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saturated with fear ◆5xPP7aGpCE



「ゲ、ゲェーーーッ!! な、なんて恐ろしい事をーーーーっ!?」

悲鳴を聞いて駆けつけたキン肉マンが見た光景は異様としか言い表せないものだった。
想像していたのは悪漢に襲われてる一般人という構図。
正義感溢れる人物である彼は相手が何人だとしても躊躇わずに戦った事だろう。

しかし実際に待ち受けていたのば倒錯的な肉のオブジェ。
そして鼻腔を刺激するむっとした汗の臭い
薄暗い森の中、キン肉マンはこの未知との遭遇に思わず立ち竦んでしまった。

「……あ、う、ああああ……」

キン肉マン同様に少年も驚いたらしい。
僅かに声を上げながら大きく目を見開いて驚き戸惑っている。

(先程の悲鳴はこの少年からのものじゃろうか? 見た感じ大きな怪我は無いようじゃが……)

中学生ぐらいの年だろうか、というのが少年に感じた印象だった。
少年は羽ばたくように両腕を大きく広げていた。
いや―――よく見ればワイヤーの様なものでそんな体勢に拘束されているのが解る。

何よりも視線を引き寄せたのが、全てが露となっていた下半身。
少年の両足は限界まで広げられMの字を描いていた。
キン肉マンはそんな彼に真正面から出会ってしまったのだ。
まるで密林に人知れず咲く巨大花を発見した探険家、そんな錯覚さえ抱かせられる構図だった。

キン肉マンは注目する。
自らの腕よりも細い少年の脚に、その付け根にある年相応に茂る薄い性毛、そして中心で存在を誇示する男性器に。
このオブジェで何よりも人目を惹くその場所、そこにはリング状に鋼線が巻き付けられ一種のアクセサリーと化していた。
責め立てられる未成熟な性器、思わず己の持ち物を意識してしまう。

視線は更に下へと移る。
鋼線に括り付けられていたのは石が詰められたズボン―――恐らくこの少年のものだろう。
それが自ら重みでゆっくりと空中に揺れている。
相当な痛みを感じているだろう、鈍感なキン肉マンにもそのような想像はできた。

見渡しても他に人影は無い。
この少年は自ら変態的な行為を行って独り悲鳴を上げていたのだろうか?
目を見開いて驚いているのはそれを他者に目撃されたからなのか?



馬鹿馬鹿しい、とキン肉マンは想像を打ち消す。
彼とて人並みに性的な知識や興味は持ち合わせているが今の状況はあまりに不自然だ。
第一、先程の悲鳴と今見せている少年の怯えた表情は確かな危機感が含まれているのだ。

「キミ、一体どうしてそんな格好を……」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」

とにかく疑問だらけだ、話を聞かなければ始まらないと声を掛ける。
その途端、我に返った少年の口から金切り声の様な悲鳴が飛び出してきた。

「うわあぁぁぁーーーーーーーーっっ!!! 来るな、来るなぁぁぁぁーーー!! 」

まるで悪魔を見たような反応だった。
問いかけの声は絶叫に掻き消され、激しくもがきだした少年の拘束がギシギシと軋む。
あまりの暴れ様にワイヤーが肌に食い込み赤い血が滲み出した。

「ち、ちょっと落ち着けって少年! 私はキミをどうこうしようというつもりなんか無いんだってば!」

まさかそんな反応を返されるとは予想していなかったキン肉マンはあたふたと困惑する。
何とかなだめようと声を掛けるが全く少年の耳には届いてない。
さすがに鈍感なキン肉マンといえど、ここまで不自然な暴れぶりには疑問を抱かざるを得なかった。

見知らぬ他人と出会って驚くのは解る、しかし一言も助けを求めようともせず拒絶されるとは明らかにおかしい。
この少年とは初対面の筈、なのに何故自分がこれ程までに怖がられているのか?
話もしないうちから危険人物と見なされる心当たりなど全然、と思って突然気付く。

(まさか、この少年はキン肉万太郎の被害者でわーっ!?)

