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たとえ消えそうな、僅かな光だって◆w2G/OW/em6




暗い、暗い、森の中。
木々の隙間から零れる月明かりに照らされた、青年の姿があった。
いや……青年の姿を元にした異形の存在の姿があった。
銀の髪は、細い金属の糸。鈍色の肌は、堅固な鉱石。
端正な顔立ちは持つものの、紛れも無い、人ならざるモノの姿。
青年―――ゼルガディスは木の根元に腰掛け、デイパックの中身を漁る。
取り出したのは、腕時計。
僅かに眉を潜めるが、付属されていた説明書きにさらに眉根をよせる。

「騎士槍型アームドデバイス『ストラーダ』……?」

説明書きをさらに読むと、魔力によって槍へと姿を変える魔導師用の武器らしい……試しに、いくらか魔力を注いでみる。
一瞬の光と共に、腕時計は身の丈程もある槍へと変化していた。

「……ふん」

軽く振り、武器の感触を確かめる。
多少重量はあるが、使い勝手はそれなりにいいだろう。
一先ず自衛の手段を手に入れた事で、僅かながらに心に余裕が出来る。

「殺し合い、ね……」

眼鏡をかけた何の変哲もない男、同じく何の変哲もない女。
彼らの言う言葉だけではいまいち実感が湧きはしなかったが……目の前で水溜まりと化した少年の姿と自らに嵌まる首輪の感触からすると、信じる他ない。
加えて、配られた名簿には自分の知る名が二つ。
『リナ・インバース』そして『ゼロス』
リナはともかく、魔族のゼロスを強制的に参加させていると考えると……意図がまったくわからないが、かなりの力を持った相手だと考えられる。


主催した二人のうち、男が言った言葉を思い出す。

『――優勝者にはご褒美をあげよう。死者の蘇生だろうと何だろうと、叶えてあげる』

何だろうと。
それは……この忌まわしい合成獣の体を捨てることも、出来るということだろうか。
元の、紛れも無い人間の体へと―――!

「……くだらない」

そう声に出すも、心の中に芽吹いた小さな疑惑の種は消えない。
まだ、あいつらがそんな力を持つ存在だと決まったわけではない。
不確かな事実に躍らされるなど、馬鹿のすることだ。
無理矢理自分を納得させようと、心の中で念じ……

「……誰だ!」

騎士槍を構えて振り返る。
木の影から、一人の女が現れた。
長い金髪、見慣れぬ意匠の茶色い服、どこぞのドラまたが歯ぎしりしそうな体付き。
ただしその顔には怯えた様子はなく、身のこなしも戦い慣れした戦士のそれを思わせる。
こちらを見た瞬間、明らかに動揺した様子を見せる……思わず、小さく舌打ちをする。


「こちらに、敵意はありません」

淀みない声で、女は告げる。

「殺し合いに乗るつもりがないのなら……武器を、下ろして頂けますか」
「………いいだろう」

相手からは警戒心は伝わるものの、言葉通り敵意や殺意は感じない。
槍の穂先を下ろすと、女はありがとうございますと軽く頭を下げた。

「私は時空管理局執務官、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。貴方もよろしければ、名前を」
「……ゼルガディスだ」

フェイトと名乗った女に名乗り返す。
時空管理局……どこかの国の、部隊か何かだろうか?

「私は、あの二人を倒して殺し合いを止める方法を探しています……もしよければ」
「手なら貸さんぞ」

何か話すより先に告げたこちらの言葉に対し、フェイトが怯んだ様に口をつぐんだ。

「出会って間もない相手を信用する程お人よしではないし、どれほどの力を持つかわからん敵に立ち向かう程、命知らずでもない」
「っ……そう、ですか」

唇を噛み締めながらも了承するフェイト。
こちらのぞんざいな言い方が感に障ったのかもしれないが、謝る気もない。

「では……もう一つ、お願いがあるのですが」
「……何だ」
「その槍は……ストラーダは、私の知り合いの物なんです」

自分の手の中の槍を示して告げる。
槍の名を教えたはずはない……となると、本当にこの槍はフェイトの知り合いの物なのだろう。

「渡してくれ、とはいいません。一応貴方の支給品でしょうし……その代わり」

彼女がデイパックから取り出したのは、鈍く黒光りする一丁の銃。

「これと、交換してほしいんですが」
「……悪いが、それも無理な相談だ」

遠距離での攻撃手段なら、銃よりも魔法で十分替えが効く。
劣った武器と交換する気は、さらさらない。

「交換するならせめて刀剣類だな、それ以外は断る」
「……わかりました。それでは最後に一つだけ」

一瞬だけ目を伏せがっくりとした様子を見せたフェイト。
話を長引かせる彼女に、少し苛々しながらゼルガディスは聞き返した。

「……まだ何かあるのか?」
「高町なのは、スバル・ナカジマ、ノーヴェ、セイン、ヴィヴィオ。この5人は理由もなく殺し合いに乗る様な性格ではありません。特にヴィヴィオはまだ、小さな子供です」
「わかったよ……会ったらお前の事ぐらいは伝えておいてやる」
「……お願いします」

