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ドロロ死す!? であります ◆YsjGn8smIk


見まわせば森が。そして遠くには山。流れていく川は海に向かって流れていくのだろう。
辺りは闇に覆われていたが中天に輝く月のお陰でなんとか文字を読めるぐらいの明るさはあった。
地図でいえば滝と温泉のちょうど真ん中にあるG-3の小川。
さらさらと流れる川の隣に彼はいた。

ドロロはじっと手元を見て立ち尽くしていた。
彼の手元には―――ケロロ、とマジックで書かれたおもちゃの光線銃が握られていた。
なんとはなしにトリガーを引く。ペコペコペコ……いかにも玩具らしい銃身が伸び縮みするだけの単純な動き。
少なくともこの殺し合いにおいて何の役にも立たない、それをじっと見つめていた。
ふと、ゆっくりと視線をさげる。流れる水面にうっすらと自分の姿が映っているのが見えた。
頭には頭巾、口元をマスクで隠す、その姿はまるで忍者のようなケロン人が虚ろな目で彼を見返していた。
ぽとり、と玩具が入っていたデイパックを地面に落とす。

「そう、あの時もそうだったよね……」

彼は脳裏に昔の思い出がゆらゆらと再生される。

★ ★ ★ ★ ★ 

あれは僕たちがまだこういうおもちゃで遊んでいた子供の頃。
友人のケロロ君たちとかくれんぼをしていた時の事だった。

「もういいかい~」
「もういいよ~」

その時ケロロ君が鬼で、
僕はドキドキしながらじっと隠れていた。

「ここなら完璧だもんね、ケロロ君たち、おどろくぞ~」

待った。
待った。
ずっと待ってた。

そうして日が暮れて、夜になってようやく気が付いたんだ。

僕のことを忘れて、みんなが帰っちゃった事に。

★ ★ ★ ★ ★

「ううう……ひどいよ、ケロロ君……!
 今回もまたあの時みたいに「あ、ドロロ忘れてた」とか言わないよね……?」

目から大量の涙を流しながらドロロはただ泣いていた。
このおもちゃの銃は彼のトラウマを変な風に刺激してしまったようだ。
体育座りをしながら玩具の銃に向かって涙を流す青いカエル。
その姿は割と不気味だった。

その時、ざわりと―――風が吹いた。

「……?」

嫌な風だった。
思わずトラウマも忘れて辺りを見回すドロロ。
周囲にはただ水が流れる音が響くだけで、特にこれといった怪しいものは見当たらない。
だがそれでも何かが変だった。
良くない気配、としか表現できない何かを彼は感じていた。

「……どうやら……嘆いてる場合では、なさそうでござるな」

ドロロはそう呟くと、さっと立ち上がり気配を頼りに夜闇を睨みつける―――

「おや? 気付かれてしまいましたか……」

声は闇の中から響いてきた。
すうっ、と闇から現れたのはローブのような黒い服を着た若い男。
温和そうに笑いながらこちらを見下ろしている。
その声も姿もただのペコポン人にしか思えない。
だがドロロの元・暗殺兵(アサシンソルジャー)としての直感が告げていた。
これは人ではない、と。

「……何者でござるか?」

ドロロは警戒して銃を向ける。
もちろんこんな玩具でどうこう出来る相手ではないだろうが、他に向ける物が手元になかったのだ。
男はそんなドロロを気にする様子もなく、にこやかに笑いながらゆっくりと歩いて来た。

「いやー、そんな警戒しないでくださいよ。
 僕はゼロス、ただの謎の神官(プリースト)です」

謎のプリーストが深々とお辞儀をする。
それにつられ、つい頭を下げてしまうドロロだった。

「あ、これは失礼。拙者はドロロと申す。
 拙者には戦う気はないのでござるが……ゼロス殿は?」

直感を信じ、戦う気は無いと告げながらも油断なく銃を向ける(おもちゃだが)。
警戒しながらドロロは尋ねた。

「ああ、それは……」

その問いに何故だかゼロスは嬉しそうな顔をする。
ごくりと唾を飲み込みドロロは聞き返した。

「それは?」

ゼロスは人さし指を口元に当て、ニヤリと笑って言った。

「秘密です♪」


★ ★ ★ ★ ★


数十分後。
しつこくゼロスを問い詰めるドロロとのらりくらりと質問をかわすゼロス。
そしてドロロはいつの間にか上司の愚痴を聞かされていた。

「というわけで、僕の上司はそれはもう厳しいお方で、
 仕事の途中だっていうのに、こんな所で油を売ってる事が知られたら……」

ああ困りました、などと全然困ってない顔で話すゼロス。

(な、何故こんな事に……)

