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ネオ・ゼクトールの奇妙な遭遇 ◆mk2mfhdVi2



空中から森に降り注いだ閃光。
轟音とともに木々を消し飛ばすその光は、ガイバーに内蔵された最強の武装、メガスマッシャー。
ノーヴェがネオ・ゼクトールに放ったその一撃は、
制限下ですら大分離れた場所からも確認出来るほどに凄まじいものであり、
ハムと万太郎にシンジを託した後、森に向かって歩いていた一匹の獣にも、その光は見えていた。

「…………?」

――戦闘があったのかもしれない。

トトロが本当にそう思ったのかは彼以外の誰にも判断できないが、
手を組んで、少しだけ考え込むそぶりをしてから、トトロは森に向かって走りだした。








「くっ……流石にそろそろ休まないときついか……」

僅かに光が差し込む森の中。
俺は、周囲を警戒しながら満身創痍で森を歩いていた。
ノーヴェ達との戦闘を終えた俺を待っていたのは、身体中を走る痛み。
メガスマッシャーは辛うじて避けたものの、男の放った赤い光球と、
男の攻撃によって破損した箇所へ放たれたノーヴェの渾身の一撃は、
とても楽観視できないダメージを俺の肉体に与えていた。

「できれば神社辺りまで体を休めたかったが……」

呟きながら、俺は近くの木に背中を預けて地面に座り込む。
体は、突然の襲撃者にも対応出来るように人間形態には戻さないまままだ。
が、今の自分では相手によっては……そう、裏切り者リヒャルト・ギュオーや、
我が宿敵アプトムといった、相当の実力者では太刀打ち出来そうにない。逃げることで精一杯だ。
奴らクラスの化物がここにこない事を願いながら、俺は一人休み始めた。



が。



どうやら俺の願いなど、神は叶えてはくれないようだった。



休息を始めて僅か五分、『それ』は現れた。

巨大な灰色の獣……一瞬獣化兵かとも思ったが、すぐに『それ』がそんなものでは無いと本能で理解する。
人間を数人ほど一口で食せそうな巨大な口と、
獣化兵の強化された肉体すら簡単に切り裂けそうな鋭い爪。
『それ』と俺の間に多少の距離はあったが、その二つの瞳は真っ直ぐに俺を捉えていた。

どしん、

と、そんな音を立てて化け物がこちらに一歩を踏み出す。

ま、まずい……!

あの化け物が何かは知らないが、あれだけの巨体だ、恐らくそれなりにタフだろう。
今の体力が尽きかけている俺との相性は、はっきりいって最悪だ!
もし俺が奴より先に力尽きれば――



ガツガツガツ、バキ、ギュコリ、ゴックン、ゲプ、シーハーシーハー



駄目だ!それだけは駄目だ!
例え長くてあと数日の命といえど、あの化け物に食われて散らしてたまるものか!
エレゲン、ガスター、ダーゼルブ、ザンクルス……奴らの仇もまだ討てていないというのに……!

どしん、どしん

そんな事を考えている内にも、化け物は段々と近付いてきている。
しかもよく観察すれば、灰色の毛皮が一部分焼け焦げているではないか。
それはつまり、奴がすでに戦闘を経験している、ということ。

「…………」

よし。
逃げ出そう。
この状況で奴が殺し合いに乗っていないと考えられる程、俺は楽観的な思考をしていない。
幸いな事に、俺の背中には羽がある。飛んで逃げれば、見たところ翼のない奴には追ってこれないだろう。
……奴の背中が裂けて中から翼が現れる、とかが無い限りは。

背中の羽を確認する。完全には回復していないが、短時間の飛行に耐えられない程では無いだろう。
怪物はすぐそこまで来ている。ぐずついている暇は無いようだ。

「一つだけ言っておく、アプトムという参加者にだけは手を出すな!」

通じないとは思ったが、それだけ言って俺は勢いよく飛び上がった。
華麗に枝を避けつつ、一気に森の上空まで上昇する。

「ククク……ハハハハハ!」

空。
空はいい。
たとえどれだけの実力者がこの島にいようと、
この『空中』というフィールドを自在に飛び回れるのは、
俺やガイバー、リヒャルト・ギュオー、アプトムといった限られた参加者のみ。
下を見れば怪物は飛び上がった俺を見上げて茫然としている。
そう、俺にあれだけのプレッシャーを与えたあの怪物ですら、空は飛べない。
その事実が愉快で仕方がなかった。

と、ここでふと思い至る。
ここから残ったミサイルを放てば、あの怪物を倒せるのでは無いか?
いや、ミサイルのみでは倒せないにしても、多少のダメージを与える事は可能かもしれない。

