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悪魔将軍は動かない~エピソード3 廃屋~ ◆NIKUcB1AGw


E-5に建つ廃屋。その中で座り込む男が一人。
その姿は一見すると甲冑を着込んでいるように見えるが、そうではない。
その甲冑こそが彼の体そのものなのだ。
幽霊超人。悪のカリスマ。キングオブデビル。悪魔超人最後の刺客。そして、恐怖の将。
数々の異名を持つその男は、悪魔超人の頂点に立つ存在。その名は、悪魔将軍といった。

先程の戦いから、どのくらいの時間が経っただろうか。
ひたすら回復に専念していた悪魔将軍だが、その体は未だ完全回復には至っていない。
打撃や関節技によるダメージなら、ヨガのポーズで回復できる。
しかしフェイトが悪魔将軍に放った攻撃は、「魔法」という非物理的攻撃。
ヨガのポーズの効果があるかどうかははなはだ疑問だ。
いやそれ以前に、スネークボディーを封じられた現状でヨガのポーズにどれだけの効果が期待できるのか。
そう、実体を持たない悪魔将軍の長所の一つ、スネークボディー。それを彼は、使うことが出来なくなっていた。
最初は本調子でないからだと思っていたが、どうもそうではないらしい。
先程の金髪の女 ―フェイト・T・ハラオウン― との戦いで受けた、予想以上のダメージと疲労。
彼女は並みの超人以上の強者だった。それは認めよう。だがそれを考慮しても、ダメージと疲労が大きすぎる。
おそらく、何らかの力で自分の能力が弱体化されている。悪魔将軍はそう考えていた。
つまりスネークボディーが使えなくなったのも、弱体化の一つなのだろう。
だがここで、一つの疑問が生じる。悪魔将軍の体は柔らかくなるだけでなく、硬くなることも出来る。
だが、そちらのほうにはまったく弱体化の形跡が見られない。
発動が間に合わなかったとはいえ、フェイトとの戦闘で最大硬度であるダイヤモンドパワーが問題なく使えたのが何よりの証だ。
一つの能力の両極端のうち、片方は封じられ、もう片方はいつも通り使える。何とも不自然な状況である。
とは言っても、悪魔将軍はそのことについてすでに結論を出していた。

「首輪か……」

自分の首にはめられた忌々しい枷を指で軽く叩きながら、悪魔将軍は呟く。
スネークボディーになったときの悪魔将軍の肉体は、まさに変幻自在。
首輪を自分の首から外すなど、造作もないことだろう。
だから主催者側は、首輪という制約からあっさりと逃れられるスネークボディーを封じた。
その結果悪魔将軍の戦闘力もある程度落ちるのだから、向こうとしては一石二鳥だったのだろう。
ここまで考察したところで、将軍の頭に新たな疑問が二つ浮かんでくる。それを一つずつ考えていこう。

まず一つ目。この弱体化は、参加者全員に行われているのか? その答えは、おそらくNO。
そんなことをして何の意味がある。
考えられるのは「参加者たちが主催者に反逆した時のための保険」だが、そんなものはこの首輪だけで十分だ。
自分が力を抑えられているのは、自分がこの殺し合いの中でトップクラスの戦闘力を持っているから。
そのまま殺し合いに放り込んだのでは、弱い参加者に勝ち目などない。だから戦闘力を落とし、弱者との格差を少しでも埋める。
「誰にでも優勝のチャンスはありますよ、だから頑張ってください」とでも言いたいのだろうか、あの二人は。ふざけた平等主義だ。
何にせよ、悪魔将軍にはあまり興味のない話だ。
たとえ多少力が落ちようとも、自分が強者である事実に変わりはない。悪魔将軍にはそう言いきれる自信がある。
もっとも他にも強者がいる可能性はあるのだから、油断はしすぎないように心がける。
純粋な戦闘力で自分が負けるとは思わないが、キン肉マンの火事場のクソ力のような特殊な力を持った参加者がいる可能性もあるのだから。

そして二つ目。この首輪の仕組みで、自分は最初に殺された人間のように死ぬのか? 答えは99%YES。
でなければ、この首輪に何の意味もない。
はったりという可能性もあるが、はったりだけを保険に反逆する可能性のある人物を参加させるのはリスクが大きすぎる。
首輪は全ての参加者をあの妙な液体にして殺すことが出来る。そう考えるべきだ。
しかし、神の化身である自分すら殺せるとなれば一体どのような仕組みなのか。悪魔将軍には皆目見当もつかない。
見当もつかないといえば、自分を弱体化させている具体的な方法もだ。
あの二人、とても戦いに向く体つきには見えなかったが、弱体化や無力化など特殊な方面に長けているのかも知れない。あるいは……。

