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OPコンペ7


 「ここが××、か。いい所じゃないか、ゴロウ」

 20XX年。父と僕はついに、この世界へとやってきた。

 ××に行く方法が発見されたのは去年のことだ。
 ××に携わり、様々な物を産み出してきた僕と父は、××への最初の旅行者へ志願し、そして選ばれたのだ。

 「奇跡」と名付けられたその装置の発明者は、僕と父にこう言った。

「××はあなたが発展させて行きましたし――ゴロウさんも父に負けないよう頑張っていらっしゃいます。もちろん、いいでしょう」

 そう。いつもそうだ。隣に立つ父の、付属品として僕は扱われている。
 僕は、父と比べられるのが、何よりも嫌だった。

「父さん」
「どうした? ゴロウ」
「せっかく××に来たのだし――僕はまた、一作撮ろうと思っているんです」
「おお、そうか。いいことだ。タイトルは何と言うんだい?」

 こちらを向いて含み笑いを浮かべる父を、今すぐ殴り殺したかった。
 大方、僕が口から放つタイトルに駄目出しをするのを、楽しみにしているのだろう――この人はそういう人だ。
 だが、もう文句は、言わせない。

「僕はね。この世界――アニメの世界が大嫌いなんですよ」

 父が驚く。しかし、口から出る言葉は真実だ。父が発展させた世界なんて、ヘドが出る。
 頼み込んでようやく作りあげた処女作もそうだった。僕が作るアニメは、父と比較される。
 父と、父達先人が作りあげたアニメがある限り、僕のアニメは正当な評価などされないのだ。


「だから僕は、この世界を壊す。壊してゼロから作りあげる――そのためにわざわざ、この気持ち悪い世界まで来たんだ」
「何を言っているんだ、お前は!」

 僕の言葉に既に激昂していた父が、険しい表情で僕の方へと寄って来る。
 僕は隠して持っていた拳銃で、その緩慢な動きをする父を狙い、
 撃った。

「ゴロウ……!」
「命を大切にしないやつは大っ嫌いだな。大人しく聞いていればいいのに。どうせ殺しますが」

 老人が反応出来るはずもなく、胸から血を滴らせながら父は地に伏せる。
 それに近付き、見下すように眺めながら、僕は吐き捨てた。

「ここはアニメの世界ですから、運がよければ生き返れるかもしれませんね……でもその前に蘇生させることの出来るアニメを、殲滅させてもらいますが」

 すでにこの世界に来る前に、手は打ってある。じきにランダムに選ばれたアニメのキャラクター達が集められ、撮影が開始される。
 その「映画」を現実世界で流してやれば、参加するアニメに対する世間の評価は変わるだろう。
 それは一種の、改ざんだ。僕の手によって、そのアニメは書きかえられる。


 そしてアニメが書きかえの果てに、荒廃した時――僕がそこに現れればいい。

「一回では、駄目だな」

 動かなくなった父の体を蹴りあげながら、呟いた。たった一回では、変えられるのは精々十作品。

 だが会場として作りあげることが出来たのは、1ヶ所のみ。
 これでは、何年かかることやら分からない。

「そうだな……せめて、加速させるための仕掛けが必要だ――バトルロワイアルを、加速させるための」

 加速。映画のタイトルは、決まった。

「――とんねるのむこうには、ふしぎなせかいがまっている?」

 ――暗がりの吸い込まれてしまいそうな、不思議なトンネルが、あった。
 この田舎に引っ越してきてからまだ少ししか経ってないし、探検でもしようか!
 ……すぐにどっかに行ってしまう妹のメイを落ち着かせるために、私、草壁サツキがそう言ったのが約1時間前のこと。

 せっかくだし、私も行ったことのない山の方に行ってみたのが幸か不幸か。
 適当に道を進んでいたら、私達の眼前に突然、不思議なトンネルが現れたのだ。
 入り口にはさっきメイが読んだ内容の看板が立てかけてあって、出口は見えない。
 考えれば考えるほどに不思議なトンネルだ。でも、なぜか……入ってみたく、なる。

