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疾風(かぜ)のガイバー ◆MUwCM75A2U



  • 問い
 右肩に白いもふもふした生物を乗せ、左肩にはディパックを掛け、腕に黄色い一本足の息が臭い目玉の生物を抱えた
 黒い異形の姿をして全力疾走している参加者は誰か。


  • 答え
 深町晶。
 ちなみに肩に乗っている生物は小トトロ、抱えている生物はスエゾーである。





 深町晶、ガイバーⅠは駆け抜ける。
 他者からすればえらくシュールで近寄りがたい光景だが、晶はそれを気にしている余裕は無かった。
 この殺し合いに巻き込まれた人達を一刻も早く守らなければならない。のんびりと歩いている暇は無いのだ。
 ガイバーは一般的な車よりも速く走ることが出来る。
 木々をくぐり抜け、視界が開けるまでにはそう時間はかからなかった。

(だけど……いつもより疲れるな)

 殖装する事によって、パワー、スピード、スタミナなどなどスペックは常人のそれを遙かに凌ぐ。
 だが、少し走っただけなのに息は荒く、全身に疲労感が溜まってくる。

 ガイバーの力が使いづらい。

 先ほどの飛行の時にも感じたことだった。これもクロノスの仕業か、と考えたがある疑問が思い浮かんだ。
 ガイバーの力を制御する事が出来るなら、所有者からコントロールユニットを取り上げる事は出来なかったのか、と。
 クロノスはガイバーの力を恐れつつ、ユニットを欲している。
 ガイバーの能力は計り知れないのに、その能力を制限する事が出来るのが不思議だった。
 制限が出来るのならば、ユニットを取り上げた方がクロノスにとって都合が良いはず。
 なのに、殖装は通常通り行えた。……これも謎だ。

(奴らの目的は一体――――)

 まだ分かりそうにない。
 どちらにせよ、早くこの殺し合いを止めなければならない事は同じだった。


 「果実とスープのキッチン」と書かれたレストランが見えてくる。
 ログハウスのような建物で、近くには海がある。潮の香りが漂ってきて落ち着く場所だ。
 平穏な時ならば是非ともくつろぎたい。
 その前に、この腕に抱えた生物をどうにかしなければならなかった。

 とてもレストランに治療道具があるとは思えない。
 しかし南にある施設で、近くにあったのは博物館とレストランのみ。
 何が展示されているのかすら分からない博物館より、座ってゆっくりする事が出来るレストランの方がまだましだと思いここへ来たのだ。
 小トトロと黄色い生物をそっと地面に降ろす。目をくりくりさせ、白いもふもふした生物は晶を見上げた。黄色い生物はまだ目を覚まさない。
 晶はしゃがんで目線を会わせ、「ちょっと待っていてくれ」と頼み、扉に耳を当てる。
 中はひっそりとしていて、誰もいないようだ。
 一度深呼吸した後、扉のノブに手をかけた。

(よし…………開けるぞ)

 ゆっくりと扉を開く。音もなく静かに扉が開いた。
 そして晶の目の前には、

「なっ!?」

 信じられない光景が広がっていた。
 同じく中を覗き込んだ小トトロも驚いている。身をびくっと震わせ、そろそろと晶の後ろに隠れた。

 レストランは、とても食事が出来る場所ではなくなっていた。
 いくつも並べられているテーブルはことくごとくひっくり返され、テーブルクロスがくしゃくしゃになって辺りにばらまかれている。
 腰を下ろし落ち着くことが出来るはずの椅子もばらばらに砕かれて、無残な姿で転がっていた。
 散らばっている陶器の破片は飾られていた花瓶らしい。床が少し濡れていた。
 そして中央に何故か落ちている金ダライ。

 つい先ほどまで、激しい戦闘が行われていた事が明らかだった。

「くそっ……! クロノスめ…………!!」

 晶は拳を握りしめる。
 今は人っ子一人いないが、誰かが傷ついた可能性がある。
 血が一滴も落ちていないのが不思議なぐらいだったが、攻撃した方もされたほうも何らかのダメージを負っているに違いない。
 だが他の参加者を助ける前に、獣化兵かどうか分からないがこの生物を助けなければならない。
 ――獣化兵だとしたら、殺さなければならないが。

「小トトロ、少し手伝ってくれるか?」

 晶の問いかけに、小トトロはこくんと頷いた。

 花瓶の破片や椅子の破片を隅にどかす。倒れていたテーブルも起こした。
 小トトロがテーブルクロスを引きずりながら晶に手渡す。
 ありがとう、と言って受け取り、何も物が落ちていない空間を見つけそこにテーブルクロスを敷く。
 何枚か重ねた所で入り口に戻り、倒れていたスエゾーを運んできてそっと横たえた。

 金ダライに水を張る。今度は小トトロがタオルをいくつか運んできた。
 それを受け取って水に浸す。血を拭ってからまた水に浸した。
 乾いたタオルをいくつか細長く引き裂く。包帯代わりにいくつか体に巻いてやった。
 そこまで処置を終えたところで手が止まる。

(こいつは獣化兵かもしれないのに、何で俺は助けてるんだ?)