一方ドロロはこんな話を聞きたかった訳ではなかった。
埒の明かない会話に業を煮やし暗殺兵術(アサシンマジック)の鑑定眼力まで使ったのだが、
出てきた結果は不明瞭という不明瞭な結果。
とはいえ敵対行動を取るわけでもない謎の神官をどうする事も出来ず、
結果としてドロロはまったく関係のない話をする破目になっていた。

「そ、そうでござるか。
 だが『上司を怒る』でなく『怒られる』というのもそれはそれでうらやましい話でござるよ」

「いや、あの……怒らなきゃならない上司って……どういう上司です、それ?」

どういう上司と言われても、ああいう上司でござる……とは答えられなかった。
ドロロは誤魔化す事にした。

「……ゴホン。いや、何でもござらん。忘れてくだされ」

「よくわかりませんが、ドロロさんも苦労なさってるようですねえ……」

「ゼロス殿も色々大変そうでござるな……」

がしっとお互いの手を握る。
友情(?)が生まれた瞬間だった。
なんとなく警戒していたのが馬鹿らしくなり、ドロロはおもちゃの銃を腰のデイパックへと仕舞う。

「あー、お互い早く帰りたいのは一緒のようでござるな。
 どうだろうかゼロス殿。ここは一つ協力していただけぬか?」

そして会話の方向を変えようと、そう提案した。

「ああ、それはいいですね。僕としてもコレを何とかしたい所でして」

幾分目線を鋭くしてゼロスは首輪を軽く叩く。 
あの会場で渚カヲルと呼ばれた少年をオレンジ色の液体へと変化させた首輪。
その時の事を思い出しドロロの胸に怒りと彼を助けられなかった悔恨が渦巻く。

「拙者も何とかしようとは思っていたが、あいにく機械は苦手なもので……。
 隊長殿たちは―――クルル殿がいない今、解析は厳しいそうでござるな。
 ……残念ながら拙者の知り合いでコレを何とか出来そうな者はいないみたいでござる。
 ゼロス殿は?」

「残念ですが僕のほうにも心当たりはありません。
 ……仕方ないですね、じゃあコレをなんとか出来そうな人が見つかるまでゲームに乗りますか」

ドロロはとても不思議な事を聞いた気がする。
今ゼロスが言った事を……理解できなかった。

「……ゼロス殿、今、なんと?」
「おや、聞こえませんでしたか?」

聞き返すとゼロスがダメですねえ、などと嘆息してみせた。
その様子に何かの間違えかと思いドロロは言った。

「いや、ゲームに乗るとか聞こえたもので」
「ああ、勘違いしないでください、コレ関係の人は殺しませんよ」

ゼロスはにこやかにそう言いながら首輪を指す。
聞き間違えでも、勘違いでもなかった。
ドロロは内心の怒りを辛うじて自制し、静かに尋ねる。

「つまり、それ以外のものは……殺すと?」
「ええ、何か問題でも?
 僕としても人間に命令されて殺すなんていうのは癪ですが、
 彼らには後で死んでもらう……という事でここは一つ我慢しておきましょう」

ドロロの中で怒りが弾ける。

「ゼロス殿、おぬし!」

飛び掛ろうとドロロが構えると同時―――ゆっくりと人さし指を向けたゼロスが力ある言葉を解き放った。

「暴爆呪(ブラスト・ボム)!」

瞬間、空間が軋みゼロスの周りに十数個の光球が生まれる。
その光球一つ一つに凄まじい熱量が籠められていた。
それらが全てゼロスが指し示す方向、つまりドロロに向かって殺到した。

「なっ!」

不意をつかれたが、ちょうど構えていたドロロは辛うじてそれに反応できた。
襲い掛かる十数個の光球を全力で横に跳ぶ事でギリギリかわす。
だが―――

ヴンッ!!

