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BRAVE PHOENIX ◆4etfPW5xU6



「ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! もうやだ、やだよぉ!! 助けてっ!」

 真っ暗な闇の中で、一人の少女が崩れ落ちながら悲痛な叫び声をあげている。
 美しいオッドアイの瞳から際限なく冷たい雫を溢し、普段なら可憐で美しい花の様な容姿をくしゃくしゃに歪めて。

 今、幼い少女――ヴィヴィオは始めてこの舞台の過酷さを知った。

 殺し合いの当初。
 怖くて、不安で、泣きそうになった。
 でも、勇気を振り絞って大好きなママを迎えに行くんだって、そう決意した。 
 神様は、そんなヴィヴィオを助けてくれて。

 口調は乱暴で少し怖いけど、優しいお姉ちゃんのアスカに出会った。
 可愛くて無邪気なモンスターのモッチーに出会った。
 明るくて、元気で、ヴィヴィオを守ってくれるハルヒお姉ちゃんに出会った。
 見た目は怖いけど、ハルヒお姉ちゃんの大切な人のキョンお兄ちゃんに出会った。
 ヴィヴィオは一人じゃなくなった。
 この優しい皆と一緒にいれば、ヴィヴィオは強くなれる。
 ちゃんと、ママを迎えに行ける。
 そう、信じていたのに。

 アスカとモッチーとは、はぐれてしまった。
 ハルヒお姉ちゃんは、殺されてしまった。
 キョンお兄ちゃんは――ハルヒお姉ちゃんを、殺した。
 ヴィヴィオの側には誰もいなくなってしまった。
 一人ぼっちに、なった。

 大切な人を失う恐怖。
 それは、ヴィヴィオの心を閉ざすには充分過ぎるほどの威力を持っていた。

「ママ……ママぁ……」

 誰もいない暗闇の中で、少女は一人届かぬ願いを叫び続ける。


 +++



「グ、グムー……っ!! 一体人の命を何だと思っとるんだぁぁーっ!!」

 ブタ鼻にたらこ唇と言う只でさえ個性的な容姿を更にグチャグチャに歪めて、スグルはボロボロと涙を溢していた。
 その鋼のような肉体に刻まれた痛みなど吹き飛んだかのように。
 小刻みに震えながらどこにいるとも知れない主催者に向けて涙交じりの怒りの言葉を発する。

 ――たったの五人
 ――「やられる前にやれ」、だよ
 ――殺される前に殺してしまえば、君は生き残れるんだ

 耳に届く言葉の一つ一つがスグルの感情を逆撫でする。
 体は湯気が出てきそうなほど熱く煮えたぎり、心は炎の如く燃え上がっている。

 本来のスグルは、臆病で弱虫な正にダメ超人と呼ぶにふさわしい男だった。
 しかし、様々なライバル達を打ち破り、残虐非道の悪逆超人との死闘を打破した時、
 彼は紛れもない正義超人として皆から認められるようになる。
 今のスグルは火事場のクソ力が使えない。
 だが、ライバル達との戦いの傷全てが、スグルの自信へと繋がり彼を奮い立たせていた。

 そして、幸いにもこの放送で彼の仲間達の名前が呼ばれる事は無かった。
 仲間達は共に信頼のおける正義超人。
 早く彼らと合流して、こんな殺し合い止めなくては。
 そんな思いと共にスグルの体を安堵と共に焦燥が駆け巡る。
 一番の強敵とも言える悪魔将軍の名が呼ばれなかった事も、焦燥に拍車をかけていた。

 ゴシゴシと乱暴に目元を拭い、ズルズルッと大きく鼻を啜る。
 いつまでもこうしていたって仕方ない。
 ヴィヴィオはもう少し休ませておくと必要があるが、まずはさっき出会った不思議なカード――クロスミラージュ、不思議な斧――バルディッシュと情報交換をしなくては。
 一応互いの自己紹介は済ませたが、途中で放送が始まった為詳しい事までは聞けなかったのである。
 スグルがそう思いつくと同時、彼の耳に無機質な声が届く。

『……Ms涼宮、Mrモッチー、……Msフェイト』

『………………………………………………』 

 クロスミラージュから発せられた名前は、どれも先の放送で呼ばれたもの。
 不気味なまでのバルディッシュの沈黙。
 スグルは、それらが意味する事を理解するも何も言葉をかけることが出来なかった。

(三人も……この子達は失ってしまったのか……)

 自分にもっと力があれば、死んでいった人達を救えたのかもしれない。
 ありえない“if”の仮定がスグルの脳裏をよぎる。

 だが、

 (落ちこんどる暇などない!今はこの子達を守らねば)

 ブルリと首を振り、すぐに弱気な考えを意識の外へ弾き出す。
 大切なのは、過去などではない、そう、これから、なのである。

 (しかし……この空気は……こんな時にテリーマンやロビンがおれば)

 重苦しい空気に耐えかね、心中で溜め息をつく。
 ここにはいない仲間に縋りたい気持ち。
 それが具現化したかのように、

 グゥーーーーーーーーーーーー!!!