最初に名簿を確認した際に自分の偽者かと疑った名前。
その後は接触の機会が無く頭から消えかけていたが、この少年がその被害者だとしたら―――自分を見て怖がる説明も付く。
ひょっとしたらこの格好も万太郎にさせられたのかもしれない。

(許せん! 絶対許せんぞ万太郎めーーっ!)

まだ出会ってもいない相手に激しい憤りを感じたが今は少年を助ける事が先決だ。
とにかく拘束を外す、そして自分が万太郎とは別人と理解してもらわねばならない。
その為にキン肉マンは少年へと足を踏み出した。

「私は万太郎では無いーーっ!! 安心しろ今正義超人キン肉マンが助けてやるぞーーーっ!!」

安心させ、自分が安全だとアピールする為のごく自然に口から出た台詞だった。
数多くのファンや子供達が正義超人という響きを力強く感じてくれて笑顔と声援を向けてくれる。
そして駆け寄ってくれる事がキン肉マンにとっては心からの喜びであった。
この少年もその様になってほしかった。
だが。



「ヴワーーーッッ!! ギャーーーーーッッッッ!! 嫌だぁーーーーーーーっっ!!」

正義超人、キン肉マン、その言葉を聞いた途端に少年は一層激しく暴れだしたのだ。
唯一自由になる首を激しく振り乱し肌が切れるのも構わずもがく。
まるでロックミュージシャンのヘッドバンキングだ。
涙や涎、鼻汁がその度に撒き散らされる。
半狂乱と言っていい状態にキン肉マンも思わず怯んだ。
そして。

ジョオーーーッッ……

大股開きした股間の中心から黄金色の放物線が描かれる。
キン肉マンの足元に湯気立つ水溜りが忽ちの内に出来る。
アンモニア臭が足を止めた正義超人のブタ鼻に満ちた。

あまりの恐怖に失禁をしてしまったのだ。
排泄してまでも自分を拒もうとする少年、このまま進むのはまずいのではないか?
一度引いて少年が落ち着くのを待った方がいいのではないか?
幸い同行者が後から来るはず、彼に話してもらう事もできる。

躊躇いがキン肉マンに生じる。

(ム、ムウ、明らかに私を怖がっておるわい……しかし見捨てる事は出来ん!)

拒絶されるのは二度目だった。
キン肉マンはかってこの島で恐怖から自分に襲い掛かってきた参加者と出会い、そして止めた事があった。
その少女も非情に精神的に追い詰められており、言葉だけの説得ではとうてい落ち着いてくれなかっただろう。
無理にでも近付かなければ彼女は打ち解けてくれなかった。

なら今回も、あの時の様に手を触れて安心させてやりたい。
それがキン肉マンの出した答えだった。
小便など何の障害にもならないと一気に近付き両肩に腕を置いてニコッと笑う。

「大丈夫だ! 私はキミを傷付ける様な事はせん!」

―――だからヴィヴィオと同じように笑ってくれ。



うまくいくと信じていた。
だが、次の瞬間に少年の身体が大きく跳ねた。
キン肉マンの笑顔が凍りついた。




       ※       ※       ※




怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ超人は嫌だ



―――特に正義超人には関わりたくない!



シンジは恐怖を感じ過ぎていた。
悪魔将軍に対する恐怖だけでは無い、夏子、ハム、そしてトトロやまだ見ぬウォーズマンを始めとする超人。
いきなり襲われた目付きの悪い砂ぼうずと性器に対する拷問の恐怖。
先程の恐怖もそのままに更なる恐怖を塗り重ねられた。

そこにやって来たのが万太郎にそっくりなスグル。
みくるの事で殺されると恐怖した。
超人と聞いて更に恐怖した、悪魔将軍の探し人キン肉マンと聞いて恐怖が限界を突き抜けた。



