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強殖装甲リリカルシスター ◆U85ZpF.SRY



煌びやかなネオンと、殺し合いという状況を皮肉るような愉快なデザイン。
園内から聞こえる楽しげなBGMのおかげで、まるで中ではそこらの遊園地が日常的に繰り広げているのと変わらぬ光景が在るかのようだ。

だが、それが有り得ないとうことは現にここを移動中の自分達が身を持って証明している。
「ksk遊園地」という妙に地味な看板を掲げている割には某鼠の国に対し面積以外では勝るとも劣らない内装を呈していた。
全てコンピューター制御なのだろうか、ジェットコースター『対有機生命体用コースター』をはじめとするアトラクションたちは乗り場で乗客を待ち続ける。
一方で3D映画を上演している劇場では座席に誰もいなくとも、定時になれば映画『3Dアドベンチャー―その時イデが発動した』を上映し続ける。

そんな無人の遊園地をバイクで走行中の少年少女の間には、相変わらず重い空気が漂っていた。

「どっかにスタッフルームでもあれば係員の衣装でも置いてありそうなもんだけど……さすがにパンフレットには載ってないか」
「……そだね」
入り口で貰った(というよりは拝借した)パンフレットを片手にソーサーを低速で走らせながら、ゲンキが気を使ったような口調で話かける。
だが返ってくるのは素っ気無い一言のみ。そしてこのような重いやりとりは今に始まったことではなかった。

(うう、こういう時ってどうしたらいいんだ……?)
不可抗力とはいえ、乙女にとって大変なものを目撃してしまったことは確かなことだ。
それも前回はスタンダードな肌色ではなく、小学生的視点からすればややアブノーマルな方の肌色を目撃してしまった。
もちろんその辺の知識に疎いゲンキにとって、スタンダードな方との重要度の差は理解していない。
せいぜいツチノコが絶滅した空間であるということを、子供向けの適当な教育で知っている程度だ。
果たしてそこにツチノコは存在しなかった。そして代わりに存在したのはアヒルのくちばしのみ。しかしそのくちばしこそが乙女の身体における最重要部位であることを彼は心のどこかで認識してしまったようである。

こうして一人の少年が大人の階段を微妙に昇ってしまったのであった。ちゃんちゃん。

まあそれはともかく自分のしてしまった、下手すると彼女が冗談抜きで嫁に行けなくなるレベルの誤爆を取り繕うためにゲンキは必死にで首をふりたくっていた。
別にエクソシストに目覚めたというわけではなく、キョンの妹のために衣装があるはずのスタッフルームのありかを一刻も早く探してやりたかったのである。
色とりどりの明かりが照らすアトラクション、その隅っこの方に視力を集中させる。そして忙しなく次のアトラクションに集中。
さら迷わないように、かつ効率的に捜索するための定期的なパンフレット確認も怠らない。
それはもう、事情を知る第三者が見ればそろそろいいんじゃないかと労わりたくなるくらいの努力であった。
だが当然ながらそんな第三者がいるはずもなく、当人のキョンの妹はそんな努力に気付いてすらいなかったのであった。

「……お? あ、あれだっ!」
しかし報われなくともその健気な努力を神なる存在あたりがしっかりと見ていたのかどうか。
終ぞ、スタッフルームと思わしき扉を発見したのだった。

「エス、ティー、エー……間違いない、分かりにくいけどスタッフルームって書いてあるぞ!」
「……え? ほ、ほんと?」
その朗報にキョンの妹も重い雰囲気を振り払って身を乗り出し、木々によって巧妙に隠された扉を目視した。
二人は顔を見合わせると、例の事故以来初めての笑顔を綻ばせる。

「よっしゃ、早速行ってみようぜ!」
「うんっ!」
そして適当な所にソーサーを停めると、二人して一目散にスタッフルームの扉目掛けて走り始めたのだった。

ただ、実は適当なアトラクションに入れば大抵はそれぞれの内部にスタッフルームがあるはずだという事実を知ってさえいれば園内に入ってものの数分で目的達成できたという件については二人とも知る由もなかったのであった。




