。
それと同時に冬月の身体にどんどんとしわが寄って行き、元の姿へと戻っていく。
「ゲ、ゲロ!?」
「しまった、もう放送か!?」
それに慌てるケロロと冬月。
「え、え!? ひやあ!?」
なのはの方から、そんな叫び声が聞こえる。
冬月があわてて振り向くと、
エースオブエースと呼ばれた教導官の姿が、
砂漠の妖怪が見たとしたら鼻から大量に血を出すであろう魅惑のボディの持ち主が、
夢成長促進銃を持ち、
その身体には大きすぎる浴衣を纏い、
砂漠の妖怪が全く見向きもしないであろうナインボディへと姿を変えた
少女に、なっていた。
【G-2 温泉内部/一日目・夕方(放送直後)】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】9歳の容姿、疲労(中)、魔力消費(中)、温泉でほこほこ
【服装】浴衣姿(大人用)
【持ち物】 ハンティングナイフ@現実、夢成長促進銃@ケロロ軍曹
【思考】
0、え……え、あれ!?
1、冬月、ケロロと行動する。
2、一人の大人として、ゲームを止めるために動く。
3、アスカと小砂を探す。
4、アスカと小砂を守る。
※「ズーマ」「深町晶」を危険人物と認識しました。ただしズーマの本名は知りません。
※マッハキャリバーから、タママと加持の顛末についてある程度聞きました。
※夢成長促進銃を使用し、9歳まで若返りました。
【冬月コウゾウ@新世紀エヴァンゲリオン】
【状態】元の老人の姿、疲労(大)、ダメージ(大)、腹部に刺し傷(傷は一応塞がっている)、決意
【服装】短袖短パン風の姿
【持ち物】基本セット(名簿紛失)、ディパック、コマ@となりのトトロ、白い厚手のカーテン、ハサミ
スタンガン&催涙スプレー@現実、ジェロニモのナイフ@キン肉マン
SOS団創作DVD@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
0、な、なんと……
1、ほ、放送が…
2、仲間たちの助力になるべく、生き抜く。
3、パソコンをなのはとケロロにも見せ、意見を聞く。
4、小砂、シンジ、夏子、ドロロを探し、導く。
5、タママとケロロを信頼。
6、首輪を解除する方法を模索する。
7、アスカの事情はわからないが、何とか保護したい。
※現状況を補完後の世界だと考えていましたが、小砂やタママのこともあり矛盾を感じています
※「深町晶」「ズーマ」を危険人物だと認識しました。
※マッハキャリバーから、タママと加持の顛末についてある程度聞きました。
※夢については、断片的に覚えています。
【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、身体全体に火傷
【持ち物】マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェロニモのナイフ@キン肉マン、
リボルバーナックル(左)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0、ほ、放送であります!
1、なのはとヴィヴィオを無事に再開させたい。
2、加持、なのはに対し強い信頼と感謝。何かあったら絶対に助けたい。
3、冬樹とメイの仇は、必ず探しだして償わせる。
4、協力者を探す。
5、ゲームに乗った者、企画した者には容赦しない。
6、で、結局トトロって誰よ?
※漫画等の知識に制限がかかっています。自分の見たことのある作品の知識は曖昧になっているようです
※温泉の浴衣とタオルは補充されていました。
※パソコンとノートパソコンとでサイトのリンクが別々になっているようです。
掲示板は共同、チャットは別々になっています。
他にも違いがあるかもしれません。
【SOS団創作DVD@涼宮ハルヒの憂鬱】
SOS団が作成した映画の入ったDVD。3枚入り。
「朝比奈ミクルの冒険Episode 00」、「長門ユキの逆襲Episode 00」、
「古泉イツキの覚醒 Episode 00」とそれぞれの表面に名前が書かれている。
【リボルバーナックル(左)@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
スバルの持つものと対になるスバルの母の形見。
本来ならばギンガ・ナカジマの持つブリッツキャリバーに収納されている。
*時系列順で読む
Back:[[まずは相手を知る事から始めましょう]] Next:[[第三回放送]]
*投下順で読む
Back:[[痛快娯楽復讐劇(後編)]] Next:[[囚われ人は嘘をつく]]
|[[Nord Stream Pipeline -blow out-]]|高町なのは|[[]]|
|~|ケロロ軍曹|~|
|~|冬月コウゾウ|~|
*湯煙ボイン消失事件~砂漠の妖怪は泣いた~ ◆EFl5CDAPlM
「ふう……」
硫黄の臭いの立ち込める湯船に肩までつかりながら、なのはは溜息を吐く。