超人に関わったら殺されるんだ超人に関わったら殺されるんだ超人に関わったら殺されるんだ
万太郎、ウォーズマン、悪魔将軍、誰にも関わりたくない関わりたくない関わりたくない
関わりたくない関わりたくない関わりたくない関わりたくない関わりたくない関わりたくない
来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな
来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな



―――助けるなんて言って近付いて本当は殺すんだ




風船も膨らませ過ぎれば破裂する。
シンジという脆弱な心の持ち主もまた同様。

心を開いていれば差し伸べられる手を取れたかもしれない。
しかしシンジはそれらを全て拒んで逃げ続けてきたのだ。
そう、最後の最後まで。

今差し伸べられようとしているキン肉マンの手。
その暖かさにシンジは気付けなかった。



殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される
殺される殺される殺される殺される殺される殺され……
殺される殺される殺される殺……
殺さ……
……


嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!



いつかは至る結末だったのかもしれない。
不幸だったと言うならばそれはシンジではなくキン肉マンの方だった。

殆どの事は彼とは関わりの無い所で起きたのであり、結果に対して彼に帰すべき割合などほんの僅かでしかない。
しかし、辛うじて繋がっていた糸を最後に断ち切るという役割を負わされたのだから。




       ※       ※       ※




「ギャアァァァァーーーーーーーー!!!!!!!」

少年は動けなかった筈だった。
そして一見して解る様に非力でもあった。
だからキン肉マンも、まさか少年がワイヤーの拘束を自ら外すとは予想だにしていなかった。

―――それは何をもたらしたのか?

獣じみた絶叫と共に少年は後ろに倒れた。
そしてブクブク泡を吹き白目剥いて痙攣する。

それだけだった。
キン肉マンは慌てて駆け寄りそして気付いた。

少年の手足が濡れている?
違う、これは―――血だ。

思わず息を呑んだ。
何故動けなかった筈の少年か動いたのか、その理由を理解する。
それは皮膚ごとワイヤーから手足を抜いたから。

少年の皮がズルリと剥けてピンクの肉が露出していた。
いや、手足だけではなかった。

下腹部がやけに赤い。
それに見慣れているものが……無い!?

―――少年には性器が無かった。

キン肉マンの血の気が一気に引いた。
男性の分身とも言える器官がある筈の場所、そこからは今ただ赤い血が流れているだけで何も無い。
下にそれは落ちていた。
まるで熟した木の実の様に。

血の付いたワイヤーの輪っかも見える。
これが少年の性器にとってのギロチン。
恐怖で我を忘れる余り自ら執行してしまったのだ。

「ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!!!!!」

あまりのショックに少年から引き裂く様な悲鳴が上がる。
この小さい体の何処からと思える程の大声だった。
同時に身体が打ち上げられた魚の様にビクビクと跳ねる。


「ヴァ! ア゛ア゛ア゛アッ゛ッ゛ッ゛ッ!!!! ヴァァーーーーッッ!!!!」
「ゼ、ゼロスくん! 何とかしてくれーーーーーっ!!!」

身体が汚れる事などどうでもよかった。
必死に止血を試みながら必死で同行者に助けを求めた。
同時に気付く、少年が今尚自分から逃げようとしている事に。
ズリズリと下がろうとする少年を心の中で詫びながら押さえつけた。

(わしは間違っていたのか? やはり一度引くべきだったのか?)

自問自答しても答えなど出ない。
後ろから駆け寄ってくる足音がやけに遅く聞こえた。

「しっかりしろ、おいーーーーーーっ!!!」

ただ、助けてやりたかった。
それだけが男の望みだった。

しかし手を差し伸べた筈の少年はあくまでその手を拒絶して―――

今は悲鳴を上げる事すら止めていた。




       ※       ※       ※




「しっかりして下さいスグルさん、貴方は精一杯彼を助けようとしました。何も気に病む事は無いですよ」
「うう……グスッ、ヒック……」

少年に縋って泣きじゃくるスグルをゼロスは沈痛そうな表情で慰めていた。
その内心は外見とはまるで正反対であったのだが。


(いや~、面白い見世物でした。しかもこの染み付いた感情といったら……最高に居心地がいいですね)