そう言うと、フェイトは一礼をして去っていく。

……その姿に、妙な苛立ちが沸く。

「……よく、そんな無謀な事ができるな」

気付けば、そう呟いていた。
静かな森の中では声はよく通り、フェイトが僅かに驚きを貼り付けた顔で振り返る。

「力量も、どこにいるかもわからん相手に牙を向けてどうする?ましてや、俺達は既に首輪で命を握られているも同然だ」

くだらない殺し合いへの怒り、元の体へ戻る為の希望、それを信じ切れない苛立ち。

「今この瞬間に、あの小僧の様に液体にされる事も有り得るんだぞ?」

そして臆面もなく殺し合いを打破すると言い切るこの女への僅かな、羨望。
……一体、何を喋っているんだ自分は。
これではただの八つ当たりも同然だろうに……

「なのに……どうしてお前は立ち向かう気になった?」
「……希望が、あるからです」
「……何?」

八つ当たり同然の馬鹿な問い掛けに返された言葉は、至極冷静で……力強い物だった。

「私には……いえ、私にはまだ、希望があります。同じ志を持つだろう仲間もいる、殺し合いなど好まない人も必ずどこかにいる。必ず、この理不尽な殺戮を止める方法がある……そう、私は信じます。
 その想いがある限り、立ち向かう為の希望は……不屈の心は、消えません」
「……理想論だな」
「理想がなければ、生きていくなんて無理ですよ」

薄く微笑むその瞳には、強い決意が満ちている。

「……悪かった、引き止めて」
「いえ、構いません……それでは」

再び一礼をして去って行くフェイト。
ゼルガディスはその姿をしばらく見ていたが……やがて、背を向けて歩き出した。
胸の内に芽生えた、ひとつの決心と共に。






(……少し、偉そうな事を言っちゃったかな)

ゼルガディスと別れたフェイトは、夜の森を歩きながらそう考えていた。

(人間とは明らかに違うみたいだったけど、少なくとも殺し合いに乗ってはなかったみたいだし……)


とりあえず、今のところは危険人物ではないかなと認識する。

(にしてもどういう事?ヴィヴィオみたいな子供まで連れてくるなんて……!
 潤滑に殺し合いを進める為の生け贄も同然……なら、早く見つけないと危険だ……!)

支給品の中にあった内、武器として使えそうなのは一丁のライフルのみ。
質量兵器は管理局としては忌むべき存在だが……デバイスが無く、簡単な魔法しか使えない身では些か心許ない。
使う時が来ない事を祈るばかりだ。

「なのは、スバル、ノーヴェ、セイン、ヴィヴィオ……私は、負けないよ」

小さく、決意を刻み込む様に呟く。
その声を聞く者は、まだいない。



【E‐4 森/一日目 未明】

【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康
【持ち物】支給品一式、ワルサーWA2000(6/6)、ワルサーWA2000用箱型弾倉×3、不明支給品0~2(武器になりそうな物はない)
【思考】
1.殺し合いの打破
2.なのは、スバル、ヴィヴィオ、ノーヴェ、セインと合流。可能ならヴィヴィオを優先
3.デバイスを手に入れたい。出来ればバルディッシュ・アサルト
※参戦時期は本編終了後です。
※不明支給品は、フェイトから見て武器にならない物です。






「希望、か……そうだな、すっかり忘れていた」

フェイトと別れた後、夜の森を歩きながらゼルガディスは自嘲気味に小さく笑う。

「希望がなければ、前には進めない」

手にした槍を強く握る。

「理想がなければ、生きる意味など無い」

己の望みを叶える為に、歩を進める。

「ならば進んでやるさ……たとえその希望が僅かでも、そこにある限りは進んでみせる」

元々……彼が人間の体に戻る方法など、有るかわからない不確かな存在。
それでも探し続けていたのは、戻りたいと望んだから。
いつか必ず見つかると、希望を抱いていたから。

ならば、この地で生き残るが人間の体へと戻る事へと繋がるかもしれないなら。
僅かでも、可能性があるのなら……!

「やってやるさ、この下らない殺し合い……そこに希望がある限り、な」

小さく、望みを刻み込む様に呟く。
その声を聞く者は、まだいない。



【E‐4 森/一日目 未明】
【ゼルガディス@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】健康
【持ち物】支給品一式、ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、不明支給品×1
【思考】
1.優勝し、元の人間の体に戻る
2.リナとの戦闘は避けたい
3.ゼロスを警戒
※ストラーダについては、起動するしかしていません。


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GAME START フェイト・T・ハラオウン とある魔術の超電磁砲
GAME START ゼルガディス 風がそよぐ場所に僕らは生まれて






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