 自分でも分からなかった。
 “ゲンキとホリィという仲間がいるから安全”とは限らない。
 獣化兵――或いは損種実験体――である仲間が殺された事に復讐で心を染め、襲いかかってきたアプトムだっていたからだ。
 “仲間”にも色々いる。
 それなのに冷酷になりきれないのは、村上さんという例があるからか。はたまた自分が甘いからなのか。

(甘さ、か……)

 町の人々を獣化兵に変えられ、襲いかかられた時は手も足も出なかった。
 否、攻撃することが出来なかったのだ。
 元に戻る手段が無いとはいえ、人間だった頃の意識が無いとはいえども、何の罪もない“元”町の住民を傷つけることは出来なかった。
 だが、同じガイバーである巻島はあっさりと退けた。――メガスマッシャーを放ち、獣化兵達を跡形もなく消し去って。

(俺も……巻島さんの様に強ければ……)

 再び拳を握りしめる。
 自分が甘いのは分かりきった事だ。
 ……獣化兵に変えられた父親に何も出来なくて、自分の脳髄を砕かれて、意識が無いまま父親を殺した事を思い出す。
 自分が甘いから、守れなかった。
 クロノスと闘っていた日々でも、この“殺し合い”でも甘いままなのか。

 それでは誰も守れない。

 強くなりたい。
 精神的にも、肉体的にも。一人でも多くの人間を救えるようになりたい。
 もう誰かが傷つくのはゴメンだ。クロノスの野望を阻止しなければ。
 そうしたら元の生活に戻るんだ。瑞紀と、哲朗さんと、巻島さんと、皆と――――。

「ぅ…………。ここは何処や……?」

 獣化兵かもしれない生物が目を覚ましたのはその時だった。
 感傷に浸っている場合では無い、と晶は身構える。
 高周波ソードを腕から出した。

「わ、わ、ワルモンか!?」

「……そのまま動かないでくれ。変なことをしなければ何もしない」

 人(?)を脅すという経験が無い為、晶は内心冷や汗をかいていた。
 だが目の前の生物は必要以上に怯えている。何とかなりそうだった。
 隣にいる小トトロも固唾を飲んで見守っている。

「お前は獣化兵か?」
「ぞあのいど? ……何だかよう分からんが、俺はモンスターや」
「モンスター……?」

 晶は首を傾げる。
 確かにモンスター(化け物)と言えばモンスターだ。しかし獣化兵を知らないと言う。
 獣化兵以外でこんな生物は知らない。
 一体こいつは何なんだ、と疑問が頭を満たす。 

「じゃあ……損種実験体か、誰かの試作体か?」

 やはり分からないらしい。「?」という顔をして首――らしき場所――を傾げている。
 トトロや小トトロと同じような存在なのだろうか。
 ……話しぶりと雰囲気からして、悪い奴では無いみたいだった。
 こちらに危害を加える気は無いようだし、安全だと晶は判断した。

「脅かしてごめん。……どうしても確認したかったんだ」

 高周波ソードをしまう。
 目の前の生物はほっと息をついた。

「まさか、“殺し合い”に乗っていないよな?」
「誰がそんな事するんや。仲間を捜そうって思ってただけやし。そっちこそワルモンじゃないみたいやな」
(わるもん? さっきも言っていたけどどういう意味だ?)

 どうも話がかみ合わない。
 とりあえずお互い名乗り合い、スエゾーが礼を言って、誤解が完全に解けた所で、――――その『声』は聞こえた。




「嘘や……モッチーが…………」

「もう五人も死んだのか……クロノスめ、絶対に許さない!」

 仲間の死(ロスト)に悲しむスエゾー。
 クロノスに対して怒りを燃やす晶。
 心なしか悲しそうに見える小トトロ。まさに三者三様だった。
 禁止エリアと死亡者のチェックを終え、晶は立ち上がる。

「スエゾー、動けそうか?」
「何とかな。まだ本調子じゃあらへんけど……さっきよりはだいぶマシや」
「良かった。……今後の事だけど、北は市街地だし、きっと人が集まると思う。スエゾーの仲間を探しに行くならまず北だな。
でも、E-10が禁止エリアになると東から回り込めなくなる。西周りで行くとしてもF-2とE-3も禁止エリアだからちょっと迂回する形になるか……。
急ぐなら山を登った方が早いけれど、どうする?」

 “モッチー”はスエゾーの仲間だ。
 これ以上参加者や仲間が死なない為にも、出来るだけスエゾーに協力し、仲間を見つけてあげたい。
 スエゾーがクロノスの一員では無いことは先ほど分かった。悪い心を持っていないこともだ。
 だから、これが晶なりに考え出した結論だったのだ。