まるで恐怖心の塊だった少年と裏目に出た行動を泣いて後悔するスグル。
渦撒く負の感情は魔族であるゼロスに非常な愉悦をもたらしていた。
話一つ聞けなかった事は残念と言えば残念だがそれだけだ。
生かした所で役立たない弱者、何ら問題は無い。

いや、スグルが塞ぎこんでしまえばセイギノミカタが一人減ってしまう。
それはそれで見ものだが今はほどほどにしておきましょうとゼロスは思った。

「ちゃんと止血したのに……何でじゃ、何で助けられなかったんじゃ? わしの治療がまずかったんじゃろうか……」
「いいえ、私から見てもスグルさんの治療は的確でしたよ」

ぐずり続けるスグルをゼロスが励ます。
お世辞ではなく事実だった。
負傷の機会が多い超人は傷の手当てに慣れている。
スグルは少年の出血を最小限に抑えており失血が原因で死に至る筈は無かった。
最後は人工呼吸に心臓マッサージもしたのだ。

「そ、それでは何故こんな事に!?」

すっかり戸惑ったスグルの顔がゼロスに向けられる。
涙と鼻水と垂らし、今にも縋り付いて来そうな雰囲気だ。
内心いい表情ですと溢れる感情を味わいつつゼロスは答えた。

「溢れたんですよ」
「あふ……れた?」

スグルには言われた意味が解らなかった。
ぽかんとしているとゼロスが少年の顔を覗き込む。

「彼という器が恐怖心に耐えられなくなったのです。許容できる限界を超えてしまったんですよ」

僅かな時間で人の顔はここまで変わるのか―――

少年の顔は目を見開き、恐怖に引きつった表情のまま凍り付いていた。
それだけでは無い、みずみずしかった肌は皺だらけで老人の様に変わり果てた風貌となっていた。
スグルもせめて穏やかな顔にしてやろうとしたが、何をしても元に戻らなかった。


「可哀相に」

だが、魔族のゼロスにとってそれは最高の見ものであった。

「こんな所で、裸を見られて、失禁して、泡まで吹いて、挙句の果てには大事な部分まで無くしてしまって」

一言を発するたびにスグルから負の感情が湧き起こる。
それはゼロスに深い歓びと活力をもたらしていた。

「……どんなに怖かったでしょうね?」

一転して視線をスグルに向ける。
少年の死を責めていると言わんばかりに。
少なくともスグルにはそう思えた。

「わ、私はただ抱きしめてやりたいと思って……」

蒼白になって子供の様に震えるスグルをにこやかに見詰める。
つい先程の気概はもはや跡形も無かった。
屈強な身体さえ今はとても小さく感じられる。

(何度見ても絶望って本当にいいものですね~)

ほどほどにしておこうと思っていたのについ楽しんでしまうゼロスだった。
それでもこれ以上は自重する気になったらしく、停滞した状況を動かしたのも彼であった。

「さて、そろそろ出てきて説明していただけませんか?」

おもむろに立ち上がると突然離れた大木に声を掛ける。
実はゼロスは当初から隠れている人物に気付いていた。
少年への対処をスグルに任せている間、ずっと罠の存在や人物の警戒を行っていたのである。

「え、他に誰かおるのか?」

ぼんやりしていたスグルもそちらに視線を向けると舌打ちと共に小柄な影が飛び出してきた。

「チッ! ばれちゃしょうがねえな~!」

現れたのはこれまた少年。
しかしその不敵な態度と目付きの悪さは死んだ少年と真逆であった。

これが砂漠の妖怪との二つ名を持つ外道、砂ぼうずと二人との出会いであった。





       ※       ※       ※




「おい! てめーらよくも人の獲物を台無しにしてくれたなーっ!」

スマイルを浮かべたゼロスと泣き顔のスグル、そんな二人の前に近付いた砂ぼうずは自己紹介もせぬままいきなり怒声を浴びせてきた。
まるで売り物を駄目にされた商売人の様な態度で二人は睨み付けられる。
小さいながら一歩も引かない態度はさすが関東大砂漠の住人と呼べるものだった。

