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OPコンペ四の巻


少女が目が覚めたら、そこは自分の家ではなかった。
そこは床につく前と変わらずの闇。だが、それが少女の部屋の闇でないことはぼんやりと、しかし即座に理解出来ている。
ベッドから転げ落ちたのだとしても、この床の質感が自分の部屋のものであるはずがない。
自分の部屋にこんなにたくさんの人の気配がするはずがない。

少女は混乱する。思わずにきょろきょろ頭を振ったあと頬をつねったり張ってみたりするが、ふと気がついてがばっと飛び起きたりするようなことはなかった。
とうとう不安が高じてとある少年の名を叫ぼうとした、その瞬間。

「お目覚めですか?」
後方から声が聞こえて少女は振り向いた。同級生であり、自分が創設した団の副団長のものである。
「古泉君なの?」
「ええ。朝比奈さんもいます」
彼の声はいつになく深刻そうな様子を呈していたが、それを察知せずとも今が普通の状況ではないことは十分に明白だ。

「あ、あのっ。私も起きたらここにいて……どこか分からないんですけど……どうしようって……
私……それで、そしたら古泉君が……ふぇ……」
しゃくるような話し方をするマスコットに、団長――ハルヒは手を背中に回して落ち着かせようとする。
「え……っと、それで二人とも……これ、何がどうなってるのかしら?
もしかして集団誘拐……まさか、ねえ……」
「それが僕にもさっぱりでして。どう解説の内容を巡らせようとも、就寝して起床したらわけのわからない空間に放り込まれたとしか言い様がありません」
「それじゃ……あっ! そうだ、キョン! それに有希は!? 二人はどこに――」

告ごうとしたその科白は周囲から聞こえる大きなざわめきによって遮られた。
しかしそれに止められるまでもなくハルヒ自信も、急に灯された光に思わず目を抑え、口を噤まざるを得なくなった。
それでも現状を把握せんと再び目を開いて光が戻った部屋を見渡す。

どこかの倉庫か格納庫か。とにかく広い部屋ではあったが当然のこと、ハルヒたちにとって見覚えのない場所には違いなかった」
「……本当にどこよ、ここ?」
ハルヒのそれと同じような疑問の声があちらこちらより聞こえてくる。彼女はそれらを見渡し、大体五十人近くはいそうだと検討をつけようとしたところで……気付いた。
「ひっ……か、怪物さん……!?」
同じくしてそれに気付いた朝比奈みくるが、今しがたハルヒが口にしようとしたものと同じ言葉を口に出した。
みくるが一歩後ずさり、あわや大声をあげるかと思われた刹那。

「静まれ、異世界同士の住人共よ」
部屋奥の、まるで闇が侵食してるかのように暗がりに包まれた方から低く、かつ部屋に響くかのような声が澱んできた。
やがて闇より、アニメに出てくるロボットの眼のような鈍い光が浮かぶ。
程なくして声と、眼光の主が姿を現した。

「お前っ、デュラハン!?」
どこからか少年のような声がした。
闇から現れたそれは、少年の言葉の指す通り、ゲームなりで聞き及んだような首の取れた甲冑の化け物の姿をしている。
ただ、その首から下には甲冑の胴体は存在していない。代わりにそこへ何かのコードのようなものが無数に集まってデュラハンの頭を支えているようであった。

甲冑の鋭い眼光に思わず半歩たじろぐ。
少しのことでは物怖じしない強さを持つ彼女ですら耐えかねる異様な姿だったというよりは、デュラハンの放つ形容しがたい威圧感に気圧されたといった方が正しいだろう。


「貴様らにはこれより――殺し合いを始めて貰う!」


今……何が?
ハルヒが――いや、それは周囲にいや人間やそれに非ざる者も同じだったのか――デュラハンの言葉をしっかりと理解しきることはできなかった。
それの言葉は余りに急すぎて、非常識極まり無かった。
そして不思議なものを探求し続けるハルヒの求めるものとは、言い尽くせぬほどかけ離れていた。

直後に沸きあがる怒号、悲鳴といった人々の叫び声。
まるで怪物のような咆哮も混じって、一瞬にして場内は混沌の様を極めていた。

「下らぬ喚き声で邪魔立てされては困るな。
……ならば、『現実』を突きつけて有無を言わさずとも黙って貰うとしよう」
騒がしすぎる程の空間にも何故かしっかりと聞こえる声が響く。
その瞬間、甲冑の奥から覗かせる瞳がその姿を見せた時とは違う妖しい光を放ったように見えた。

「見るが良い。このデュラハンに逆らうよな者が在れば、どういった末路を辿るかを!!」

言うなれば、雷の落ちる音。
それは部屋に集う人垣の中から眩い光と共に、集められた生物達の注目を集めた。


「……え?」

光と音があった位置より僅か後方にいた内気そうな少年の口から疑問の言葉が漏れた。
何が起きたのか理解できないというニュアンスを含んだ吐息のような小声。

少年の目の前には炭化した何かが。
人間の姿をしていたはずのそれは文字通り肉の焼けた臭いを放ち、なおも残る熱気と共に横たわっていた。

「おのれ、よくもこのようなことを!!」
とうとう耐えかねたのだろうか、忍者服を纏った青いダルマのような生物がデュラハンの前に踊り出る。

「これ以上の非道、拙者が許して置けぬ!」
腰の短刀が無いことに気づいていたものの、彼はそれがなしでも十分に戦える。
体に違和感を感じている今――恐らく何らかの力を制限されたか――勝ち目があるかは疑わしいが、彼の高ぶる正義感が彼を突き動かしていた。