その声は、つい6時間ほど前にここに立ち寄った砂漠の妖怪がいまこの時間にいたのならば、
辺り一面が赤い色の液体で染まりそうなほどの艶やかさがある。
ここは、温泉。
砂漠の妖怪がのぞき目的でやってきたのを最後に、しばしの間無人だった施設だ。
そこの女風呂の室内温泉にて、なのはは湯船につかっていた。
だがその表情は、風呂というリラックスできる空間にもかかわらず、非常に張りつめたものになっている。
その原因は、先ほどの愛娘との別れに他ならないだろう。
「ヴィヴィオ……」
ヴィヴィオは朝倉涼子という、高校生くらいの少女が保護してくれた。
だが冷静に考えて彼女が守れる力を持ってるとは考えにくい。
ヴィヴィオに意識が言っていてなのはは気付かなかったが、
朝倉という少女はメイド服を着ていたらしいし、
自分のように特殊な立場の人間だという可能性は低い。
それにすぐに建物の中にあった魔法陣で転移したなのは達と違って、
ヴィヴィオ達はまだあの炎の中にいるはずだ。
そしてあの場には街を火の海に変えたカブトムシのような生物がまだ残っている。
その状況の中、無力な人間が生き残る可能性の方が……
いけない。こんなことを考えていては、二人に申し訳が立たない。
なのははそうした思考が浮かび上がってくるのを必死に払う。
ぶるぶると頭をふるい、湯船へと顔を沈める。
今のこの状況は、ケロロと冬月の好意によるものだ。
主催者が設置したと思われる、謎の魔法陣で転移した先にあったこの温泉。
疲労の大きかった一行はこれ幸いと、この温泉でしばしの休息を取ることにした。
しかし全員で入るのももしもの時の対処がしづらいため順番にはいることになり、
なのはが最初にはいるように勧められたのだ。
当然なのはは断った。冬月達も疲労している。自分は最後でいいと反論した。
しかし冬月達も後で入ると言われ、またレディーファースト等と色々と言い訳をされ、
結局彼女が一番最初に温泉にはいることになった。
それは自分の娘との別れもあり一番精神的に疲労していたことを見抜かれたのもあるだろう。
だがその好意は、元より他者に気を使われるのをよしとしない彼女には堪える。
そしてここで知り合ったばかりの人にもそう思われるくらいに、
自分が落ち込んでいたことにも気付かされる。
無理はないことではあるが、それでも堪えた。
気は進まないが、冬月に荷物を預け、周囲の探索用にケロロにマッハキャリバーを渡し、
半ば押し切られる形で脱衣所へと向かった。
気の利いたことに、温泉内には浴衣やタオルも用意されており、
風呂上りに飲めとばかりに冷蔵庫の中には様々な色の牛乳が入っていた。
制服も血で濡れているし、今は食料もなのはの持つビスケットに限られる。
着替えや食糧が手に入るのはありがたかった。
外にも露天風呂があるけど、そちらにはいかない。
もしも襲ってくるこの殺し合いの参加者がいた場合、
いちはやくケロロ達の元に向かうためにも、脱衣所は近い方がよかった。
防衛のためにと持ち込んだナイフも、手の届く所に置かれている。
「ぶは!……はぁ……」
湯船に沈めていた顔を上げ、外の空気を吸うなのは。
別れたヴィヴィオ達を探す。
そのためにも、ここで体力を取り戻す必要がある。
山登りは体力がいるし、敵がいつ出ても備える必要がある。
だけど今この場だけは。
「いい気持ち……」
不屈のエースオブエースにわずかばかりの休息を。
※ ※
「げろりげろり、大発見をしてしまったであります……!」
一方こちらはケロロ。
なのはが風呂場へ向ったのを確認した後に彼は、温泉の施設からでて、
マッハキャリバーとともに周囲の詳しい探索を始めていた。
彼の疲労も濃いが、何もせずにはいられなかったのだろう。
温泉の外に出た彼が見かけるのは、初めに3人で行った安全確認の時にも見た、入口の焼け焦げた跡。
恐らくは男風呂の垣根を壊した人物に違いないだろう。
マッハキャリバーの確認でも、周囲に生体反応はないということなので、
今はその危険人物らしき者もいないだろうという結論になってる。
そして今現在の、改めて詳細の捜査を行い、
発見した物を見たケロロの感想が、冒頭のものである。
それはナーガがこの場にばらまいた彼のランダム支給品。
彼が不要だと判断して、此処に捨てていった代物だった。
見つけたのはDVDケースと金属製のグローブ。
金属製のグローブはマッハキャリバー曰く、
彼女の本来の持ち主であるスバル・ナカジマの姉の持っているもので、 魔導師の使える武器とのこと。
生憎魔力とやらのない自分に使えるものではないが、なのはなら有効に使ってくれるだろう。
そちらの道具についてはそれでいい。
後でなのはに渡せばいいだろう。
だがもう一つが問題だった。
何故ならそのDVDケースの表面に手書きで書かれたタイトル、
そのうちの一つにとんでもないことが書いていたのだ。
『長門ユキの逆襲Episode 00』
その名前を、知らない人間はこの場にはいないだろう。