「お、お前が少年にあんな格好させた犯人かー!!」

我に返ったスグルが叫ぶ。
だが砂ぼうずは一気に不機嫌な顔になると逆にスグルに唾を飛ばしながら詰め寄った。

「とどめを刺したのはテメーだろうが! 偉そーな口聞いてんじゃねえよブタ野郎!
 どう落とし前付けてくれるつもりだ? あ~?」

スグルの口にいきなり手榴弾が突っ込まれる。
指にかかったピンを抜けば数秒後には頭ごとミンチだ。

(そうだ、私が殺したんだ。私が……)

それに言われた事は正しい。
どのような形であれ直接シンジの死に繋がったのはスグルなのだ、それは彼自身が何よりも解っていた。
だからこそスグルには口を塞がれてムググと呻く事しか出来なかった。

「そうでもしなきゃまともに話も出来なかったんだぜ? 仕方ねーだろ!」

その言葉でゼロスには事態の一部が理解できた。
元々非常な恐怖に襲われていた少年に同等以上の恐怖を与えるやり方だろう。
結果として恐怖の上書きは少年を追い詰めるところまで追い詰めていたという訳だ。

「へえ、つまり貴方はこの少年からある程度の情報を得ている。そういう訳ですね」

だからといって砂ぼうずを責めるつもりなどゼロスには毛頭無い。
むしろ面倒な尋問を済ませてくれて手間が省けましたと思っていた。


「話がはえーな。って事で取引といこうや。どうだ? こいつが知っていた情報をいくらで買う?
 言っておくが俺にもまだ聞いてない情報があったんだぜ~、その分ペナルティとして上乗せしてもらわねえとフェアじゃねえなあ」

シンジの死体を一蹴りした砂ぼうずが指の輪っかをゼロスに見せつける。
その態度にスグルが震えるが打ちひしがれている彼は何も出来なかった。

「確かに非はこちらにあると言っていいですね。では提供分にそれなりの色を付けましょう、もちろん価値の有る情報という前提ですよ?」

やれやれと両手を広げるジェスチャーしたゼロスが条件を承諾する。
それを聞いて砂ぼうずはニヤッと口元を歪めた。

「物分りがいい兄ちゃんは嫌いじゃないぜ~。じゃあ向こうで話そーや、ここはこのタマ無し野郎が漏らした小便が臭くて仕方ねーからよ」

パタパタと扇ぐ様をしながら砂ぼうずが離れた場所を目で示す。
ゼロスが頷くとスグルの口から手榴弾を引き抜いて二人して向こうに行ってしまう。
スグルはただシンジの傍でぼんやりしているだけだった。



       ※       ※       ※



「あ、それとあの金髪の女性の首輪を取ったのは貴方ですね? ならこちらは首輪については代価無しで頂けないでしょうかね?」
「お~い、舐めてんのか兄ちゃん? あのガキは元々俺が捕まえたんだぜ? 髪の毛一本たりともタダでやる事は出来ねーよ」

せめて墓を作ってやろうと穴を掘り始めたスグルの耳に自然と話し声が聞こえてくる。
聞き耳を立てる気にも、どんな情報が交わされているのか考える気にもなれなかった。

(何言ってんだろ、あの人たち……)

ただ一つ解ったのは、あの二人に死んだ少年を悼む気持ちなんてこれっぽっちも無さそうな事だった。
見ていると不快感が込み上げそうになり思わずスグルは顔を背けてしまう。


そして土くれに塗れた腕でそっと少年を撫でてやる。
丸出しだった下半身にはズボンを履かせて出来る限り綺麗にしてやった。
性器も拾ってあるべき場所に戻しておいた。
フェイスフラッシュが使えない為くっ付けられないのが残念だったが。

