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Bonno meets Sein◆321goTfE72



ここは島の南に位置する海の見えるレストラン。
もしこの島が観光地で、こんな時間じゃなければ確実に賑わっていたであろう
その建物の中からわずかな物音が漏れてくる。

暗闇の中から聞こえるもっしゃもっしゃと何かを頬張る音。
その後はごくっごくっと何かを飲む音。
ドン、と木に何かを叩きつける音がして、すぐさまもぐもぐする音。
そしてもう一度ぐびぐびと喉に液体が流れ込む音がして。

「ぐびぐび……あー、食った食った」

ミネラルウォーターの入ったペットボトルを口から離しテーブルの上にドン、と置き
その音の主、水野灌太は満足気に言った。
実際、彼は満足していた。

気がついたら立っていた、慣れない材質で作られた建物の中を散策してみると
出てきたのは食料食料これまた食料。
保存食らしい燻製肉を食ってみると、これがまた美味いこと。
オアシス産でもここまでいかないだろうというくらい美味かった。
嬉々としてできるだけ食料をデイパックに詰め込み、ついでにいくらかつまみ
仕上げに水を飲んで一息ついていたところだった。

席を立ち窓に近づき、わずかに開け外の様子を伺い見る。
もうすっかり夜だというのに、窓越しにわずかに伝わってくる空気は
エアコンなど全く必要ないくらい快適な気温だった。
灯りは消しているのではっきりとは見えないが、地面は砂でも泥でもない。
緑に覆われていた。オアシスの中には緑色の『草』というものが
地面に生えている場所があると聞いたことがあるが、これがその草とやらなのだろうか。
薄気味悪いような心休まるような不思議な光景だ。
窓を閉め、肉などが置いてあったキッチンの方を見る。
水も食い物もたんまりとあった。
あれだけの水と食料があればいくら儲けることができるだろう?
関東大砂漠を地獄と称すならば、まさにここは天国!
あの地獄を日常としてきたものなら、この環境には満足!!
――――のはずなのだが。

「くそ…気に入らねえな」

満足、していたはずなのだが…段々と苛立ってきた。

原因は明白。眼鏡のオッサンとナインボディの美少女である。
いきなりこちらの承諾も取らず殺し合え?
わざわざこんな天国のような環境で地獄を見ろってことか?馬鹿も休み休み言え。
便利屋をそこそこ長くやっていたが、こんな腐った依頼は聞いたこともない。
いや、依頼なんてシロモノでないことは自分が一番よく分かっていた。
報酬が"なんでも願いを叶える"、でもそれに関する契約書も何もなし。

(俺があの眼鏡のオッサンなら…最後に生き残った奴には報酬なんて出さずに…)

先程起こったことを思い返す。
目の前で人間が溶けた。
原理は知らないし、実はハッタリかもしれない。
首輪をはずせば大丈夫なのかもしれないし、
実ははずしても溶かすことができるのかもしれない。
言えることは、少なくともこの首輪をつけている限りいつ溶けてもおかしくないということと
胸クソが悪くなったということだった。

とにかく、サバイバルの基本は頭を使うことだ。これはどんなときでも変わることはない。
肉を食いながら、デイパックに入っていた参加者名簿には目を通していた。

小泉太湖。川口夏子。

太湖にしても夏子にしてもあの関東大砂漠を生き残るだけの技量がある。
この楽園で行われる悪夢のイベントでもそう簡単にくたばったりはしない。
そのうち、再会することになるだろう。
だが、積極的に戦いたいとも思わないが今更引き金を引くのに躊躇する関係でもない。
むしろ関東大砂漠に帰るとすれば生きていることを知られて放っておくのもまずい。
あいつらには悪いが、利用するだけして隙を見て切り捨てるのが妥当か。

雨蜘蛛。

………………面倒なのでこいつの名前は見なかったことにしよう。

さて、次に手持ち戦力を計算しなければならない。支給品の確認だ。
とりあえず食料に埋もれたデイパックの中にあるであろう
"殺し合いを円滑に進めるための支給品"とやらの発掘を試みる。
ごつり、と手に何か金属質なものが当たった。
触り覚えのあるこの感触。

「おいおい、まさかこれは……おお!」

力ずくで引っ張り出したその物体を見て思わず笑みがこぼれた。
なんとご丁寧にも松波ウィンチことワイヤーウィンチが入っていたのである。
これがあれば鬼に金棒。
ロケットワイヤーの着脱を利用した空中移動・高速移動ができるだけで戦術の幅はぐっと広がる。
他のめぼしい道具は…ウインチェスターM1897があれば言うこと無しだったが
さすがにそううまくはいかないらしい。
ガサゴソとデイパックの中に突っ込んだ手をかき回した挙句に、ようやくそれっぽいものを見つけた。
無機質なさわり心地に、突起のついた形状。何かしらの武器かもしれない。
それをデイパックの外に出して見てみると。