なにぜこの殺し合いの場に彼らを呼んだ諸悪の根源の片割れなのだから。
どうして彼女の名前の書かれたDVDがこんなところになるのかわからない。
だが逆襲などと書かれたタイトルなだけに、それが重要なものであると思えてくる。
『朝比奈ミクルの冒険 Episode 00』
『古泉イツキの覚醒 Episode 00』
他のDVDにはそのような名前もあったのだが、既に彼の目には入っていない。
それらの名前は名簿にあったはずだが、彼らの知りあいとは会っていないし、
今は名簿を失っている彼がその名前を記憶していないのは仕方がない。
「こ、こ、こ、これは早く高町殿と冬月殿にお知らせしなければ!」
ケロロは急いで温泉施設へと引き返した。
※ ※
「む、これは……?」
こちらは温泉にいるもう一人の登場人物、冬月コウゾウ。
彼もまた、ケロロと同様に新たなアイテムを発見していた。
その道具は、業務員室の引き出しの中に隠されていた。
隠れていたのはノート型パソコン。持ち運び可能なタイプのパソコンである。
電源を押すときちんと起動する。充電器具等は周囲に見当たらないが、充電はされているようだ。
何故情報のやり取りのできるこのようなものが殺し合いの場に設置されているか、等不審な点はあるが、
ひとまずそれはおいておいて、中をのぞくことにする。
愛らしい二匹の生物が映し出され、
デスクトップに一つだけアイコンが出現する。
冬月は『Ksknet Explorer』と書かれたそれをクリックし、Webページを開く。
中にあったのはチャット、掲示板という冬月も知っているものと、
kskという謎のリンク。
試しにチャットを開いてみるも、中には誰もいない。
実は今この時間には、二つの場所から多数の参加者がチャットをしあっている。
だがそうにも関わらず、冬月の開いたチャットには誰もいない。
それは持ち運べないパソコンと、どこでも使えるノートパソコンで、
それぞれのサイトのリンクが変わっているからだ。
冬月にそれを知ることはできないため、
誰もいないのも間が悪かったのだと思い、何の疑問も持たずに次のリンクを開く。
掲示板に乗っていたのは様々な情報。
彼はその内容をそれぞれ記憶し、読み進める。
内容の成否に関しては保留。虚偽の内容を書いていることも考えられるし、自分一人で判断しないほうがいい。
仲間内で毎回変えるという内容の書き込みも、自分の知り合いではない。
あとでもう一度ケロロ達とともにみようと思いながらも、次のkskへと進める。
『ケロロ小隊の伍長の名前は?』
キーワードの入力画面と、上記のヒントが出てくる。
恐らく、このヒントの答えを入力すると次のページに行くことができるのだろう。
その答えを冬月はしらないが、「ケロロ小隊」というのは今現在自分たちと共にいる緑色のカエルと関係したことだろう。
恐らく、彼ならこの質問にあっさり答えることができるのだろう。
何故彼に関することがヒントになっているか、と疑問にはなるがそれも保留だ。
ノートパソコンを調べおえた彼は、ふと柱にかけられた時計に目をやる。
時計はもう間もなく長針と短針が直線になろうとしている。
もうまもなく放送は始まるだろう。
冬月は自分の側にあった銃をそっと手に取る。
夢成長促進銃と呼ばれるそれを放送後も使うか否か、考える。
今後のことを考えると、老体でいるよりも今の若々しい身体でいたほうがいい。
もしも途中で加持や子供たち、この姿を知らない小砂やタママに会ったらと考えもするが、
これから行くであろう山道のことを考えると体力面を考慮したほうがいいだろう。
「お待たせしました~」
そのうちに、ガラガラと音がして、「女」と書かれた暖簾をくぐってなのはがやってきた。
顔を出すと、なのはも気付いたのか冬月のほうへと向かってくる。
彼女は風呂場にあった浴衣を身にまとい、身体からはほこほこと湯気が上がっている。
「高町殿~~~~~! 冬月殿~~~~!!」
ちょうどいいタイミングでケロロもやってきた。
「吾輩は大変なものを発見してしまったであります!!」
そう言って駆けるケロロ。
その両手には、グローブとDVDケースが。
「ゲロ!?」
そして、それを両手に持ったままケロロは突然何もないところで転倒した。
それはここが風呂場であり、ここへやってきた人間がどのような行動をとったかを知っていれば、
なぜこんなことになったのか安易にわかる。
床は一面板張り。
此処を慌てて出ていったリナの置き土産か、
冬月達がやってくるまで開けたままだった風呂場の扉からあふれ出ていた湿気、
濡れたまま出ていった彼女から滴り落ちた水滴。
そう、この場は普段よりも少しばかり滑りやすくなっているのだった。
そんな場所を駆けていって、お約束のごとく見事にすっころぶケロロ。
両手に荷物を持っているため顔面から見事に床へと衝突し、
手から非常に壊れやすいDVDのケースが飛び出す。
「ケロロ!?」
「あぶない!」
慌てるように冬月が夢成長促進銃を持ったまま飛び出し、両手でDVDケースをキャッチする。
