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死闘の果てに… ◆MUwCM75A2U



 アプトムはひたすら自分を襲った相手から逃げて来て、追跡者がいない事を確認してから近くの民家へ入った。
 姿はガイバーⅠと酷似しているが、所詮は擬態。
 それをものの数分もしない内に見破られ、あっという間に敗北した。
 そして、様々な疑問が頭に浮かぶ。
 ガイバーでも獣化兵(ゾアノイド)でも、ましてや人間でもない存在に破れたこと。
 襲撃者の正体が全く分からないこと。総司令を脅かすかもしれない存在に遭遇したこと。
 余りにも謎が多すぎる。
 しばらく、民家に突入したままの姿で固まっていたが、冷静さを取り戻して椅子に腰掛けた。

 とりあえず、水でも飲んで落ち着こうと変身を解く。

 全裸になる。

 確かに、普段の人間形態から獣化する時に膨れあがり熱を放つから衣服は必然的に駄目になってしまう。
 今までその事を失念していた為、また硬直したアプトム。
 だがどうせ誰もいないだろうとそのままの姿でディパックを開けた。

「…………?」

 何かがおかしい。あの謎めいた、『割れ目がついたポットの様な物体』が無かった。
 ディパックの中身が入れ替わっているとしか思えない。
 しかし、あの鎧男がわざわざ中身を入れ替えて律儀に投げ返したとは考えにくい。
 ディパック自体が入れ替わっていると考えた方がよさそうだ。
 ――――だが、何のために。
 わざわざご丁寧にディパックをくれたとしか思えない。余りにも謎めいた行動。
 今は考えてもしかたないとかぶりを振り、水筒を取り出し口をつけた。
 そして大きく深呼吸をする。
 どうやら、行動方針を一から練り直さなければならないようだ。
 その前に何か武器でもないか、とディパックを探ってみる。
 使えるなら服でもいいと考えつつ探していたのだが、サングラスが出てきた。
 確かに、アプトムは普段サングラスを着用しているが、全裸にサングラスをかけただけの男には誰も近寄らないだろう。
 否、そんな格好で外は出歩けない。
 ため息をつき、今度は武器が欲しいと思いつつ再びディパックに手を入れる。
 次に出てきたのは剣の柄と鍔をあしらったものだった。この時代に剣で戦えというのも妙な話だが、これには剣の刃すらない。
 説明書によるとこれはゴルンノヴァ――通称「光の剣」と呼ばれる物の模造品らしい。
 精神統一をする事によって使用者の精神力に比例した「剣」が出来るそうだが…………眉唾物だ。
 精神力を消耗するという説明を読んで、ますます使う気が失せた。

(仕方ない、ガイバーの姿で行動するか)

 結局、ガイバーを形態模倣した姿で出歩こう、と判断した。
 他の獣化兵の方が強力と言えば強力だが、いかんせん目立ちすぎる。
 襲われた時に咄嗟に対応できる姿の中で、威力は劣るが様々な攻撃が出来るガイバーの姿が良いと判断した。

 一段落した所で、アプトムの脳裏にガイバーⅠ、そしてギュオー総司令が浮かび上がる。
 先ほど遭遇した強さが「ユニバース」としか表現できない怪物。他の参加者の中にもあの様な怪物が存在するのだろうか。
 考えたくも無いが、ひょっとするとギュオー総司令がすでに殺されている可能性がある。
 思念派がいっこうに来ない理由も説明がつく。が――――総司令がかなわないような相手では、ガイバーⅠですら破れるだろう。
 そんな強豪が沢山いるのならば出来るだけ遭遇したくない。
 自分がガイバーになれたのならともかく、今のままではまたやられてしまう事が必須だ。
 あの圧倒的なパワーを思い出してアプトムは身震いする。

(冷静になって考えろ………………まだそう決まった訳ではない)