さて。
結局俺は南、遊園地方面に向かうことにした。
あのあと残り二つの支給品を調べたのだが、その内の一つがなんとまあ、何の変哲もない百円玉だった。
色々いじくって調べてみたが特殊な効果もない。
何だかハズレアイテムで済ませるのも腹立たしかったので、どちらに向かうかをこれを使ったコイントスで決めることにしたってわけだ。

主催者に向かって(もちろんおっさんの方だ)脳内で愚痴を飛ばしつつ、俺はこの先の行動について考えを巡らせていた。
この先の遊園地で参加者に出会ったとする。では、その中に一人でもハルヒたち……俺の知り合がいたら?
いや、ハルヒや朝比奈さんたちが出てきても方針は変えられまい。現地で知り合った仲間と行動していたらそいつだけ殺せばいい。
俺が殺し合いに乗ってることはできれば彼女らに知らせたくないが、まあ今はこの異形だ。無駄口をきかなければまずバレやしないだろう。
さすがに殺意むき出しにしときながら俺の知り合いを見逃すというのは不自然なため、心が痛むが気絶でもして貰って殺し損ねたということにしておけばいい。
この手が何度も通用する手とは思えんが……。矢張りその辺は後に回すとしよう。

さて、実際に誰かを見つけたとしてだ。もし二人以上で行動していればまずは相手の素性を調べることにしたい。
といっても徒党を組むような人物が殺し合いに乗ってる可能性は低い。だがこの場合何が問題かといえば、どれから襲うことにするかだ。
もし実力者を先に襲ってしまった場合、予想外に手間取って仲間に逃げられてしまうかもしれないからな。
そのためにも襲う前に会話を観察するなりなんなりして、弱い方に奇襲をかけ殺すか動けなくするかする。それに気を取られてるスキに他を潰していけばいい。
ないとは思うが、流石に四人や五人集まってたら……まあその時はその時で。

こっそり観察するためにもランタンをデイパックにしまう。しかし、この行動が俺の最初のミスとはまだ気付いていなかった。
今考えて見ればもう少し考えを巡らせるべきだったのかもしれない。

ある程度歩いた所で、人間二人分の影が扉を開けて出てくるのが見えた。
すぐさま反対側に建っているアトラクションに、あちら側から死角になるように身を潜める。
とりあえずはあの空間で見た化け物ではなさそうだ。背丈から考えると二人ともまだ子供か。
余程のことがなければ怪物クラスの能力を持ってるということはないだろう。

化け物の拳を握り締める。ふと、あの少年を殺した時の光景がフラッシュバックした。
あんなグロテスクな光景を自分で作っておきながらよくぞ気が狂わなかったものだと思う。……いや、もうとっくに狂ってるのかも……なんてな。
さあ、何はともあれ今からその光景を更に二つ分ほど追加することになるのだ。

「お前達に恨みは無いが……悪いが、死んでくれ!」

話し込んでいるスキに、死角より片方に殴りこむ。
一瞬にして俺の一撃が、片割れを肉塊に変化させる。そんな根拠のない確信はあっさりと破られた。
「危ねぇ!!」
放たれた拳は先ほどまで人が立っていたはずの地面を抉るのみ。どうやって攻撃を察知したのか、もう片方が咄嗟にターゲットを突き飛ばして難を逃れたのだ。
くそ、一般人じゃなかったってことか? それとも支給品か何かを使ったか? だがそんなのはどうでもいい、次で確実に殺す。

二撃目を加えるべく、俺は突き飛ばされたターゲットの方を向き……月明かりに照らされたその顔に、俺はあげてはいかなかったはずの声をあげてしまった。
「お前!!」
言ってから口を抑えたがとうに水は盆から零れて覆水と化してしまった。

「え……そ、その声……キョン君……?」
「何だって!?」
震える声を漏らし変わり果てた俺の姿を見上げるその姿。普段は束ねているはずの髪は降ろしていて、服は何故かメイド服。
だが間違いなく……この少女は、俺の妹だった。

わなわなと手が震える。妹と同じくして驚愕の顔を浮かべる、あの少年が突き飛ばしていなければ俺はこの手で妹を殺すところだったのだ。
シルエットが全く違っていたうえ、暗くて顔もよく見えなかった。だから妹とは思わなかった。
そんな言い訳を並べ立てようが、既にそれは意味をなさなかった。

「キョン君? キョン君……だよね……? 何で……何……で……?」
妹が真っ青な顔を浮かべ、恐る恐るこちらに歩み寄る。……ああ、もう後戻りは出来ないんだな。
本当に今更すぎる事実を噛み締めつつ、一言も発せないまま妹を見下ろし……

「何が言ってよ、キョンくっ……!?」

殴った。
ああ、そういえばこいつに暴力を振るったりすることなんて今までに無かったことだったな。
まあ当たり前の話だ。活発ではあるが率先してイタズラを目論むような悪ガキではないし、大体その辺は俺ではなく親の役目だからだ。
だが俺は、別にイタズラをしたわけでもなくハルヒのような自分勝手な言動を始めたわけでもない、実の妹を殴りとばしてしまったのだ。

殺しにかかったわけではない。俺なりに力を抜き、気絶程度で済むぐらいで止めたのだ。
妹はそのまま吹っ飛ばされフェンスに身体をうちつけるとそのままぐったりと倒れる。遠目に見れば死んでいるようにも見えるが、何とか気絶で済んでいる……らしい。
その痛ましい姿を見て改めて自分は妹を攻撃したのだと再認識する。それだけで気が狂いそうになるが、脳内で徹底的に自分を惨殺することですんでのところで自分を諌めた。

これで次に目が覚めて……先程迂闊にも漏らしてしまった声のことを忘れてくれれば良いんだ。
ああ、希望的観測にも程があることは十分理解しているともさ。だが後戻りできないところまで来てしまった以上、もう藁でもなんにでも賭けるしか手はなかったんだ。

「お前!! お前、こいつの兄ちゃんなんだろ!? 何てことしやがるんだ!!」
済まん、妹よ。
全て無かったことにしてくれないだろうか。
この殺戮の怪人が俺であるということを。そして、


「お前に語るようなことは」
お前の傍にいた同行人のことをな。

「何も、無い」
振りかぶった俺の一撃が少年の身体を穿った。
今度は手加減無しの一撃だ。
少年の身体が頭に乗っていた帽子を残して、先程よりも更に強烈な勢いで吹き飛んでゆく。
彼の身体そのまま植木を葉に包まれるようにして通り抜け、花畑に叩き付けられた。
思ったよりスプラッターな光景を成していない。さっきの今で手を抜いてしまったか? だが、それならそれで
とどめを刺せばいいまでだ。

それに妹が起きて、もし自分を襲った怪人の正体を忘れていたとしても同行人の無残な死体を見たらどうなるか分かったものではないからだ。
幸いこの身体には死体くらいなら焼き尽くせるぐらいの能力は備わってるらしい。骨一片残さず、塵にして……

「っがぁ!!?」
突如、後頭部に鈍い衝撃が加わる。それに伴い強化されたはずの俺体が地面を転がり、さらに運の悪いことに噴水の中へ墜落した。

「うわああああああああああ!!!!」
噴水から何とか脱出したと同時に、凄絶な絶叫が耳をつんざく。
声の主と思わしき、妙なアーマーを装着した人影が向こう高速で噴水の上空を突っ切るのが見えた。
そのまま俺が先程少年を吹き飛ばした方へ飛び込み、少年の身体を抱えそのまま建物の向こうへと駆け抜けて行った。

「しまった!」
全てを理解し、慌てて飛びたとうとしたが後の祭りだ。
何故俺が気絶させたはずの妹がこんなにも早く目を覚まし、あまつさえ俺のような怪人とまでは変わってないとはいえ唐突に飛行能力を入手したのかは分からない。
だが、俺が躊躇に躊躇を重ねているうちに結局最後まで後手に回ってしまったということだけははっきりと理解できていた。


「……くそ……最悪だな」
微かに明るさを見せ始めた空の下で俺は独りごちる。妹に俺という殺人鬼の正体がばれてしまったのだ。
だがこれだけならまだ何とかなる方だ、件の記憶は脱出できたときに長門に何とかして貰おう。恐らくそれぐらいならあいつにとって赤子の手をひねるも同然だろうからな。
ばれたのがハルヒでなかっただけマシというものだろう。
それでもせめてあっちの少年を殺せれば良かったのだがな。……今から追いかけて間に合うだろうか?
「まあ何だっていいさ。他の連中を皆殺しにしていけばいずれは会うこともあるだろう」

「ほう? お前にそれが出来るのか?」
「なっ!?」
エコーでもかけたような声に思わず飛びのく。振り返った先にはいつの間にか紫色の鱗を纏った、蛇の怪物が俺を見下ろしていた。
こんな至近距離に、いつの間に接近されたのか。最近の怪物は忍術でも習得してるのかね。

「答える必要は無い!」
先程しとめ損じて、ひょっとしたら苛立ってたのかもしれない。
返答を聞くまでもなく拳を固める。さっきの少年の代用といっては何だが、これで二体目だ。

「死ねッ!!」
怪物の身体を吹き飛ばさんとする一撃は、しかし空を切る。
慌てて消えた影を探そうとするが、見つける前に背後から重い一撃が加わった。

「そんな振りの大きい技で俺を殺せると思っているのか?」
「……っ! この!!」
「パワーは凄まじいらしいが、その割には隙だらけだ。この程度ならそこいらのモンスターでも対応できるだろう。
大方、支給品であたりを当てただけの一般人だな? それにしてもまるで玩具を与えられた子供のようだ」
「黙りやがれ!」
額に青筋を浮かべながら、俺は体勢を立て直した。直接攻撃か当たらないのなら遠距離攻撃をかますまで!

「教えてやろう、『悪』気取りの青二才よ。貴様に足りなかったのは悪としての覚悟、年季、実力。――そして」
額から赤い光線が一直線に怪物に向かう。だがそれはまるでクモの巣でもはらうかのようにあっさりと、怪物の目から放たれた光線に相殺された。
光線同士がぶつかり閃光とともに爆音が響く。それ一瞬目が眩んだ。
何とか視界を取り戻して二撃目を放とうとし、怪物がいたはずの方に誰もいないことに気づいたその瞬間。

「『格』だ」
どこまでも低い声が俺の耳に届く。
気づいた時には既に俺の目の前には赤い球体が迫っていた。
それが何なのかを理解する前に球体は俺の身体に辿り着き――強烈な爆音と共に俺の意識を奪った。




未だに引かぬ痛みと共に俺は目を覚ました。
見た所周囲の景色は遊園地のまま。つまり俺は死んで地獄に堕ちたわけじゃなさそうだ。
あの怪物の姿が無いということは、俺が死んだものと勘違いしたのだろうか。不幸中の幸いのようだな。

痛む身体にムチを打って無理矢理起き上がる。思ったよりも、この身体は割と丈夫に出来ているらしい。
背後にあった大木に身を預ける俺の頭に、ふと一つの考えが浮かんでいた

俺の目的はハルヒたち以外を殺害して情報統合思念体を満足させること。
そのためにとりあえず他の参加者は殺すとして、ハルヒたちはどうする?
何度も確認したように彼女らは一般人かそれに毛が生えた程度の実力しか持たない。
そんな人間をどうやって生き残らせるか。答えは簡単、実力者と同行させることだ。
しかし俺の目的はそんな連中を含めた、知り合い以外の抹殺。そしてその目的を達成してる途中でハルヒたちの保護者を殺しでもしたらどうなる?

その時は俺が見逃して命を永らえても、その後俺のように皆殺しを目論む奴が現れたらどうするんだ。
多人数を集めて殺し合いをさせようというのであれば、俺のように仲間や何かのために殺しを企む奴や私利私欲のために皆殺しを狙う奴だっているに違いない。
そんな中で都合よくハルヒたちだけが生き残るなど、ハルヒの神様パワーでもなければ有り得ない。
そしてそんなパワーが使えるのなら、最初からこんな空間から脱出しているはずだ。

俺が暢気に他の連中を殺してまわっている間に、あいつらが他の殺人鬼に狙われてしまうかもしれない。
それでも俺が今やるべきなのは他の連中の駆逐なんだろうか?
いや、そうだとしても俺は今更戻れないんじゃないのか。既に一人の少年を殺し、妹までもを襲撃したのだ。

もう正義になんか戻れない。大体今更どのつら下げて妹に会えばいいんだ。
あの怪物が言ったように、悪にすら成りきることが出来ない。せいぜい小悪党が関の山だろう。


ああ――――


――――俺は今、何をするべきなんだ?



【D-2 遊園地/一日目・明け方】
【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】健康、0号ガイバー状態、返り血に塗れている、ダメージ中
【持ち物】金属バット@現実、100円玉@現実、ディパック(支給品一式×2、不明支給品0〜1)
【思考】
1:俺は今、何をしたらいいんだ……?
2:皆殺しするはずだったが……
3:ハルヒと親しくなった奴は殺す。
4:皆で元の世界に帰りたい。
5:妹の記憶は、元の世界に戻ったら長門に消して貰う。

【F-2 遊園地付近一日目・明け方】
【ナーガ@モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
【状態】健康
【持ち物】
 不明支給品1〜3、デイパック(支給品一式入り)
【思考】
1.さて、次はどこに行くか?
2.男を襲撃する前に見た、飛んで行った影が気になる。
3.参加者は皆殺し(ホリィやゲンキ、その仲間を優先)
4.主催も気に食わないので殺す
※ホリィがガイア石を持ったまま参戦していると考えています
※キョン(名前は知らない)を殺したと思っています。





「ここまで来れば……大丈夫かな……」
スクール水着の上にアーマーというみょうちきりんな少女が降り立つ。
抱えていたソーサーを地面に降ろし、続けて腕の中で動かない少年をそっと草原に寝かせた。

『向こうの装備を少し分析したが、その潜在能力の割に使いこなせてないらしい。
あのまま戦ったとして、お前でも十分勝てる相手だったはずだぞ』
「それでも私……キョン君と戦うなんて無理だよ……」
『……そうか』
キョンの妹に語りかけるのはこのパワードスーツに備え付けられた人工知能のような存在である。
あの時キョンに殴りとばされた彼女は、咄嗟に用心のために持ち歩いていたパワードスーツを起動させたのだ。

「もう少し……もう少し早く駆けつけていれば、助けられたのに……」
ぐったりとしたまま微動だにしないゲンキをそっと抱き起こす。
ついさっきまでその名に相応しく元気を振り絞って、自分を励ましたその顔が今は眠るように閉じられてるのを見る度に言い知れない悲壮感が彼女を貫いた。
「……ごめんね……ごめんね……ごめ……んね…………」
身体を小刻みにふるわせ、目尻から涙を零しながらひたすら謝辞の言葉を重ねる。
そんなことをしたところでどうにもならないことは理解している。それでも、理解していた上でなお彼女の謝辞は止まる気配を見せなかった。
彼の手をまるで今生の別れを告げるかのゆにそっと握る。
そしてその瞬間、彼女の謝辞は唐突に遮られることになった。

「……あぐ……痛ぇ、随分酷くやられみたいだな……」
「ゲンキ君!?」
二度と聞けないものと思っていた声は、確かにキョンの妹の聴覚を駆け抜けた。
悲壮に歪んでいた顔を驚愕の色に変え、抱きかかえていたゲンキの身体を見据えた。

閉じていたはずの瞳が弱々しく開きはじめる。そして今度こそ間違いなく、幻聴などではない彼の声を耳にした
「よう、大丈夫だったか……?」

『生体エネルギーを確認……大丈夫だ、幻ではない……
しかし驚いたぞ。あれの一撃を喰らった生身の人間が無事でいるとは……』
「ガッツ……振り絞ってな……本当は攻撃のためだった、んだけど……ラッキーだったみたいだな……つーかあんた誰だ……?」
しかしその言葉にナビゲーターが答えるより、キョンの妹がゲンキの身体を抱きしめる方が先だった。

「うわああああああ!!」
「おうっ!?」
「ひ……ぐ……!! わた……し……もう、ダメだって……キョンくんが化け物のなって……ゲンキ君が死んで……!!
そんなの嫌……嫌だったんだから……!!」
それから先はもう言葉にならない。信じていたはずの兄に襲われ、同行していた少年が死にかけて。
次々と自信を襲った、理不尽ともいえるその出来事に彼女はついに耐え切ることが出来なかったのだ。
ただただ涙を流して声を上げ、二度と離すまいと言わんばかりにゲンキの身体を抱きしめる。

目覚めたばかりで状況が理解しきれていなかったゲンキだったが、それでも何かを言うまでもなくキョンの妹の頭を優しく撫で続けていた。

果たして少年少女を襲った最初の悪夢はどうにか一過した。
この後二人に迫るのが今度こそ良い報せなのか、それとも二回目の悪夢なのかなど、この場にいる誰もが判るはずもなかったが。

【E-3 草原/一日目・明け方】
【佐倉ゲンキ@モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
【状態】重症(全身強打、行動に支障)、
【持ち物】
KRR-SP@ケロロ軍曹、S&WM10(リボルバー)@砂ぼうず、ディパック(支給品一式入り)
【思考】
1.何とか助かったのか……?
2.キョンの妹を守る。キョンの行動に疑問
3.仲間達とキョンの妹の兄とその友人を探す。
4.『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5.主催者は絶対に倒すが、長門有希に関してはもう少し情報が欲しい。
※KRR-SPにはキョンの妹の服がくくりつけられています。
※帽子は遊園地に落ちたままです。

【キョンの妹@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】中程度のショック
【持ち物】
『人類補完計画』計画書@新世紀エヴァンゲリオン、
地球人専用専守防衛型強化服 @ケロロ軍曹、ディパック(支給品一式入り)、
【思考】
1.ゲンキの生存に感涙
2.キョンくん、何で……?
3.キョンの友人を探す。
4.『人類補完計画』計画書を解読できそうな人物を見つけて、首輪解除の手がかりを探る。
5.主催者に協力している長門有希の事が気になる。
※遊園地のスタッフの衣装を装備していましたが、消失しました。

【地球人"夏美"専用専守防衛型強化服(ペコポンじんなつみせんようイージスがたパワードスーツ) @ケロロ軍曹】
ギロロが夏美のためにクルルに作らせたパワードスーツ。
ガルル小隊との戦闘においてその威力を発揮したが、トロロのハッキングによって武装を解除されてしまう。
なお、ギロロ(とドロロ以外の小隊)の人工知能「ナビ」が使用をサポートしてくれる。
速度やパワーが、使用する人間の限界に応じてかなり引き上げられる。ただし制限はあり。
裸体に近い方がパワーを出しやすいため服は自動的にスク水になる。武装解除してもスク水は戻らない。
当ロワでは夏美以外でも、ペコポン人(人間かつ地球人)なら誰でも使うことが出来る。
そのため説明書には「地球人専用専守防衛型強化服」と記載されている。
なお、制限のため6時間以上の連続仕様は不可能。その後3時間装備できなくなる。


時系列順で読む


投下順で読む


孤島症候群 キョン God Knows……
果タシテ、無知トハ罪ナリヤ?(後編) 佐倉ゲンキ Here we go! go!
キョンの妹
伝説への道は始まらない ナーガ 迫り来る闇の声






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