そう、両手で。
同時に、柱にかけられた時計がちょうどまっ直ぐになる。
何処からともなく、この場にいない人間の声が聞こえてくる。
それと同時に冬月の身体にどんどんとしわが寄って行き、元の姿へと戻っていく。
「ゲ、ゲロ!?」
「しまった、もう放送か!?」
それに慌てるケロロと冬月。
「え、え!? ひやあ!?」
なのはの方から、そんな叫び声が聞こえる。
冬月があわてて振り向くと、
エースオブエースと呼ばれた教導官の姿が、
砂漠の妖怪が見たとしたら鼻から大量に血を出すであろう魅惑のボディの持ち主が、
夢成長促進銃を持ち、
その身体には大きすぎる浴衣を纏い、
砂漠の妖怪が全く見向きもしないであろうナインボディへと姿を変えた
少女に、なっていた。
【G-2 温泉内部/一日目・夕方(放送直後)】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】9歳の容姿、疲労(中)、魔力消費(中)、温泉でほこほこ
【服装】浴衣姿(大人用)
【持ち物】 ハンティングナイフ@現実、夢成長促進銃@ケロロ軍曹
【思考】
0、え……え、あれ!?
1、冬月、ケロロと行動する。
2、一人の大人として、ゲームを止めるために動く。
3、アスカと小砂を探す。
4、アスカと小砂を守る。
※「ズーマ」「深町晶」を危険人物と認識しました。ただしズーマの本名は知りません。
※マッハキャリバーから、タママと加持の顛末についてある程度聞きました。
※夢成長促進銃を使用し、9歳まで若返りました。
【冬月コウゾウ@新世紀エヴァンゲリオン】
【状態】元の老人の姿、疲労(大)、ダメージ(大)、腹部に刺し傷(傷は一応塞がっている)、決意
【服装】短袖短パン風の姿
【持ち物】基本セット(名簿紛失)、ディパック、コマ@となりのトトロ、白い厚手のカーテン、ハサミ
スタンガン&催涙スプレー@現実、ジェロニモのナイフ@キン肉マン
SOS団創作DVD@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
0、な、なんと……
1、ほ、放送が…
2、仲間たちの助力になるべく、生き抜く。
3、パソコンをなのはとケロロにも見せ、意見を聞く。
4、小砂、シンジ、夏子、ドロロを探し、導く。
5、タママとケロロを信頼。
6、首輪を解除する方法を模索する。
7、アスカの事情はわからないが、何とか保護したい。
※現状況を補完後の世界だと考えていましたが、小砂やタママのこともあり矛盾を感じています
※「深町晶」「ズーマ」を危険人物だと認識しました。
※マッハキャリバーから、タママと加持の顛末についてある程度聞きました。
※夢については、断片的に覚えています。
【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、身体全体に火傷
【持ち物】マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェロニモのナイフ@キン肉マン、
リボルバーナックル(左)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0、ほ、放送であります!
1、なのはとヴィヴィオを無事に再開させたい。
2、加持、なのはに対し強い信頼と感謝。何かあったら絶対に助けたい。
3、冬樹とメイの仇は、必ず探しだして償わせる。
4、協力者を探す。
5、ゲームに乗った者、企画した者には容赦しない。
6、で、結局トトロって誰よ?
※漫画等の知識に制限がかかっています。自分の見たことのある作品の知識は曖昧になっているようです
※温泉の浴衣とタオルは補充されていました。
※パソコンとノートパソコンとでサイトのリンクが別々になっているようです。
掲示板は共同、チャットは別々になっています。
他にも違いがあるかもしれません。
【SOS団創作DVD@涼宮ハルヒの憂鬱】
SOS団が作成した映画の入ったDVD。3枚入り。
「朝比奈ミクルの冒険Episode 00」、「長門ユキの逆襲Episode 00」、
「古泉イツキの覚醒 Episode 00」とそれぞれの表面に名前が書かれている。
【リボルバーナックル(左)@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
スバルの持つものと対になるスバルの母の形見。
本来ならばギンガ・ナカジマの持つブリッツキャリバーに収納されている。
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|[[Nord Stream Pipeline -blow out-]]|高町なのは|[[打ち込まれた鍵]]|
|~|ケロロ軍曹|~|
|~|冬月コウゾウ|~|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: