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涼宮ハルヒの嘆願 ◆321goTfE72




「オイ、古泉。お前の番だぞ」

彼の声で我に返ると、そこは見慣れたSOS団の部室でした。
オセロ板を載せたテーブルを挟んで向かいにいるのはいつもの気だるそうな彼。
間違っても『死んでくれ、古泉』と言い出しそうにはありません。
部室を見渡しても他の誰もまだ来ていないようでしたが―――
そこはやはり、紛れもなく見慣れたSOS団の部室でした。

あれは―――夢だったのでしょうか?
優しい獣に出会い人外の怪物と戦ったあれは―――
彼の慟哭と決意も僕が生み出したただの夢だったのでしょうか?

冷静に考えればありえないことばかりでしたから、夢だったのでしょう。
ああ、あれが現実だったとしても涼宮さんが既に世界を作り変えたのかもしれませんね。
どちらだったにせよ、僕がやることは変わりありません。
こうして日常に戻ったからにはいつもの古泉一樹を演じるまでです。

「古泉?起きてるか?」

呆然としたまま一向にオセロをしようとしない僕に、彼が苛立ちを隠さず問うてきました。

「…すいません、少し寝ていたようです」

「……自分の番までの数秒で寝るとは、お前はどこのロボットが親友の小学五年生だ?」

呆れた目線を彼が投げかけてきました。
幸いなことに、彼には殺し合いの記憶がないようです。
本当に僕の夢だったのか、それとも涼宮さんが記憶を消したのかは分かりません。

彼に促されるようにして、既に敗色濃厚なオセロ板を見ました。
さて、どこに打とうか―――

どたーん!

「古泉くん、キョン、おっはよ~!!」

ドアを無遠慮に開いて、北高の制服姿の美少女が入ってきました。
我らが麗しの姫君、SOS団団長の涼宮ハルヒ。

「おはようございます」

「ドアは優しく開けろ」

それぞれ挨拶を交わす。
良かった、やはり彼女は生きていた。
涼宮ハルヒがここにこうしているということは
あの出来事が夢であったのかそれとも本当に起こったのかは別としても、
この世界では"夢だった"と結論付けることができるということでしょう。

「そうそう、古泉くん。ちょーっと頼みたいことがあるんだけど、来てくれる?」

ドアを開け放ったまま、いつもの何か企んでいるような―――
だけどそのどこかに悲しさが点在しているような笑顔で涼宮さんは言いました。
そして、表情を一転させ、僕の目の前にいる彼を睨み付けます。
『部屋から出て行け』
と言っているのが僕にも分かりました。

「へいへい…古泉。ハルヒに告白されても断れよ、胃に穴が開くこと請け合いだ」

「バカっ!!さっさと出て行けこのバカキョンっ!!!」

だるそうにのそのそと彼が部室から去っていきました。
僕と涼宮さんはそれを見送り、すぐに彼の姿は見えなくなりました。

「ふぅ…」

涼宮さんは溜息を小さく吐き、ドアに近づきしっかりと施錠しました。
部室の中には二人だけ、おまけに施錠まで…
………何をする気でしょうか?まさかコスプレでもさせられるのでしょうか?

「古泉くん。ここからは真面目な話。一字一句逃さず聞きなさい」

物悲しげな、それでいて真剣な表情で彼女はこう言いいました。

「キョンを救ってあげて」

………何のことやら分かりません。

「ええっと…それは、彼が赤点を取りそうだから勉強を教えてやれだとか、
 なにか仕事を押し付けたから手伝ってやれ、とかそういう類の話でしょうか」

「いつまで寝惚けてんのよ古泉くん!
 いい!?これは夢なんだからね!!」

寝惚けるな、これは夢だ――――新手の冗談でしょうか?

「あーもうっ!古泉くんだったらキョンと違ってすぐに話を合わせてくれると思ったのに…!!
 現実の古泉くんは、今殺し合いが行われてるあの島で力尽きて寝てるの!
 これは、その古泉くんの夢!!分かった!!?」

まるで彼に捲くし立てるように彼女は僕にこう言ってきました。
夢の中で現実の状態を教えてくれる……中々聞かない展開ですが
それが涼宮さんらしいと言えばらしいかもしれません。
支離滅裂なことでも、彼女が言えばなんとなく説得力があるように感じてしまいます。

「つまり、あの殺し合いの場で必死に戦っていたのが現実で、
 今ここで涼宮さんと話をしているのは夢の中での出来事…ということでしょうか?」

「そうそう」

ようやく伝わったことに満足したかのように、笑顔でうんうんと頷く涼宮さん。

「それで…彼を救え、とは具体的にどうすればいいのでしょう?」

「とぉーぜん!!殺し合いに乗ろうなんてバカなことやってる大バカキョンを止めりゃいいのよ!
 あたしは確かにあのバカに殺されたけど恨んでない。
 だからバカなことはせずに、みんなと協力して有希をあのおっさんの魔の手から救い出せ!
 ………って伝えて」

「……それを伝えたところで、彼は止まるでしょうか?」

「止めなさい。団長命令よ」

死してなお、彼女は相変わらず"涼宮ハルヒ"のようです。少し安心しました。

「本当は、もう一人守って欲しい女の子がいるんだけど…
 あのアホ面ブタ顔のおっさんとクロッチ達に任せれば大丈夫よね。
 それまで任せると古泉くんがしんどそうだし」

「お気遣いに感謝します」

「大体、なんでも願いを叶えるなんてことが本当にできるんなら、
 有希を助けたあとにあのおっさんを締め上げるなりぶん殴ったりして言うこと聞かせて
 みんな生き返らせればいいでしょ?
 なんでわざわざあんなおっさんのご期待通りのことをしようとするのよキョンは!?」

ジャイアニズムなご意見を聞き、部室にあるパソコンの伝聞した調達方法が頭によぎりました。
こんなことをナチュラルに言えるのはやはり涼宮ハルヒ本人ぐらいでしょう。

例え死んだとしても、彼女の世界を作り変える能力が失われるかどうかは前例がないため分からない。
ということは、僕が取る行動は一つ。

「とにかく、分かりましたよ涼宮さん。貴女の言う通りにやれるだけのことはやりましょう」

神の機嫌を損ねないように動く。これしかない…でしょう。
心の奥底では、本当に彼女を生き返らせることができるのならばそうしたい――そう思っていますが
だからといってそれを実行した結果、世界を消されてしまってはたまったものではありません。

「よぉーし、それでこそSOS団副団長よ!」

彼女は満足げな笑みを浮かべています。とりあえずは世界が崩壊することはないでしょう。

「そうだ、古泉くん!この任務を引き受けたご褒美に自分の団を持つことを許可するわ!
 もちろんSOS団の傘下として、そこから脱出するまでの間だけどね」

「それは光栄です」

彼女の(たぶん)突然の思いつきに僕は苦笑を浮かべたことでしょう。
それを気付いてか気付かずか、涼宮さんはそのまま捲くし立ててきました。

「実は、もう団の名前も決めてるのよ!これから名乗るときはちゃんと団名も言うのよ!
 じゃあ発表するわよ!!その名前は――――――」


「ん……」

「…お、気がついたか」

目が覚めた古泉は、すぐ前から気の強そうな女性の声を聞いた。
その女性はどこかで見たような――そう、『彼』が着ていた強化服のようなものを着ている。
ほどなくして自分が彼女に背負われているということを理解した。
同時に、なぜ彼女におんぶされているのかも察し大体の経緯も思い出す。

「僕を見捨てずにわざわざ運んでくれたんですか。ありがとうございます」

「別に…お前が手助けしなけりゃ今頃どうなってたか分かんねぇからな。
 その貸しを返しただけだ。これでチャラだからな」

無愛想な返事と共に、古泉の足を支えていた手が離され彼は地面に足をつけた。
眠っていた時間はそれほど長くはないようだが、精神的疲労は意外と軽減されている。
胸が痛むのは相変わらずだが、走ったり軽い戦闘をできる程度には回復していた。

「ほらよ、お前のデイバックだ」

いつのまにか強化服を脱いだ彼女が、こちらへとデイバックを下手投げで放ってきた。
彼女自身は手ぶらだった。おそらく先程のゼクトールないし他の参加者に荷物を奪われたのだろう。
荷物まで無条件で返してもらっては少し気がひける気もしたが
その厚意を遠慮するほどの余裕は古泉にはない。ありがたく受け取ることにした。

「覚えてるかどうかは知らないけど、さっき言ったようにあたしは主催者を蹴っ飛ばしに行く。
 強制するつもりはねぇけど…お前はどうする?」


彼女の瞳は至極真面目な輝きを放っていた。本気ということがひしひし伝わってくる。
『主催者を蹴っ飛ばしに行く』
彼女も、夢の中で似たようなことを本気で言っていた。
夢での出来事だと分かっているのに、それが彼女の意思であると信じて疑わなかった。

(これは、文字通り神の思し召しなのかもしれませんね)

涼宮ハルヒとノーヴェに通じる部分があることを感じ、そう古泉は思った。
ならば彼女のような心強い味方の申し出を断る理由はない。
『彼』とは一時的に袂を分かつことになるだろう。
だが、必ず彼をこちら側へ引き込んでみせる―――それが涼宮ハルヒの望みならば。
強い決意と共に右手を差し出し温和な表情で古泉は口を開いた。