(そういう能力を持った仲間がいる……とも考えられるな)

あの場にいたのが二人だけだからといって、この殺し合いを運営しているのが二人だけとは限らない。
むしろ二人だけでここまで大がかりなイベントを行うのは困難だろう。
その役割分担は置いておくとして、他に協力者がいる可能性は高い。

(まあ、何人いたところでどうでもいい話か……)

殺し合いの運営を何人で行っていようと、参加者に関係はない。
それに何人いようが、自分が優勝した暁には皆殺しにするだけだ。
悪魔超人軍の首領たる自分に首輪などというものをつけ、命令を聞くことを強制した罪。断じて許し難い。
首輪で命を握られている? 優勝してあいつらの目前までいけば、首輪の仕掛けが作動する前に一瞬で殺してやれる。

(今は貴様らの思惑通り、殺し合いをしてやろう。だが全てが終わった時、立っているのは私だけだ……!)

全てのものへの殺意を抱きながら、悪魔将軍は表情の伺えない顔からくぐもった笑い声を漏らす。

(それにしても、ずいぶん長いこと考え事にふけってしまったな……。まあ、他にやるべきこともないのだから仕方あるまい。
 待てよ、やるべきこと……。何か忘れている気が……)

何の気無しに、周囲を見渡す悪魔将軍。その視線は、自分の傍らに置かれた二つのデイパックに止まる。

(そうか……。あの女から奪ったデイパックの中身をまだ確認していなかったな)

自分らしからぬ凡ミスに苦笑らしきリアクションを見せつつ、悪魔将軍はフェイトのデイパックをあさる。
おのれの肉体こそが最大の凶器である悪魔将軍に、武器はほぼ必要ない(ただし、時と場合によってはためらいなく使うが)。
だが、回復を早めるアイテムでも有れば儲けものだ。
そう期待通りにはいかないだろうと思いつつも、悪魔将軍はデイパックから中身を取り出す。
まず出てきたのは、何の変哲もないエレキギターだった。

(私は音楽をたしなむような趣味はないが……。まあ、いちおう振り回せば凶器になるか。
 念のため荷物に入れておこう)

ギターを自分のデイパックに移し、悪魔将軍はもう一度フェイトのデイパックに手を突っ込んだ。
そして、最後に残った支給品を取り出す。それは、悪魔将軍にとってあまりになじみ深いものだった。

「これは……。ククククク……」

それが自分のところに巡ってきたという偶然に、悪魔将軍はこらえきれず忍び笑いを漏らす。

「まさかこんなものとここで出くわすとはな……」

彼の手の中にあるものは、無骨な男の顔をかたどった黄金に輝く仮面。
悪魔将軍と同じ世界の住人なら、それをこう呼ぶだろう。「黄金のマスク」と。
黄金のマスク。それはキン肉族の至宝にして、全ての正義超人のエネルギー源。
しかし、将軍の手の中にあるそれが黄金のマスクであるはずがない。なぜなら、悪魔将軍の本体こそが本物の黄金のマスクであるからだ。

(悪魔騎士共が持っていた、偽の黄金のマスクの中の一つか……。これ自体は何の役にも立たんがらくただが……。
 正義超人共の前に突き出してやれば動揺ぐらいは誘えるかも知れぬな……)

その時が楽しみだ、と呟きながら、悪魔将軍はそれもデイパックにしまい込む。
ちなみにその黄金のマスク(偽)はスニゲーターのものであるため特殊な仕掛けが組み込まれているのだが、説明書に目など通していない将軍はそれに気づいていない。


(あとは……私の荷物と違うものは入っていなさそうだな)

地図やランタンが二個あっても、使いようがない。食料も不必要だ。実体のない悪魔将軍にとって、食事など無縁の行為だ。
将軍は興味のなくなったフェイトのデイパックを、ぞんざいに放り投げる。
その衝撃で名簿が中から飛び出し、ひらひらと宙を舞って将軍の前に落ちた。

(名簿か……。先程はざっと名前をチェックしただけだったが……。暇つぶしにじっくりと読んでみるか)

悪魔将軍は名簿を拾い上げ、それに目を通す。

キン肉スグル、ウォーズマン……言うまでもなく、悪魔超人の宿敵たる正義超人の中核を担う存在。
この殺し合いの舞台で出会ったのなら、何を捨て置いてでも殺す。
そういえば、ウォーズマンは仮死状態から蘇生したばかりで本調子ではないはずだが……。まあどうでもいいことか。