「ぐうううっ!!」

地面に炸裂したそれは凄まじい爆音と熱波、そして衝撃を巻き起こした。
衝撃波に吹き飛ばされたドロロは、地面にぶち当たり受身を取りながらゴロゴロと大地を転がる。

気付くとドロロは先刻まで立っていた場所から十数メートルほども飛ばされていた。
そして光球が当たった小川の水は蒸発し、ただ溶岩のように赤い地面だけが見える。
煮沸、つまり大地が沸騰していた。
そこに川の水が流れ込み、一転辺りは激しい水蒸気に包まれる。

ドロロは身震いする。とんでもない技だった。
逃げるのが一瞬でも遅れていたらドロロは消し炭も残さずこの世から消滅していただろう。

「おや、やはり精霊魔術もこの程度ですか」

水蒸気の向こうで、ゼロスが不満げに呟くのが聞こえた。
ドロロは体が動く事を確認すると、体勢を立て直し蒸気の向こうに向かって叫ぶ。

「いきなり……何をするでござるか!」

それでこちらに気付いたのか、ゼロスは何故か満足そうに話しかけてきた。

「いやあ、やりますねドロロさん。
 まあ、これぐらいは避けてもらわなければ困りますけどね」

人を殺しかけておきながらのこの台詞に、ドロロは悟った。
ここでゼロスを倒さなければ罪もない人間が殺されてしまう、と。
そしてそれは理性では判らなかったが、直感では初めから判っていた事だった。

「ゼロス殿……覚悟するでござるよ!」

ドロロは腰のデイパックから武器を取り出す。
残念ながら刀剣類はなかったが、武器の代わりになりそうな物はあった。

―――取り出したのは長い角(ロングホーン)。

説明書には『1000万パワーだ!』とだけ書かれていたそれを握りしめ、ドロロは疾走する。

「どうやらあなたはなかなかの使い手みたいですし。
 ……もう、止めときません?」

水蒸気の奥からゼロスがそんな事をいう。
だが今のドロロに止まる気は無かった。

「もはや、問答無用!」

蒸気を突き破り一息でゼロスとの間合いを詰めると、両手で構えたロングホーンの切っ先でゼロス撃ち抜く。

だが、ゼロスは僅かに―――拳一つ分ほど体をずらすだけの動きでドロロの突進を避ける。

「おかえしですよ!」

そしてカウンター気味に放ったゼロスの蹴りがドロロを捉える。
しかしそれはフェイント。

「残像でござるよ」
「なっ―――!?」

蹴りが命中した瞬間そのドロロはドロンと消える。
同時に残像ではない上空へと跳んでいた本物のドロロがゼロスを強襲する。
ロングホーンを両手で振りかぶったドロロは、がら空きの背中へそれを振り降ろす。

「せいやっ!」

ざぐっ!!

ゼロスが驚愕に目を見開く。
ロングホーンは彼の背中をざっくりと切り裂いていた。
常人なら傷口から盛大に血が吹き出るであろう傷だったが、何故か血は一滴も出ない。

(やはり、只者ではない……)

シュタっと地面に降りると同時にドロロは距離を取り呻く。
避けられた。
常人では知覚する間もないほどのあの一瞬、ゼロスは体を捻って致命傷をギリギリ避けたのだ。
強敵を前にドロロの頬を冷や汗が流れる。

そしてその頃になって、ようやく水蒸気が晴れ始めた。

「イタタ……油断しました……しかしおかしいですね、なんで痛いんでしょう?」

ゼロスは暢気にそんな事を言う。
そしてドロロが構えたロングホーンを見ながらゼロスは呟くように宣言する。

「うーん、これはもしかして。……ちょっと本気を出ますよ!」

そういった瞬間、ゼロスが消えた。

「なっ!?」

その消失はあまりに突然だった。そして完全だった。
姿かたちは勿論、気配すらも―――まるで最初から居なかったかのように消えてしまった。
ドロロは慌てて気配を探る。
そして真横、十数メートル先の茂みに何かの気配を感じる。

(そこでござるか!)

茂みに向かってロングホーンを構えた次の瞬間。
突然背後からゼロスの気配が現れた。

(ばかなっ!)

完全に虚をつかれた。

(……瞬間移動でござるか!? しくじった!)

慌てて前方に跳ぶがそれは無駄な足掻きでしかなかった。
ドロロに向かって虚空から現れたゼロスが指先を突きつけ言い放つ。

「チェックメイトです」

そして力ある言葉が解き放たれる。

「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」

地面に光る五芒星が現れ、その頂点から生まれ出た激しい雷撃が闇を切り裂き降り注ぐ。

―――ゼロスへと。

「なっ!?」

驚愕の声をあげるゼロス。
慌てて空間を渡ろうとするが、魔をも滅ぼす稲妻は彼の腕を捉えて放さない。

「ぐああああああああああ!!」

叫びながらも咄嗟に空間を渡り、雷から逃れるゼロス。
一瞬後、少し先の空間に現れた彼のその左手は、黒く焼け焦げていた。

「そこまでよ、ゼロス」

茂みの中からそんな台詞と共に現れたのは17、8歳ぐらいの栗色の髪をした少女だった。
そしてゼロスは少女を見て困ったように、それでも笑ったまま言った。

「っ……貴女でしたか―――リナさん」


★ ★ ★ ★ ★


そう、青いカエルっぽい小動物のピンチに颯爽と現れたのは誰であろう、このあたし!
戦士にして天才美少女魔道士たるリナ=インバースだった!