「……確かに早くゲンキ達を見つけたいけど、山の方には襲ってきた奴がいるから近寄りたくないんや」
「じゃあ、いったん別荘・コテージ群に寄って、川を突っ切るか、」
「そんな慌てなくてもいいねんで」

 スエゾーに諫められる。確かに思考が飛躍しすぎていた、と自分で気づく。
 いくら飛べるとはいえ、力が制限されているから川を突っ切るのは余りにも無謀だ。
 参加者を助ける前に自分たちが死んでしまったら元も子もない。

「……心配やけど、きっと皆大丈夫や。西に行っても東に行っても山には近づかなきゃいけへんし、どないしよか……そや!」

 スエゾーが何かを思いついたらしく、ぴょんと飛び跳ねる。

「俺を思いっきり上に投げてくれへんか?」

「…………え?」

 妙な提案に、晶は目を丸くした。



 レストラン側の街道。
 冒頭の状況と同じように、晶はスエゾーを抱えていた。
 違うのは小トトロが地面から晶達を見上げている事ぐらいだった。

「行くぞ。……せぇえぇぇぇ、の!」

 ガイバーの腕に抱えられたスエゾーが上空に放り投げられる。
 くるくると回りながら体制を整え辺りを見回し、そしてゆっくりと落下してきた。
 この光景も何だか不可思議な光景だった。何しろ、全員の見た目が人間ではない。
 そして周囲の確認を終えたスエゾーは地面に着地する。

「何か見えたか?」
「この付近には人はおらへん。それは間違いない。……だけど、ここからでもアレが見えるやろ?」

 スエゾーが見る方向。
 うっすらとだが、煙が立ち上っているのが見えた。

「あれは……博物館の方!?」

 そう分かるや否や、晶は小トトロを抱えて走り出す。――スエゾーを置き去りにして。

「俺を置いていくなー! どこに行くつもりや!?」

 必死にぴょんぴょんと跳ねながら追いすがるスエゾー。

「決まっている。煙が出ているってことは火事が起きているかもしれないだろ。誰かが危ない目にあってるから助けるまでだ! もしかしたらスエゾーの仲間かもしれない!」
「分かった分かった! ……だから置いていくなって言うとるやないかー!」

 深町晶は、ずっと走り続ける。
 殺し合いに巻き込まれた人達を守る為に。
 クロノスの野望を止めるために。

 ――だが、誰も気がつかなかった。

 スエゾーの幼なじみであるホリィは、すでに死亡していること。
 しかもその死体は反対方向の西に埋葬されていたこと。
 ……そして、スエゾーの仲間であったハムは、スエゾーを知らない時期から来たこと。

 まだそれを誰も知らない。




【J-5 レストラン側の街道/一日目・朝】


【深町晶@強殖装甲ガイバー】
【状態】:健康
【持ち物】
ホーミングモードの鉄バット@涼宮ハルヒの憂鬱、デイパック(支給品一式入り)
SDカード@現実、小トトロ@となりのトトロ
【思考】
0:博物館へ向かう。襲われている人がいるなら保護する。
1:ゲームを破壊する。
2:スエゾーの仲間(ゲンキ、ホリィ、ハム)を探す。
3:クロノスメンバーが他者に危害を加える前に倒す。
4:メイ、サツキの正体を確認し、必要なら守る。
5:巻き込まれた人たちを守る。
6:強くなりたい。
【備考】
※ゲームの黒幕をクロノスだと考えています。
※トトロ、スエゾーを獣化兵かもしれないと考えています。
※小トトロはトトロの関係者だと結論しました。
※参戦時期は第25話「胎動の蛹」終了時。
※【巨人殖装(ギガンティック)】が現時点では使用できません。
  以後何らかの要因で使用できるかどうかは後の書き手さんにお任せします。
※ガイバーに課せられた制限に気づきました。


【スエゾー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【状態】:全身に傷(手当済み)貧血気味
【持ち物】
RPG-7@現実(残弾三発)、大キナ物カラ小サナ物マデ銃(残り9回)@ケロロ軍曹、タムタムの木の種@キン肉マン
デイパック(支給品一式入り)
【思考】
0:晶を追いかける。
1:ゲンキ、ホリィたちを探す。
2:オメガマン(容姿のみ記憶)には二度と会いたくない。

【備考】
※スエゾーの舐める、キッス、唾にはガッツダウンの効果があるようです。
※ガッツダウン技はくらえばくらうほど、相手は疲れます。スエゾーも疲れます。
※スエゾーが見える範囲は周囲一エリアが限界です。日が昇ったので人影がはっきり見えるかも知れません。






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規格外品と規格外生命体達 深町晶 0対1~似て非なる少年たち~
スエゾー







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