アシュラマン……我が忠実なる手足、悪魔騎士の一人。ただ一人の味方とはいえ、あちらはあちらで殺し回っているだろうから無理に合流を目指す必要はない。
まあ出会えたのならば、存分に利用させてもらうが。最後に私とアシュラマンが残ったとしても、やつならば喜んで私のために死ぬだろう。

キン肉万太郎……聞いたことのない名前だが、その名前からしておそらくはキン肉マンと同じキン肉族の超人なのだろう。すなわち正義超人。
実力は未知数だが、いちおう警戒はしておくか。

ジ・オメガマン……これも聞き覚えのない名前だが、どう考えても超人の名前だ。
正義超人か悪行超人かを推測する材料もないので、とりあえず名前を意識しておくだけに留めよう。

雨蜘蛛……いかにも「蜘蛛の超人です」といった名前だ。アシュラマンとの関係は……まあ、ないか。
こいつへの対応も、オメガマンと同じでいいだろう。

キョン、モッチー、スエゾー、ゼロス……この辺りは、超人か人間か判断しにくい名前だ。
とはいえ先程の金髪の女のように、人間でも超人と互角に戦えるやつはいるらしい。
その前に戦ったカメレオン男も、強さはたいしたことはなかったが人間とは思えぬ能力を持っていた。
あの二人は教えてくれた。人間でも侮れない存在はいると。
人間だろうと超人だろうと関係ない。戦いとなれば、全力で殺す。
人間相手に本気を出して、超人のプライドが傷つかないのか? 愚問だ。
手を抜いて敗れる方が、よほど悪魔超人の名折れだ。もはやこの悪魔将軍に、油断はない。

(侮れぬ人間といえば……やつがいたな)

悪魔将軍は、名簿に刻まれた一つの名前に視線を落とす。
「高町なのは」。
自分をそれなりに苦しめたあの女が、最後に口にした名前。あの女とそうとう親しい関係であったことは疑いようがない。

(果たしてこのなのはという人間も、あの女のように超人に匹敵する強さなのか……。あるいは、大多数の人間と同じ脆弱な存在か……。
 どっちにしろ楽しませてくれそうだ)

大切な存在が殺されたと知らされ、この高町なのはという人間はどんな反応を示すのか。
弱者ならば弱者で、強者なら強者でそれぞれ面白い。

(出来ればあの女のような強者で、大切な人間を失ったショックで暴れ回りでもしてくれれば私にとって一番都合がいいのだがな。
 まあ弱い人間であっても、絶望と悲しみで泣き崩れる様子を想像すると胸が躍るわ……)

表情のないはずの悪魔将軍の顔に、愉悦の色が浮かぶ。

(クク……心地よい想像をしていたら、全身に力がみなぎってきたぞ……。
 あの女から受けたダメージも、だいぶ抜けてきた。今すぐにでも戦いたい気分だ!)


心は充実し、肉体にも力が戻りつつある。
闘争の神としての、悪魔将軍の本能が叫ぶ。戦いたいと。だが、まだ早い。

(放送とやらがあるのは、たしか6時間ごとだったな。もう時間があまりないか)

禁止エリアに、死者の発表。いずれも知らぬよりは知っておいた方がはるかにいい情報だ。
戦いにかまけて、放送を聞き逃すという事態は悪魔将軍といえども避けたい。

(回復してきたとはいえ、まだ万全というわけではない。放送がかかるまで、もう少し体を休めておくべきだな)

勝ち残るために 手段を選ばぬ 狡猾なる悪魔。
悪魔将軍は動かず、今はただ時が過ぎるのを待つ……



【E-5 廃屋内/一日目・明け方(放送直前)】
【悪魔将軍@キン肉マン】
【状態】全身にダメージ(小)、身体に少し傷
【持ち物】 ユニット・リムーバー@強殖装甲ガイバー、ワルサーWA2000(5/6)、ワルサーWA2000用箱型弾倉×3、
     ハルヒのギター@涼宮ハルヒの憂鬱、黄金のマスク型プロジェクター@キン肉マン、ディパック(支給品一式)
【思考】
0.放送があるまで休息
1.強い奴は利用(市街地等に誘導)、弱い奴は殺害、正義超人は自分の手で殺す(キン肉マンは特に念入りに殺す)。
2.適当にブラブラする。



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とある魔術の超電磁砲 悪魔将軍 悪魔は再び






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