つるんとした陶器のようなものにいくらかの穴があいていて、突起の部分にも穴があいている物体。

「コレ…何に使うんだ?」

とてもじゃないが武器にならなさそうな『オカリナ』だった。

「…そんじゃ行くとするか」

トイレで手を洗い、ついでにそこにあった黒いタオルを拝借して
バンダナ代わりに頭に巻きつけ、デイパックを背負い、準備は整った。
灌太は鏡に映る自身の目を見ながら思考をまとめる。

考えた結果方針は決まった。とりあえず殺し合いには積極的には乗らない。
最後の一人になったところで生き残れる公算が低いというのが理由である。
まずはあのオッサンとナインボディを倒すことを考えよう。

反逆を企てるだけで溶かされる可能性がないわけでもないだろうが、おそらくはない。
名簿を見る限り、参加者はわずか49人。あの死んだカヲルとかいう奴を除けば48人。
それだけしかいないにも関わらず、殺し合いの会場はこの広さだ。
反逆を考えるのは、推測でしかないが一人や二人ではきかないだろう。
そんなやつを全員スープにしてしまえば
会場の人口密度はえらいことになり殺し合いがロクに進まなくなる。
少なくとも、禁止エリアルールとやらである程度まで会場が狭くなるか
殺し合いの進行に支障が生じるほどの何かをしでかさない限り殺されることは無い。

となると、今は表向きは善人ヅラして人脈を広げるべきである。
危険は回避し、回避し切れなかったリスクは知り合いとなった人に分散させる。
武器も譲り受けたいし、取り上げられたらしい愛銃ウインチェスターM1897も取り戻したい。
戦力が整えばあとはいつものようにどうにか生き残るだけでいい。
オッサン&ナインボディを倒せそうならそのまま善人ヅラして便乗する。
駄目そうならまだ望みがあるほうに――信頼を笠にして参加者の全てを沈めて優勝を狙う。
それはそのときの状況を見て判断だ。
問題は……

「どうやって他の参加者を見つけるか、だよな」

「だよねー。そこが問題なんだよ」

「ああ。この暗闇の中じゃ無闇に歩き回るのも得策じゃねぇし
 だからといって人が集まりそうな場所に行くのも……って」
鏡越しに目に入ってきたのはぴっちぴちの、言っちゃえばエロい黒い服を着た水色の髪の女。
目つきの悪い男、つまり灌太の背後1メートルくらいにのんびりと立っていた。

(いつのまに…!!?)

この建物は最初に色々調べた際に全て施錠したはずだし、
正面入り口には開けると頭上から金ダライが落ちてくるような罠も仕掛けておいた。
ついでいうと、このトイレの入り口も鍵こそ閉めてないものの
開けたときにする音に気付く自信があった。
だというのに、現実は至近距離で背後をとられてしまっている。
これがこの女の無機物を潜行するIS"ディープダイバー"によるものだとは灌太の知る由もない。

冷や汗がじわりと吹き出てくる。こんな芸当をできるこの女が素人なわけはない。
トイレというこの狭い空間でどうにか先手を打って逃げるしかない。
必死に策を練って隙を伺っていた灌太に、その女はこう言った。

「ねぇ、お願い!妹探すの手伝って!!」

「はぁ?妹…?」

「この殺し合いに妹も一人呼ばれちゃってるんだ!
 一人で探すよりも二人のほうがいいだろうし…頼む、手伝って!!」

女はパン、と手を合わせて頭を下げた。
その隙に鏡越しで見ていたその女を肉眼で見るべくくるりと方向転換をする。
ご丁寧に背後を取っておきながらコレ。どうやら、敵意はないらしい。
しかもこんな状況で初対面の男に頼みごとをするなんて、
自体を飲み込めているのかよほどその妹とやらが心配なのか。

「まずは、顔を上げな」

「手伝ってくれんの?」

女は低い姿勢のまま、首から先だけで灌太を上目遣いで見た。
まぁ、なんだ。
エロエロではないが間違いなく美少女の部類に入る女が、上目遣いでお願い事。
破壊力バツグンであった。
あとこれはとてもとても重要なことだが、
密着した服の下の胸のサイズもボインとまではいかないが…悪くない。
「分かった、手伝ってやる」

「ホント!?」

パッと明るい表情を見せ姿勢を戻した女に、灌太はいやらしい笑みを浮かべて言った。

「ただし、だ!もちろんタダとは言わねぇよな?」

「え゛、お金取んの!?」

女は目を点にして、素っ頓狂な声を出す。

「たりめーだ。世の中はギブ&テイクで成り立ってるんだ。
 俺がギブするんだから、そっちに俺にテイクさせる義務があるんだよ」

「そ……そう言われたって、お金なんか持ってないし…」

それを聞くや否やニヤーっと危険な、というか犯罪者的な笑顔で灌太は言い放った。

「いっひっひっひっひ…なら、身体で払ってもらうしかないなぁ」


『契約書
 妹を無事見つけることが出来た場合、
 依頼人は水野灌太の女になることをここに締結した』

「………で、なにこれ」

テーブルを挟んで渡された紙を見て、げんなりした表情で女が言った。

「契約書だ、契約書。そこの右下に『依頼人』って枠があるだろ、
 そこにお前の名前を書いてくれ」

「こんな手書きの紙切れになんの意味があるんだか…」

「うるせー、分かってるよそんなこと。契約はちゃんと守れよ。あと雰囲気だ雰囲気」

もちろん契約書なんかは持ち合わせてないので、
全員に支給されているメモ帳とペンで即興で作ったものだったりする。
そもそも無法地帯であるこんなところで契約書なんてものの存在自体無意味そうだったが…
便利屋としてスイッチを入れるためでもあったのかもしれない。

