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燃え上がれ! 闘志は胸を焦がしてる ◆NIKUcB1AGw



観客で埋め尽くされた競技場。その中心に、リングが設置されていた。
リングの中で、二人の青年がぶつかり合う。
一人は「最強の遺伝子を継ぐ男」。もう一人は「鉄面の鬼公子」。

「さあ、超人オリンピック決勝戦もいよいよ大詰め! 日本代表・キン肉万太郎がイギリス代表・ケビンマスクを追いつめております!
 万太郎、このまま勝負を決めるか! それとも、ケビンが鮮やかな逆転劇を見せるのかー!!」

実況を背に受けながら、万太郎は打撃のラッシュをケビンに浴びせる。
強固な鎧に身を包んだケビンだが、万太郎のラッシュは確実に彼の体力を削り取っていた。

「おりゃあっ!!」

気合いの叫びと共に放った万太郎の回し蹴りが、ケビンの側頭部にクリーンヒット。
ケビンはそのまま倒れ込み、キャンバスに膝をつく。

(よし、いける!)

今のケビンなら、マッスル・ミレニアムで一気にK.Oまで持っていける。
そう確信した万太郎は、おのれの必殺技を炸裂させるべくケビンに駆け寄った。
だが、ボロボロのはずのケビンの手が恐るべき速さで動く。その手は万太郎の頭部をつかみ、万力のごとき圧力で締め上げた。

「バ、バカな……! ケビンにまだこれだけのパワーが残っていたなんて……」
「ケビン? 誰だ、それは」
「え?」

指の隙間から、万太郎は自分の頭を握り潰さんとする相手の姿を見る。
彼が見たのはケビンの青い鎧ではなく、禍々しい銀色の鎧であった。

「ゲェーッ! 悪魔将軍!」
「死ねい、キン肉万太郎!」

悪魔将軍がその手に込める力は、どんどんと強くなっていく。程なくして、万太郎の頭は木っ端微塵に砕け――


◇ ◇ ◇


「うあああああああああ!!」

絶叫と共に、キン肉万太郎は目を覚ました。

「い、今のは……。夢……か」

気の抜けた声で呟くと、万太郎は溜め息を漏らす。彼は疲れ果てた状態で川辺にたどり着き、そのまま眠ってしまったのだ。
寝ている間に、ずいぶん汗をかいたのだろう。
川の水に濡れたボディースーツが、さらに別の水分を吸って体にまとわりついてくる。
その気持ち悪さに顔をしかめつつも、万太郎は体をほぐすべく軽いストレッチを始めた。
そうこうしているうちに、彼の耳に何度か聞いたことのある声が届く。

『全員聞こえているかな? まずは君達におめでとうと言ってあげるよ』
「この声……。そうか、いつの間にか放送の時間になってたのか!」

若干慌てつつも、万太郎は放送の内容を聞くことに集中する。

『話が長くなったけどこの勢いで最後まで頑張ってくれたまえ! 六時間後にまた会おう!』

長いようで短い放送が、終わりを告げる。それと同時に、万太郎は拳を地面に叩きつけた。

「くそおおおおおおお!!」

感情のままに、万太郎は叫ぶ。悔しくて、悲しくて仕方がなかった。
朝比奈みくると、碇シンジ。このバトルロワイアルで出会った二人の人間の名前が、放送で呼ばれてしまった。
二人とも本来なら自分が守らなければいけない、無力な存在だったのに。
それだけではない。万太郎の知らない人間が八人も、この六時間で命を落としてしまった。
その中には、殺し合いに乗ってしまった人間もいたかもしれない。だが、そんなことは万太郎にとってどうでもいい。
善人だろうが悪人だろうが死なせない。それが正義超人の使命であり、信念だ。
なのに、今の状態はどうだ。悪魔将軍やオメガマンのような悪の超人を野放しにし、守るべき人間たちをみすみす死なせている。

「何をやっているんだ、僕は……! うわああああああ!!」

万太郎は、今一度叫ぶ。その胸の内には、ふがいない自分に対する怒りと、殺人者や主催者への憎しみが黒い炎となって渦巻いていた。
肉体こそ頑強ではあっても、万太郎はまだ人間ならば中学校に通っているような年齢である。
その未熟な精神に、この状況はあまりに辛すぎた。たとえばミートのように支えてくれる存在が近くにいれば、話はまた違ってくるのだろう。
だが、今の彼は孤独だった。励ましてくれる友も、導いてくれる大人も側にはいない。
万太郎は、一人で全ての重圧を背負わなければならなかったのだ。
この過酷な状況が続けば、彼の精神は暴走しあらぬ方向へと突き進んでしまったかもしれない。

そう、「かもしれない」。これはあくまで仮定の話。事実は、そうはならなかった。
分岐点は、一陣の風。その風を呼んだのは万太郎の強運か、あるいはとある老兵の遺志か。
とにかく、風は万太郎の元へある物を届けた。

「ん? あれって……」

風に舞って自分の近くまでやってきた何かに気づき、万太郎は急いでそれに駆け寄った。
そして、それをつかみあげる。

「やっぱり。これ、ニンジャのおっさんの襟巻きだ。そういえば、オメガマンと戦ってる途中でなくしちゃったんだっけ……」

手にした布を広げながら、万太郎は呟く。
そう、その布は彼がオメガマンとの戦いで手放してしまったザ・ニンジャの襟巻きであった。

「考えてみれば、モールとここってあんまり離れてないからなあ。あそこに落としたのが、風に乗ってここまで飛んできたのか……」

独白を続けながら、万太郎は襟巻きを見つめ続ける。むろん、考えもなしの行動ではない。
何かが思い出せそうな気がするのだ。今の自分が見失っている何かが。

(何だろう……。何か思い出さなくちゃいけない、大事なことが……)

ふと、彼の目の前にザ・ニンジャの顔が幻として浮き上がる。

「!!」

その瞬間、万太郎の脳内に電流のごとき衝撃が走った。それと同時に、彼は自分が思い出すべきことを理解する。
まだ記憶に新しい、火事場のクソ力修練。
あの中でザ・ニンジャが、おのれの命を賭けてまで万太郎に伝えたかったことは何か。
その後のハンゾウとの戦いで得たものは何か。
それは、「無我」の心。
どんなに憎い相手でも、リングの上では私怨を忘れ純粋に強さのみを比べ合う。
火事場のクソ力の使い手……すなわちキン肉族王家には、そんなおのれの感情の制御が求められるのだ。

「…………」

無言で、万太郎は自分の行動を反省する。思い返してみれば、オメガマンと戦った時はアシュラマンを殺された怒りに満ちていた。
それ自体は悪いことではない。だが、それだけでは駄目なのだ。
怒りは制御できなければ、心を濁らせる。それは正義超人にとって致命的だ。
その制御のために必要なのが、「無我」の心。
それを欠いた万太郎があと一歩まで追いつめながらオメガマンを倒せなかったのは、ある意味当然と言えるだろう。

「そういえば、ハムにもそんな感じで注意された気がするなあ。悪に対して怒りを感じることは、間違いじゃない。
 けど、怒りに任せて行動するんじゃなくて、上手くそれをいなさなきゃいけないんだ」

先程までの様子からは想像もつかぬほど静かな声で、万太郎は呟く。

「そうだ。みくるさんとシンジくんは死んでしまったけど、ハムと夏子さんはまだ生きている。
 急いで合流した方がいいのかもしれない。けど……」

仲間たちの元へ、一刻も早く駆けつけたいという想いはある。だが万太郎の脳裏には、銀色の悪魔の顔が焼き付いて離れない。
自分の味方にすら、平然と攻撃を加える冷徹極まりない超人。あいつを、このまま放っておくわけにはいかない。
キン肉万太郎としてではなく、正義超人の一人として。

「ごめん、ハム、それに夏子さん。もうちょっと二人で頑張ってもらうね。
 これ以上あの男を放っておいたら、どんどんと悲劇が生まれてしまう。
 一秒でも早く倒さなくちゃいけないんだ……。あの男を……悪魔将軍を!」

改めて襟巻きを首に巻き付け、万太郎は歩き出す。目指すは先程まで自分がいた場所、湖上リング。
目的はただ一つ。そこにいるであろう悪魔を倒すことだ。


今、万太郎を支えてくれる存在は誰もいない。だが彼の心の中には、今まで彼を支えてくれた仲間たちの思いが残っている。
それを思い出した万太郎の目は、今まで以上に輝いていた。

「へのつっぱりは……いらんですよ!」

敢えて父の言葉を借り、万太郎は戦場へと向かう。


【E-09 川のほとり/一日目・夜】

【キン肉万太郎@キン肉マンシリーズ】
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)
【持ち物】ザ・ニンジャの襟巻き@キン肉マンシリーズ
【思考】
1.悪魔将軍を倒し、ガイバーを解放する。
2.危険人物の撃退と弱者の保護。
3.夏子たちと合流する。
4.頼りになる仲間をスカウトしたい。
  父上(キン肉マン)にはそんなに期待していない。 会いたいけど。
【備考】
※超人オリンピック決勝直前からの参戦です。


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See you again,hero! キン肉万太郎 I returned






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