 スグルの腹が大きく悲鳴をあげる。 


+++



『……Ms涼宮、Mrモッチー、……Msフェイト』

 己が発した声で、クロスミラージュは改めて現実を認識させられる。
 三人は、死んだのだ。

 ――Ms涼宮

 この地に連れて来られて最初に出会った少女。
 目の前で、殺されてしまった。

 ――Mrモッチー

 Ms涼宮と同じく、この地に連れて来られて最初に出会った優しいモンスター。
 何者かに襲われはぐれてしまい、殺されてしまった。

 ――Msフェイト

 知りうる限り、トップクラスの戦闘力を誇り、頼りになる存在。
 彼女もまたこの地に連れて来られ、殺されてしまった。

 理解していたつもりだった。
 これが殺し合いの舞台である以上、自分の仲間達が死ぬ可能性は大きい。
 キョンやいきなり襲撃してきた存在のように、強力な力――人を殺せる力を持った人物が多いのは当然。
 いくらフェイトといえども、デバイスがない状態では生き残るのが難しい。
 そう理解していた、筈だったのだが。

 (自分は思っていた以上に、繊細だったようですね)

 クロスミラージュは、自分が想像以上にショックを受けていた事に気付く。
 ぽっかりと、何か大切なパーツを失ったかのような喪失感。
 その感情に支配されながらも、冷静に今後の事を考える。

 フェイト・T・ハラオウンが亡くなってしまった以上、探す対象を高町なのはに絞り、早急に合流しなくてはならない。
 だが、その為には大小問わず危険が付きまとう。
 まず、なのはを探しに行くには外に出なくてはならない。
 それはつまり、危険人物と遭遇する可能性が増えると言う事だ。 
 現在こちらの戦力は目の前の男――キン肉スグルのみ。
 更に、デバイスを多少使えるとは言えヴィヴィオは戦闘向きではなく、足手まといにしかならない。
 いくらスグルが強かろうと、ヴィヴィオを守りながらの戦闘では半分の力も出せないだろう。

 だが、このままここに留まっていても何の進展もない。
 誰かが立ち寄る可能性もあるし、ここが禁止エリアに指定される可能性もある。
 どちらにせよ危険があるのなら、なのはを探しに行ったほうが良いのかもしれない。

 答えの見えない思考を続けていると、不意に教室中に雷のような音が響く。
 ふと意識を音の発信源に向ければ、スグルが恥ずかしそうに頭を掻いていた。
 重苦しかった空気が多少和らぐのを認識しながら、クロスミラージュは思考を止めて言葉を発する。

『……そういえば朝食をとっていませんでしたね。これから先まともに食事をとれる保障もありませんし、
 今のうちに行うのがベストかと思われます』

 その言葉に安心したようにスグルは笑い、自らのものを含めた部屋にある三つのデイバッグを集め、
そこから食料を取り出していく。
 ふとバルディッシュの反応が無い事に気付くが、酷くショックを受けているのだと思い、今はそっとしておく事にする。

「うわーーーーーーーーーーーっ!!!」

 不意に響き渡る絶叫。
 何事かと思いそちらに意識を向ける。
 するとそこには、

 食料を集めるついでにヴィヴィオを起こそうとでもしたのだろう。
 支給された食料であろうヨーグルトを手にしたまま転んでいるスグルと、

 顔全体にヨーグルトが飛び散った、未だに意識を失ったままのヴィヴィオの寝顔があった。


+++



「ふぇ、ぇ……ママぁ…っ……」

 どれくらいこうしていたのだろうか。
 既に涙は枯れ果て、グズグズとしゃくりあげるのみになっていた。
 どれだけ泣いても、どれだけ助けを求めてもママは助けに来てくれない。
 こちらの声は相手に届かないのだから当然といえば当然の事実。
 だが、幼いヴィヴィオはそれを理解できなかった……いや、理解したくなかった。
 このまま、誰も助けに来てくれないのかもしれない。
 ハルヒお姉ちゃんみたいに殺されちゃうかもしれない。
 そんな恐怖にヴィヴィオは支配されていた。

 ヴィヴィオは一人ぼっち。

 ともすればそんな幻聴が耳に届く。
 でも、本当にそうなのかもしれない。
 最初からヴィヴィオはずっと一人ぼっちだった。
 なのはママに会って、フェイトママに会って、ザフィーラや機動六課の皆に会って、ヴィヴィオは一人ぼっちじゃなくなった。
 でもそれは、ほんの偶然。
 なのはママに会わなかったら、機動六課の皆に助けられなかったら、
 ヴィヴィオはずっと一人ぼっちのままだった。
 だから、本当はこれが正しいのかもしれない。