契約書に目を落としていた女が、紙上の一点を指差しながら口を開いた。

「みずの……これ、なんて読むの?」

「かんただ、カンタ。そういえば自己紹介がまだだったな。
 俺は水野灌太。そっちは?」

女はさらさらっと契約書にペン走らせ、
向かいの灌太にサインした部分が見えるように紙を持ち上げた。

「セイン。よろしくね」

「任せろセイン。お前の依頼、この俺がどんな手を使ってでも達成してやる!!
 てなわけでまずは前金代わりに」

むにゅ。

契約書をセインから受け取るとそのままテーブルに身を乗り出し、
目の前に突き出る二つの丘に手を伸ばし、むにゅった。更にむにゅむにゅった。

次の瞬間には灌太はテーブルと熱いベーゼを交わしていたという。
後頭部にセインの肘をめり込ませたまま。

「う~りうり…セインさんにそんなことをするとは、度胸あっていいね、カ・ン・タ!」

「いだっやべろやべろ!!」

ぐりぐり回る肘が灌太の後頭部を貫かんばかりに食い込む。
バタバタとその下でもがくが逃げ出せない。

「はいはい…反省した?」

「じだっ…しまじだ………ぜぇっ、ぜぇ…」

後頭部から肘が離されたのを機に、どうにか呼吸を立て直す煩悩男。
しばらくし息が落ち着いてきたところで、後頭部をさすりながら灌太が席を立った。
デイパックに契約書を詰め込みつつ正面入り口のほうへと向かう。
セインも灌太を追うように立ち上がった。

「とりあえずの目的地は?」

「人を探すには情報が少なすぎる。北には参加者が集まりそうな施設が固まってる。
 まずはそっちに行って情報収集だ」

「でも参加者が集まりそうってことは…」

「ああ。それだけ危険な奴と会う確率は上がるが…
 虎穴はいらずんばなんとやら、多少のリスクは仕方ない」

「リスク…か」

うつむき加減で不安そうな表情を浮かべるセイン。
ノーヴェの短気さを知っている彼女からすれば自分自身へのリスクよりも
自ら危険に首を突っ込んでるかもしれない妹のことを考え不安に駆られてしまう。

(待ってろ…お姉ちゃんがすぐに助けに行ってやるからな…!)

セインが視線を前に戻すと、灌太が正面入り口のドアに手を伸ばしながら彼女を見ていた。
不敵な笑み。自信に満ち溢れた男の顔だ。
それを見てセインは不安が和らぐのを感じた。
ドアを開け、親指で自分の顔を指しながら灌太が言う。
「大丈夫だ。この俺がついてる。だから大船に乗ったつもりで


ぴんぽんぱんぽーん♪

会話の途中ですが臨時ニュースをお伝えします。
本日未明、カッコよく決めようとしていた水野灌太の頭上に
『ぐわぁん!!』という景気のいい音と共に金ダライが落下しました。
水野灌太は

「い…入り口に…罠仕掛けていたの忘れ…てた…」

との言葉を遺しその場に白目剥いて倒れた模様です。
では、現場のセインさーん?


ぐわぁん、ぐわぁんぐわぁん…がんがんがんがっがっがっがががが………
金ダライがしばらく床の上で振動しながらやかましい音を立てる。
灌太はというとどうやら軽い脳震盪を起こしたのか起き上がる気配はない。

「………大丈夫かこいつ」

それを見てセインは不安が増大するのを感じた。


【J-5 レストラン内/一日目・未明】
【名前】水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず
【状態】気絶 頭にたんこぶ
【持ち物】頭に黒いタオル、ワイヤーウィンチ@砂ぼうず、オカリナ@となりのトトロ、
 ディパック(支給品一式、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書)
【思考】
1:何が何でも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。
2:セインと共にセインの妹(ノーヴェ)を探す。その後は…いひひひひひ。
3:関東大砂漠に帰る場合は、小泉太湖と川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も?
※22話「雨と海」直後からの参戦
※セインがIS"ディープダイバー"を使えることに気付いてません。

【名前】セイン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【状態】健康
【持ち物】ディパック(支給品一式、不明支給品1~3)
【思考】
1:ノーヴェを探す。
2:殺し合うつもりはあまりない。

※J-5付近で景気のいい音が響きました。

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GAME START 水野灌太(砂ぼうず) 銃弾と、足音
GAME START セイン






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