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獣の葬列 ◆MADuPlCzP6




森の中に昔から棲んでる


この島で『トトロ』と呼ばれる生き物はそういう存在だ。
彼の生き物が生まれたときにはすでに森があり、千年の昔から森と共に生きてきた。

もふもふとした体躯を揺らし木々の間を駆け回り、
大きな口をにぃと持ち上げながら季節ごとに移り変わる森の恵みを口にし、
つぶらな瞳を輝かせつつ夜の風にオカリナの調べを流して、
オオクスのうろで大きな腹を上下させて、幸せの中で眠る生活をずっとしていた。

だから、この惨劇の続く島でもすすんで森を離れようとはしなかったのは不思議ではないのかもしれない。
―――それは機動六課の桃色のデバイスにとってはひどく不幸なことではあったのだけれど。


トトロは灰色の体毛を昼の暖かさの残滓を含んだ風に遊ばせながら、森の奥深くへと分け入る。
そしてその後を従順に2匹の愛らしい獣がついて行く。
オオカミに似たモンスターライガーはしっぽを右に左に揺らしながら歩き、
白き竜フリードリヒは優しき召還師によく手入れされた翼で宙をパタパタと移動する。
ときどき木の枝に引っかかるのはご愛嬌。
そのたびに灰色の大きな手で助けてもらう姿は何とも微笑ましい。

歩く道々、ときどきトトロが食べれる木の実を採ってライガーやフリードリヒに渡してやる。
そのたびに2匹は「キュックルー」だの「がう」だの喜びの奇声を発しながらまぐまぐと森の恵みに舌鼓をうつ。
「さきほど食べたばかりではないですか…」
理性の塊、デバイスのケリュケイオンがあきれたようにつぶやくがそれはそれ。
旬の恵みを採ったそばからいただく。これほどの幸せがあるだろうか。
この島にも生物が息づいているのだろう。
どこからか小鳥のさえずりなども聞こえる。
端から見ればユカイな獣たちのなんとものんきなピクニックと言った様子である。

しかし血しぶき飛び交うこの島ではいつまでも遠足気分というわけにもいかないらしい。
歩みを進めるうちに鳥の歌も聞こえなくなり、鼻の利く獣たちには充分すぎるほどの焦げたにおいがあたりを漂い始めた。





さらに森の中を進む獣集団の前に現れたのは、すっかり形を変えた自然の一部だった。

「これは…」
ケリュケイオンはその大地の傷跡を見て絶句する。
不自然な形をした滝に、無惨にもえぐりとられた地面、それに焼け焦げなぎ倒されたたくさんの木々。
豊かな自然は惨状と言う言葉が似合うほどの変化を遂げていた。
これほどの被害を出すような大威力の攻撃のできる人物は、彼女の中に蓄積されたデータの中でも、広域魔法を得意とするエース級魔導師ぐらいだという結果をはじき出せるほどの被害であった。
「もしやMs.八神やMs.高町もここにいて何らかの事態に巻き込まれたのでは………!」
彼女がそう考えるのも無理はない。
                             ドラグスレイブ
この惨状は人の身で成し得る最大威力の魔法の竜 破 斬の爪痕、しかも制限がかけられているとはいえ大容量の魔力の持ち主リナ・インバースの仕業である。
今までの道中でも破壊された場所はあったがここまでの被害ではなかった。

灰色の巨獣はしばらく動きを止めて変わり果てた大地を見つめ続けた。
その背がかなしそうだったのはきっとフリードリヒの気のせいではないだろう。




無惨な姿となった自然の残骸にただただ湿った風が通り過ぎていく






「がう………」
しばし時間がたった後、沈黙に耐えきれなくなったのかライガーは気遣うようにそっと声をかけた。

巨獣は青い狼に答えるように振り返ると笑いもせず、近くの茂みに姿を消す。
同行者の突然の行動に、白竜と青狼は慌ててトトロの消えた方へ進もうとする。
しかし2匹が追いつく前にトトロは新たな滝の始まりへと戻ってきた。
その柔らかな手にはどこから集めてきたのかいくらかの種と大きなフキの葉が乗せられている。