「ヴィヴィオは……一人ぼ『そんな事ないッチー!!!』

 ヴィヴィオの言葉を遮るようにして、聞き覚えのある声がヴィヴィオの耳に届く。

『ヴィヴィオは一人ぼっちなんかじゃないッチー!!!』

「モッ……チー? なん『そうだよ。ヴィヴィオは一人ぼっちなんかじゃ、絶対無い』

 次に聞こえてきた声も、ヴィヴィオが良く知る、大好きな人の声だった。

『そんな……寂しい事言ったら、なのはママもフェイトママも悲しいよ、ヴィヴィオ。』

「フェイトママ……っ……助けに来てくれ『駄目じゃないヴィヴィオちゃん! そんな馬鹿な事言ったら!!』

 そして、もう二度と聞く事が出来ないと思っていた声。

『ヴィヴィオちゃんが一人ぼっち? そんな事あるわけないでしょう? 
 ヴィヴィオちゃんには、私達がついてるんだからっ!!!』

「ふ……ぇ、ハルヒお姉……ちゃん……」

 ぽろぽろと頬を暖かい雫が零れ落ちるのを感じる。
 涙で目が霞んではっきりとは見えない。
 でも、そこにいたのは紛れもなくヴィヴィオの大切な人達だった。
 大好きな、大好きな、大好きな人達だった。

 モッチーが目の前で優しく笑っている。
 フェイトママが優しく抱きしめてくれる。
 ハルヒお姉ちゃんが優しく頭を撫でてくれる。

「ヴィヴィオは……一人ぼっちじゃ、ない……のっ?」


 頬を伝う雫が、閉ざしきった心を開く。
 皆に触れる度に暖かい何かがヴィヴィオの心を満たしていく。
 全身に感じる温もりが、ヴィヴィオの気持ちを奮い立たせる。

『『『あったり前!!!』』』

 皆の言葉が、ヴィヴィオの中で“勇気”に変わる!

 そう、ヴィヴィオは一人じゃない。
 いつの間にかヴィヴィオは立ち上がっていた。
 先とは違い、表情には笑顔が浮かび、全身からはやる気が溢れ出している。

「ヴィヴィオ……頑張るっ!」

 ふと気が付くと一筋の光が道となって、ヴィヴィオの行く先を示している。
 今のヴィヴィオに怖いものなんてない。
 躊躇わずに、その道に向かって走り出す。

『頑張るッチー!』

『ヴィヴィオなら、出来るよ。だから、諦めないで!!』

『安心しなさい! 私の言う事に間違いなんてないんだから!!
 それに、あのブタ鼻のおっさんも待ってるんだからね!』

 その小さな背中に、大好きな人達からの激励を受けながら、ヴィヴィオの意識は現実へと浮上する。


+++



「んぅ……ん…」

 悩ましい唸り声をあげながらヴィヴィオは目を覚ます。
 もうヴィヴィオに不安なんてなかった。

「んっ…ベトベト……?」

 しかしヴィヴィオは知らない。
 ハルヒだけでなく、モッチーもフェイトも、この舞台から退場してしまった事を。
 彼女がそれを知るのは、もう少し後の事になる。
 だが、自分は一人ぼっちなんかじゃないと知り、
 かけがえのない“勇気”を手に入れた少女は、
 たとえ絶望しようとも、いつか必ず立ち上がるのだろう。



【C-3 高校・教室内/一日目・朝】




【名前】キン肉スグル@キン肉マン
【状態】両方の二の腕に火傷跡と切り傷、脇腹に中度の裂傷
【持ち物】タリスマン@スレイヤーズREVOLUTION、ディパック(支給品一式×4) クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはSts、
ホリィの短剣@モンスターファーム~円盤石の秘密~、 SOS団団長の腕章@涼宮ハルヒの憂鬱、金属バット@現実、100円玉@現実
不明支給品0or1
【思考】
0:ゲェー!?ヨーグルトが顔にぃ!!!
1:ひとまず朝食をとってから、クロスミラージュ・バルディッシュから話を聞く。
2:少女(ヴィヴィオ)は保護する。
3:先ほどすれ違った超人?(キョン)の事が気になる。
4:キン肉万太郎を探し出してとっちめる。
5:一般人を守り、悪魔将軍を倒す。




【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(大)、顔がヨーグルトまみれ
【持ち物】バルディッシュ・アサルト(6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.ヴィヴィオは一人じゃないもん
1.なのはママとフェイトママ、スバル、セイン、ノーヴェをさがす
【備考】
※ヴィヴィオの力の詳細は、次回以降の書き手にお任せします。




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心に愛が無ければ、スーパーヒーローじゃないのさ ヴィヴィオ 不屈の涙とシロイモノ
キン肉スグル






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