しかしデュラハンは青い忍者の鋭い眼光を一向に介せず、呆れるような言葉を浴びせた。
「まだ逆らおうと言うか? なれば次は貴様の仲間が焼かれても構わぬと言うのだな」
その言葉を聞きつけ、青い忍者と同じような体型をした緑ダルマがうめくような小さい悲鳴を零した。
「……卑怯な!」
なおも睨みを止めなかったものの、彼はそれ以上動こうとすることが出来なかった。

そして場内に漸くの静寂が訪れる。自分や友人、仲間があのような姿になってはたまらないと判断したか、それとも単純な恐怖からだろうか。

デュラハンは口を開かなかった。その代わりに闇の奥から羽を生やした女性が飛び入り、デュラハンの頭に縋り付く。
別な方からは猫娘のような姿をしたぬいぐるみが、レンズの一つ眼を持つ巨人を引き連れて来た。

「さーて、みんなが静かになったところでルールの説明を始めるわよ♪
あ、私はポワゾン。よろしくね♪ それでこっちがママニャーとゴビね。それでルールは……」
「ちょっと待ちな、あんただけで勝手に話を進めるんじゃないよ!
この役目を仰せつかったのはあんただけじゃないだろう!」
強引に説明を始めようとするポワゾンにママニャーが噛み付いた。ポワゾンは不機嫌そうな顔を浮かべながらも、この場で口論しようとは思わなかったのかそれきり口を閉じた。

「それじゃ簡単な説明をしてやろう。
ルールは単純、お前達同士で好きに殺し合って生き残った奴が優勝ってわけだ」

「さらにあなた達には一人ずつ……食料等、地図、名簿、筆記用具、そして色んな世界から集めた武器が入ったデイパックが配られるわ。
とはいっても武器の中にはハズレも含まれてるから期待しすぎると損するかもね」

「それと、一日に四回……六時間ごとに『放送』を行うからこれは良く聞いとくんだよ。
それまでに死んだ連中の名前を読み上げたり、立ち入ると死ぬ『禁止エリア』の発表もあるからね」

「もう一つ。見事この殺し合いを生き残ることができた人にはデュラハン様から特別な賞品があるわ。
億万長者、不老不死、死者蘇生……何でも願いを叶えて貰えるっていう賞品よ」

誰もが口一つ開かない。その最中に、競い合ってるかのようなポワゾンとママニャーの説明が通っていた。
ある者は怯えるのみで指一本動かせず、ある者はこの状況について考えを巡らせて、ある者は今にでも飛びかからんといった憤怒の形相でデュラハンを睨み付ける。

「最後に一つだ」
説明のしんがりを受けたのはデュラハンだった。

「恐らく気付いている者も多かろうが、貴様らの首に拘束具がついているだろう。
それはこの空間において力を大きく制限する機能がある。もっとも、殺し合いの舞台に着いてからはその制限も多少は緩くなろう。

そしてもう一つの機能だ。
例えば我々に反逆しようとしたり、殺し合いの舞台から逃げ出そうとしたり、先ほど述べた禁止エリアに立ちいるようなことがあれば――」

デュラハンが言葉を切った刹那、ハルヒの体中に言い知れぬ悪寒が走った。
咄嗟にある一点に首を向ける。そこにいたのはSOS団のメンバーの一人。
いつも無口で本ばかり読んでいる、万能少女の……

「有希っ!!」
「長門っ!!」

良くわからない。根拠の無い直感がハルヒに危険を告げている。
古泉の静止の声も耳に入らず、人垣の間を縫って長門有希の元へ走り出す。
その反対の方向より自分が捜し求めていたもう一人の団員が駆けて来るのが見えた。


「……あなた達は」

長門の口から放たれたいつも通りの無機質な言葉は、永遠にその続きを失った。
ハルヒが伸ばす手が長門に届く寸前に何かが破裂するような音が、閃光と共に響く。

先ほどの雷とは違う嫌な音と光がハルヒの感覚を突いた。
自分が掴み取ろうとしていた腕は胴体と共に前のめりに倒れ、首から上にあったはずの頭は脳漿を散らばせながらあらぬ方向へ飛んで行く。
たじろいだ誰かが目玉を踏み潰したのを目にしたと同時に、ハルヒの口から言葉にならない絶叫が迸った。


「このような無様な姿を晒すことになるだろう!!」

訪れる阿鼻叫喚。
しかしデュラハン達はそれを止めようともせず愉快そうに見下ろしている。


「さあ殺戮を始めようではないか!!
存分に、憎しみ、怒り、騙し合い、恨み、呪いながら!!
無念の内に血だまりに沈むのか、全てを嘲る勝者となるのか!!」


「その全てをしかと刻み付けてやろうではないか!!」


高らかな声と同時に空間に闇が舞い戻った。
そして四十八の命は、悪夢の会場へ突き落とされる。

止められない狂気が、この瞬間に始まりを告げたのだ。



【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン 死亡確認】
【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡確認】
【残り48名】


【kskアニメキャラバトルロワイアル 始動】




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