「Mr. troll!これほどの破壊が可能な人物が近くにいる可能性があります!
 あまり不用意に動かないことをおすすめします」
羽根の意匠をもつデバイスは灰色の獣に危険を知らせる。
しかしトトロはにぃと笑顔を返すと、ケリュケイオンの忠告など聞かなかったかのように滝の近くへと歩いて行った。

荒れた地面を軽くならし、先ほどの種を土にうずめる。
けして器用そうな手ではないのだがトトロはあっという間にそれをやってのけた。

そして重々しくフキの葉を両手で捧げ持つと、天に何かを届けるかのように腕を上下させ始める。
最初は静かに、そして次第に力を込めて、葉を空へと突き出しながら種を蒔いた地面のまわりを練り歩いて行く。
いつのまにか、2匹の獣もその後ろをついて歩いていた。
神事を司る禰宜のように先頭を歩くトトロ、
しゅっと通った鼻先をぐいっと掲げながら進むライガー、
白い翼をばんざいするかのようにもちあげるフリードリヒ。

彼らの瞳は真剣そのものの輝きを持ち、その体躯は熱をはらんで汗ばんでゆく。
獣たちの儀式がしばらく続き、ひときわ力を入れて葉を天に突き上げたとき、
種は一斉に萌芽した。

ぽ、ぽぽぽ、ぽ、ぽぽん
こんな音でも聞こえてきそうな勢いで小さな芽が産声をあげる。
今芽吹いたばかりの植物はあっという間に、早回し映像のような速度でぐんぐんとのびていく


―――かと思いきや植物の成長は途中で止まってしまう。
それどころか今度は逆再生のように双葉の状態まで戻っていく。
この島で課せられた制限のためか、いくら腕を空に伸ばしても植物がそれ以上育つことは無かった。






しばし手を止めて考えるようなそぶりを見せるトトロ。
何かを思いついたのか、今度は成長が早めの花の種をより分けると崖の際に立つ。
遥か下方の滝壺を目視してから正面を向き、崖から宙へとその手の中の種を放った。

種は重力に従い自由落下を始める。
水面に向かって散らばっていく種を見つめながらトトロは儀式を再開した。

種は空中ではぜ、葉を伸ばし花を咲かせる。
くるくると、ひらひらと踊りを舞うように花が落ちていく。
まるで花が滝の表面に咲き、すべっていくようだった。
そして水面に至る頃には花はまた種へと姿を変える。
種に戻った植物は水の流れに乗り、川沿いの荒れた大地に辿り着くだろう。
そしてきっとそこで新たな生を始めるのだ。


壊れた自然に対しての手向けは手折った花よりも こちらのほうがふさわしい。




その儀式にかつて草壁姉妹を交えて行った時のような楽しさはなく、その列はただ静粛な空気をともなって粛々と歩を進める。

彼らの中に「弔う」という概念が存在するのかはわからない。
だが、彼らは自然のなかで生まれた獣たちだ。
自然は彼らの長年の友で彼ら自身でもある。


この惨劇の続く島の中で
その小さな行列はまるで古き友人を悼む葬列のようであった





【G-5 滝/一日目・夕方】

【トトロ@となりのトトロ】
【状態】左足の付け根に軽い火傷(毛皮が焦げている)、腹部に中ダメージ 、???、満腹
【持ち物】ディパック(支給品一式)、スイカ×5@新世紀エヴァンゲリオン、古泉の手紙
     フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
     円盤石(2/3)+αセット@モンスターファーム~円盤石の秘密~、ライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~
【思考】
1.自然の破壊に深い悲しみ
2.誰にも傷ついてほしくない
3.キョンの保護?古泉の手紙を渡す?
4.????????????????

【備考】
※ケリュケイオンは現在の状況が殺し合いの場であることだけ理解しました。



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Dies irae / まいご トトロ この温泉には野生の参加者もはいってきます






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