今のスグルにはそれが精一杯だった。

スグルが穴掘りを再開するとまた言い合う声が聞こえてきた。
しかし二人共こちらには殆ど目もくれようとしない。
あのバンダナを巻いた少年がどのような人間なのか、スグルにはひしひしと感じられた。

そしてゼロス。
少し前、名も知らない女性を埋葬した時は他人を思いやる心を持っていると信じて一時の心を恥じた。
なのに、今スマイルで少年と話している彼の事が―――何故かとても遠くに感じられた。







【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン 死亡確認】
【残り32人】



【E-4 森林地帯/一日目・夕方】



【キン肉スグル@キン肉マン】
【状態】脇腹に小程度の傷(処置済み) 、強い罪悪感と精神的ショック、
【持ち物】ディパック(支給品一式)×4、タリスマン@スレイヤーズREVOLUTION、
     ホリィの短剣@モンスターファーム~円盤石の秘密~、金属バット@現実、100円玉@現実、不明支給品0~1
【思考】
0:少年が死んだのは私のせいだ、私が悪いんだ……
1:シンジを埋葬してやる。
2:ゼロスと協力する。
3:学校へ行って朝倉とヴィヴィオと合流する。
4:ウォーズマンと再会したい
5:キン肉万太郎を探し出してとっちめる。
6:一般人を守り、悪魔将軍を倒す。


※砂ぼうずの名前をまだ知りません。



【ゼロス@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】絶好調
【持ち物】デイパック(支給品一式(地図一枚紛失))×2、不明支給品1~4
     草壁タツオの原稿@となりのトトロ、First Good-Byeの楽譜@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
0:首輪を手に入れ解析するとともに、解除に役立つ人材を探す
1:砂ぼうずから情報を得る。
2:朝倉と合流する。可能ならヴィヴィオとも。
3:ゲンキとヴィヴィオとスグルの力に興味。
4:ヴィヴィオの力の詳細を知りたい。
5:セイギノミカタを増やす。



【備考】
※簡単な漢字を少しずつ覚えていっています
※ウォーズマンの名前と容姿を覚えました。
※草壁タツオの原稿の内容は草壁家とトトロの交流が書かれている『となりのトトロ』という作品でした。




【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず】
【状態】ダメージ(中)
【持ち物】オカリナ@となりのトトロ、手榴弾×1、朝倉涼子・草壁メイ・ギュオーの髪の毛
 ディパック×2、基本セット×4、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書、フェイトの首輪、
 ksknetキーワード入りCD、輸血パック@現実×3、護身用トウガラシスプレー@現実
【思考】
0、ゼロスとキン肉マンにシンジの首輪と情報を出来るだけ高く売りつける。
1、何がなんでも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。
2、首輪を外すにはA.T.フィールドとLCLが鍵と推測。主催者に抗うなら、その情報を優先して手に入れたい。
3、遊園地が怪しいので一応行ってみるが、長居はしない。『パソコン』があると良いな。
4、支給品『CD』を『パソコン』に入れれば、『ksknet』のキーワードを知れば、『ksknet』で『何か』が得られる?
5、その後は北の市街地に向かい、ボインちゃんを雨蜘蛛から守る。一応ホテルには向かう。
6、ノーヴェを探す。そして……いっひっひっひ。
7、蛇野郎(ナーガ)は準備を万全にしてから絶対に殺す。
8、首輪を分析したい。また、分析できる協力者が欲しい。
9、関東大砂漠に帰る場合は、小泉太湖と川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も?
【備考】
※セインから次元世界のことを聞きましたが、あまり理解していません。
※フェイトの首輪の内側に、小さなヒビが入っているのを発見しました。(ヒビの原因はフェイトと悪魔将軍の戦闘←灌太は知りません)
※分解したワイヤーウィンチはシンジを縛るのに使っています。
※シンジの地図の裏面には「18時にB-06の公民館で待ち合わせ、無理の場合B-07のデパートへ」と走り書きされています。


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もしもふたり逢えたことに意味があるなら ゼロス 贖罪
キン肉スグル
水野灌太(砂ぼうず)
碇シンジ GAME OVER




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