なーんて我ながらヒロイックサーガ風の名乗りをあげたくなるような見事なタイミングだった。
流石に今の一撃は効いたのか、呻くゼロスにあたしは言葉を投げかける。

「で、ゼロス、あんた何やってんのよ?」

「……というか事情も判らないのに、なんだって僕を攻撃したんです?」

恨みがましい目でゼロスはあたしを見る。
しかしこの態度に油断などしてはいけない。なにせこのゼロス君、千年前の神と魔が争った降魔戦争において
数多のドラゴン軍団をたった一人で壊滅寸前まで追い込んだというとんでもない魔族なのだ。

「そりゃ、あんたが小動物苛めてるからでしょ。
 ポコタといい、なんか最近小動物に縁があるみたいでね。放っておけなかったのよ」

「おやおや、いつからそんな博愛主義者になったんですかねえ?」

うっ。そりゃガウリイがいない今、代わりに前線で戦ってくれる仲間が欲しかったのは確かだけど。
流石にそんな本音をぶちまける気はなかった。

「……い、今さっきよ!」

それを聞いてゼロスは苦笑を浮かべた。

「やれやれ、あいかわらずですね。
 ……それでなんで僕が悪者だって決め付けるんです?
 この蛙っぽい人が先に襲いかかって来たかもしれないじゃないですか」

小動物を指差しながらゼロスがしれっと言い放つ。

「なにを――」

その言葉に小動物が何にかを言いかけるがあたしは手で制し、視線を投げかける。

(ここはまかせて)

そのアイコンタクトが通じたのか、青い小動物は黙って引き下がってくれた。
本当に悪いカエルでは無いのかも知れない。

「ま、それはあれよ。あたしの鋭すぎる直感があんたが犯人だって告げてるのよ」
「犯人っていったい……それに勘ですかぁ?」

ゼロスが不満げにいう。

「まあ、それは冗談としてもあんたがこういう状況で何をするかぐらいは理解できるつもりよ。
 それに……あんたがそういう風に言うって事は、あながちハズレでもないでしょ?」

恐らくゼロスの目的は、殺し合いに乗って自分以外全ての抹殺。
そもそも魔族にとって人の命など紙くず以下。そして恐怖と絶望はお昼ごはんみたいなもの。
ゲームに乗らない方がおかしいのだ。

「お見通しですか……しかしこれはちょっと面倒な事態になりましたねぇ。
 リナさんとドロロさんを同時に相手をするというのは今の僕にはちょっと荷が重い。
 ……ここは退かせて貰いましょう」

退いてくれるか。
あたしは内心胸を撫で下ろす。
今の戦力でこいつを相手にするのは正直いってきつい。

「待つでござる!」

しかしそれまで様子を窺っていた小動物(ドロロって名前らしい)がゼロスに向かって飛び掛っていった。
その速度は信じられないぐらい速い。
だけど、届かない。

「待ちません。生きていたらまたお会いしましょう、では」

捨て台詞を残してゼロスはあっさりと闇の中へと消えていった。

「く、逃がすわけには」

追いかけようとするドロロ。
あたしは頬をかきながら告げる。

「やめといたほうがいいわよ。荷が重いなんていってたけど、あれは多分口だけ。
 ……相当気合入れてかからなきゃ、あいつは倒せないわ」

その言葉にピタリと止まり

「……そのようで、ござるな」

ぽつりと呟くドロロ。
このドロロくん、意外と頭が切れるようだ。
冷静に状況判断まで出来るとは……出来れば仲間になってくれないかな。

「助太刀感謝するでござる。リナ殿、でござったか。あやつの知り合いでござるか?」
「まあ、ね。……出来れば知り合いになりたくなかった相手だけどね」

あたしは苦い口調で答える。
ふと―――ゼロスが去っていった闇を見つめ、あたしは思う。

またやっかいなことになったなぁ、と。


【G-03/小川/一日目・未明】

【名前】 ドロロ兵長 @ケロロ軍曹
【状態】 軽い火傷、軽い疲労
【持ち物】ケロロのサイン入りおもちゃの光線銃@ケロロ軍曹、バッファローマンのロングホーン@キン肉マンシリーズ、
     確認済み支給品(刀剣類ではない)、デイパック(支給品一式)
【思考】
1、殺し合いを止める
2、ケロロ小隊との合流
3、冬樹殿含む一般人の保護