「ふむ……幸いにも俺のミサイルは俺の脳波である程度の誘導は可能……しかしミサイル無しでは今後どうなるか……」

どうしたものかと真剣に考え込む。が、それがよくなかった。

「誰だっ!?」

背後から高速で近付く物体の気配を、ぶつかる直前まで感じとることが出来なかったのだから。

結論から言えば、誰でもなかった。凄まじいスピードで俺に向かってくるそれは、ヒトでは無かった。

そう、羽を広げ、六本の足を震わせる茶色の巨体、その名は――






かなぶん(Lサイズ)







「カナブンだとォーッ!?」

いや、待て、何が起こっている?目の前のカナブンはたしかにカナブンだがカナブンはこんなに大きくない。
俺が知ってるカナブンは数センチしかない。こいつはさっきの怪物と同スケールじゃないか。
いや、大きさなんてどうでもいい、何故コイツは俺に向かって来ている?
ああそうか、俺がカブトムシだからか、そうかそうか、俺がカブトムシだから――



カナブンは勢いよく俺にぶつかり、俺の意識はそこで途切れた――。


もふもふ。
言葉で表現するならば、そんな感じの感触を、背中に感じる。
とても――とても、心地よい。天国と言っても過言では無い。

「天国……そうか、俺はカナブンとぶつかって墜落して死んだのか。
 仇を討てなかったのが心残りではあるが、この感触を味わえるのならば天国も悪くは――」

と、そこまで言ったところで違和感に気付く。
周囲は、どう贔屓目に見たとしても天国とは呼べない、ただの殺風景な森である。というか先程までいた森。
ならば俺が今寄りかかっているこの『もふもふ』の正体は――?

『もふもふ』の正体を確かめる為、恐る恐る振り返って背後を見る。




「……………………」




言葉も出ない。

絶句している俺に、『怪物』は大きなスイカを差し出した。



「つまりお前は、殺し合いには乗っていないと。ただ支給品のスイカを共に食べる相手を探していただけだと。
 さらに言えば上空から落下した俺を間一髪で受け止めたのもお前だと。ついでに言えばアプトムなんて知らない、と、
 そう言いたいんだな?」

コクコクと何度も頷くもふもふ。
……疲れた。たったそれだけの事を聞き出すだけで相当の時間を費やした。

あの後、もうどうせ逃げられやしないと腹をくくってもふもふとコミュニケーションをしてみた結果、
全ては俺の誤解であったことが判明してしまった。
成程、敵意が無いと解ると案外愛らしい姿をしている。

なお、『もふもふ』とはこいつの名前が不明のため付けた便宜上の名である。

「では、俺はもう行くぞ。生憎ながら俺にはやるべき事があるのでな」

そう言って、俺はこの場から離れようとする。
聞きたい事は聞けたし、何より、こいつと俺のスタンスは相容れないと十分解ったからである。

俺は何が何でもアプトムを殺すし――必ずもふもふはそれを止めようとするだろう。
ならば、これ以上の同行はお互いにとって不幸にしかならない。
だから、早めに去ろうとしたのだが――。

「どうしても、食べなくては駄目か?」

「があ」

スイカを持ったもふもふが、目の前に立ち塞がる。……やれやれ。

こんな使い方をしてすまない、ザンクルス……。
ザンクルスの能力、高周波を使用した刃で、スイカを八等分する。流石高周波、いい切味だ。

そして。
スイカを食べるもふもふに寄りかかり、再びもふもふのもふもふを味わいながら、俺はスイカを食べる。

「……美味いな」

心からの感想を呟くと、
があ、と、もふもふも頷いたのが見えた。


【E-07/森/一日目・昼前】

【名前】ネオ・ゼクトール@強殖装甲ガイバー
【状態】ダメージ(中)ミサイル消費(中)疲労(小)
【持ち物】ディパック×2、不明支給品1~5、支給品一式×2
【思考】
1:アプトムを倒す
2:食べ終わりしだい出発

【名前】トトロ@となりのトトロ
【状態】頭部にでかいたんこぶ、左足の付け根に軽い火傷(毛皮が焦げている)、腹部に中ダメージ
【持ち物】ディパック(支給品一式)、スイカ×5@新世紀エヴァンゲリオン、不明支給品0~1、古泉の手紙
【思考】
1:誰にも傷ついてほしくない
2:キョンの保護?古泉の手紙を渡す?
3:????????????

※カナブンはどこかへ行きました



【スイカ@新世紀エヴァンゲリオン】
スイカです。
参加者の一人、加持リョウジが育てたモノですが、加持さんに見せたら自分が育てたスイカだとわかるかはわかりません。
食べてよし、異文化とのコミュニケーションとしてスイカ割りをしてもよし、
さらに鈍器として使ってもよしの三拍子揃ったナイスアイテム。
なお、半ダースセットです。


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追撃への序曲 ネオ・ゼクトール 魔物の群れはいなくなった
守りたい者がいる トトロ







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