「ねぇねぇ、あれなーにー?」
「ん? あ……なんか引っ掛かってるね」

 看板の前で首をかしげていたメイが、トンネルの中を指さした。
 トンネルの壁に、一ヶ所だけとがった石が突き出ていて……何か輪っかみたいなものが引っ掛かっていた。

「――気になるね」

「メイも気になる!」

 そこからの行動は早かった。得体の知れない恐さを振り払うように走って、輪っかのところへ全力ダッシュ。

 どうやら輪っかは首かざりだったみたいで、6つも引っ掛かってて――

 「明かりです。これを首に付けて進んでください」なんて、その横の壁に説明書きがしてあった。


「明かり、ったって……これ、どっからどうみても首飾りじゃん」

 拍子抜けしたような気分になって、紐の先に丸い飾りが一つ付いてるだけのそれを、私は首に巻いた。

「――え?」

 すると。
 丸い飾りが突然、電球みたいに光り始めたのだ。

「おー! メイもつける!」

 メイもジャンプで首飾りを掴んで、首にかける。
 辺りはとっても明るくなって――入り口とは反対の、出口が見えるようになった。

「あー、トンネルの向こうだ!」

 大発見でもしたかのようにメイが叫ぶ。それがトンネルに反響して、耳がわんわん揺らめいた。
 少し遠くにあるその出口は、でもちょっと走れば着きそうだ。

 なんだか人影みたいなのも大勢見える。私の頭の中も、どんどん好奇心に支配されていった。

「……行ってみよう、メイ!」

「うん!」

 なんで首飾りが光るの、とか、どうしてこんな所にトンネルがあるの、とか、そんなこと全然、不思議にも思わずに。

 私とメイは元気いっぱいに、トンネルの向こうへと掛けていった。



「………………」

 通りがかりのへんないきものが、首飾り4つを食べてみた後、その後を追って行ったのにも気付かずに。

「――どうやら、あと少しで定員が揃うようだが……時間が惜しいのでね、その首輪についてのもう一つのルールを教えておこう」


 会場となる島の一角の採掘場にはすでに、アニメ9作品、45名の参加者が集まっていた。

 父が見ていないスキを付いて作りあげたこの会場の定員は50人。それを越えるとこの映画の世界自体が、許容オーバーで崩れてしまう。

 自分ともう一人、見せしめとして直々に誘拐してきた渚カヲルを含めれば、あと3名がこの場所に入れるが……もう限界だ。これ以上、待っていられない。
 反抗するような態度を取りながらも動くのをためらっている参加者達を見ながら、僕は最後の言葉を発し始める。


「先程そこの男で試した通り、この首輪は無理に外そうとすると警報が鳴り、数秒後に爆発する仕組みだ。
 ネックレスが掛けられない者に食べるよう促した飴も同様……この場所に来た瞬間に、同じ機能を持った小型爆弾に変化している」

 星の数ほどあるアニメの世界からランダムに選び、忌まわしき父が作った“千と千尋の神隠し”に出るトンネルを出現させる。

 トンネルの中にネックレスと飴を配置し、装備するか食べるかしないと通行できないようにする――
そしてこちらに来た瞬間、自ら進んで付けたそれは、自らの命を脅かすものとなる。

あまり意味の無いことのように思えるが、これが結構効いてくる筈だ。
トンネルに入ろうと言った者は憎まれることになるし――自ら進んで参加したという事実が、参加者を苦しめるだろう。

そうならなかったなら、それでもいい。
最後の策は、今から始まるのだから。

「6時間毎の放送で禁止エリアを指定し、そこに入った者のそれも爆発する――
 支給品についても言った通りだ、ここにあるのはこの銃くらいで、君達を島中に転移させてからデイパックに入れて渡すよ、地図と名簿と共にね――」

 言いながら両手を上に挙げ、目をつぶり、後ろを向く。興奮しきった様子を演じ、周りが見えてないかのように振る舞い。

 動きたくても動けない参加者の中で、先程から唯一呆然として立っている――「碇シンジ」の目を、覚まさせる。


「おまえが……おまえがカヲル君を!!!」



 後ろを向いている男に向かって、僕は、駆けた。

 どこから、こんな力が出たのかと思うくらいの力で、男に飛び付いて、

 倒して、
 男が持っていた、拳銃を奪って、構えて。

「うわぁあああああああああああああ!!!」

 誰かがボクを止めるような声が聞こ、えたような、気がしたけど殺したかった。
 死んでしまえ。いきなりぼく達を集めてこんなことをさせて――ふざけてる。
 カヲル君を殺した。人を殺したやつに生きる価値なんてない。ふざけてる。死ぬべきだ。僕が殺す。
 正義だ。こいつは殺さないと駄目だ。だから、

「やめて、シンジ――!!」

 撃った。




「良く出来ました、碇シンジ君」

 後ろから声がした。振り替えると、他の人達もみんな後ろを振り返っている。
 僕らが通ってきたトンネルの中。
 そこに、さっき僕が殺した男が、さっきと変わらぬ姿で立っていた。

「――――なんで」

「僕は最初からここにいたよ? 今君が殺したのは僕に似せて作ったダミーさ。まあ、時間の都合上、一体しか作れなかったがね――さて、最後の確認をしようか。碇くん、首を触ってごらん」

 何も考えることの出来ないまま、ボクは自分の首を触り――異変に気付いた。

「首輪が、ない……!?」

「そう。ご褒美のようなものさ。誰か一人でも参加者を殺せば、その首輪は外れてくれる。
 単純計算で最高、半数が生き残れる計算さ。優しいだろう? 原作でもこんなふざけたルールでは無かった」

 瓢々とした態度で、男は笑いながら言う。

「まあその代わり、開始から72時間後に――全部爆発しちゃうんだが、な。最初に言った通り、願いを叶えてあげるのも最後に一人残った時点でだ。みんなどんどんkskしてってくれたまえ」

 周りの人達が、一斉にどよめく。同時に、男のいるトンネルの入り口が、瓦礫に埋もれていく。

「――そうはさせないよ!!」

 白い、プラグスーツとは違う服を着た茶髪の女の人が弾丸みたいな速さで飛び出し、トンネルに突進して行くけれど、その前にトンネルが塞がって――

「今から皆さんには、殺し合いをしてもらいます」

 男の声と共に――辺りは、光に包まれた。

【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン 死亡確認】
【宮崎ゴロウ(ダミー)@現実 死亡確認】

【残り48名】
【首輪、残り51個】


【kskアニメキャラバトルロワイヤル、スタート】




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