【名前】 リナ=インバース@スレイヤーズREVOLUTION
【状態】 極めて軽い精神疲労
【持ち物】確認済み支給品1~3、デイパック(支給品一式)
【思考】
1、殺し合いには乗らない
2、ドロロを仲間に勧誘する


★ ★ ★ ★ ★


戦場となった小川より少し離れた闇の中。
追っ手がいない事を確認し、ゼロスはようやく一息ついた。

(やれやれ。予想外の邪魔が入りましたが、それ以外はまあ満足できる結果ですかね)

ぎゅいん

ゼロスが纏う闇が膨れあがり、腕と背中を覆う。
次の瞬間には傷も焦げた神官服もまるで何も無かったかのように元通りに戻っていた。
精神生命体である彼にとって姿などあってないようなものだった。

……本来は。

今は首輪のせいか、それともこの閉じた世界自体の影響か
魔族本来の姿に戻る事はおろか、この『ゼロス』以外の形に成る事も出来ないでいる。
それに加え精神世界面(アストラルサイド)とのコンタクトも阻害され、
今のゼロスは中級魔族程度の闇を抱える存在でしかなかった。

(しかし魔力付与されているわけでもない、ただの角に切り裂かれるとは……予想外ですねえ)

精神生命体、つまり元々肉体が無い魔族にとって物理攻撃は無意味であった。

……筈だった。

だが実際は魔力が込められているわけでもない角に切り裂かれ、傷を負わされていた。
精霊魔術も使えるには使えるが、疲労の割に威力はいまいち。
空間転移も使えることは使えるが、数十メートル程度の距離しか移動できない。
どのような理屈かゼロスには判らなかったがこれでは力の大半を封印されているようなものだった。

(そして恐らく全てはコレのせいでしょうね)

指で首輪を弾く。

リナとドロロは勘違いしていたようだが実はゼロスはゲームに乗っていない。
彼の目的は―――首輪を外すことにあった。

そして乗らなかった理由だが……魔族である彼が人道に目覚めたなどという理由では当然無く、
ただ単にゲームマスターを信じていなかった、というだけの話。

(まあ、僕がゲームマスターでも生き残った人を帰したりはしませんしね。
 生き残れてほっとした瞬間に溶かす。そんな所ですかね)

故に優先すべきは首輪の解析。
ゼロス自身も解析を進めるつもりだが、協力者がいるに越した事は無かった。
だから首輪解除に役立つ人間には彼が首輪を外すまでは生きていて貰わなければならなかった。

そしてその為のドロロだった。

(あの攻撃で生き延びられるだけの力があるなら、資格は十分ですしね)

ドロロに何故攻撃したかというと、理由は単純。

試したのだ―――彼の力を。

ゲームに乗った人間に首輪を解除できる人間が殺されては困るのだ。
その為に彼のようなセイギノミカタが必要だった。

仮にあの攻撃で死んだとしてもそれはそれで構わなかった。

あの程度で死ぬようなセイギノミカタは逆に必要なかった。
仲間の足を引っ張るであろう弱い者や首輪解除に必要ない人間は始末し、
その死の絶望や憎しみといった不の感情『瘴気』を食らうことでゼロスの力は回復する。
しかも首輪もゲットできるという、一石三鳥。
それが彼の狙いだった。

(まあ、せいぜい頑張ってゲームに乗った人を抑えてください。リナさん、ドロロさん)


【F-02/道路/一日目・未明】
【名前】 ゼロス @スレイヤーズREVOLUTION
【状態】 小程度の精神疲労(精神疲労=ダメージ)
【持ち物】デイパック(支給品一式)、不明支給品1~3
【思考】
1、首輪を手に入れ解析する
2、首輪を外すのに役立つ人材を探す
3、セイギノミカタを増やす


【魔族】
精神生命体のため本来は物理攻撃は無効。ただし制限によって物理攻撃でもダメージは与えられます。
精霊魔術を使うと精神力(つまり生命力)を消耗するので使いすぎるとそのうち死にます。
魔族としての攻撃(普通の人間には見ることも防ぐ事も出来ない精神世界からの攻撃)は
人間に使おうとした瞬間、人間程度に本気を出さなければ勝てないのか、と欝になり死にます。
ただし、竜クラスの魔力とタフネスさを持つ化物相手ならば使用可能です。

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GAME START ドロロ兵長 接触! 怒涛の異文化コミュニケーション!
GAME START リナ=インバース
GAME START ゼロス 怪物の森




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