「喜んで協力しましょう、ノーヴェさん」

差し出された右手を見て、少しだけノーヴェは躊躇したように見えたが気を取り直し
彼女も気恥ずかしげに右手を出し古泉の手を握った。

「言っとくけど、裏切ったりしたら…ゼクトールみたいにタダじゃおかねぇからな」

「肝に銘じておきます」

あの戦いを見せられた後ではそんな気は起きようはずもなかった。
今後、裏切った形になる『彼』と接触する機会が得られたときは
ノーヴェ達仲間に誤解を与えないように行動しなければならないだろうし
デジカメのSOS団で映っている写真を見せることになったとしても
長門との関係を下手に勘繰られ主催者の手下とでも解釈されれば本当に殺させるかもしれない。
他にも懸案事項は山ほどある。
涼宮ハルヒの頼みとはいえはたして『彼』が説得に応じるか。
そもそも両者共に生きて再会することができるか。
長門を敵に回して脱出なんてことが本当に可能なのか。

可能なのか―――涼宮ハルヒがそれを望んでいるのだ。不可能なはずはない。

「ところで、先程戦っていた彼、ゼクトールさんでしたか…死んだのですか?」

「確認できてない。メガスマッシャーの直撃を食らったとすればチリになってるだろうから…
 そうだとすると次の放送までは分からない。
 だけどどっちにしたってかなりのダメージを受けてるのは間違いないはずだ」

話を聞いていた限りでは、ガイバーが暴れることでアプトムという参加者をおびき寄せたい
ということだった。その話が本当ならば無闇に殺し合いに乗ることはないだろうが
目的のためなら手段を選ばない、非常に危険な因子であることは身をもって体験した。
生きているとすれば少々厄介なことになるかもしれないが…もはや考えても仕方のないことだ。

「ところでな…ええっと…悪い、名前なんていった?」

「僕の名前は古いず――」

そこまで言いかけたところで、とあることを思い出した。
そう、夢の中での出来事なのにやけにクリアに残っている記憶を思い出したのだ。
『これから名乗るときはちゃんと団名も言うのよ!』
彼女がそう言うのだからそれに従わないといけないだろう。
そう思い直し、一つわざとらしい咳払いを間に挟み、笑顔のまま彼はこう言った。

「僕は"キョンと団員を 救うための 古泉一樹の団"略してKSK団の団長、古泉一樹です。
 以後お見知りおきを。
 活動内容は主にキョンという迷える子羊を苦悩から救い出し、
 団員全員でこの島から脱出するための策を講じることです。
 まだ団員は僕しかいませんが、随時勧誘して増員を図る予定です。
 今なら副団長の枠が空いていますが、体験入団しませんか?」

いきなりの意味不明なセリフを饒舌に語りだした古泉にしばし呆然とするノーヴェ。
しばらく理解できずに目が宙を泳いでいたが、とりあえず彼女は一言だけ発した。

「あ~………頭でも打ったのか?」

まぁ当然の反応だろう、と古泉はクスクスと笑い始めた。

【F-08 /一日目・朝】

【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】疲労(中)、脇腹・胸部に痛み(肋骨にヒビ?)、右肩負傷、精神的疲労(中)
【装備】ロビンマスクの仮面@キン肉マン
【持ち物】ロビンマスクの鎧@キン肉マン、デジカメ@涼宮ハルヒの憂鬱、不明支給品1、デイパック(支給品一式入り)
【思考】
1:団長命令に従い、キョンを止め、参加者を殺し合いから救う。
2:島の東部を探索して他の参加者を捜し、団員を増やす。
3:みくる、キョンの妹と合流は一時保留? 朝倉涼子は警戒。
4:午後6時に、採掘所でキョンと合流?

【備考】
※ほんの僅かながら、自分の『超能力』が使用できる事に気付きました。
※『超能力』を使用するごとに、精神的に疲労を感じます。

※ロビンマスクの仮面による火炎放射には軽度な精神的な疲労を伴いますが、仮面さえ被れば誰にでも使用できます。


【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】 疲労(中)ダメージ(小)魔力消費(中)
【持ち物】 なし
【思考】
1:仲間を探し、主催者を蹴っ飛ばしに行く。
2:……もしかしてコイツ、頭のヤバい人?
【備考】
※未だ名簿すら見てません
※ガイバーに殖装することが可能になりました。使える能力はガイバーⅢと同一です
※古泉を運んでいる間は殖装していたためダメージは幾分回復しました。
※第一放送を聞き逃しています。


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追撃への序曲 古泉一樹 少女奔走中...
ノーヴェ




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