 ネガティブな方向ばかりに考えていたので思い直す。
 さっきは運が悪く怪物に遭遇してしまっただけだ。
 それに、総司令は強い方だ。出鼻から怪物に会っていなければ後々まで生き延びるはずだ。
 無論、それはガイバーⅠとて同じ。元々は一般人だった彼だが、ガイバーとなって強大な力を手に入れた。

「あの力さえ手に入れば、もう損種実験体(ロストナンバーズ)扱いはされんだろう……フフフ」

 ガイバーに殖装した自分の姿を思い浮かべる。
 そうして強大な力を手に入れて初めて、「出来損ない」と呼ばれ日陰者だった自分にもようやく日の目が見えるという訳だ。
 だが第三者がガイバーⅠを殺し、先回りされてユニットを奪われては意味がない。
 深町晶は所詮一般人に過ぎない。ガイバーを倒す程の戦闘能力を持つ人物が殖装したのならば、その力はより強大になるだろう。

「そうなる前に他でもないこの俺――――アプトムが深町晶を倒す」

 だが、やはりガイバーや総司令を凌ぐような強い相手がいることは確かなのだ。
 広間に集められた時には一般人にしか見えない姿もあった。強い相手が多いのか、はたまた一般人の割合の方が高いのか。
 それを判断するには手っ取り早いものがある。

 放送、だ。

 死者の名前と禁止エリアが発表される為、聞き逃す訳にはいかない。
 禁止エリアは生き延びる為に耳に入れて置かなければならない。
 それに死者の名前――正確には人数――はこの殺し合いの進行状況が判断出来る。
 故に、死者が多ければ多いほど「怪物」が多く、少なければ少ないほど「怪物」は大量には存在しないということだ。

(たかが一般人には負けはしないさ)

 損種実験体とはいえ、そこらの一般人や一般人に毛が生えた程度の奴には負ける気がしない。邪魔者は消し去るまでだ。
 今までは怪物のような存在に怯えていたが、自分だって戦える。
 アプトムは少しだけ自信が戻ってくるのを感じた。
 ……だがもし死者が多かったとしたら。
 自分を圧倒する相手が多いという事になる。力が欲しいとはいえ、ここで死んでしまっては元も子もない。
 その時はその時でまた行動方針を練り直さなければ……。
 どちらにせよ、あと何時間か後にされる放送を待つしか術はなかった。
 まだ日の出もしていない暗い時刻だ。夜は身も隠しやすいから、襲撃も受けやすいだろう。
 それまで休むのも策という物だ。
 これからについては放送があり、日の出を迎えてから改めて考えるのでも遅くはない。

 そこまで考えた所で、少し休もうとベッドに身を横たえる。
 落ち着いてはいる物の、力を欲するあまりに体が熱くたえぎっていた。
 今まではこの力も貴重なデータ以上の価値を認めてもらえはしなかった。
 ガイバーとの戦いの任務を与えられ、ようやく表に出ることが出来たのだ。
 ……この状況下では誰がいつ死ぬか殺されるかすら分からない。
 運が良ければ任務を全う出来る上に、自分がガイバーになれる可能性だってある。
 先ほどとはうって変わった様子のアプトムに戦意がたぎる。

(待っていろよガイバーⅠ……必ず俺の手で殺してやる)

 ゆっくりと目蓋を閉じる。
 ――ガイバーの力を手に入れることを望みながら。




【B-5 民家の中/一日目・明け方】

【アプトム@強殖装甲ガイバー】

【持ち物】
碇司令のサングラス@新世紀エヴァンゲリオン、光の剣(レプリカ)@スレイヤーズREVOLUTION
ディパック(支給品一式入り)
【状態】疲労(小)
【思考】
1.今は休み、放送の時を待つ。
2.深町晶を殺してガイバーになる。
3.強敵には遭遇したくない。
【備考】
※まだ全裸の人間形態のままです


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戦慄! 俺の心に恐怖心! アプトム 模倣より生まれ来る創造






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